ズキズキ痛む片頭痛の原因とその対策は?

アイコン 2017.3.31 頭痛

片頭痛(偏頭痛)は、日本の年間有病率は5-10%と言われています。つまり日本人の10人に1人はこの片頭痛を経験していることになります。

若年~中年の女性に多く、30代・40代の女性の有病率は15~20%に及んでいます。片頭痛は片側にズキズキした頭痛で、吐き気などの症状を伴うこともあります。痛みの期間も4時間から、場合によっては3日間も続くことが多いです。

多くの人が「なんでこんなに痛みが続くんだろう?」と、片頭痛の原因について知りたいかと思います。しかし現時点では、片頭痛の細かい機序は未だわかっていません。

しかし片頭痛の増悪因子となることとして、いくつかの要因が分かり始めています。ここでは、片頭痛の原因について分かってることをまとめていきたいと思います。

 

1.片頭痛(偏頭痛)ってどんな頭痛?

片側がズキズキと痛む頭痛ですが、必ずしも片側とは限りません。また目の前がチカチカするなどの前兆がある場合もあります。

片頭痛の原因を知る前に、まずあなたの頭痛が本当に片頭痛か確認する必要があります。慢性的な頭痛は主に、

  1. 片頭痛
  2. 緊張性頭痛
  3. 群発性頭痛

の3つが挙げられます。この中で一番多いのは緊張性頭痛です。そのため自分が片頭痛だと思っていても、実は緊張性頭痛だったという人は大勢います。まず片頭痛は、前兆のあるタイプとないタイプがあります。それぞれの片頭痛の診断基準を記載します。

<前兆のない片頭痛>

  1. 頭痛発作が5回以上ある
  2. 頭痛の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
  3. 頭痛の性状が①から④の2項目を満たす
    ①片側性
    ②拍動性
    ③中等度~重度の頭痛
    ④日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
  4. 頭痛発作中に少なくとも以下の1 項目を満たす
    ①悪心または嘔吐(あるいはその両方)
    ②光過敏および音過敏

<前兆のある片頭痛>

  1. 頭痛発作が2回以上ある
  2. 少なくとも以下の 前兆が1つ以上ある
    ①きらきらした線や点が見える、または陰性徴候(視覚消失)を含む完全可逆性の視覚症状(閃輝暗点)
    ②手足や唇、舌のチクチク感および・または手足の感覚低下
    ③元に戻る失語性言語障害 
  3. 少なくとも以下の前兆が一つ以上ある
    ①同名性の視覚症状 または片側性の感覚症状(あるいはその両方)
    ②少なくとも 1 つの前兆は 5 分以上かけて徐々に進展するかおよび・または異なが引き続き 5 分以上かけて進展する
    ③それぞれの前兆の持続時間は 5 分以上 60 分以内

これは、医療向けの慢性頭痛のガイドライン(2013年)をもとに記載した診断基準です。難しい表現が多いのですが、なぜあえてこの診断基準を載せたかというと、片頭痛は「片側」であれば絶対に片頭痛、「両側」だったら片頭痛ではないといった間違いを正したいからです。

頭痛の性状が、

  1. 片側性
  2. 拍動性
  3. 中等度~重度の頭痛
  4. 日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける

のうち2項目を満たす必要があります。言い換えれば、右だけ左だけといった片側の頭痛がなくても、

となると

の2項目を満たすため、片頭痛の可能性があります。片側性というのは、片頭痛の可能性があるかもしれない止まりなのです。もし自分が本当に片頭痛か心配な人は、「片側がズキズキ痛む頭痛は片頭痛?片頭痛の症状とは?」を一読してみてください。

 

2.片頭痛の原因・予防は?

偏頭痛の原因は精神的・外的・病的・食べ物など多岐に渡ります。

偏頭痛の実に75%が、何らかの発作誘発因子があるといわれています。そのため、こういった誘発因子が何か特定することが片頭痛の最大の予防になります。

  1. 精神的要因(ストレス、疲れ、緊張、寝不足、過眠)
  2. 外的要因(天気や温度)
  3. 病的(内的)要因(生理、高血圧、副鼻腔炎)
  4. 食べ物(空腹、アルコール、チョコレートやチーズなどの特定の食べ物)

が挙げられます。これらの要因および予防について考えていきましょう。

 

2-1.精神的要因

最も多いのがこの精神的要因です。分かりやすく言えば、ストレスですね。片頭痛の方の約6割が、ストレスが感じたときに頭痛があるといい、片頭痛の25%の方はストレスから解放された時に片頭痛が起きるとされています。片頭痛が起きた時はどのような行動をしていたかだけではなく、片頭痛前の行動も含めて確認しておいたほうが良いです。

ストレスは、ダイレクトに色々なことを考え・指示を出す司令塔である脳に影響するといわれています。片頭痛に限らず、全ての慢性頭痛の大敵です。特にストレスを感じることで、自律神経が乱れることが片頭痛につながるといわれています。自律神経が乱れることで、様々な炎症物質の産生、脳血管への影響につながります。

など様々なストレス要因が生活の中にはあると思います。「分かったところで解決できない」こともあるかもしれませんが、どのストレスが誘因か分かっておくことだけでも意味があります。

また、こういったストレスに起因した「疲れ」「緊張」「寝不足」といった状態は、片頭痛に限らず多くの病気の増悪因子になります。

といった悪循環にはまる前に、ぜひ打開するように気を付けてください。ただ気を付けることとして、過眠は要注意です。疲れていたら安眠を求めるのは正しい行動です。ただし睡眠も、とればとるだけ片頭痛が改善するわけではありません。

むしろ寝すぎることで、

などが原因で逆に片頭痛が起こるといわれています。

 

2-2.外的要因

偏頭痛の特徴として、特定の光や音、臭いでおこることがあります。実際に片頭痛の患者さんは

あるというデータもあります。

光りで起こしやすいものとしては、

などの人工的な光が原因となることが多いです。特に最近LEDの登場で、光に対して反応することが多くなりました。音では、

など大きな音が原因になりやすいです。臭いでよく起こしやすいのが、

が挙げられています。ですからよく片頭痛が原因になる場所としては、

などが挙げられています。自分が片頭痛が起こった時、もしくはその前に特定の場所があるのであればそこから、

の何が犯人か探しやすくなります。またこれら以外にも、

が関与することもあります。実際に、天候が悪いと53%の方が片頭痛が出現すると答えています。また急激な温度変化も危険です。

で生じることがあります。これらが特定できただけでも片頭痛の対処につながります。ある程度犯人が絞れたらそれを避けるように行動できますし、「あの痛みが急に襲ってきたらどうしよう」という不安も軽減されるからです。片頭痛の方はこれらの条件を一度見返してみましょう。

 

2-3.内的要因

環境的要因以外にも、私たちの体の変化で頭痛が起きることもあります。一番要因になりやすいのが生理です。片頭痛で悩む女性の約半分が、生理の開始2日前から生理後3日の間に片頭痛の自覚があります。

などが挙げられていますが、細かい機序は分かっていません。また生理以外でも、

  1. 高血圧:脳の血管圧が上がることで脳を刺激します
  2. 副鼻腔炎:鼻がつまるストレスおよび、呼吸が浅くなることによる自律神経の乱れが起こります。
  3. 腰痛や頚椎症:痛み自体によるストレス、また肩こりなどがあると脳への血液の循環が悪くなります。

などがあると、片頭痛が引き起こされやすいとされています。どんな病気でもストレスになるため、誘因になると言えば全ての病気が当てはまりますが、特に多いのがこの3つです。

持病としてお持ちの方は、病状が悪くなった時に片頭痛も起こるか意識してみると良いかもしれません。

 

2-4.食べ物

偏頭痛で特徴的なのは食べ物です。食べ物で誘発される病気は、アレルギー以外だとかなり限られてきます。片頭痛を起こしやすい食べ物としては、

  1. アルコール(赤ワイン)
  2. チラミンを含む食べ物(たまねぎ、チーズ、チョコレート、かんきつ類、ナッツ)
  3. グルタミン酸ナトリウムを含む食べ物(カップ麺、スナック菓子)
  4. 亜硝酸ナトリウムを含む食べ物(ハムやサラミ)

が挙げられます。まずアルコールは、片頭痛の大敵と言われています。二日酔いを経験したことがある人は分かると思いますが、アルコール自体が頭痛の要因となります。アルコールを飲むことで血管の拡張作用があり、それによって頭痛が起きるとされています。

特に赤ワインは、血管拡張を促すポリフェノールと血圧を上昇させるチアミン、さらに痛みに関与するヒスタミンが含まれており、片頭痛の人は絶対に避けた方が良い飲み物として有名です。

さらにこの血圧を上昇させるチアミンは、食べ物に多く含まれています。たまねぎ、チーズ、チョコレート、かんきつ類、ナッツなどが有名な食べ物です。特にチョコレートは片頭痛の敵として、かなり有名な食べ物です。

実際に片頭痛の誘因として、イギリスでは20%の人が挙げたとのことです。赤ワインを片手にチョコレートやチーズをつまみに一杯やるというのは、片頭痛の人にとっては最悪な組み合わせです。

その他に、うまみ成分であるグルタミン酸ナトリウムや塩分の一種である亜硝酸ナトリウムも、片頭痛の増悪因子になり得るといわれています。片頭痛の方は、何を食べた後に片頭痛が起きたかチェックしておくと原因の食べ物が分かるかもしれません。

 

3.片頭痛の機序は?

偏頭痛の機序は未だに完全には解明されていません。血管拡張説、三叉神経節、中枢起源説、セロトニン説などあります。

偏頭痛がなぜ起きるのか?これだけ大勢の人が苦しんでるのに、残念ながら細かい機序は現時点でも完全には解明されていません。現在、

  1. 血管拡張説→脳血管が収縮した後、急激に拡張することで血流が一気に流れ出る際に痛みが出る
  2. 三叉神経説→三叉神経が刺激されることで痛みが出る
  3. 中枢起源説→痛みを感じる脳幹部の受容体が炎症物質に刺激されることで痛みが出る
  4. セロトニン説→セロトニンが欠乏することで痛みがでる。

のどの仮説がたてられています。

①は、血管拡張性物質である calcitonin generelated peptide(CGRP) の増加が密接に関与している可能性から考えられた説です。しかしCGRPが関与している可能性は高いですが、その物質の影響で血管を拡張しただけで疼痛が出るというこの説はやや否定的と、2013年の片頭痛のガイドラインでは記載されています。

むしろ②の三叉神経節の方が有力です。三叉神経は脳の中でも最も太い神経です。主に脳血管の周囲にあります。この三叉神経が、

  1. 何らかの刺激が加わる
  2. 三叉神経からサブスタンスP、CGRPなどの神経ペプチドが発生
  3. 血管が拡張する
  4. 血管周囲の三叉神経が血管が拡張した影響でさらに刺激される。
  5. 痛みの原因となるサブスタンスPがどんどん増えて片頭痛が生じる

といった説です。一方でこのような三叉神経などの末梢ではなく、もっと脳幹部が関与していると考えたのが③の中枢起源説です。中枢起源説は、皮質拡延性抑制(CSD)と呼ばれる部位が刺激されることで痛みを生じると考えられています。CSDは痛みを感じる部位だと思ってください。

私たちが腕をつねられて痛いと感じるのは、腕のつねられた部位の神経が刺激されて、

と脳まで神経物質がバトンのように渡されていきます。このバトンのように渡される物質の一つが、サブスタンスPなどです。

そのため、三叉神経から発生したサブスタンスPが中枢神経に作用している可能性も考慮されています。

ただし、これらはまだ推測の域を出ていません。そして①から③全てに関与している物質として、血管収縮作用のあるセロトニンの存在があります。このセロトニンが関与する説が④です。セロトニンは消化管粘膜に90%、血小板中に8%、脳内の中枢神経系に2%存在する物質です。セロトニンの作用は非常に複雑ですが、片頭痛に関与する作用としては、

  1. ストレスがかかることで幸福感を感じやすくなるセロトニンの物質が大量に作られる
  2. セロトニンの放出で脳血管が収縮
  3. セロトニンは脳内で2%しかないためすぐに枯渇
  4. セロトニンが無くなることで他の炎症物質が刺激され頭痛が起きる

といった説があります。これはセロトニンの受容体の一つである5-HT1B/1D受容体作動薬(トリプタン製剤)が片頭痛に著効することから、セロトニンが片頭痛に関与することが示唆されています。

ただし、単純に

といったことで片頭痛が起きているわけではないと考えられています。ここでは色々な片頭痛の機序の説を書きましたが、全てが全て断定されているわけではありません。そのため、今もなお世界中で片頭痛の研究は進められています。

 

まとめ

偏頭痛は細かい機序がよくわかってない病気です。片頭痛はそもそも診断自体が難しい病気です。100人の片頭痛の人を集めても、

など色々な条件で痛みがあります。そのため片頭痛自体がもっと細かく分けて、作用機序を探すべきという意見が多いです。少なくとも、一つの説を断定して話せるほど片頭痛は単純ではありません。

などの文章が散見されますが、細かい原因が分かってないので効くか効かないかは「まゆつば」のことが多いです。正確にいえば、片頭痛は効いた人もいるかもしれませんが、効かない人も多いくらいで対応しましょう。

コーヒーなどは反対に、定期的に飲んでる人の方が片頭痛が多いと報告されているくらいです。一番の予防は、「自分の片頭痛についてよく知っておくこと」です。ここに挙げた誘因を一つ一つ自分で探偵のように見つけてみてください。

犯人が分かれば対策もしやすいと思います。

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