あなたに最適な喘息治療薬とは?アドエア・レルベア・シムビコート・フルティフォームの特徴の違い

アイコン 2016.8.15 喘息

喘息では、現在は吸入薬による治療がスタンダートとなっています。その中でも最もよく使われるのが、β2刺激薬とステロイドの合剤になります。

これら両方の効果で、喘息を長期にわたり管理し、発作などの悪化を防ぎます。

2007年、世界初の合剤としてアドエアが発売され、日本では現在、4剤が発売されています。アドエア以外に、シムビコート、レルベア、フルティフォームの4剤になります。(アドエアとシムビコートはCOPD(肺気腫)でも使用します。)

どの薬が喘息治療に優れているのかが気になるところですが、現時点でははっきりとした報告がありません。しかしながらそれぞれの薬には、効果や副作用の違いがあります。

喘息患者さんとしては、せっかく毎日吸入するお薬ですので、自分に合った薬を見つけていきたいところだと思います。

ここでは、現在発売されている喘息吸入治療薬であるアドエア・シムビコート・レルベア・フルティフォームの効果と副作用について、特徴をまとめていきたいと思います。

 

1.喘息吸入薬はドライパウダー派?エアゾール派?

喘息吸入薬には、ドライパウダーとエアゾールの2つのタイプがあります。吸入薬の比較をするためには、まずドライパウダーとエアゾール(スプレー)どちらが良いか考える必要があります。

 

1-1.ドライパウダーとエアゾールのメリット・デメリット

ドライパウダー<アドエアディスカス・レルベア・シムビコート>

<メリット>

<デメリット>

エアゾール<アドエアエアゾール、フルティフォーム>

<メリット>

<デメリット>

ドライパウダーの吸入薬は、

の3種類です。

エアゾールの吸入薬は、

の2種類です。個々の特徴に関しては、それぞれのページで比較してみてください。

まずドライパウダーとスプレーどちらが良いか考えていきましょう。とは言っても、それぞれのお薬で特徴も異なるので共通項目は少ないです。

ドライパウダーは粉を自分のタイミングで吸うお薬です。粉っぽさ(シムビコートは吸った感覚がありません)を伴うため、しっかり吸えたかどうかが分かりやすいという利点があります。しかし一方で、粉を自分の吸入力で吸う必要があります。

エアゾールとはスプレータイプのお薬です。吸入薬のボタンを押して薬を噴霧することで、吸入力がなくてもスプレーが気管まで降り注いでくれます。一方で吸うタイミングを合わせる必要があります。ボタンを押したタイミングで息を吐いてしまったら全く意味がありません。

どうしてもエアゾールでタイミングが取れない方は、スペーサーという吸入補助器を使用します。スペーサー内に噴霧したエアゾルをためて、吸ったり吐いたりしながら気道に入れていくというものです。

この特徴を踏まえたうえで、それぞれ向いてる人をみていきましょう。

 

1-2.ドライパウダーとエアゾールが向いている人

<ドライパウダーが向いてる人>

<エアゾールが向いてる人>

まずドライパウダーですが、必須条件としてお薬を吸入する力がある人です。どんなに良いお薬でも、しっかりと気管支までお薬が行き渡らなければ全く効力を発揮しません。

そういった意味では、若年者の方は大部分はドライパウダーで処方します。ドライパウダーの方が、

などなどそれぞれのお薬の特徴が生かしやすいものが多いです。そのためドライパウダーで処方しても問題なさそうな人に、あえてエアゾールから処方する医師はあまりいないかもしれません。しかし、これはあくまで医師の印象で処方されます。

実際に何歳以上だとドライパウダーは出しちゃダメ、なんて記載はありません。そのため医師によっては、何でもかんでもドライパウダーを処方する人もいます。ドライパウダーのお薬を処方されていたけど、コントロール不良となる患者さんは、しっかりと吸入できていないことがほとんどです。

その場合はドライパウダーにこだわらずに、エアゾールタイプのお薬に切り替えます。そのため、ドライパウダーが上手く吸えない人がエアゾールのお薬を処方すると考えれば、分かりやすいかもしれません。

エアゾールが向いてる人は、まず挙げられるのが小さなお子さんです。吸入力も弱いですし、ちゃんと吸えたかどうか分かりづらいです。そのためスペーサーを使用して、お子さんにはエアゾールを吸入することが多いです。

大人の場合は、吸う力が著しく低下している場合です。喘息やCOPDは閉塞性障害といって、気管支が狭くなる病気です。気管支が狭くなることで、思いっきり息が吸えなくなったり吐けなくなったりします。そのため重症な喘息の方は、息もとぎれとぎれになってしまいます。

しかし若年者の方で、ドライパウダーが吸えなくなるほど重篤な喘息やCOPDの方はほとんどいません。若年者の方でエアゾールのお薬を処方する場合は、

など、かなり特別な状態の方がほとんどです。そのためエアゾールを考慮するのは、高齢者の方になります。喘息やCOPDといった息が吐きにくくなる病気に加え、筋力が衰えてくることで徐々に吸う力が弱くなっていきます。さらに人によっては、認知症などでうまく吸えない患者さんもいます。

こういった方に、無理にドライパウダーを処方するのは得策ではありません。エアゾールに切り替えた方が無難でしょう。ドライパウダーを吸っている方で自分が本当に吸えているか心配な方は、一度それぞれの練習機を薬局でもらってみましょう。うまく吸えると、それぞれ音がなるような練習機があります。

練習機でうまく音が出ない人は、ドライパウダーを続けるのはかなり難しいと思います。ちなみに個人的には、車いすで診察を受けている人は高確率で吸入力が弱ってる可能性が高いです。息を吸ったり吐いたりするのは、肋間筋や横隔膜といった筋肉で肺を動かすことが大切です。

立ってスタスタ歩けないほど足の筋力が弱ってる人は、呼吸筋も弱ってる可能性が高いです。もし心当たりがある人は、早急にドライパウダーが吸えるか確認してみましょう。

一方でエアゾールは、吸入するタイミングを合わせる必要があります。

  1. 吸入のタイミングが合わない
  2. そもそも認知症があって指示動作が入らない

②の場合は、ドライパウダーもうまく吸うのは難しいでしょう。そういった場合も、小児と同じように吸入補助器であるスペーサーを使用することになります。

最後にドライパウダーでもうまく吸えているけど、粉っぽさが嫌な人もエアゾールの適応になります。特に吸入薬は毎日吸うお薬なので、嫌々吸っていたら絶対に長続きしません。もし粉っぽさが気になる人は、遠慮せずに主治医に相談しましょう。

このように考え方としては、問題なければまずはドライパウダーから処方することが多いです。ドライパウダーが上手く吸えなかったり、うまく吸えない可能性が高いと事前に判断した場合は、エアゾールから処方します。

 

2.アドエアディスカス・レルベア・シムビコート(ドライパウダー)の効果と副作用の違い

まずそれぞれの特徴を表にしてみました。赤で記したところがその吸入器の強みです。

 

ステロイドの合剤を比較しました。アドエアディスカス・レルベア・シムビコート

アドエアが2007年に発売となりましたが、これがβ2刺激薬とステロイドの初めての合剤となっております。シムビコートは、3年後の2010年に発売されました。その後2013年に、アドエアを改良したのがレルベアが発売となっています。

アドエアからレルベアの一番の改良点は、持続性が高いので1日1回の吸入で良くなった点です。エアゾールも含めても、現時点では他のお薬は朝と夕2回の吸入が必要になります。しかしレルベアのみ薬の効果が24時間続くため、1日1回の吸入で効果が安定します。

一方のシムビコートの特徴としては、最もドライパウダーの中では即効性があることです。シムビコートのβ2刺激薬であるホルメテロールは、非常に即効性があります。他のβ2刺激薬の効果が15分かかるのに対して、ホルメテロールは1分で気管支拡張の効果を示します。

この即効性の効果を利用した治療法として、SMART療法があります。このSMART療法は、長期的に喘息管理しながら発作時にも追加する方法で、シムビコートのみ適応があります。ただしSMART療法は、1回の投与回数が1回~2回の中軽症患者さんに限ります。

また、シムビコートのアドエア・レルベアとの違いとしては、粒子径が非常に小さいことが挙げられます。粒子が小さいので粉っぽさがなく、全く吸った感覚がありません。アドエアやレルベアは、匂いや味をつけてあえて吸った感覚がするようにしていますが、シムビコートは匂いや味もしないので、出ているかどうかもわからないのが特徴です。

これに関しては、どちらが良い悪いというよりは好みの方が強いと思います。粒子の小ささについては喘息の治療に有利かどうかデータはとくになく、効果に関しては同等と考えられています。

最も古くからあるアドエアの利点としては、現時点ではアドエアのみ小児に適応があります。これは他の2剤が小児に対して危険ということではなく、小児に対して十分な安全性を確認する試験を受けていないためです。

用量の調節ですが、アドエアやレルベアは投与量が変わるたびにデバイスを変える必要があります。具体的には

の2種類です。この数字はステロイドの量を示しています。β2刺激薬はどれも一定のため、投与量が変わって残ったデバイスがもったいないからといって、アドエアやレルベアの吸入回数を増やして使ってはいけません。β2刺激薬が過量に投与されてしまうため、注意が必要です。

それに対してシムビコートは、1回の吸入回数を1~4回で調整することで投与量を調整します。このデメリットとしては、値段にも影響して高用量では高くなってしまうことです。

低用量であればシムビコートが最も安いです。しかしシムビコートは、吸入回数が2回3回、になるにつれて、値段も2倍、3倍に上がっていきます。そのため中用量から高用量は、レルベアが最も安価な吸入薬になります。

 

3.アドエアエアゾールとフルティフォーム(エアゾール)の効果と副作用の違い

まずそれぞれの特徴を表にしてみました。赤で記したところがその吸入器の強みです。

ステロイド合剤の比較をしました。アドエアエアゾール・フルティフォーム

アドエアは、ドライパウダーとエアゾールの両方があります。一方のフルティフォームは、アドエアのステロイド成分であるフルチカゾンとシムビコートのβ2刺激成分であるホルメテロールの合剤となっています。

吸入ステロイドは、つまりアドエアエアゾールもフルティフォームも同じフルチカゾンとなっています。β2刺激薬の違いが2剤の違いで、最も大きなポイントとしてはホルメテロールの方が早く効果を示すことです。しかしフルティフォームは最近発売されたお薬のため、理論上はシムビコートのSMART療法のように発作時にも適応があるはずなのですが、現時点では十分なデータがないため長期管理のみの処方となっております。

このフルティフォームですが、匂いや味にアルコール臭の様な独特な味があります。患者さんによってはこれが苦手という人もいます。

アドエアエアゾールとフルティフォームは、他にも噴霧速度の違いがあります。アドエアエアゾールはシュッと噴霧速度が早いのに対して、フルティフォームはシューっと少し長い特徴があります。この違いですが、噴霧速度が遅い方が一般的には吸いやすいといわれています。

噴霧速度が早いと同調しづらいことから、アドエアエアゾールは吸入補助器であるスペーサーがほぼ必須な場合が多いです。

一方で小児は、ドライパウダー同様にアドエアしか適応が通っていません。そのため小児にアドエアエアゾールを使用する場合は、ほぼスペーサーも一緒に使用するようにします。

用量の調整ですが、アドエアエアゾールはディスカス同様、デバイスを変更する必要があります。具体的には、

があります。これもドライパウダー同様、ステロイドの量を示しています。一方のフルティフォームは、低用量のみ50μgのデバイスを使用しますが、それ以上の量は125μgを2回~4回吸入回数を変更することで投与量を調整します。

結果として、フルティフォームの方が低~中用量までは薬価が安いですが、高用量になると2回の吸入回数の倍量になることから、アドエアエアゾールの方が薬価が安くなります。

 

4.それぞれのデバイスで向いてる人は?

アドエアディスカス・レルベア・シムビコート・アドエアエアゾール・フルティフォームの特徴をまとめてみました。これらを踏まえてそれぞれの向いてる人を考えてみましょう。

 

①アドエアディスカス

<向いてる人>

アドエアディスカスをグラクソスミスクライン社が改善したものが、レルベアになります。そのためレルベアと比較すると、

この2点でどうしても見劣りしてしまいます。アドエアは吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤として初めて発売されたお薬です。そのため後続のお薬は、どうしてもアドエアよりも何か上回ってる点がないと作られません。どうしてもアドエアは、他の薬剤のたたき台となってしまう感が否めないのが事実です。

しかし効果に関しては、アドエアが決してレルベアをはじめ他の薬剤に劣っているわけではありません。そのためアドエアで安定している人が、無理にレルベアに変更する必要はないと考えています。

アドエアは昔からあるということで、使い慣れている先生も多いです。以前からアドエアが処方されて特に問題がない方は、そのままアドエア継続で良いと思います。

またアドエアは、現時点では唯一小児にも適応があるβ2刺激薬と吸入ステロイドの合剤です。そのため小児でドライパウダーを処方する場合は、アドエアディスカスになります。

 

②レルベア

<向いてる人>

喘息と診断されて治療が必要な場合、まず最初に処方するとしたらレルベアといった先生が増えてきました。レルベアの最も素晴らしい点が、1日1回の吸入で治療ができる点です。

医師が指示したお薬の量をしっかり吸ってくれるかを、アドヒアランスといいます。このアドヒアランスが、レルベアは最も優れています。なぜなら、1日2回朝と夕の吸入と、1日1回朝だけの吸入で効果が同じだったら、1日1回の吸入の方が続けられるからです。

喘息治療はずっと続けるのが必要なお薬です。そのため、「毎日2回も吸うのめんどくさい」と感じてしまうと、治療を中断してしまうことも多い病気です。

さらに高用量になった場合、レルベアが最も薬価が安いです。特に吸入回数で調整するシムビコートは、最大投与量である1日8回吸入(1回4吸入)ですと1日薬価が783.7円になります。一方のレルベアは、最大量であるレルベア200でも1日薬価が223.1円と非常に安くなります。

そのため高用量のステロイドが必要な方は、薬価を考えるとレルベアに切り替えた方が良いと考えます。

 

③シムビコート

<向いてる人>

シムビコートの最も強い強みは、1回の吸入回数が1回~2回の中用量以下の人は、喘息が悪化した際に追加で吸入できるSMART療法ができる点です。そのため、SMART療法が向いてる人=シムビコートが向いてる人といっても過言ではありません。

SMART療法が向いてる人は、喘息と初めて診断された人、もしくは今まで診断されていたけど治療してなくて再度出現した人です。

重症な方は別ですが、軽症な場合は一体どれくらいのステロイドの吸入が必要か分かりません。そのためシムビコートを処方すれば、定期的に吸入+咳が出たときにさらに追加吸入というSMART療法の方法で様子を見ていくことができます。

このSMART療法の状況をみて、その後の投与量を調整することが可能となります。このSMART療法は、中等用量の人が適応になります。高用量が必要な方は、先ほどのレルベアと比較すると価格が倍増してしまううえに、SMART療法が適応外になります。このことから、シムビコートは低~中用量の方に向いているといえます。

また個人的な意見ですが、このSMART療法が最も活用しやすいのは長引いている咳に対して咳喘息の診断をするときです。最近では、気管支喘息にも色々な種類があることが分かってきてます。特に喘鳴が聞かれない咳喘息と言う病気に対しても、シムビコートは効果を示します。咳喘息の診断基準は、β2刺激薬の吸入薬で反応があるかどうかです。

他のβ2刺激薬ですと、処方した後に効果があったかないか分からないといわれることがあります。咳喘息の診断基準は「β2刺激薬が効いたかどうか」が最重要項目となっています。患者さんが効果の実感がないと、医師も診断できずじまいということになってしまいます。ここでシムビコートでSMART療法を活用することで、

の2つの項目で、病状を評価することができます。シムビコートを吸って咳が止まるかどうかというのは、患者さんにとっても分かりやすいポイントかと思います。

 

④アドエアエアゾール

<向いてる人>

アドエアエアゾールの一番の特徴は、スプレーとしてこちらが吸うのではなく、押すことで受動的にアドエアが投与されるところにあります。つまり吸う力が弱くてお薬が吸入できない人に、アドエアエアゾールは対象になります。

アドエアエアゾールとフルティフォームを比較すると噴霧速度が早いという点から、アドエアエアゾールの方が吸うのが難しいと一般的にはいわれています。一方で、小児に適応が通ってるスプレー式の合剤はアドエアエアゾールのみです。

そのためドライパウダーが上手く吸えないような小さなお子さんは、アドエアエアゾールの良い適応だと思います。ただし吸入補助器は必須と考えましょう。

また、アドエアディスカスの粉っぽさが苦手という人も対象になります。アドエアは毎日吸わなければいけないお薬です。我慢して吸っていると、そのうちやらなくなってしまうでしょう。

アドエアディスカスで十分喘息がコントロールできているけど、粉っぽさが嫌な人は医師に相談してみてください。アドエアエアゾールに変更してくれると思います。

さらにフルティフォームも、アルコール臭が気になるという方はアドエアエアゾールに変えてみるのも一つの手です。

 

⑤フルティフォーム

<向いてる人>

フルティフォームは、β2刺激薬と吸入ステロイドの合剤の中で最も吸入しやすいお薬です。そのため、他のお薬が上手く吸えない人の最終手段と考えて良いと思います。

上手く吸えない人の大部分は、ご高齢の方だと思います。特に危険なのが「吸えてないことを自覚できずに継続している方」です。これは意味がないばかりか、喘息がどんどん悪化する引き金になりかねません。

上手く吸えているか不安な方は、一度薬剤師の方にみてもらいましょう。もし他の吸入薬が上手く吸えていなかったら、フルティフォームの変更を考慮して良いと思います。

フルティフォーム自体もうまく吸えなかったら、最終的にはスペーサーを使用してしっかりと吸入しましょう。このスペーサーでも、認知症などがあって吸入自体を嫌がる方もいらっしゃいます。

現時点で登場している吸入薬の中で、フルティフォームが吸えないとなると吸入薬でのコントロール自体が難しくなります。そういった方は吸入薬だけにこだわらず、ホクナリンテープなどの張り薬も検討して良いと思います。

 

まとめ

それぞの薬についてもっと詳細が知りたい方は

のページを参照してみてください。

スポンサーリンク

スポンサーリンク