インフルエンザの予防接種や治療薬は授乳中に大丈夫?

アイコン 2015.6.21 妊娠・授乳について

毎年冬になるとインフルエンザが怖いですね。もちろん、授乳中であってもインフルエンザに感染してしまうこともあります。

できるだけインフルエンザに罹患しないようにするにはどのようにすればよいでしょうか?
インフルエンザワクチンの予防接種はできるのでしょうか?
もしなってしまったら、お薬は使えるのでしょうか?

ここでは、授乳中でのインフルエンザ対策と治療についてお伝えしていきたいと思います。

 

1.授乳中にインフルエンザワクチン予防接種は安全なの?

インフルエンザワクチンは安全ですので、接種した方がよいです。

ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類あります。生ワクチンはウイルスを弱らせたもの、不活化ワクチンはウイルスの死骸のようなものです。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンになりますので、ウイルスによって感染してしまうようなことはありません。ですから、母乳からウイルスが伝わって赤ちゃんが感染してしまう・・・なんてことはありません。

そもそも、インフルエンザウイルスにかかっても、ウイルスが母乳に出てくることはありません。むしろ、予防接種によってお母さんにできた免疫が、わずかですが母乳を通して赤ちゃんにも伝えられるという報告もあります。ワクチンを接種する目的は、敵を身体に覚えさせることです。身体の免疫は、一度戦った敵のことを覚えます。メモリーB細胞という免疫細胞に記憶しておくのです。そして、次に同じ敵が来た時に、すぐに見つけて一気に攻撃体制を整えます。

 

妊婦さんとは違って、産後にインフルエンザが重症化しやすいとはいわれていませんので、積極的に受けた方がよいとはいわれていません。ですが、もしもインフルエンザに感染してしまったら、お母さんと濃密に接している赤ちゃんにインフルエンザがうつってしまうこともあります。ワクチンも100%大丈夫ではないので、予防を徹底することはもちろん大切ですが、しっかりとインフルエンザワクチンを接種することをおすすめします。米国疾病管理センター(CDC)においても、授乳中のインフルエンザワクチンは安全であるとして接種を推奨しています。

インフルエンザワクチンについて詳しく知りたい方は、
インフルエンザ予防接種の効果と限界
をお読みください。

 

2.インフルエンザの予防

人込みに出ない・正しい手洗いうがい・マスクの着用・適度な湿度・口呼吸改善などを意識しましょう。

インフルエンザにかかってしまったら、お母さんから赤ちゃんへ感染してしまうことも考えられます。また、薬での治療もしなくてはいけません。ですから、できるだけインフルエンザにかからないように、予防することが何より大切です。ワクチン打てば大丈夫と安心してはいけません。ワクチンは必ず防げるわけではありませんので、インフルエンザの流行シーズンには予防を大切にしましょう。

インフルエンザの予防としてできることは5つあります。

①人込みに出ない
②正しい手洗い・うがい
③マスクを着用
④適度な湿度
⑤口呼吸を改善

人込みにでなければ、インフルエンザにもらうこともありません。人が密集するところは、流行時期の12月~3月は避ける方がよいです。また、正しい手洗い・うがいをしっかりしましょう。手洗いは、洗剤をつけてすぐ洗い流していませんか?せっかくやっても、正しくできていなければ、インフルエンザウイルスはやっつけることができません。妊婦さんは、イソジンでうがいをしてはいけません。ヨードは身体にたまってしまい、赤ちゃんに影響が出てくる可能性があります。水でしっかりとうがいをしましょう。マスクは、人に移さないために重要ですが、保湿効果もあるので感染予防としても大切です。また、室内の湿度も意識しましょう。50~60%程度が理想的といわれています。乾燥しすぎると、ウイルスの感染力が上がってしまいますので気を付けましょう。口呼吸の方は、鼻呼吸にかえてみましょう。鼻には免疫のために効果的な働きがたくさんあります。ですから、口呼吸から鼻呼吸にかえることで、免疫はあがります。

詳しく知りたい方は、
インフルエンザの予防方法
をお読みください。

 

3.授乳中に使えるインフルエンザ治療薬

イナビルやリレンザは、比較的安全性が高いといわれています。

授乳中にインフルエンザにかかってしまっても、感染予防のために授乳をやめる必要はありません。手洗いをしっかりとして、マスクを着用して、赤ちゃんに感染しないように気を付けましょう。その上で、お母さんの治療をしていきましょう。

インフルエンザの治療は、インフルエンザウイルスの感染の広がりを抑えてくれるインフルエンザ治療薬と、発熱・頭痛・咳・鼻炎などの症状を抑えるための風邪薬の2種類に分かれます。風邪薬については、大きな問題がないものばかりなので、症状に合わせて使っていきます。詳しく知りたい方は、「授乳中に風邪薬を使っても大丈夫?」をお読みください。

インフルエンザの治療薬は10歳未満の子供の場合は、できれば使わないで様子をみます。子供に薬を使った時に、副作用として異常行動がみられて、衝動的な行動から命を落とすことも報告されているためです。これを聞くと怖くなるかと思いますが、授乳ではほとんど問題ないと考えられています。ごく微量しか母乳にいかないので影響は極めて小さいですし、1歳半のお子さんは行動力もないし、お母さんが目を離すことも少ないと思います。

ですが、製薬会社の説明書(添付文章)には、「授乳は避けること」とされています。何かあったら訴えられる時代ですからね。石橋を叩いて渡っているわけです。このような守りの姿勢のせいで、大丈夫という人とダメという人がわかれてしまいます。医者としても、このような説明書があると、「安全だとはいわれているけど、最終的には自己判断してくださいね」となってしまいます。

確かに、ネズミの実験では母乳にインフルエンザ薬が移行してしまうことが示されています。ですが、ヒトの場合では、母乳によって問題が起きたとするエビデンスはありません。このため、米国疾病センター(CDC)では、インフルエンザ治療薬の使用を推奨しています。これらを受けて、日本産婦人科学会としても効果が期待できるならば使っても問題ないとしています。

インフルエンザ治療薬を具体的にみていきましょう。タミフルも安全とはいわれていますが、飲み薬なので控えた方がよいかも知れません。リレンザやイナビルは吸入薬ですので、ほとんど血中に移行しません。このため、母乳にもほとんど届きませんので安全性は高いと考えられています。ラピアクタも、ヒトでは乳汁に移行が認められていないです。また、赤ちゃんの口に入ってしまっても、吸収されにくいので問題はないと思います。

 

まとめ

授乳中でもインフルエンザワクチンは安全ですので、接種した方がよいです。

人込みに出ない・正しい手洗いうがい・マスクの着用・適度な湿度・口呼吸改善などの予防を意識しましょう。

イナビルやリレンザは、比較的安全性が高いといわれています。