COPD(肺気腫)は日常生活が重要!COPDの進行予防と治療法

アイコン 2016.7.27 COPD(肺気腫)

COPD(肺気腫)とは、タバコで肺がボロボロになってしまった状態です。

COPDになると肺がボロボロになったことで気管支が狭くなってしまいます。問題なのはCOPDは一度発症するともう完全に治すことができない病気です。

これを聞くと人によっては「もう治らないならいいや」と投げやりに思ってしまうかもしれませんが、それは絶対に間違いです。

COPDは、対策をしないと病態が加速的に悪化していく病気です。どんどんと呼吸機能が落ちていき、当たり前の日常生活が息苦しくて過ごせなくなっていきます。

それでは、どういったところに気を付ければ良いのか?
COPDと診断されたら注意すべき日常生活はどのようなものでしょうか?

ここでは、COPD(肺気腫)の患者さんが日常生活や治療でどのようなことができるのか、COPDを悪化させないためにできることをお伝えしていきます。

 

1.COPD(肺気腫)とはどんな病気なの?

タバコで肺が傷つけられた結果、気管支が狭くなる病気です。一度発症すると、タバコをやめても二度ともとには戻らないのが特徴的です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、別名「タバコ病」と言われており、発症する原因の80%がタバコであると言われております。(ご職業や生活習慣、環境によってはタバコを吸っていなくても発症される方もいます)

英語名の「Chronic  Obstructive  Pulmonary  Disease」の頭文字を取って、COPDと呼ばれております。

落語家の桂歌丸さんや歌手の和田アキコさんといった有名人も、COPDといった肺疾患に罹患しています。

桂歌丸師匠は、「10年ほど前から変な咳がでたり、痰が絡んだりしていたんです。精密検査はせず、ただの風邪だと思っていた」と話しています。COPDと診断されたのは、5年ほど経ってから専門医による診断で気づいたとのことです。診断されてからもCOPDの症状は進行し、数メートル歩くだけでも息切れがする、講演をしていても「苦しくて鼻をつままれている感じ」と表現されています。

このようにCOPDの主な症状としては、「咳・痰・息切れ」が多く観察されます。歌丸師匠のように、「年齢のせい」「風邪やタバコのせい」などにしてしまい、病気になってしまっていることに気づかず、気づかぬうちに病状が悪化してしまっていることが多い疾患です。

COPDを治療せず放っておいてしまうと重症化してしまい、日常の生活ですら苦しくて動けないといった症状が観察されてしまいますので、早期の発見・治療が必要になります。「自分で呼吸ができなくなる」といった最終段階までいってしまうと、常に酸素用の機材を持ち歩き、鼻にチューブをつけたまま生活をすることになってしまいます。

現在の日本において、40歳以上の日本人の8.6%、約530万人がCOPDであるといわれております。しかしながら実際に治療に至っているのは約22万人と非常に少なく、多くの患者さんが診断・治療をされていないのが現状です。

COPDは高血圧や糖尿病と並び、生活習慣病のひとつであると言われておりますが、診断・治療を受けていない人が多い生活習慣病、「取り残された生活習慣病」であるとも言われています。

「同世代と比べて歩けなくなってきた」「日常生活で少し歩くと息切れがする」といった症状を自覚した場合はCOPDである可能性が高いため、すぐに医療機関に受診するようにしましょう。

COPDについて詳しく知りたい人は、「肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ」を一読してみてください。

 

2.COPD(肺気腫)での5つの生活習慣対策

COPDのガイドラインでは、禁煙・ワクチン接種・全身状態管理をベースに、患者教育・運動療法・食事療法などのリハビリ、さらには薬物療法を指示しています。

まずは2014年度のCOPDのガイドラインをみてみましょう。

copdの治療ガイドライン

ピラミッド状になっており、症状が悪ければ悪いほど上の治療を行うようになります。治療薬が目に行きがちですが、ピンクで記されている治療が土台(基本)になります。

COPDと診断されたら、禁煙が最も重要な治療の軸になります。その他、ワクチン接種や全身状態の評価は必須です。これを踏まえたうえで、呼吸リハビリテーションを行っていきます。

病気というと薬となりがちですが、COPDは長く付き合っていく病気です。ここでは、薬以外の治療について深くみていきましょう。

 

①禁煙

COPDと診断されたら、まず第一に禁煙を始める必要があります。

「COPD=喫煙による病気」といっても過言ではありません。病気が治らないならといってタバコを吸い続けると、さらに病状が加速してしまいます。少し動いただけで息苦しさを感じるようになってしまうと、その時点で病院を受診しても時すでに遅しとなることが多い病気なのです。

そうなる前に、即刻禁煙することが大切です。ここで大切なことは、減煙ではなく禁煙することです。

タバコの種類をかえて軽いものにしたり、タバコの本数を減らしてみる方が多いですが、減煙は、基本うまくいきません。自分が量を少なくしても、喫煙所にいけば周りから副流煙を吸ってしまいます。

たとえ減煙しても、タバコを根元まで吸ったり、肺の奥まで煙をいきわたせたりしてしまいます。本数を減らしても1本あたりじっくり長く吸うようになるため、実は肺に入る煙の量は本数を減らす前と変わらないというデータもあります。

このように完全禁煙できずにだらだらと理由を付けて吸ってしまうと、いつまでもやめれないことが多いです。COPDといわれた時点で、スパッとタバコとは縁を切るようにしましょう。

さらにいざ禁煙しようとしてもニコチン中毒が出現する人がいます。ニコチン中毒の症状は、タバコをやめたことで、

など症状が出てくることです。20本以上タバコを吸っている人は、ほぼ必発でこの症状が出現します。そのため、自分の力だけではどうしてもやめることができない人も多いです。

そうした人は、禁煙外来に通うことがもっとも確実です。禁煙外来では、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用するチャンピックス(一般名:バレニクリン)を投与することで、ニコチン離脱症状をコントロールしながら禁煙を目指していきます。

COPDの喫煙について詳しく知りたい人は「COPD(肺気腫)と診断されても遅くない!禁煙の方法とは?」をお読みください。

 

②ワクチン接種

ワクチン接種をして、病気から予防することが重要です。

COPDでは息が思いっきり吐けないため、ばい菌の温床になりやすいです。COPDはこういった感染をきっかけにして、増悪しやすい病気です。ばい菌にかからないように、うがい手洗い含めて感染予防が重要になります。ただし、うがい手洗いだけでは病気はなかなか防げません。

そのため現在は、感染すると重症化しやすい病気に対してワクチンを接種することができます。その代表格がインフルエンザワクチンになります。インフルエンザワクチンをうつことで、COPDの増悪を50%防ぐことができるとされています。

また、肺炎球菌ワクチン接種も重要です。肺炎球菌は肺炎の中でも、特に重症化しやすい菌として有名です。COPDの方が感染すると命にかかわる疾患です。

肺炎球菌ワクチンは、2014年から高齢者(65歳以上の方)の定期摂取の対象となりました。65歳・70歳・75歳と5の倍数の方は、無料でワクチン接種ができます。さらに初回接種から5 年以上経過した場合に、医師の判断による再接種が可能となりました。

一方でCOPDの方は、年齢に関係なく肺炎球菌ワクチンの投与が推奨されています。65歳になってから…といわずに、COPDと診断されたら必ず肺炎球菌ワクチンを受けましょう。

またワクチンは打ったからといって、100%効果が保証されるものではありません。ワクチンについて詳しく知りたい方は、「インフルエンザ予防接種の効果と限界・誤解とは?」を確認してみてください。

 

③健康診断

COPDは、肺の炎症を契機に全身に炎症がひろがる病気と考えられてます。肺以外に異常がないか精査することが大切です。

タバコを吸ったら呼吸器の症状が出る…ここまではある程度予想できるかと思います。しかし最近になって、肺気腫は肺の炎症を契機に、全身に広がる病気だと考えられてきてます。

肺での炎症がすぐに沈静化できれば良いのですが、肺が燃えてる状態でタバコという燃化物を投与し続けると、肺で収まらず全身に炎症がひろがります。炎症物質を測定してみると、COPDの人では高値になることが研究で報告されています。

炎症反応が高いことで、

  1. 骨粗しょう症
  2. 骨格や筋障害
  3. 心臓や血管障害
  4. 腹部の消化管障害
  5. 代謝障害
  6. メンタルの障害

など、様々な障害が出現します。またタバコを吸う人はお酒を飲む方も多いでしょうし、息が苦しかったり痰がでるなどによって、無自覚のうちに動かなくなって体が弱ってる可能性があります。

そのためCOPDと診断された方は、他にも病気がないか確認する必要があります。そして糖尿病や高血圧と診断された方の中にも、COPDが隠れていることも多々あります。

最近では、COPDも生活習慣病のひとつと考えられています。COPDと診断された方は、他にも病気がないかを確認してみましょう。

 

④栄養指導

COPDの重症度の方は、非常に痩せている場合が多いです。一方で軽症者の方は、肥満の方が多いのが特徴です。それぞれの方にあった食事療法を選ぶ必要があります。

COPD患者さんは、重症化すればするほど栄養状態が悪くなり、痩せている人が多いです。実際重症化したCOPDの方は、半分が痩せているというデータもあります。

患者さんの体重減少は予後を悪化させるため、BMI 指数が21 未満の場合には栄養指導を積極的に実施します。摂食量を増やすには、ある程度のカロリーを含む食べやすいものを多くストックして置き、摂食回数を多くすると効果的です。サプリメントを使用する場合は、その影響によって摂食量が減らないように指導する必要があります。

一方で軽症のCOPDの方は病気への理解が乏しいことが多く、タバコさえやめればいいと考えがちです。タバコをやめる反動で、お酒や食事が暴飲暴食気味になることも多いです。こういった生活を繰り返すことで、肥満者が多いのもCOPDの特徴です。

肥満者の場合には、COPD に閉塞性睡眠時無呼吸症候群が併存していることがあります。この場合、適正な体重になるようダイエットを指導していく必要があります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、肥満によって喉の周囲に脂肪がつき、横になって寝ている時に気道を閉塞してしまう病気です。気道が閉塞することで、無呼吸やいびきをかくことになります。

COPD に閉塞性睡眠時無呼吸症候群が併存した場合には、夜間の低酸素の時間が長く、また、酸素飽和度低下の幅が大きくなる危険性があります。

さらにお酒や食事量が増えることで、糖尿病やアルコール性肝炎が合併することもあります。これらの病気も、一度発症するとコントロールが難しくなります。

タバコをやめることは大前提ですが、その代わりにお酒や食事量を増やしてよいというわけではありません。あれもこれもだめといわれて嫌になる人もいるかもしれませんが、全てはあなたの健康のためです。医師は病気で末期になった多くの患者さんを診ています。医療も発達しているとはいえ、限界がどうしてもあります。

COPDに様々な病気が合併してしまうと、コントロールがつかなくなってしまいます。そうなった場合は、苦しみながら生活することになってしまいます。そうなる前に、きちんとした食事療法を心がけましょう。

 

⑤運動療法

COPDの方は、動くと苦しいということで無意識のうちに動かなくなります。しかし苦しいから動かないでいると筋力が落ちてしまい、もっと動くと苦しくなる悪循環に陥ります。

COPDの症状として、痰・咳・動いたときの息切れがあります。これらは急に起きるのではなく、慢性的にじわじわと進行するため気づきにくい症状です。しかしながら動くと苦しいということで、無意識のうちに階段や坂道を避ける人が多いです。

軽症の COPD 患者さんでしっかり日常生活が送れている場合は、負荷強度が少し高い程度の運動を継続します。

たとえば、日常的な歩行だけでは不十分であるため、少し汗ばむ程度の運動を週に2~3回行うようにします。上肢の運動トレーニングには、息切れを改善する効果があることが知られています。

ただし強度が強いといっても、例えばウォーキング程度で、ジョギングは心臓死のリスクが高いために推奨されません。COPDの運動療法では、原則的に負荷強度の比較的低い運動を複数回行うと安全です。

苦しいのに無理をして運動していると、低酸素血症になってしまうことがあります。高齢者やCOPDが進行している方は、6分間歩行試験を行ってみることをお勧めしています。これは、6分間歩きながら体の酸素量が下がらないかどうかをみる検査です。低酸素の状態に慣れてしまっていて、苦しいと感じない人も少なくありません。

酸素が少ない状態で無理に運動すると、運動により心臓発作や低酸素脳症などで命にかかわることもあります。運動しなければいけないのですが、同時に酸素が足りているか確認する必要があるのがCOPDです。

同時に労作時の息切れを軽減するためには、呼吸法を指導することが大切です。呼吸法には、口すぼめ呼吸(pursed-lip breathing: PLB)と横隔膜呼吸法があります。

従来、腹式呼吸として臥位で行う呼吸法が推奨されていましたが、現在では少しずつ身体活動度を少しずつ高めるようにしていくのが推奨されています。つまり、臥位で習得したら座位で行い、これが習得できたら次には立った状態、次は歩行しながら、というようにステップアップしていきます。

呼吸法は、日常生活での息切れ、特に長い階段を上ったり重い荷物を持って歩くときなどに生じる息切れを改善していくことに主眼を置きます。口すぼめ呼吸は、習得することによって歩行時に測定する酸素飽和度も改善していく効果があります。

患者さんに指導する場合は、「口笛を吹くようにして、約30cm離してかざした自分の手のひらに風が感じられるように呼吸する」とお伝えしています。吐く息の時間を長くすることにより、末梢気道の閉塞を避ける効果が得られます。 

また、歩行はなるべく一定のリズムで行い、その際の呼吸は「吸って・吐いて・吐いて、吸って・吐いて・吐いて」といったように、「吐いて」を多くしていきます。

なかなか言葉だけで呼吸法を習得するのは難しいかもしれません。日常生活を送るのが大変な人は、ぜひリハビリ科でしっかりと呼吸のためのリハビリを検討してみましょう。

 

3.COPD(肺気腫)と診断された場合の薬物療法

COPDに対して、第一選択肢は抗コリン薬か長期作用型のβ2刺激薬となっています。

COPDは、タバコで気管支が狭まってしまった病気です。そのため治療としては、気管支を拡げるお薬を吸うことが第一選択肢となります。具体的には、現在2種類のお薬が第一選択肢となっています。

どちらを先に選ぶかは、専門家の中でも意見が分かれるところです。

しかし共通して言えるのは、

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者

この2つの病気がある人には、抗コリン薬であるスピリーバは使えないということです。この場合は、長期作用型のβ2刺激薬を使っていきます。

一方で病院を受診するくらい症状が強いのであれば、どちらか単剤ではコントロールが難しいことも多いです。COPDは、タバコで肺がボロボロになってしまった病気です。肺がボロボロになることで気管支が狭まり、息が思いっきり吐けなくなります。こうなると痰も詰まりやすく、かなり苦しい症状が出現します。

こういった流れを受けて、現在ではスピオルト、アノーロ、ウルティブロなど抗コリン薬とβ2刺激薬の合剤が発売されています。

ここで大切なのは、抗コリンとβ2刺激薬以上のお薬がほとんどないことです。症状を繰り返す場合に限り、アドエアシムビコートといったβ2刺激薬にステロイドを上乗せする治療が検討されますが、ステロイドは炎症を抑える代わりに免疫力が落ちるといった弱点があります。

このため、薬による治療には限界があるのです。ですから薬を処方する場合は、禁煙したうえでが基本になります。これらの薬を使っても、喫煙してたのでは全く意味がありません。薬物療法を最後にお伝えしたのは、COPDは薬に頼る病気ではなく、日常生活を改善することが大切になるからです。

COPDの治療の柱の一つに、患者教育があります。これは患者さんにCOPDの病状を知ってもらって、自分の意志で治療に臨んでもらうためです。ここのページを最後まで読まれた方に、少しでも知識として得られたものがあったなら幸いです。

ただし知識として持ってることが大切ではなく、実践するまでが大切になります。COPDと診断されたら、ぜひ日常生活を見直してみてください。

 

まとめ