ストレスチェックを安価で楽に乗り切るためには?

アイコン 2016.6.27 ストレスチェック
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2015年12月より、ストレスチェックが義務化されました。初年度をやっていて、今後ストレスチェックをどのようにするべきか悩んでいる担当者の方も少なくないかと思います。

ストレスチェックは義務化ですので必ずやらなければいけません。実際にストレスチェックを行ってみたけれども、あまりメリットを感じていない企業が多いかと思います。「ストレスチェックを安く、かつ楽に乗り切りたい」のが本音…という企業や人事担当者は多いかと思います。

安価なストレスチェックで、それでいて楽で、無難に乗り越えるにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

私もストレスチェックサービスの構築から実施責任者も務め、様々な業者さんから情報収集しました。その経験を踏まえて、どのようにすれば無難に乗り切れるのかを考えていきたいと思います。

 

1.ストレスチェックの価格・費用差はどこからくるの?

ストレスチェックの費用は、1件0円~3000円です。

ストレスチェックが義務化されたことをうけて、様々な業者がサービスを提供しています。まずは、ストレスチェックにかかる費用の相場をお伝えしたいと思います。

ストレスチェックでは、無料という業者も登場しています。WEBで完結するシステムにしてしまえば自動化できるので、お金の取りどころはいろいろとあるので十分ビジネスになるのでしょう。

あくまで厚労省が提示しているストレスチェックをオンライン上で行うだけになります。集団分析に関しては努力義務になるので、これでもコンプライアンスは十分になります。

しかしながら欠点として、従業員の個人情報を入力する必要があることが多いです。事務手続きが煩雑になることは避けたいと思われる担当者様が多いと思われますので、その点については後述したいと思います。

集団分析を含めてストレスチェックサービスを提供している企業様では、およそ1000円~1500円くらいが相場かと思います。私が構築に協力したサービスは組織分析に差別化をはかりましたが、2500円となっています。今回のテーマとは少しマッチしないかもしれませんね。

高いところですと、ブランド力のある会社が3000円強で提案していますが、これも今回のテーマからは論外ですね。この金額の差はいったいどこからくるのでしょうか?

 

実のところ、ストレスチェックのチェックリストに差があるわけではありません。ストレスチェックの質問紙の内容としては、厚生労働省が標準的なストレスチェックとして示している職業性ストレス簡易調査票57項目、もしくは新職業性ストレス簡易調査票80項目に準じたものがほとんどです。

そもそもこのストレスチェックで、内容で差別化することは困難です。企業側は個人情報をとれないので、活かしようもないからです。

それではどうして価格差があるのでしょうか?その理由は、付加価値の違いです。どのようなフォロー体制があるのか、サービスがあるのかというところです。確かに重要であったり有益なものもありますが、実際は機能しないサービスもたくさんあります。しっかりと見分けなければいけません。

このように、ストレスチェック自体に差別化をしている業者はほとんどなく、その業者が元々もっているサービスを大きくみせて差別化をしているところが多いのが実情です。

 

2.安価なストレスチェックを提供する業者の傾向とは?

入口ビジネスと考えているEAP企業や産業医派遣会社、ストレスチェックと親和性の高いIT企業が多いです。

それでは、安価なストレスチェックを提供している業者にはどのようなものがあるでしょうか?競合調査のためにホームページを読み込んだり、企業の特徴を調べている中で見えてきたのは2つのパターンです。

 

1つは、ストレスチェックを入口ビジネスと考えて、自社の元々あるサービスの営業をかけたいEAP企業や産業医派遣会社、健康診断クリニックなどです。

EAPとは従業員支援プログラムのことですが、外部からサービス提供する企業がたくさんあります。これらの企業は、電話相談やカウンセリング、eラーニングなど、サービスを提供しています。

産業医派遣会社は、産業医顧問契約や嘱託産業医契約を結ぶ入口にしています。産業医契約とパッケージにしている会社も多いです。健診クリニックも同様で、従業員の健康診断の受注のための入り口としています。

これらのサービスを売り込むために、ストレスチェックを安価で提供しています。問題点を顕在化させることで、自社サービスを売り込みたいのだと思われます。一度契約を結んでしまえば、手続き上も契約変更でサービスが入りやすいです。

 

2つ目は、IT企業です。ストレスチェックの質問項目の雛形は厚労省から提供されています。システムを組むのが本業でしたら、これをもとストレスチェックサービスを作るのは可能になります。

このような企業は、ストレスチェックをやるだけになってしまいます。ですから、「実施はするけれどもそのあとのフォローはできません」という形になることも多いと思います。

 

3.安価なストレスチェックの問題点

他のサービスに誘導されること、高ストレス者の対応ができないこと

安価なストレスチェックを行う企業の傾向を踏まえて考えてみましょう。

1つ目のEAP企業からみてみましょう。こちらで危惧されるのは、不調者が多くなる傾向にあると思います。入口ビジネスと考えるならば、メンタルヘルスのニーズを作っていかなければなりません。

ですから必然的に、高ストレス者は多く出てくる可能性があります。そこまで露骨でなくても、高ストレス者の対応の中で自社のサービスへの誘導がされるかと思います。特に有効性もないのに、高単価のEAPサービスなどを導入される可能性があります。

 

2つ目のIT企業では、ストレスチェックの対応ができないことが問題です。高ストレス者のなかで希望があった方は、医師が必ず面談しなければいけないとされています。ストレスチェックはするけれども対応はできませんでは、困ってしまいます。産業医が対応できる企業でなければ危険です。

どの企業でも共通するのですが、高ストレス者の面談対応をしっかりできるかは最重要ポイントです。高ストレス者と判定されたら、希望者は医師による面談を1か月以内に行わなければいけません。

しっかりと面談ができる産業医がいる企業でしたら問題はないかと思います。もしも産業医がメンタルの対応経験がない場合、大変なことになる可能性があります。

会社は産業医の意見を聞いて、就労上の措置をとらなければなりません。もしも従業員の言いなりになったり常識がない産業医でしたら、マネージメントを無視した意見がでてしまいますね。従業員とケンカしてしまうような産業医でしたら、会社への不満につながったり、場合によっては休職になるケースもあるかと思います。

厚労省のストレスチェックでは、「積極的に訴える人」が高ストレス者になりやすいので注意が必要です。

 

4.安くても無難なストレスチェックにする方法

従業員との面談能力がある産業医、できれば精神科の経験のある産業医を選任することが、ストレスチェックを安価にすませられるだけでなく、中長期的にリーズナブルになります。

このように安価なストレスチェックの問題点をみていくと、産業医の選任が重要ということがお分かりいただけるかと思います。結局のところ、最後の砦は産業医だからです。

もっとも産業医に求められるのは、面談力です。私もまだまだ若輩者ですが、偉そうに産業医面談について語ってみたいと思います。

一番大切なことは、「冗談が通じるかどうか」です。つまり、普通の人の感覚をもてるかどうかということです。

医者はそもそもが変わっている人が多いです。勉強というひとつの能力がとびぬけていれば、何か他の能力が落ちていることが多いです。そうでなくても、医者は対等な人間関係になれていないことが多いです。

診察室では患者さんが「先生」と呼んで、若手の医師であっても敬語で接してくれます。それが当たり前になって、年配の方に向かってタメ口になる医師も少なくありません。MR(製薬会社の営業)さんは廊下で待機していて、医師をみかけると愛想を振りまきます。どんな医師にもお世辞をいっています。

いかに優れた技術をもつ医療者でも、いかに立派な経歴をもつ医師でも、病院の外で働く産業医には意味がありません。治療をするわけではないのです。従業員は、それこそ自分の意志ではなく面談させられることもあるのが産業医の現場です。

このことを理解して、相手の状況や心理をくみ取ったうえで面談ができることが産業医には求められます。

さらにメンタルに関しては、専門的な取り扱いが必要になります。精神科での経験をしていなければ、メンタル不調の従業員に対する接し方がわかりません。それこそ身体の病気を普段見ている医師は、「寝れば治る」「気持ちの問題」などと思っている方も多いです。

ストレスチェック制度に限らず、今後の安全・衛生面でスムーズに進めていくためには、産業医について改めて役割を見直していただく方がよいかと思います。

産業医選任について詳しく知りたい方は、「産業医の選任にあたって、産業医の上手な選び方」をお読みください。

※この記事の最後に、お問合せフォームを用意しました。産業医の選任やストレスチェックの選び方に関して、ご相談にのらせていただきます。

 

5.担当者が楽なストレスチェックにするためには?

従業員の個人情報リストをすぐに作れるのならば問題ありません。少しコストはかかりますが、マークシートにするのも方法です。

ストレスチェックのコストを落とせないかということも大切ですが、「楽」に行えるかどうかも大切です。

どのストレスチェックサービスを使うかによって、実施事務者の作業量は大きく変わってきます。実施事務者が行う可能性のある事務作業は以下のようになります。

この中で、もっとも大変になるのは個人情報の収集です。

WEBで行うサービスはすべて、企業側で個人情報を集めなければなりません。リストにしたら委託業者側で入力してくれるところもありますが、多くが企業担当者がインターネット上で登録していきます。

個人情報の取り扱いはリスクもあるので、できるだけ避けたいところです。すべてのデータを入力するのは手間もかかりますね。ですが一度登録してしまえば、翌年以降は変更点だけを更新していけばすむようになります。割り切ってしまうのも方法です。

この事務手続きを軽減するには2つの方法があります。

一つ目は、マークシート式のサービスを選ぶという方法です。マークシートでは、個人情報を自分で記載する形になります。これでしたら、マークシートを回収するだけで済むようになります。

マークシートにするとややコストは上がってしまいますが、600円~1200円/1件ほどになります。

二つ目は、事前にアンケートを行う方法です。「ストレスチェックを希望するか?」「希望するならば個人情報を記入してください」というアンケートを取ります。

この方法を行うと、ストレスチェックを対象従業員の希望者に行うというコンプライアンスは満たすことができます。このようなアンケートを行うと、希望者は1/3ほどにしぼられます。

ただし、ストレスチェックの受検率は低くなってしまいます。法的なコンプライアンスは問題ないのですが、労基署に提出するときの見え方が悪くなります。

 

まとめ

ストレスチェックを、「安く」「楽に」済ますためにはどうすればよいのかについて考えていきました。

ストレスチェック制度は、このままの形では形骸化してしまうように感じています。まるで二千円札のようになりかねません。どのような形になるのか、まずは簡易に導入して様子をみるのも選択肢かもしれません。

もしくはこれを機に、集団分析などに力を入れる機会にもできるかもしれません。

私はストレスチェックサービスの立ち上げの中で、さまざまな業者と比較しながらサービスをつくってきました。現在でも、ストレスチェック情報にはアンテナを張り続けています。

客観的な立場で、御社に最適なストレスチェック選びのお手伝いをさせていただければと思います。そしてご興味くださった方には、産業医選びのお手伝いもさせていただきます。ここで少しだけ営業させてください。

ご興味くださった方は、以下のフォームにご入力の上、送信してください。

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