お酒の適正飲酒とは?アルコールへの強さの4つのタイプ

アイコン 2016.10.22 アルコールと節酒・断酒について
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お酒は、昔から世界中で愛飲されてきました。世界どこにいっても、その国独自のお酒があります。

人間関係の潤滑油になることもあれば、ストレス発散になることもあります。適度な飲酒は場を和ませて、その人のこころを和らげるというよい側面があります。

「酒は百薬の長」ともいわれて、少量の飲酒は健康に良いとすらいわれています。しかしながらお酒は、間違った使い方をされてしまうことも少なくありません。

お酒、すなわちアルコールは、私たちが身近に手に入る嗜好品ですが、その成分としての作用はとても大きいです。そしてその作用の仕方は、人によってもそれぞれ異なります。その違いはどこから来るのでしょうか?

ここでは、お酒(アルコール)が体にどのように作用し、どのように分解されていくのかについて詳しくお伝えしていきます。アルコールのことを正しく知って、健全な飲酒につなげていただければ幸いです。

 

1.アルコールの成分としての特徴

アルコールには精神依存・身体依存・耐性という3つの特徴があり、非常に依存しやすい成分といえます。

アルコールは、どのような作用があるのでしょうか。成人されている皆様は、ほとんどの方が一度はアルコールを摂取したことがあるかと思います。ですから、アルコールがどのような作用をするのか、いわれるまでもないという方も多いでしょう。

アルコールは、その量によって体への影響が変わっていきます。飲み始めは、気分が良くなり抑えが少しきかなくなります。そしてフラフラして、ろれつが回らなくなってきます。ひどくなると、眠たくなって酔いつぶれてしまいますね。

これがさらにすすんで脳幹機能が低下してくると、生命を維持する機能が弱まってしまいます。意識障害が続き、場合によっては呼吸停止してしまうこともあり、この状態を急性アルコール中毒といいます。

多くの方はここまでいくことはなく、せいぜい酔いつぶれてしまう泥酔期でとまります。翌日は二日酔いでしんどいかもしれませんが、懲りずにまた飲んでしまいますね。

さて、そのようなアルコールですが、大きく3つの問題となる特徴があります。

1つ目は精神依存です。アルコールは、とても作用の実感が強いです。そして時間がたつと、アルコールが体から抜けていったのがわかります。このように効果の実感がとても強いため、アルコールは精神的に依存しやすいという特徴があります。

2つ目は身体依存です。お酒が常に体内にある状態が続くと、その状態に体が慣れていきます。お酒が体から抜けてしまうと、異常と感じるようになります。このときに生じる症状を離脱症状といいますが、手のつりや震え、発汗など異常な自律神経症状が出てきます。時には、不安や焦りが強くなり、幻覚が見えるようなこともあります。

3つ目は耐性です。お酒を飲み続けると、誰しも強くなっていくかと思います。肝臓でのお酒の分解酵素の活性が増加するとともに、脳でのアルコールの感受性が鈍くなります。問題は、この脳の感受性の低下です。簡単にいうと、少量では酔えなくなったということです。結果として飲酒量は増えていくことになります。

アルコールにはこのような特徴があるため、依存しやすい成分といえるのです。その依存のしやすさは、それこそ「百薬の長」です。

 

2.アルコールの吸収と分解

アルコールは肝臓で代謝されます。2つの酵素の働きによって、水と二酸化炭素に分解されていきます。

それでは、アルコールはどのように吸収されて分解されていくのでしょうか。その流れを知ることは、アルコールの影響を理解するのにもとても重要です。

口から入ったアルコールは、胃から約20%、小腸から約80%が吸収されます。そして血液に入取り込まれ、血管をめぐって全身にいきわたります。そして体内に入ったアルコールの大部分は、肝臓を通過するときに代謝されていきます。

肝臓では、アルコールはアセトアルデヒドを経て酢酸に分解されます。酢酸は血液によって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。水と二酸化炭素になれば無害ですね。

その際に重要なのが2つの酵素です。アルコール脱水素酵素(ADH)とアルデヒド脱水素酵素(ALDH1・ALDH2)になります。アルコールが分解されるにあたっては、これらの酵素が働かなければ先に進みません。この酵素が、お酒の強さの違いに影響します。

摂取されたアルコールの2~10%は、そのままのかたちで呼気・尿・汗として排泄されます。ですから飲酒運転の検査で、呼気検査などがされるのです。ガムやアメ、ブレスケアなどでごまかそうと思っても、アルコールが呼気から出てしまうのを消すことはできません。

以下に、アルコールの代謝の流れを図表にして整理しておきます。

アルコールの分解について

 

 

3.お酒で顔が赤くなる人・ならない人

アルデヒド脱水素酵素(ALDH)のうちALDH2の働きが弱い方は、すぐにお酒で顔が赤くなってしまいます。

お酒を飲むと、すぐに顔が赤くなる人も、まったく色が変わらない人もいます。前者をフラッシャー、後者をノンフラッシャーと言ったりします。

この違いはどこから来るのでしょうか。顔が赤くなるかどうかは、実は血中のアセトアルデヒド濃度によって決まってきます。後ほどお伝えしますが、アセトアルデヒドは有害なので、顔が赤くなる人は体への悪影響が大きくなってしまいます。

アセトアルデヒドは酵素(アルデヒド脱水素酵素:ALDH)によって酢酸に分解されていくのですが、その酵素には2通りあります。

お酒に強いか弱いかは、このALDH2酵素で決まってくるといわれています。ALDH2酵素が全くない人は、お酒を全く飲めません。いわゆるお酒に弱くて顔がすぐに赤くなってしまうという方は、ALDH2酵素の働きが不十分なのです。

ALDH2酵素の働きが不十分な方は、日本人の半数といわれています。この場合、お酒を飲むとアセトアルデヒドがスムーズに分解できずに、顔が赤くなって酔いやすくなります。

 

4.お酒への強さの違い~4つのタイプ~

アルコール脱水素酵素(ADH)とアセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の強さの違いで、お酒の強さには4つのタイプがあります。

お酒に対する体への影響としては、4つのタイプがあります。

アルコールからアセトアルデヒドに分解するアルコール脱水素酵素(ADH)の強さと、アセトアルデヒドから酢酸に分解するALDH2の強さによって分けることができます。

お酒の強さの違い4つのタイプ

 

ADHが強いか弱いか、ALDH2が強いか弱いかで、4つのタイプに分けることができます。

ADHが強くALDH2も強い人は、アルコールの分解がスムーズにできます。このためアルコールはすぐに分解され、酔わずにお酒を飲むことができます。

ADHが強くALDH2が弱い人は、アルコールからアセトアルデヒドにはすぐなりますが、アセトアルデヒドが分解されずに残ります。このため顔がすぐに赤くなり、アセトアルデヒドのせいで頭痛などの症状がでてきてお酒が苦手です。

ADHが弱くALDH2 が強い人は、少しずつアルコールがアセトアルデヒドに分解されますが、アセトアルデヒドはスムーズに分解されていきます。ですからほろ酔いが長く続いて、お酒が好きな人が多いです。

ADHが弱くALDH2が弱い人は、アルコールもアセトアルデヒドも分解が遅いです。このため、ほろ酔いが長く続きますが、お酒の影響が残ってしまい二日酔いになってしまいます。

 

5.お酒の身体への影響の違い

女性・高齢者・未成年は、アルコールの影響を受けやすいです。また、顔が赤くなる人は体への悪影響が強まります。

同じ量のお酒を飲んでも、その体への影響は異なります。身体への影響の違いについてみていきましょう。

一般的に女性は、男性と比べてアルコール分解速度が遅いといわれています。ですから同じ量だけ飲酒しても、女性のほうが臓器障害などを起こしやすいことがわかっています。この理由としては、大きく3つあるといわれています。

このため女性の飲酒量は、男性に比べて少なくすることが推奨されています。男性の1/2~2/3程度が適当と考えられます。

また、顔が赤くなる人は身体への影響をうけやすいです。有害なアセトアルデヒドの分解が遅れるためです。このため飲酒後に顔が赤くなる方は、飲酒量を控えることが推奨されています。

高齢者も飲酒量は控えるべきです。肝機能が低下していることも多く、アルコール分解速度は下がっていきます。血中濃度が高くないにもかかわらず、酔い方がひどくなる傾向にあります。高齢者はただでさえ睡眠も浅くなりますし、お薬を服用していることも多いです。

また未成年者は、アルコールを分解する酵素の働きが未発達で、急性アルコール中毒になりやすいです。心身の発達が未発達なので飲酒をセーブすることができず、アルコール依存症になりやすくもあります。飲酒は二十歳をすぎてからとなっているのは、こういった理由があります。

 

6.適正飲酒量とは?

お酒は1日1合~2合が適正飲酒量といわれています。アルコールにして20g相当になります。

それではアルコールは、どれくらいの量ですと適正といえるのでしょうか。これについては、種々の研究からわかってきています。

アルコール摂取量の基準として、お酒の1単位というのが設けられています。およそ純アルコールに換算にして20gを1単位といいます。アルコール量の計算は、お酒の量(ml)×アルコール度数(%)×0.8で計算します。

ビールでは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(110ml)が目安となります。日本では日本酒に換算することが多く、ちょうどお酒1単位=1合となっています。

お酒の種類によるアルコール1単位を比較してみましょう。

適正飲酒の目安を、お酒の種類ごとにまとめました。

 

男性では1日2合、女性では1日1合までであれば、おおむね適正な飲酒量といえます。そのうえで休肝日を作り、飲酒が習慣化しないことが大切です。アルコール治療で有名な久里浜病院の掲げる適正な飲酒としては、以下の12点があげられています。

  1. 飲酒は1日平均2ドリンク以下
  2. 女性・高齢者は少なめに
  3. 赤型体質も少なめに
  4. たまに飲んでも大酒しない
  5. 食事と一緒にゆっくりと
  6. 寝酒は極力控えよう
  7. 週に2日は休肝日
  8. 薬の治療中はノーアルコール
  9. 入浴・運動・仕事前はノーアルコール
  10. 妊娠・授乳中はノーアルコール
  11. 依存症者は生涯禁酒
  12. 定期的に健診を

 

これらを守って、適正な飲酒を意識してください。

 

7.ちょっとのお酒は体によい?

1日1合未満がもっとも死亡率が低いと報告されています。しかしながら、飲酒習慣がない人があえて飲酒することはやめたほうが良いです。

お酒は百薬の長といわれていて、健康によいと考えられてきました。果たしてそれは本当なのでしょうか。

日本人の生活習慣と病気による死亡の因果関係を調べるべく、2005年にJACC studyが行われています。約11万人のコホート研究では、飲酒と死亡率に因果関係が認められました。その他の研究も含めて、飲酒と死亡率の関係はおおむね一致しています。

1日1合未満の飲酒が最も死亡率が低く、そこから飲酒量が増えていくと死亡率は増加していくことが報告されています。まったくお酒を飲まない人よりも、1日1合未満の飲酒をする人のほうが死亡率が低いことが報告されているのです。このことを、J カーブと呼んだりします。死亡率のグラフをかくと、まるでJの字のようになるからです。

お酒は少量ですと、善玉コレステロールであるHDLを増加させたり、血管を拡張させる作用があるといわれています。また、血小板の機能を弱めて血の塊を作りにくいといわれています。このため、心疾患や脳梗塞などのリスクは低下すると考えられます。

ですが、世界保健機関(WHO)と米国保健省(HHS)による発がん物質に関する報告書によると、どちらでもアルコール飲料を明らかな「発がん物質」に分類しています。最近の報告では、少量飲酒で必ずしも死亡率は下がらないという報告もあります。がんによる死亡が増加してきたことも、背景にあるのかと思います。

ですから、お酒を普段飲まない人が無理に飲むべきではありません。お酒は上述のとおり、どちらともいえないのです。さらにはお酒は、依存性があるのでコントロールがきかなくなってしまうこともあります。飲酒習慣がない人は、あえて飲酒することは推奨されていません。

 

まとめ

アルコールには精神依存・身体依存・耐性という3つの特徴があり、非常に依存しやすい成分といえます。

アルコール脱水素酵素(ADH)とアセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の強さの違いで、お酒の強さには4つのタイプがあります。

お酒は1日1合~2合が適正飲酒量といわれています。アルコールにして20g相当になります。飲酒習慣がない方は、あえてお酒を飲まないほうが良いといわれています。