COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断に必要な検査とは?

アイコン 2016.6.23 COPD(肺気腫)

COPDは、タバコで肺がボロボロになってしまったことによる病気です。タバコを長期吸っていた方は、ほぼ全員COPDといっても過言ではないと思います。

しかしCOPDの診断基準は、「タバコを長年吸ってる人」というわけではありません。COPDの診断は、呼吸機能検査をしてどれくらい息が思いっきり吐けるのかを確認します。

この検査で1秒間で吐ける量をみることによって、重症度も診断していきます。しかしながら、吐ける息の量が多くても症状が強い人もいます。吐ける息の量が少なくても症状が軽い人もいます。検査と症状が一致しない人もいるので、注意が必要です。

またタバコを吸っている人は、COPDに限らず多くの肺の病気にかかりやすいです。そのため、タバコを吸ってる人=COPDしか考えないのは非常に危険です。最低限、胸のレントゲン写真で異常がないか確認する必要があります。

また胸部CT撮影で肺に穴ぼこがあることが分かってから、COPDが疑われることもしばしばあります。

ここでは、COPDの診断基準及び、診断に必要な検査についてまとめてみましょう。

 

1.COPD(慢性閉塞性肺疾患)とはどんな病気か

COPDは、たばこ煙を主とする有毒物質を長期間吸入することによって生じる肺の炎症による病気です。

COPDは、以前は肺気腫と慢性気管支炎に分けて呼ばれていました。しかしながら多くの患者さんではこの2つの病気は併せもっていて、肺胞‐末梢気道‐中枢気道におよぶひとつの病気としてCOPDとまとめられるようになりました。

 

肺気腫と気管支炎

COPDの原因の約90%は喫煙です。主な症状は、慢性の咳や痰と労作性の息切れです。これらの症状がゆっくりと進行していき、重症になってはじめて典型的な身体所見が現れてくることが多いため、早期に気づきにくいことが特徴です。

咳や痰があったら何となく慢性気管支炎や肺気腫という病名がつけられて、痰きりや咳止めで様子見られた方も多かったです。しかしCOPDというタバコでおこる病気があるということが呼吸器内科以外でもしられるようになり、診断が徐々にされるようになりました。

COPDの正式名称は、chronic obstructive pulmoary diseaseといいます。日本語では慢性閉塞性肺疾患と訳します。日本語で書かれてもなかなかピンと来ないですよね。これはタバコで気管支が狭まって、慢性的に閉塞してしまう肺の病気になります。

タバコの煙は口から吸ったら喉を通り、気道から狭い気管支の隅々まで煙が行き渡ります。つまり、気管支の中枢から末梢まで、肺の全てをタバコの煙で傷つけてしまうのです。そしてタバコの煙で色々傷つけられた結果、息が思いっきり吐けなくなってしまいます。その理由としては、

  1. 気道が痛めつけられて固くなってしまいます。
  2. 肺の末梢が痛めつけられて弾力がなくなってしまいます。
  3. 気道がもろくなって簡単に潰れてしまいます。
  4. 痰が貯留にて気道が狭くなります。
  5. 気道がタバコで太く変化します。
  6. 肺が穴ぼこだらけで息を吐くときに力が伝わりづらくなります。

このような理由で肺の中心から末梢までタバコでズタボロになった結果、息が思い切りはけなくなるといわれています。そしてこのように変化してしまうと、タバコをやめても一部しか良くならないといわれています。

つまり、一度COPDにかかってしまうと完治は難しく、急激な進行を止めるしかないのです。それでは続けて、COPDの診断方法についてみていきましょう。

 

2.COPDの診断に必要な検査①-胸部レントゲン写真

肺気腫の診断というよりは、他に病気がないか診断するための検査です。

タバコを吸う人はCOPDになりやすいと同時に、他の呼吸器の疾患にもかかりやすいです。さらにずっと咳や痰が続くという症状は、多くの呼吸器疾患で診られます。

つまり、タバコを吸ってる人で長期間咳や痰が出る人は、COPDだけでなくて他の病気の可能性もあるのです。一番分かりやすい検査が胸部レントゲン写真です。画像をとってみて、胸に何かあれば他の病気を疑うことができます。COPDで見分ける必要がある病気をあげてみましょう。

このように多岐にわたりますが、レントゲンを撮ればほぼ分かります。特にこれらの病気は、重症になればなるほど画像が派手になる病気です。

胸部レントゲンを撮らずにCOPDとして治療していたら、
…肺がんが進行してしまった
…結核で他の人にも移してしまった
では大変なことになります。

COPDを疑った場合は、まず胸部レントゲンで他の病気を否定することが最優先です。COPDと診断することは大切ですが、急いで診断することはありません。

胸部レントゲン写真では、COPDの所見は何かないのでしょうか?COPDでは肺が穴ぼこだらけになるので、その結果として肺が膨らみます。イメージとしては下の様な図になります。

肺か膨張の写真

このようになるため、

  1. 穴ぼこだらけになるため、レントゲンでは透過性が亢進します
  2. 肺が膨らむことで、横隔膜が押されて平らになります
  3. 心臓が圧迫されて窮屈な形なります(しずくの様な形から滴状心といいます)

さらにタバコを吸っている人は、気管支の末梢にタールなどがつまる所見がレントゲンでも分かります。しかしこれらの所見は重症になって派手になれば分かりますが、呼吸器内科医以外ですとほとんど気が付かない、もしくはわからないことが多い所見です。

そのためレントゲン写真だけでCOPDと診断したり、除外することはできません。正常な写真とCOPDの写真を並べてみてみましょう。

COPDの胸部レントゲン

左が正常なレントゲン写真、右がCOPDの方の写真です。赤で書かれた横隔膜が健康な人よりCOPDの方の方が平らなこと、赤矢印の真ん中に示した心臓が健康な人より滴のように細くなっている写真が分かりますでしょうか。

ただしタバコを吸ってない元気な人でもこういった所見は認めるので、医師からするとレントゲン写真だけで確定するのは難しいのが現状です。

 

3.COPDの診断に必要な検査②-呼吸機能検査

COPDの診断および重症度の確認には、呼吸機能検査が必須です。呼吸機能検査は、①肺活量②1秒量の2点を確認する検査です。

肺炎や肺癌など、物理的な異常は胸部のレントゲン写真で判断します。一方で、COPDの様な炎症が起きて気道が狭まるといったミクロな異常は、レントゲン写真ではなかなか異常がみられません。

こういった機能的な異常を知るためには、呼吸機能検査という検査が行われます。呼吸検査で調べる項目は2つです。

  1. 肺のボリュームはどれくらいか?(肺活量)
  2. 息がどれくらい思いっきり吐けるか?(1秒率)

肺活量とは、どれくらい息が吸って、どれくらい息が吐けるかをみる検査です。検査内容としては、息を吸えるところまで吸って、息を吐けるところまで吐いて吐き切ります。その吸えた量と吐いた量をみる検査です。

COPDは、初期の状態ではこの肺活量には影響が少ないといわれています。しかし進行し肺が穴ぼこだらけになると、肺の機能をはたさない部分が大きくなり、結果として肺活量が低下します。

一方で一秒量は、一秒間にどれくらい息が吐けるかをみます。ロウソクの火を思いっきり消すように、息を全力でフーー!!と吐くのです。

1秒間で吐けた量/全部の吐けた量で計算します。この検査で70%以下であると、閉塞性障害となります。これをもって、COPDと診断することができます。

COPDと診断したら、次はどれくらい悪いのかをみていきます。1秒間で吐けた量が、正常の人と比較して何%かをみていきます。これによって、COPDを病期に分けて分類していきます。

と分類できます。

COPDⅣ期になると、ほとんどの人は動くのも苦しくて酸素が必須になることが多いです。一方でCOPD の重症度は、日常生活における息切れの強さや呼吸機能検査値のみでは判断できないことも多いです。

重症度に応じた適切な薬物治療を行っているにもかかわらず、1秒間で思いっきり吐く量の急速な低下を認める場合や、急に悪化して入退院を繰りかえす場合があります。

急速に1 秒量が低下していく患者さんもいるので、COPD の重症度は多面的、総合的に評価する必要にあります。

また気道に閉塞がある病気は他にもあります。特に鑑別が難しいのが、喘息です。COPDと喘息のどちらかを見分けるのは難しく、両方の疾患が合併していることもあります。

結論としては、呼吸機能検査はCOPDの診断において必須の検査ですが、これだけで評価するのは難しい病気と認識してください。

 

4.COPDの診断で必要な検査③-CT検査

胸部CTでは、肺の穴ぼこが実際に見えることがあり、そこから疑われることが多いです。

胸部CTは、体を輪切りに切って体の内面を調べる検査です。レントゲンは影絵なので、実は大まかな異常しか分かりません。しかし胸部CTで撮影すると、数mm単位の異常も確認できます。

そのため、胸部レントゲンではわからなかった穴ぼこが胸部CTだとよくわかります。このような穴ぼこを、我々医師は「気腫」と呼びます。実際の写真を並べてみてみましょう。

COPD胸部CT

左の健康な人の肺に比べて、右のCOPDの胸部CTの写真では真っ黒に抜け落ちたのがわかるでしょうか?このように肺は穴ぼこだらけになってしまうのです。

この胸部CTは、入院できるような大きな病院でしか検査できません。そのため必要な検査とは言い過ぎかもしれません。ただしCOPDの人の肺炎などが悪化した場合は、胸部CTを撮影しないとわからないことがしばしばあります。肺の実質臓器が右の写真のように穴ぼこで置き換えられているため、実質臓器で起きている肺炎像がレントゲンでは分からないからです。

そのため、レントゲン写真ではっきりしない状態で胸部CTで撮影したら、肺炎像とともにCOPDが見つかったとなるのです。

一方で最初に説明したように、気管支の炎症が原因で痰やむくみが中心の肺気腫になることもあります。つまりCTで肺の穴ぼこが見つからないからといって、COPDは否定的なわけではないことに注意しましょう。

 

まとめ

ここであげた検査以外にも状況によっていろいろな検査をCOPDでは行います。呼吸状態が悪いと、心臓が頑張りすぎてしまい疲れだすことがあります(心不全)。そういった時は、心エコーや心電図で評価します。

COPDが重篤になって酸素量が足りなくなった場合は、採血で体の酸素量を確認することもあります。

他にもCOPDの肺で起きた炎症が全身に広がって症状を引き起こすことがあります。詳しく知りたい方は「肺気腫(COPD)の症状にはどのようなものがあるか」を確認してみてください。それぞれの症状に応じて、検査をする必要が出てきます。

このようにCOPDと診断するため、さらには診断された場合に行われる検査は多岐にわたります。