インフルエンザ予防接種の効果と限界・誤解とは?

アイコン 2015.2.1 予防接種(ワクチン)
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みなさんは、インフルエンザの予防接種を毎年されていますか?

インフルエンザの予防接種に関しては、世間でもいろいろな誤解が広がっています。
危険とすら言う方もいらっしゃいます。

ここでは、インフルエンザ予防接種の効果とその限界を考えていきたいと思います。

 

1.インフルエンザワクチンの製造方法

インフルエンザワクチンは卵を利用して作られます。不活化ワクチンといって、感染性のなくなったウイルスの一部です。

インフルエンザウイルスはとても変異が多いので、毎年異なるタイプのインフルエンザが流行します。このため、インフルエンザワクチンは、どのウイルスが流行するかを予測して作られます。ですから、毎年新しいタイプのものが作られています。

どのように作られているのかといいますと、インフルエンザウイルスを鶏の卵に接種して作ります。卵の中でウイルスを増殖させて、それをエーテルで処理することで不活化させて感染性をなくします。その後、副作用に関わる物質を分離して、ウイルスの殻の部分(HA)だけを残します。

こうしてできたものがワクチンとなります。このようなワクチンを不活化ワクチンといいます。

 

2.インフルエンザワクチンの特徴

予防接種して2~3週後から効果がでます。効果の持続は4~5か月程度です。

ワクチンには、不活化ワクチンと生ワクチンの2種類があります。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンでしたね。生ワクチンはウイルスの毒性を弱めたものを利用します。

ワクチンを接種する目的は、敵を身体に覚えさせることです。身体の免疫は、一度戦った敵のことを覚えます。メモリーB細胞という免疫細胞に記憶しておくのです。そして、次に同じ敵が来た時に、すぐに見つけて一気に攻撃体制を整えます。

 

ですが、不活化ワクチンでできる免疫は時間と共に薄れていってしまいます。インフルエンザワクチンは他のワクチンと比べても短いです。2~3週間ほどで効き始めますが、効果の持続は4~5か月程度になってしまいます。ですから、流行の時期を見極めてそこで予防接種をしなければいけません。

 

3.インフルエンザ予防接種の効果

予防効果だけでなく、発症しても症状が軽減されます。

インフルエンザの予防接種はどのような効果があるのでしょうか?実は、タイプがばっちり当たったとしても、感染の予防は100%ではありません。

ウイルスが身体に入ってくることは、どうしても防げません。感染の防御には気道の粘膜免疫が重要になってきます。ここでやっつけてしまえば身体に入ってきません。ですがインフルエンザワクチンでは、粘膜には効果がありません。このためウイルスが身体に入ってきてしまうのです。

そういう意味では、一度はインフルエンザウイルスに「感染」してしまいます。インフルエンザワクチンの効果はここから発揮されます。ウイルスが身体に入ると、ワクチンの効果で抗体がたくさん作られて免疫が一気に高まります。

このように、ウイルスに感染したとしても免疫のスイッチがすぐさま入るので、感染が広がっていく前にやっつけてしまうことができます。ですから症状が軽減するのです。症状がみられなければ、インフルエンザに罹ったことすら気づきません。ですから、発症の予防という形に繋がります。

 

また、日本では認可されていませんが、フルミストという点鼻の生ワクチンがあります。こちらは、鼻粘膜の免疫を誘導されるので、より予防効果が高く、生ワクチンですので効きが長いです。未認可ですので代金の補助がないことと、年齢が2歳~50歳までと制限があるのがデメリットです。

 

4.インフルエンザ予防接種の限界

感染予防効果は完全ではありません。また、流行の時期やウイルスのタイプを予測して、毎年うたなくてはいけません。

インフルエンザの予防接種にはいくつかの限界があります。

その一つが、上述した予防効果が完全ではないことです。気道の粘膜免疫には影響が与えられません。

また、どのウイルスが流行するかの予測が大変困難です。毎年、WHOの最新の感染情報や日本での流行情報をもとに、どのワクチンを作るかを決定します。最近は予想を外すことが少なくなってきましたが、外すと効果が出なくなってしまいます。

そして、インフルエンザウイルスは頻繁に変異を起こすので、毎年流行のタイプを予測してワクチンを接種していかなくてはいけません。

流行の時期もタイプによって変わります。日本ではおおよそ冬場にピークがやってきます。統計をみていると、だいたい12月の半ばから2月頃までが流行になります。ですが、年によっては前後します。2009年は新型が出たので秋がピークとなりました。

 

5.インフルエンザ予防接種の誤解

インフルエンザの予防接種に関しては、世間でもいろいろな誤解が広がっています。危険とすら言う方もいらっしゃいます。そのほとんどは根拠がまったくありません。ここでは、よくある誤解に関して反論をしたいと思います。

 

5-1.予防接種したらインフルエンザになってしまう

可能性はありません。

予防接種をしたらインフルエンザにかかってしまう可能性があると思われている方がいます。これは絶対にありません。インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンです。感染性をなくしたワクチンです。ですから、絶対に予防接種が原因でインフルエンザにかかることはありません。

おそらく、予防接種の直後にインフルエンザに罹患してしまった方がいらっしゃったのだと思います。インフルエンザワクチンの効果が出てくるのには2週間はかかります。この間にインフルエンザにかかってしまったのだと思います。

 

5-2.インフルエンザワクチンは副作用が危険

腫れたり、熱がでることは自然なことです。卵アレルギーの方は注意が必要です。

インフルエンザワクチンをうつと、ひどく腫れてしまったり、熱がでてしまったという方がいます。これは、ワクチンの目的を考えると普通のことです。

ワクチンは免疫を付けることが目的です。免疫をつけるには、一度戦う必要があるのです。そのことを覚えていることで、次に敵が来た時に、すぐに臨戦態勢をとれるようにするのです。この戦いが大きいと、腫れたり、熱が出たりするのです。このことは、インフルエンザだけなく他のワクチンでも同じことが言えます。

 

ただ、ひとつだけ気を付ける必要がある副作用があります。卵に対してアレルギーがある場合、アレルギー症状が生じることがあります。これは、ワクチン製造の過程で卵を用いるためです。反応が強いと、アナフィラキシーショックといって、血圧が急激に低下して死にいたることもあります。軽度のアレルギーの場合、医師の判断で予防接種が可能な場合があります。卵アレルギーの方は、必ず医師に相談してください。

 

まとめ

インフルエンザワクチンは卵を利用して作られます。不活化ワクチンといって、感染性のなくなったウイルスの一部です。

予防接種して2~3週後から効果がでます。効果の持続は4~5か月程度です。

予防効果だけでなく、発症しても症状が軽減されます。

ただし感染予防効果は完全ではありません。また、流行の時期やウイルスのタイプを予測して、毎年うたなくてはいけません。

予防接種したらインフルエンザになってしまうという誤解がありますが、そんなことはありません。

インフルエンザワクチンは副作用が危険と思われていますが、腫れたり、熱がでることは自然なことです。卵アレルギーの方では注意が必要です。