プレベナー13(肺炎球菌ワクチン)の効果と特徴

アイコン 2016.12.18 予防接種(ワクチン)

プレベナーは、ファイザー製薬会社が2013年に7価から13価へパワーアップした新しい肺炎球菌ワクチンです。肺炎球菌の感染を予防するワクチンになります。

肺炎球菌は、乳幼児の方は細菌性髄膜炎として最も頻度の高い菌です。髄膜炎は致死的な病気なことから、日本でも2013年から2か月以上6歳未満のお子さんに定期接種するようになっています。

一方で肺炎球菌は、成人肺炎で最も罹患率が高い細菌になります。こういった背景から、肺炎が癌・心臓病に次いで日本の死因3位に上昇傾向です。

そのため、65歳以上の高齢者の方にもプレベナーは適応となりました。しかし現時点では、高齢者の場合は肺炎球菌ワクチンのニューモバックスの方が定期接種として受けられ、プレベナーは自費になってしまいます。

ここでは、乳幼児や高齢者などの免疫力が弱い人を守るために作られたプレベナーの効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.プレベナーのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

肺炎球菌はグラム陽性球菌に分類される、ランセット型(卵型)の2連球菌(双球菌)です。

肺炎球菌は、ヒトの鼻咽頭の常在菌として検出され、急性気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こす細菌です。実際に肺炎になった場合、原因菌として成人の場合は肺炎球菌が最も多いといわれています。小児でもインフルエンザ菌が最も多く、肺炎球菌が2番目とされています。

さらに肺炎球菌は「肺炎」とついていますが、他の臓器にも感染する菌です。小児では、特に中耳炎を引き起こしやすいです。お子さんでは鼻と耳をつなぐ耳管が短いため、鼻の中にいる肺炎球菌が耳の中で繁殖しやすいと言われています。

また、鼻の中にいる肺炎球菌がさらに奥に繁殖すると、脳にもおよびます。正確にいうと脳がぷかぷか浮かんでる髄液に感染するのです。髄液に感染すると、髄膜炎といって非常に重篤な病気になります。

髄液は基本的に無菌とされ、ばい菌が全くいない状態です。そのため防御態勢がほとんどないため、髄液で繁殖するとあっという間に悪くなってしまいます。激しい頭痛や嘔吐を伴い、最悪死にも至ります。

肺炎球菌の感染経路としては、肺炎などになっている方の咳やくしゃみによって周囲に飛び散り、それを吸い込んだ人へと広がっていくと考えられています。この咳やくしゃみで感染する経路を飛沫感染といいます。特に免疫力が弱い

を中心に、肺炎球菌は感染しやすいと言われています。そのため、これらの方でのワクチン接種が勧められるのです。

肺炎球菌自体について詳しく知りたい方は、「肺炎球菌はなぜ脅威??肺炎球菌の肺炎の症状・治療とは?」を一読してみてください。

プレベナーは、発売当初は小児を中心にワクチン投与されていました。特に生後6か月以降に肺炎球菌による髄膜炎が世界中で脅威を振い問題になったことから、プレベナーはWHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で定期接種にすべきだと勧告しています。

日本でも、2か月以上6か月未満のお子さんに対して定期接種となっています。プレベナーの良い点としては、肺炎球菌の肺炎予防だけでなく、鼻やのどの粘膜での免疫も誘導してくれる点です。鼻やのどの粘膜につくことで、

を予防することができます。この鼻やのどの粘膜の免疫の誘導はプレベナー特有の特徴で、ニューモバックスは有していません。この点がニューモバックスではなく、プレベナーが小児に対して定期接種が適応になった要因となっています。

またプレベナーは、安全性も非常に高いお薬です。注射で投与するため、注射した部位に痛みやかゆみを生じることはあります。しかし一過性であり、重篤な副作用はほとんどありません。

またプレベナーは、ニューモバックスと一緒に投与することでブースター効果があります。ブースタ効果とは、ニューモバックスで肺炎球菌を取り込んだ後にプレベナーを接触することによって、さらに免疫機能が高まることを意味します。つまりプレベナーとニューモバックスを両方打つことで、相乗効果が期待できるのです。

こういった背景を受け、2014年にニューモバックスは65歳以上の方にも適応が通りました。ただし現時点で定期接種が認められているのはニューモバックスのみで、プレベナーは認められていません。そのため、プレベナーを高齢者の方が使う場合は自費になるため注意しましょう。

一方でプレベナーも、注意する点がいくつかあります。まずプレベナーですが、肺炎球菌の13種類のタイプを人工的に一部分を抽出して投与します。プレベナーを投与することで、体が事前に免疫を準備することで予防します。しかし肺炎球菌は、実際には90種類以上いるといわれています。

プレベナーを投与する13種類は、肺炎球菌の中でも原因菌になりやすいタイプのため選ばれています。しかし逆にいえば、プレベナーに含まれていない肺炎球菌はカバーできないことになります。また選ばれた13種類も、プレベナーを投与したからといって絶対に感染しないわけではありません。

プレベナーを投与したから肺炎球菌にかからないとは言えないので、投与後もうがい手洗い等の感染予防は怠らないようにしましょう。肺炎球菌は重篤化すると命を落としかねない病気です。そのため、高齢者や免疫力が低下している方は、ぜひ積極的にプレベナーワクチンを接種しましょう。

 

2.プレベナーの適応は?

プレベナーは、2か月以上から6歳未満の小児の方は積極的に投与するように国からも認められたワクチンです。また、65歳以上の高齢者の方にも適応が通っています。

プレベナーは、13種類の肺炎球菌をポリサッカライド(多糖体)に蛋白質を人工的に結合して作ったものです。このプレベナーを投与することで、肺炎球菌による感染の予防につながるワクチンです。適応は添付文章では、

となっています。6歳以上から64歳以下の人にプレベナーを投与して危険なわけではありません。これらの年齢の方に投与してプレベナーが有用であったというデータが不足しているため、小児と高齢者という両極端な適応になっているのです。

また、肺炎球菌ワクチンのもう一種類であるニューモバックスは、

など、肺炎球菌にかかりやすそうな方、もしくは肺炎球菌にかかったら重篤化しそうな方に適応があります。一方でプレベナーは現時点では、

免疫抑制状態(悪性腫瘍、造血幹細胞移植、ネフローゼ症候群等)にある者における本剤の安全性及び有効性は確立していない。 

と一文が明記されているため、国内では免疫力が低下している人にプレベナーを投与することは積極的に推奨されません。ただし海外に目を向けてみると、ACIP(米国予防接種諮問委員会)などでは、19歳以上の成人で

の方はプレベナーを積極的に投与するように勧告されています。そのため、今後日本でも免疫力が落ちている方にも適応が通ることが期待されています。

 

3.プレベナーの用法・用量は?

プレベナーは小児の場合は年齢によって細かく分かれています。また、追加接種することでブースター効果が高まることが知られています。高齢者の場合は筋肉注射になります。

プレベナーは、小児では2か月から6歳未満に適応があります。添付文章では、

となっています。2歳未満までは2回投与することが必要です。さらに、空ける期間が違うことにも注意しましょう。2歳以上であれば、1回で済みます。

ただし先ほど記載したように、肺炎球菌による髄膜炎は生後6か月からかかりやすい病気です。可能であれば早めに投与することが推奨されています。

なお高齢者の場合は、1回0.5mLを筋肉に注射します。注意点としては、小児は皮下注射に対して、高齢者は筋肉注射です。刺す部位は同じでも、刺す深さが高齢者の場合、筋肉と深くなります。このように、小児と高齢者で投与方法が変わっています。

また現在、小児では追加でさらに1回投与することが海外では推奨されています。具体的には、プレベナーの接種を完了した小児に対し、さらに 8週間以降に 1回接種することで追加で抗体価が上がったとされています。

抗体とは、実際に肺炎球菌が体に侵入したときに撃退する爆弾と考えてください。つまり、抗体が多ければ多いほど予防効果が上がるのです。

実際にアメリカでは14~59か月齢の小児に対し、補助的追加接種を定期接種として実施した結果、肺炎の罹患した患者数がさらに減ったというデータもあります。

添付文章でも追加でプレベナーを投与する場合、1回0.5mLを1回、2回目の接種後60日間以上の間隔で、12か月齢以降、皮下に注射するように指示しています。

ただしこの追加で1回増やす補助的追加接種は、日本においては定期接種には含まれていません。そのため、自費になるので注意してください。

 

4.プレベナーの価格は?

小児では、定期接種のため国から補助金がでます。自費接種の場合、病院によって値段は異なりますが、1万円前後で接種できることが多いです。

次にプレベナーの価格です。まずプレベナー自体の薬価ですが、

商品名 剤形 薬価
プレベナー 0.5ml 7200円

※2016年12月3日の薬価です。

2か月以上6歳未満の方は定期接種になります。

によって、お子さんにかかる治療費はまちまちです。具体的な価格を知りたい場合は、一度クリニックに確認してみると良いかもしれません。

また、

以上の方は、現時点では自費になります。病院によって値段は異なりますが、自費接種の場合は1万円前後で接種できることが多いです。

 

5.プレベナーの効果は?

プレベナーを予防接種すると、プレベナーを接種しなかった場合に比べて感染するリスクを抑えることができます。さらにプレベナーを追加で投与することで、ブースター効果が得られます。

肺炎球菌感染症の原因となる血清型 は90種類以上あるといわれていますが、罹患しやすいタイプとほとんど感染しないタイプに分かれています。

プレベナーは2010年に初めて登場した際は、頻度の高い7種類の肺炎球菌のたんぱく質をもとに作られていました。具体的には、4・6B・9V・14・18C・19F・23Fの7種の血清型でした。アメリカのデータでは、プレベナーを投与することでほぼ100%近く、上記7種類の肺炎球菌の感染を防いだとされています。

国内でも、プレベナーを小児に投与することで投与前と比較したデータが下記のグラフです。

上記7種類の肺炎球菌による髄膜炎が73%、それ以外の感染症が52%と著明に減少しています。

一方でプレベナーの普及とともに、19Aなど上記に含まれていない肺炎球菌のタイプによる感染症の割合が増えてきました。そこでプレベナー7に加えて、新たに1・3・5・6A・7F・19Aの 6種の血清型が追加されたプレベナー13が2013年に登場しました。

2016年では、

の割合で原因菌となりえるとされています。そのためプレベナー13価を接種することで、原因菌の約7割が予防できるとされています。

さらにプレベナー13の接種を完了した小児に対し、追加でもう1回投与することでブースター効果が得られることが分かっています。定期接種の 8週間以降に、さきほど示した新型の加えられた6血清型の抗体価の上昇が認められました。アメリカでは14~59か月齢の小児に対しプレベナーを追加で投与したところ、19Aなどが実際に悪さをする頻度が低下したことが示されています。

この追加接種は、日本においては定期接種には含まれておりませんが、19A などの血清型の感染リスクを防ぐためにも有効です。追加接種は、プレベナーの規定回数接種完了後8週間以上間隔をおいて、1 回接種します。 6歳未満のお子さんが対象となります。 

 

6.プレベナーの副作用は?

プレベナーの副作用の多くは、注射部位の痛みや発赤です。

プレベナーの副作用ですが、小児の場合の国内臨床試験において、副作用は約7割となっています。7割と記載すると多いような気がしますよね。しかし内容を見てみると、

などです。これらは冷静に考えてみると、当たり前の反応です。注射をさしたら痛くなったり、腫れたりするのは大部分の方が経験します。

これ以外の副作用ですが、発熱が3割程度の方に出現します。ただしこれも微熱なことが多く重篤な副作用になることはほとんどないです。

一方で65歳以上の高齢者の副作用ですが、254/439例(57.9%)で認められました。主なものは、

となっています。頭痛と聞くと嫌なイメージがありますが、ほとんどこちらも軽度なことが多いです。そのため過度に心配する副作用はないです。むしろ、注射を嫌がって肺炎球菌に感染する方が大問題ですので、投与の適応がある方は積極的に接種した方が良いでしょう。

 

7.プレベナーが向いてる人は?

<向いてる人>

肺炎球菌ワクチンであるプレベナーは、重症化しやすい肺炎球菌の感染を予防するし、罹患したとしても重症化しづらくするワクチンです。副作用も少ないため、適応がある人には基本的に投与した方が良いワクチンです。

特に小児では定期接種となっており、国も強く推進しております。小児の方にプレベナーを投与する一番の理由は、髄膜炎を予防するためです。髄膜炎は、

などの症状が急激に出ます。脳が浮かんでる髄液に感染するうえに、白血球などのばい菌と戦う免疫細胞が全くない部位なので脳まで容易に感染してしまいます。状態が悪化すると、

などが起こり命に関わる病気です。さらにけいれんや高度の発熱が小児に起きると、脳へ不可逆的な致命傷を負い、

などの後遺症が残る人も中にはいます。プレベナー含めてワクチンは予防に特化したお薬であり、髄膜炎にかかった後の治療には全くなりません。

そのため、髄膜炎になったら慌ててしまっても時すでに遅しです。髄膜炎にかからないように、あらかじめ予防することが大切です。

またプレベナーは、2014年から65歳以上の高齢者にも適応が通りました。高齢者の場合プレベナーを接種する理由としては、肺炎を予防することです。肺炎の死亡率は、高齢者になればなるほど増加します。

現在、国は肺炎球菌ワクチンを高齢者に投与する場合はニューモバックスを推奨しています。しかし近年、ニューモバックスにプレベナーを両方投与することで、ブースター効果がかかりさらに予防効果が高まることが知られています。

さらに肺炎球菌は、肺炎に対して最もよく使用されるペニシリン系に対して耐性化を示した菌が最近登場しています。

という菌です。つまり、「肺炎になってしまってもばい菌をやっつけるお薬を投与すれば治るだろう」と安易に考えてはいけません。もしすべての肺炎がばい菌をやっつける抗生剤(抗菌薬)で治るのなら、肺炎で亡くなる人はいないです。

このように小児の方も高齢者の方も、

ではなく、

という考え方が大切になります。ただし現時点では、2か月から6歳未満の小児方は定期接種が認められており、高齢者は自費になります。医師からとすれば、上記に当てはまる人は全員予防接種して欲しいところですが、人によっては自費となるとためらってしまう方もいるかもしれません。

高齢者は、特に色々持病を持っている方も多くいると思います。

などで、免疫力が人によって全然違います。もし心配な方は、「自分はプレベナーを接種した方が良いでしょうか?」と医師に直接確認してみましょう。

 

8.プレベナーの製造方法について

プレベナーは、肺炎球菌の1部を殺菌したもので製造されています。93種類中13種類の肺炎球菌のたんぱく質が含まれています。

プレベナー13は、ポリサッカライド(多糖体)に蛋白質を人工的に結合して作ったものです。肺炎球菌として感染しやすい13種類を選択しています。この13種類の血清型の肺炎球菌を型別に培養して増殖させて、殺菌後に各々の型からたんぱく質を抽出し生成しています。

プレベナーは、肺炎球菌莢の一部のタンパクの型別をリン酸アルミニウムに吸着させて、不溶性とした不活化ワクチンです。不活化ワクチンのため、肺炎球菌を殺菌した一部を投与することになります。つまりプレベナーは生ワクチンではないので、肺炎球菌に感染することは絶対にありえません。

ニューモバックスとの最大の違いは、プレベナーは肺炎球菌のたんぱく質を保有している点です。少し難しいのですが、たんぱく質を含むとT細胞による免疫を活性化しメモリーB細胞を誘導できます。このメモリーB細胞に肺炎球菌の一部を覚えさせておくことで、いざ肺炎球菌に感染したときに迅速に対応できるようになります。

具体的な機序は、

  1. プレベナーを投与したことで抗原提示細胞(プレベナーの一部を提示する細胞)が活性化する。
  2. 抗原提示細胞がヘルパーT細胞にプレベナーのたんぱく質を提示して覚えさせる。
  3. ヘルパーT細胞がメモリーB細胞を作成する。
  4. メモリーB細胞が肺炎球菌の一部を記憶しておく。

という順番になります。体の免疫は非常に複雑で、何百種類の登場物質があります。ですが基本的にはAという物質がBの物質を活性化もしくは作成するという流れ作業で、色々な物質がバトンをつなぐことで免疫システムが働いています。

最初にバトンが出てくるのが、②の抗原提示細胞がT細胞にバトンを渡すところです。この時のバトンになるのが、たんぱく質になります。つまりたんぱく質がないと、②以降の免疫反応は誘導されません。

そして次に、メモリーB細胞が作られるます。この点が、もう一つの肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスとの最大の違いです。違う作用機序でそれぞれ肺炎球菌をブロックすることから、プレベナーとニューモバックス両方を接種することでブースター効果が得られます。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>