COPD(肺気腫)の治療の流れとは?薬物治療とその他の治療

アイコン 2016.10.24 COPD(肺気腫)
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COPD(肺気腫)はタバコを吸い続けたことで肺が穴ぼこだらけになる病気です。肺が傷つくことで気管支が狭まり息が思いっきり吸ったり吐けなくなります。

タバコを吸ってたら、当たり前だと思ってた咳や痰も徐々に辛くなってくるでしょう。多くの方は、症状をひどくなってから何とかしたくなって受診されるかと思います。

COPDの第一選択薬は、長時間作用型の抗コリン薬もしくはβ2刺激薬となります。ですが残念ながら、COPDはお薬を吸入したからといって、肺の穴ぼこが治るわけではありません。お薬はあくまでも気管支を広げることで、一時的に症状を緩和したり、症状が悪化するのを防ぐ役割が主です。

ここではそのことを理解していただいたうえで、COPDにどのような薬物治療があるのか確認していきましょう。そしてお薬以外にどのようなことができるのか、お伝えしていきます。

 

1.COPD(肺気腫)とはどんな病気なの?

タバコで肺が傷つけられた結果、気管支が狭くなる病気です。一度発症すると、タバコをやめても二度ともとには戻らないのが特徴的です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、別名「タバコ病」と言われており、発症する原因の80%がタバコであると言われております。(ご職業や生活習慣、環境によってはタバコを吸っていなくても発症される方もいます)

英語名の「Chronic  Obstructive  Pulmonary  Disease」の頭文字を取って、COPDと呼ばれております。

COPDの病態を理解するためにも下の図を参照してみてください。

COPDの病理画像

 

COPD(肺気腫)の患者さんでは、肺の壁がボロボロになってしまっています。このため、すぐに気管支がつぶれてしまって、息の通り道が狭くなってしまいます。これによって息が思いっきり吐けなくなってしまいます。

さらに慢性的に炎症があるため、咳や痰が止まらなくなってしまいます。とくに痰は気管支に張り付いてしまい、ただでさえつぶれやすい気管支が狭まってしまって、さらに苦しくなってしまいます。

これがCOPDの病態です。進行していくと、少しでも動くと息が苦しくなってしまいます。COPDの難しいところは、一度肺や気管支が壊れてしまうと二度ともとに戻りません。そのため、「COPD=治すことができない病気」となります。

さらに、COPDを治療せず放っておいてしまうと重症化してしまい、日常の生活ですら苦しくて動けないといった症状が観察されてしまいますので、早期の発見・治療が必要になります。「自分で呼吸ができなくなる」といった最終段階までいってしまうと、常に酸素用の機材を持ち歩き、鼻にチューブをつけたまま生活をすることになってしまいます。

現在の日本において、40歳以上の日本人の8.6%、約530万人がCOPDであるといわれております。しかしながら実際に治療に至っているのは約22万人と非常に少なく、多くの患者さんが診断・治療をされていないのが現状です。

COPDは高血圧や糖尿病と並び、生活習慣病のひとつであると言われておりますが、診断・治療を受けていない人が多い生活習慣病、「取り残された生活習慣病」であるとも言われています。

「同世代と比べて歩けなくなってきた」「日常生活で少し歩くと息切れがする」といった症状を自覚した場合はCOPDである可能性が高いため、すぐに医療機関に受診するようにしましょう。

COPDについて詳しく知りたい人は、「肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ」を一読してみてください。

 

2.COPD治療では、禁煙がなにより大切!

COPDは、禁煙が最大の治療です。薬は一過性の効果しかありません。

ここのページをご覧になっている方は、COPDを薬で何とか治したいと思っている人が大半かと思います。だからこそあえて、先に耳の痛いことからお伝えしていきたいと思います。

病院でCOPDと診断された方の大部分は、症状が出てから受診された方になります。「薬で何とかしてほしい」と思う方が多いですが、「まず禁煙してくれないとよくならない」というのが正直なところです。

タバコを吸いながら薬で治療して良くしようというのは、とても甘い考えになります。COPDをよくしていくためには、禁煙が非常に大切です。お薬だけではよくすることができません。そのことを踏まえて、この先の薬物療法をご覧になってください。

「症状はとりたい。でもタバコは辞めたくない。」

といったことを言われてしまうと、医師としても非常に辛いところです。COPDは残念ながら、禁煙しても病気は治りません。ただし、症状の進行を緩徐にすることはできます。

逆にいえば、「もう苦しくて、苦しくて助けてほしい。」といった重篤な状態までCOPDが進行してしまっても、症状を完全に取り除くことはできません。

さらに言えば、治療薬もあまり数が多くありません。薬物療法を受けながらタバコを吸い続けて症状が悪化し薬物追加を期待をしても、期待には応えることができないのが現状です。そのためCOPDと診断されたら、薬物に頼る前にまずは即刻禁煙をしましょう。

禁煙について詳しく知りたい方は、「COPD(肺気腫)と診断されても遅くない!禁煙の方法とは?」を一読してみてください。

さらにCOPDは喫煙以外にも気を付けることが多々あります。禁煙以外で気を付けることを知りたい方は、「COPD(肺気腫)は日常生活が重要!COPDの進行予防と治療法」を一読してみてください。

この先の薬物療法に関しては、禁煙をできた方が進むべき治療になります。

 

3.COPD(肺気腫)の薬物治療の第一選択肢について

長期作用時間型の抗コリン薬かβ2刺激薬の吸入薬が第一選択肢となっています。

下の図は、2014年のCOPDのガイドラインになっています。

copdの治療ガイドライン

このようにピラミッドになっていて、悪くなればなるほど上の治療を追加で足していくという表になっております。薬の第一選択肢は、

  1. 長時間作用型の抗コリン薬
  2. 長期作用型のβ2刺激薬

の2つの気管支拡張薬となっています。どちらを先に選ぶかは、専門家の中でも意見が分かれるところです。しかし共通して言えるのは、

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者

この2つの病気がある人には抗コリン薬は使用できません。抗コリン薬で病状が悪化する可能性があるためです。

緑内障は閉塞隅角のパターンのみ禁忌ですが、ご自身が緑内障のどのパターンか認識している人は少ないです。緑内障が悪化すると失明につながることから、一般的には緑内障の方には抗コリン薬は使用しないことが多いです。

また前立腺肥大は、高齢男性の多くに認められる疾患です。病院で診断されていなくても、

などの症状が高齢の男性にあれば前立腺肥大の可能性があるため、β2刺激薬を優先させることが多いです。

それぞれの作用機序についてみていきましょう。交感神経が活発になると、空気を取り入れるために気管支を拡張させます。この交感神経を活発化させるのが「β2刺激薬」になります。

この反対の作用をする副交感神経が働けば、気管支は収縮します。つまり、気道が狭くなっていきます。この副交感神経の働きを邪魔するのが「抗コリン薬」になります。

このように別々の作用機序ですが、COPDで気管支が狭まった病態を広げることで症状を緩和する作用があるお薬です。ですから抗コリン薬・β2刺激薬ともに、穴ぼこだらけになった肺を治す効果はありません。気管支を広げることで、

などの改善を目指す治療です。

また、薬を吸入した直後に咳や痰が減って、息苦しさがなくなったと実感できる人は少ないです。毎日吸うことで徐々に症状の緩和が実感できます。1~2回吸入して良くならないといって、治療を自己中断しないようにしましょう。これらを踏まえたうえで、それぞれの吸入薬の効果について確認していきます。

 

〇抗コリン薬

COPDに対して使用できる長期作用型の抗コリン薬は、2016年の時点では5種類です。

の5種類が長期作用抗コリン型として使用されています。この5つの中でどれが最も優れているといったデータはありません。そのため、それぞれの特徴を踏まえて患者さん自身が一番使用しやすいお薬を使っていきます。

それぞれの特徴をみていきましょう。

 

①スピリーバレスピマット

<向いてる人>

スピリーバレスピマットは抗コリン薬で、現時点では唯一のスプレー式の吸入薬になります。スプレー式のお薬は、吸入力が低下しても吸入することができるお薬です。ただしスプレーを噴霧するタイミングと、吸うタイミングを合わせる必要があります。

COPDは上記したように、タバコで肺がダメージを受け、気管支が狭くなることで吸入力が低下する病気です。さらにCOPDは、治る病気ではありません。年を取るにつれて吸入力が低下していく病気です。そのため吸入力が必要になるドライパウダーでは、

などの問題が生じます。このことから高齢者では、スピリーバレスピマットが第一選択肢になることが多いです。現時点でも最も多く処方されているのが、このスピリーバレスピマットです。COPD=スピリーバレスピマットと考えている医師も多いでしょう。

さらにこのスピリーバレスピマットは、重症喘息に対しても適応が2015年に通りました。喘息への適応に関しては、スピリーバレスピマットが唯一になります。詳しく喘息でのスピリーバレスピマットの効果について知りたい方は、スピリーバの喘息での効果とは?を一読してみてください。

 

②スピリーバハンディヘラー

<向いてる人>

長期作用型の抗コリン薬は、2004年に初めてベーリンガーよりスピリーバハンディヘラーが発売されました。スピリーバが登場する前の抗コリン薬(アトロベント、テルシガン)などは短期作用型の抗コリン薬であったため、1日の吸入回数が3~4回に及びました。

このスピリーバハンディヘラーにより、多くのCOPDの方の症状が緩和されています。スピリーバのハンディヘラーは、ドライパウダー式のお薬です。カプセルをセットした後吸入することで、効果を発揮します。ドライパウダーは自分のタイミングで吸えるメリットがありますが、吸入力がないと吸えないデメリットがあります。

現在は、スプレー式のスピリーバレスピマットの方が主流になっています。特にCOPDは、年を取るにつれて吸入力が低下していく病気です。そのため、どうしてもハンディヘラーの粉薬が吸いづらくなってくる人が出てきてしまいます。

さらにドライパウダーのお薬は、下記に書くお薬が多数発売されています。最も古いお薬と言うことは、どうしても他の新しいお薬よりも劣ってしまうことが多いです。(新しいお薬の方が劣っていたら、そもそも発売されません。)

ただしスピリーバハンディヘラーは、効果に関しては他の抗コリン薬と比較しても決して劣ってはいません。そのため、スピリーバハンディヘラーで長年治療されていてコントロールが良好な方は、あえて他のお薬に変更する必要はありません。

 

③シーブリ

<向いてる人>

ドライパウダーであるシーブリは、若年者に向いているお薬です。特にシーブリは効果発現が早いと言われていますので、午前中に働く方には良いお薬といえます。

ただしこの際、カプセルを毎回セットするのがめんどくさいと感じないことが必須条件になります。シーブリは、毎日吸入するお薬です。そのため些細な事でもめんどくさいと感じてしまうと、長続きできないので注意しましょう。ただし、このカプセルを毎回セットするメリットもあります。

シーブリはカプセルを毎回出すのですが、その際にカプセル内に粉が残ってないか目で見ることができます。そしてカプセルを毎回セットする代わりに、デバイスが小さいです。そのため、コンパクトな方が持ち歩きやすいという人はお勧めです。

 

④エンクラッセ

<向いてる人>

エンクラッセの一番の特徴は、1日1回の1吸入で治療ができる点です。他の抗コリン薬は、

などの点がありました。一方でエンクラッセは、吸入回数分のお薬がエリプタという吸入器に充填されています。1回吸入すれば1日分の治療ができるため、非常に簡便です。

ただし、エンクラッセもドライパウダーなため、吸入力がない人は適応になりません。

 

⑤エクリラ

<向いている人>

エクリラは2015年に発売されたばかりですので、この後どのような位置づけになるかが注目されています。

エクリラの一番の特徴は、ジェヌエアという新しい吸入器になります。

これらは、従来の吸入薬でよく起こるミスを減らすために生まれたものです。そしてこれらのミスが起こりやすいのは、高齢者になります。

COPDは、残念ながら治すことができない病気です。そのため、長期間毎日お薬を吸うことが必要になります。せっかく毎日吸ってたのにうまく吸えてなかったのでは、吸ってないと同じ事になってしまいます。

そのため高齢者で、

といった方はエクリラの方が良いと思います。一方でエクリラの弱点は、1日2回吸入することです。他のお薬は朝に1回吸えばよいのに対して、エクリラは朝と夕方2回吸うことが必要になるので注意が必要です。

 

〇β2刺激薬

COPDに対して使用できるβ2刺激薬の吸入薬は、

の2種類です。(セレベントはスピリーバとの直接対決で敗れているため、現在はほとんどCOPDに対して使用されません。詳しく知りたい方は、「スピリーバのCOPD(肺気腫)での効果とは?」を一読してみてください。)

さらにβ2刺激薬は、吸入が上手くできない人に対して、

の代打薬があります。こういった背景から、吸入薬が以下のような理由で吸えない場合に使われます。

ただしガイドラインでも、吸入薬の方が、貼ったり内服したりよりも効果が高く、副作用が少ないと明記されています。そのため、吸入薬がめんどくさいからホクナリンテープで様子をみるということはできません。ちなみに抗コリン薬は、全身の副作用を考慮して吸入薬しかありません。

そのためここでは、β2刺激薬の吸入薬を中心に比べてみます。

 

①オンブレス

<向いてる人>

β2刺激薬と言えばオンブレス、という方も多いと思います。2009年にβ2刺激薬(セレベント)VS抗コリン薬(スピリーバ)の効果を比較した対決でβ2刺激薬が負けてしまってから、一時期COPDの第一選択肢は抗コリン薬、第二選択肢はβ2刺激薬といった序列がついてしまいました。

その序列をまた同列にしたのが、オンブレス対スピリーバで比較した2013年のLANCETの論文です。これによってオンブレスがスピリーバと同等の効果であると示したことから、現在では再びβ2刺激薬と抗コリン薬は同列となっています。

特に抗コリン薬が、

に対して使用が制限されるのに対して、β2刺激薬は絶対に使ってはいけない症例はありません。そのため上記の疾患がある人を中心に、オンブレスは幅広く処方されています。オンブレスの良い所は、1日1回の吸入で治療ができる点です。

ただしオンブレスは、粉の刺激でむせこみやすくなる欠点があるので注意が必要です。

 

②オーキシス

<向いてる人>

オーキシスは、1日2回朝と夕吸入することで効果を発揮するお薬です。そのため現在は、1日1回で済むオンブレスの方が主流です。しかしオンブレスと比較して、効果が劣っているわけでは決してありません。

さらにオーキシスの良い点としては、

といって利点があります。そのため実臨床では、オンブレスが使いづらいと感じた人の多くがオーキシスに変更することが多いです。

 

4.初期治療で改善がなかった場合の第二選択肢は?

β2刺激薬と抗コリン薬の両方で治療します。

先ほど示したガイドラインですが、ピラミッド状の形でやや分かりづらいかもしれません。これは最初の山の治療で上手くいかなかったら、次の山の治療を足していくということになります。

次の山は、β2刺激薬と抗コリン薬の両方を使用するように指示されています。特にCOPDは、一度発症するともう二度ともとに戻らない病気です。抗コリン薬とβ2刺激薬、どちらのお薬も効果は同じくらいなのですが、症状が軽度改善される程度で完治まではいきません。

そのため、単体の薬では症状が取れないことも多いです。病院を受診するくらい症状が強いのであれば、最初から両方を出し惜しみなく治療した方が良いことが多いです。片方で治療していて呼吸状態が悪化してからもう一つを加えても、COPDは治ることはないからです。

こうした現状を受け、抗コリン薬にβ2刺激薬である合剤が3種類登場しています。

となっています。発売日を見て欲しいのですが、どれも新しいお薬です。特徴として簡単にまとめると、

となっています。それぞれの細かい違いについてみていきましょう。

 

①ウルティブロ

<向いてる人>

COPDの治療薬は、毎日吸うことで効果を発揮するお薬です。ウルティブロも、1日1回吸入することで効果を発揮します。そのため、最も吸いやすいお薬で治療するのがベストです。特にウルティブロは、抗コリン薬であるシーブリ、β2刺激薬であるオンブレスを吸入している人は同じブリーズヘラーですので、使いやすいと思います。

ただしシーブリ・オンブレスと同じ吸入器ですので、

といったデメリットがあるので注意しましょう。

 

②アノーロ

<向いてる人>

ドライパウダー式が希望であれば、ウルティブロかアノーロが適応になります。この中でウルティブロの様なカプセルを毎回セットするのが嫌な人は、アノーロの方が良いかもしれません。

また、抗コリン薬であるエンクラッセを使用している方も、アノーロは良い適応です。同じエリプタを使用していたため、使い方を新たに覚える必要がないからです。

エリプタの吸入器は他にも、レルベアといったβ2刺激薬と吸入ステロイドの合剤にも使用されています。

 

③スピオルト

<向いてる人>

スピオルトは、唯一の合剤のスプレー式の吸入薬となっています。スプレー式の良い点は、吸入力が弱くても吸入できる点です。特にCOPDは、吸入力が年を取るにつれて弱くなります。そのため、高齢者=スプレー式を最初から処方するケースも多いです。

また、スピリーバと吸入方法が同じのため、スピリーバで治療困難な人はスピオルトが使用しやすいお薬となっています。

 

5.β2刺激薬と抗コリン薬の両方でコントロール不良な場合は?

テオフィリンや吸入ステロイドを検討しますが、効果は限定的です。

現時点では、合剤で治療して症状の改善が悪い場合は有効な薬物療法は少ないです。

ガイドラインをみて欲しいのですが、他の治療薬として抗コリン薬とβ2刺激薬の併用の下に(テオフィリン製剤の投与)とありますが、カッコつきになっています。さらに上に目をやると、吸入ステロイドと記載されています。それぞれの治療薬についてみていきましょう。

 

①テオフィリン製剤

テオフィリン製剤としては、テオドールが有名です。

テオドールは茶葉に含まれているキサンチン誘導体を利用して、

の2つの効果が期待されています。しかし効果は、抗コリン薬とβ2刺激薬に比べるとはるかに効果が落ちるため、ガイドラインでもカッコつきとなっています。

またテオドールは、テオフィリンの血中濃度を定期的に測る必要があります。血中濃度が高いと副作用は軽度であれば嘔吐や頭痛、動悸ですが、重度になると不整脈など心臓のリズムがおかしくなったり、痙攣して意識がなくなったりしてしまいます。

そのためテオドールは、徐放剤として胃や腸に少しずつ溶け出して、いきなり血中の濃度が高くならないように工夫されています。このようにテオドールはリスクが高い割には効果が弱いため非常に使用するのにはためらう薬でもあります。

少なくともテオドールを飲んでる人は、定期的に採血をして血中濃度を確認する必要があります。

 

②吸入ステロイド

吸入ステロイド単剤での使用はなく、β2刺激薬の合剤が主流です。現時点では、

の2種類があります。違いについて知りたい方は「あなたに最適な喘息治療薬とは?アドエア・レルベア・シムビコート・フルティフォームの特徴の違い」を一読してみてください。

ここで大切なのは、すべてのCOPDの重症な患者さんに使用できるわけではありません。COPDのガイドラインでも吸入ステロイドを使用する条件として、増悪を繰り返す症例に対して検討することとなっています。

これは吸入ステロイドが、良い面もあれば悪い面もあるからです。ステロイドの効果として抗炎症作用があげられます。つまり白血球などの自分の肺を守る細胞の働きを押さえつけて、炎症を防ごうというのがステロイドです。

肺気腫の重度の人は息を吐く力が弱いため、ばい菌を外に出す力もないのです。そのため頻回にばい菌が肺にとどまってしまいます。ばい菌がとどまる度に白血球などが炎症を起こすと、穴ぼこだらけでただでさえ弱ってる肺がもっと弱ってしまいます。

ステロイドは、細かいことには目をつむることで炎症を抑えようとする治療です。しかし一方で、目をつむる代わりに防御力が下がってしまいます。

実際にアドエアの添付文章でも、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんにアドエア500ディスカスを吸入した場合、3.3%で肺炎が認められたと記載されています。

また動物実験でも、ステロイドをマウスに投与すると肺炎になりやすいという報告があります。

このため軽症の患者さんには、むしろ吸入ステロイドを投与することは勧められていません。また重症の患者さんに対しても、どれくらいのステロイドをどの期間投与すればいいのかは現在議論されているところです。

吸入ステロイドが少なくても炎症が抑えきれず、多すぎると防御力が下がってしまう…そういった中で、現在しっかりとデータがあるのが中間量の吸入ステロイドです。具体的には、

になります。実際に多くの研究でも、中間量の吸入ステロイドの量で、

がみられ、吸入ステロイドのデメリットよりもメリットが大きいことが確認されています。現在は様々な研究がされていて、

などを確認しているところです。

 

6.薬物療法で症状が改善しない場合は?

酸素療法で最終的には経過をみていくことになります。

上記のように、

  1. 抗コリン薬
  2. β2刺激薬

の両方で治療しても症状改善が選らない人は非常にコントロールが難しいです。

  1. テオフィリン
  2. 吸入ステロイド

を加えたからといって症状が改善したという症例よりも、そのまま症状が続く人が遥かに多いです。ガイドラインでは痰切り(ムコダイン・ムコソルバン)などは、

などの効果が認められており、勧められております。

一方で咳止めは、息吐けなくて体が何とか咳き込んで痰などを外に追いやろうとしているのを邪魔することになるため、積極的は推奨されていません。ただし、咳が本当に辛いという方には処方せざるとえないと個人的には感じております。

ただし注意が必要なのは、咳止めや痰切りでも症状はとれないということです。

これらの症状をいわれても、「タバコを吸っていたからしょうがない。」と諦めることしかできないのがCOPDです。最終的には酸素が足りなくなり、酸素を投与せざるを得ない人もいます。

しかしこれも、

ではなく、

にすぎません。まとめると、ガイドラインの治療をしてもよくならない方は、一生苦しい症状のまま過ごすしかないのです。医師はこのことを知っているからこそ、COPDがそこまで進行する前に「禁煙」を第一治療に掲げるのです。

 

まとめ