肺気腫(COPD)の人は風邪になりやすい?COPDの急性増悪について

アイコン 2016.11.21 COPD(肺気腫)
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COPD(肺気腫)では、肺や気管支の壁がボロボロになり、このせいで息を吐くときに途中でふさがってしまったりします。上手く息を吐ききれなくなるので、呼吸機能が落ちてしまいます。

肺や気管支がボロボロになった結果、咳や痰、息切れなどの症状があります。さらに肺がボロボロのため防御力も低く、これらの症状が頻回に悪化するのがCOPDの特徴です。

そのためCOPDの人は、風邪などの症状をひきやすいです。これらのCOPDの症状が急に悪化した場合を、COPDの急性増悪と呼びます。

COPDの急性増悪は非常に危険な状態です。防御力がもともと低いため、ちょっとした風邪でもすぐに重篤化してしまいます。

ここでは、COPDの急性増悪および予防法や治療法についてみていきましょう。

 

1.COPDの急性増悪とは?

COPDの方が息切れや咳や痰の悪化が急に起きることをいいます。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、別名「タバコ病」と言われており、発症する原因の80%がタバコであると言われております。(ご職業や生活習慣、環境によってはタバコを吸っていなくても発症される方もいます)

英語名の「Chronic  Obstructive  Pulmonary  Disease」の頭文字を取って、COPDと呼ばれております。

COPD(肺気腫)の患者さんでは、肺の壁がボロボロになってしまっています。このため、すぐに気管支がつぶれてしまって息の通り道が狭くなってしまいます。これによって息が思いっきり吐けなくなってしまいます。

さらに慢性的に炎症があるため、咳や痰が止まらなくなってしまいます。とくに痰は気管支に張り付いてしまい、ただでさえつぶれやすい気管支が狭まってしまってさらに苦しくなってしまいます。

これがCOPDの病態です。進行していくと、少しでも動くと息が苦しくなってしまいます。COPDの難しいところは、一度肺や気管支が壊れてしまうと二度ともとに戻りません。そのため、「COPD=治すことができない病気」となります。

COPDについて詳しく知りたい人は、「肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ」を一読してみてください。

このようにCOPDは肺や気管支がボロボロになった結果

が起こります。こうなると少しばい菌が入っても、

などの状態の悪化が起こります。このことをCOPDの急性増悪といいます。以下のような急激な症状が認められます。

COPDの方は、これらの症状がもともとあることが多いため、増悪に気が付かない人も多いです。急激に悪化すれば分かりやすいのですが、ゆっくりと進行する場合もあるからです。

なお、COPDの急性増悪の頻度が多い人の特徴としては、

などが挙げられます。

 

2.COPDの急性増悪の予防法は?

タバコを吸っている人は絶対にやめてください。その他、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンは推奨されています。また安定期も、治療薬をしっかりと導入することが大切です。

「COPD=喫煙による病気」といっても過言ではありません。病気が治らないならといってタバコを吸い続けると、さらに病状が加速してしまいます。

さらにCOPDの急性増悪は大部分がばい菌が体内に入って感染したものです。ばい菌が入った時に弱った肺で何とか痰や咳を出して追い出そうとします。しかし、その時にタバコを吸ってしまうと体内に大量の炎症物質がはいってしまいます。こうなると、

などの悪循環に陥ります。そのためCOPDの人は増悪したしないに関わらずタバコを吸わないようにしましょう。

COPDの喫煙について詳しく知りたい人は、「COPD(肺気腫)と診断されても遅くない!禁煙の方法とは?」をお読みください。

タバコをやめても治らないのがCOPDの辛いところです。COPDと診断されたら、うがい手洗い含めて感染予防が重要になります。ただし、うがい手洗いだけでは病気はなかなか防げません。

そのため現在は、感染すると重症化しやすい病気に対してワクチンを接種することができます。その代表格がインフルエンザワクチンになります。インフルエンザワクチンをうつことで、COPDの増悪を50%防ぐことができるとされています。

また、肺炎球菌ワクチン接種も重要です。肺炎球菌は肺炎の中でも、特に重症化しやすい菌として有名です。COPDの方が感染すると命にかかわる疾患です。

肺炎球菌ワクチンは、2014年から高齢者(65歳以上の方)の定期摂取の対象となりました。65歳・70歳・75歳と5の倍数の方は、無料でワクチン接種ができます。さらに初回接種から5 年以上経過した場合に、医師の判断による再接種が可能となりました。

一方でCOPDの方は、年齢に関係なく肺炎球菌ワクチンの投与が推奨されています。65歳になってから…といわずに、COPDと診断されたら必ず肺炎球菌ワクチンを受けましょう。

またワクチンは打ったからといって、100%効果が保証されるものではありません。ワクチンについて詳しく知りたい方は、「インフルエンザ予防接種の効果と限界・誤解とは?」を確認してみてください。

その他、

含めて日常生活が非常に大切になります。詳しく知りたい方は、「COPD(肺気腫)は日常生活が重要!COPDの進行予防と治療法」を確認してみてください。

さらにCOPDは、病態が悪くなればなるほど急性増悪も起こりやすくなります。そのため安定している時から薬物治療の介入をして、

を目指していくことが大切になります。薬の第一選択肢は、

  1. 長時間作用型の抗コリン薬
  2. 長期作用型のβ2刺激薬

の2つの気管支拡張薬となっています。状態が悪くなった時はこれらを併用していきます。安定期の薬物治療について詳しく知りたい方は、「COPD(肺気腫)の治療の流れとは?薬物治療とその他の治療」を参照してみてください。

安定期の治療は劇的に効くものではありません。「吸っても、吸わなくても症状が変わらない」といって治療を辞めてしまう人も多いですが、のちのちCOPDの急性増悪の予防につながるので必ず治療は継続しましょう。

 

3.COPD急性増悪の治療法は?

COPD急性増悪は基本的には入院で治療します。酸素吸入、抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイド薬の投与を中心に治療します。ただし治療しても元の状態に戻らないことも多いです。

まずCOPDの急性増悪は診断や原因を特定するのが難しいです。基本的には、

などを施行するのが一般的ですが、これらに異常がないからといって否定できません。特にレントゲンでは異常を見つけるのがかなり難しいです。タバコで肺が壊れてしまって穴ぼこだらけになってしまったのがCOPDです。

つまり肺の実質臓器が壊れてしまってスカスカなため感染していても、レントゲン写真では穴ぼこしか映らないことがあります。またCOPD自体がレントゲンに移らないようなわずかな肺炎でも、防御力がないため急激に悪化します。

さらに気管支炎やウィルス感染などは、正常な人でもレントゲンで異常は移りません。そのため、確定診断するのに非常に苦慮することがあります。また、COPDの増悪=ばい菌に感染した状態と決めつけてしまうと、

などの怖い病気を見過ごしてしまいます。これらは熟練した医師でも苦慮します。そのため、COPDの急性増悪を認めた場合は、基本的に入院で対応することが多いです。ここまで記載したように、

などから、入院で経過を見た方が良い疾患です。もちろん、COPDの方が少し痰が増えただけで入院したほうが良いというわけではありません。この辺りは、主治医の先生とよく相談しましょう。少なくとも医師側から入院を提案されているのに断るのは、非常に危険です。

それでは入院した場合、基本的にはどのような治療をするかみていきましょう。基本的にCOPDの急性増悪の治療は、ABCアプローチといわれています。

となっています。順番に見ていきましょう。まず、A(antibiotics)抗菌薬です。COPDの急性増悪の最も多い原因が、ばい菌(細菌、ウィルス)です。ウィルスに対して効くお薬は少ないのでこちらは安静加療が中心になりますが、細菌に対して抗菌薬が効きます。

特にCOPD急性増悪時は、

といった細菌が原因のことが多いです。一般的には点滴で、

などを使用することが多いです。次に、B(bronchodilators)気管支拡張薬です。COPDは、気管支や肺がボロボロになることで狭まることです。気管支が狭い所に痰がつまると息が苦しいし、ばい菌もなかなか外に出せません。そのためm定期的にネブライザーによる気管支拡張薬を吸入します。具体的にはm

などの短期作用型のβ2刺激薬に、痰切りのお薬を場合によっては加えます。COPDで入院すると、特に説明なくネブライザーで吸引を受けていることもあるかと思いますが、実は気管支を広げて痰などを出しやすくしているのです。

最後に、C(コルチコステロイド)です。ステロイドとは、

を有するお薬になります。「免疫を抑えたら、ばい菌にもっと感染しちゃうじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。しかし実際、COPDの急性増悪はばい菌自体が悪さをしているわけではありません。

ばい菌をやっつけるために我々の体の白血球が戦うことで、炎症物質が産出されることが悪化につながると言われています。つまり、A(antibiotics)抗菌薬でばい菌をやっつけるのは任せて、白血球も抑え込んだ方が良いという治療です。

実際にステロイドを一緒に使用したことで、

など様々な良いデータが示されています。投与量ですが、

を10日前後投与することが多いです。ただし、プレドニンを30~40mg内服すると6錠から8錠と大量に内服することになるため、抗菌薬が点滴で投与されている場合は一緒に点滴で投与する方が多いかもしれません。

ステロイドは副作用も多いお薬です。ステロイドの副作用について知りたい方は、プレドニンの副作用と対策についてを一読してみてください。

これに加えて、

など適宜状態に合わせて治療します。大切なことが一つあります。COPDによる炎症によって肺や気管支がボロボロになった場合、残念ながら入院前と同じ状態にならない人も大勢います。イメージとしては、家が火事になったことを思い浮かべてください。

炎で燃えてしまった部分は灰になってしまいます。こうなると建て直すしかありませんよね?ただし肺を建て直すことは難しいので、現実的には炎症で悪くなったところは灰の状態のまま様子をみていくことになります。

COPD急性増悪で肺の状態が悪くなった方は、

などの色々な弊害が起きます。一番問題なのは、肺の防御力が低下してまたCOPDの急性増悪がおきることです。こうなるとどんどん悪循環に陥ってしまい、最終的には命の危険性がある病気なのです。

COPDの急性増悪の治療でも、完全にもとに戻せないことも多いです。そのためCOPDの急性増悪の予防を、しっかりと取り組む必要があります。

少なくともCOPDと診断されたら、絶対にタバコは辞めましょう。

 

まとめ