解決困難な人間関係のストレスを2段階で解消する方法

アイコン 2016.1.15 セルフケア

人の世の中はストレスであふれています。そしてそのストレスの多くは、人間関係から来るものです。

仕事では上司や部下や同僚、家庭では妻や夫や子供や両親、プライベートでは友人やライバル、ひとりの人を取り巻く人間関係はとても複雑で、対人ストレスは絶えず生まれてきます。

心療内科や精神科に来られる患者さんの多くは、何らかの対人ストレスを抱えています。どのようにして患者さんの対人ストレスを解消できるのか、日々の診察で試行錯誤してきました。

ストレス発散をすればよいのかというと、それだけで解消できないストレスもたくさんあります。ここでは、どうしても解消できない対人ストレスについて、日々の診察の中で感じている現実的な2段階にわけた解消法をお伝えしていきたいと思います。

ちょっと極端な部分はありますが、あくまで本当に解消できないような人間関係のときの解消法です。ちょっとした人間関係であれば、すこし見方を変えてみたりすることで変わることも多いです。

 

1.どのような対人関係が理想なのか?

改めて自分の対人関係を整理してみましょう。本当に重要な人とは心を通わせる努力をして、それ以外の人には程々に上手くやれればよいという対人関係の意識をしてみましょう。

対人関係を考えていくには、まずはどのような対人関係が理想なのかを考えていく必要があります。ただやみくもにストレス発散法とか気持ちの切り替え方などを学ぶよりもずっと大事です。

人は誰しも周りの人には嫌われたくないと思います。好んで人に嫌われようとする方は、よほどのことがないとありません。そして多くの方が、皆から好かれたいと思っています。それは無理だと頭では分かっている方でも、心の底では思っていることがほとんどです。

ですが現実的に皆から好かれることが不可能なことは、多くの方が知っていると思います。自分だってすべての人が好きなわけではありません。嫌いな人や腹が立つ人もいます。裏を返せば、自分も誰かに嫌われていることもあるのです。

ですが多くの人は、頭でわかっていても、心では誰もから好かれたいという思いを捨てられません。ですから、人間関係が上手くいかないと大きなストレスに感じてしまうのです。

人間関係のストレスを解消を考える時に最も大事なことは、人間関係そのものに関しての明確なゴールを持つことです。個々の人間関係には濃さがあります。その濃さに応じて、人間関係の目標を定めましょう。

 

対人関係に焦点を当てた精神療法として対人関係療法があります。この治療の考え方では、明確なゴールがあります。両親や兄弟姉妹、夫や妻、恋人や大親友など、その人との関係性が自分の気持ちの安定に影響が大きい「重要な他者」を確認します。

そのような重要な他者とは心を通わせるようにして、それ以外の人には程々にうまくやっていければよいという目標です。この気持ちを整理するだけで、人間関係でのストレスに対して肩の力を抜いて接することができるようになる方もいます。

重要な他者との関係の築き方については、「対人関係療法とはどういう治療法なのか」をお読みください。ここでは、ほどほどに上手くやればいい人間関係についてのストレス解消法を考えていきたいと思います。

 

2.人間関係のストレスを2段階で解消しよう

①割り切り②マネージメントの2段階に分けて、人間関係のストレスを受け止めていきましょう。

ここでは、ほどほどに上手くやればいいい人間関係に対して、どのようにしてストレスを解消していけばよいのかを考えていきましょう。

ほどほどに付き合えばよいといっても、例えば会社の上司であったり、これからも付き合いの続くママ友達であったり、上手くしなければいけないことが多いです。そのような方と上手く付き合っていくためには、大きく2つの段階で考えた方がよいです。

  1. 割り切る
  2. マネージメントする

いきなり色々なことをやろうとすると、たいてい上手くいきません。相手に対して複雑な感情を抱いたまま上手く付き合おうとすると、自然とその感情は相手にも影響してしまいます。ですから、感情に対しての割り切りができるようになることから意識した方がよいのです。

それが上手くできるようになれば、次はマネージメントの段階です。マネージメントというと堅苦しくなってしまいますが、要は「上手く付き合いために何とかすること」になります。あえてマネージメントという言葉を使ったのは、戦略的に考えていけば、もし上手くいかなかったとしてもダメージが少ないからです。

このようにして、上手く付き合っていく方法を見つけていきましょう。

 

3.人間関係のストレス解消法①-割り切る

割り切るためには、その人と人間関係を維持することで得られるメリットを意識的に考えるようにしましょう。

それでは具体的に、どのようにして人間関係を割り切ればよいのでしょうか。その方法を考えていきましょう。

まずはじめに、対人関係の目標を再認識しましょう。その人との人間関係は、あくまで「ほどほど」でいいのです。決して無理に親密にならなくていいのです。苦手意識があると、過度に上手くやらなければという気持ちが働いて、余計に上手くいかなくなります。肩の力を抜いて取り組んでいきましょう。

割り切るためにどうすればよいのか、その答えはひとつです。

「自分にとってのメリットを考えること」

これにつきます。その人とつながっていることでどのようなメリットがあるのか、自分にとってだけのメリットを考えてみましょう。そこまでしなくてもと思うかもしれませんが、紙にかき出してしまうことをお勧めします。紙にかき出すことで、ぼやけていたことが文字として形になります。自分の中での認識が強まるのです。

上司であれば、「この人とうまくやっていけばお金がもらえる」とか「ミスをしても上司が責任をとってくれる」とか「自分の好きな仕事を続けることができる」など…

ママ友であれば、「子供が周りと仲良くできる」とか「子供の進学情報が手に入る」とか「他のママ友と仲良くできる」など…

ストレスなことがあったら、人間関係を維持することで得られるメリットを意識的に考えて割り切りましょう。

 

4.人間関係のストレス解消法②―マネージメント

うまく割り切れるようになれば、ストレスと感じることも少なくなってくるはずです。うまくストレス発散をしながら、何とか付き合っていけるようになります。

そこまでいったら今度は、相手を自分が思っているように仕向けていく練習をしてみましょう。「上手くマネージメントができたら儲けもの」とプラスに捉えて、戦略的にとりくむと気持ちが楽です。マネージメントをするためには、大きく3つのステップがあります。

  1. 自分を知ること
  2. 相手を知ること
  3. 上手く自分を伝えられること

 

4-1.自分を知ること

抱えている葛藤はないでしょうか?それが知らず知らずに、人間関係に影響していることがあります。

自分のことは、他人よりも知っているようで知りません。人間関係を考えるに当たっては、自分のことをよく知ることも大切です。自分が変わることで相手も影響を受けて変わっていくこともあるのです。

自分から湧き出てくる感情は、2種類あります。相手が自分に向けた感情に対する反発としての感情と、自分のかかえている葛藤や性格との間で反応して生まれた感情です。

簡単にいうと、相手がイライラをぶつけてきたらそれに対して自分もイライラします。それとは別に、例えば父親に厳しく育てられた過去が葛藤となっていると、同世代の男性に普通に指摘されたことにもイライラしてしまいます。

まずは冷静に自分を振り返りましょう。何かかかえている過去はないでしょうか。そのような過去がある時は、少しずつ整理していくことも大切です。その根が深いときは、カウンセリングなども一つの方法でしょう。

 

4-2.相手を知ること

「相手の立場の想像」と「相手の人としての分析」をすることで、相手のことを知りましょう。

つぎに、相手のことを知りましょう。相手をよく知らなければ、城は落とせません。2つの面から考えていきましょう。

  1. 相手の立場の想像
  2. 相手の人としての分析

意外とできていないのが、相手の立場の想像です。他人と衝突して、ストレスやモヤモヤ、腹立たしさを感じた時、「相手の立場を想像」したことはありますでしょうか。

相手が上司だと「あえて厳しいことを言ってくれたんだ」、部下だと「まだまだ新人だしな」、恋人だと「異性から言われると嫌なこともあるよな」、家族だと「身内だからこそ心配してくれているんだ」などです。

どうして相手は自分にそういう言動をとってきたのか、相手の立場を考慮してみると割り切りもしやすくなりますし、相手の状況もみえてきます。

 

相手の人としての分析をすることも大切です。例えば上司でしたら、どのような価値観を持っていて、どのような仕事の仕方を好むのか。どういう性格の方で、ストレスがかかるとどのようになりやすいのか。

このように、相手を知ることが大切です。

 

4-3.上手く自分を伝えること

相手のポイントをかせぎながら、「選択肢を選ばせる」という感覚で自分の意志を伝えましょう。

自分のことを知り、相手のことを知り、それを踏まえて上手く自分のことを伝えていく必要があります。そのためには3つのステップですすめていきましょう。

  1. 相手のよい面をみる意識をする
  2. 相手の考えに合わせて行動する
  3. アサーションで自分の意見を伝える

人間はある意味「鏡」です。自分が嫌っている相手に、自分を好いてもらえることはありません。何故なら、あなたの「苦手」「嫌い」という感情が、相手にも伝わってしまうからです。意識的に相手のよい面をみるようにしましょう。

そして相手の考えに合わせて行動します。無理して相手を好きになる必要はありませんが、相手に対する接し方を変えると、相手も変わってくれる可能性があります。

伝え方も重要です。同じことを言うにしても、人によってその印象はガラリと異なります。様々なコミュニケーションスキルがあると思いますが、効果の大きなコミュニケーションスキルとして、アサーションを簡単にご紹介します。

アサーションは、自分を大切にしながら相手と上手く接していくためのコミュニケーションスキルです。その要点は、「相手に自分の意見を選択させること」にあります。相手に客観的な状況を伝え、自分の意見も伝えます。その後に、自分の理想案と妥協案を提示します。その決定権を相手に委ねるのです。

相手からすると、真っ向から言われたことに対しては否定したくなります。ですが選択肢を与えれば、自分が選択したという形になるのです。このようにして、上手く自分の意見を伝えて相手を思い通りにできれば、ストレス解消とは違う次元になります。

 

5.マネージメントに失敗したら割り切り

人間関係のマネージメントをすること自体が経験になります。うまくいかなければ、割り切りに切り替えましょう。

マネージメントが上手くいかなかったとしても、それは無意味ではありません。人間関係を円滑にしていく練習と思ってください。その経験はいずれ糧になります。例えば将来的に部下を持てば、本人の自主性を引き出すこともできます。

マネージメントが上手くいかない時は、割り切りに切り替えましょう。割り切る気持ちを大切にして、ストレスを感じないようにしましょう。そして適宜、ストレス発散をしましょう。

多面的な人間という生き物には、もちろん「短所」と「長所」の2つが存在します。「長所もあるけれど短所も…」と不満に思ってしまうかもしれません。言葉には順番があり、最後に良いことを持ってくれば、それでなんとなく収まるものです。

相手の長所を心にとめ、「短所もあるけれど長所もある!」と思えれば、少しは割り切る助けになります。

 

まとめ

まずは自分の対人関係を整理してみましょう。本当に重要な人とは心を通わせる努力をして、それ以外の人には程々に上手くやれればよいという対人関係の目標を意識をします。

その上で、

  1. 割り切り
  2. マネージメント

の2段階に分けて、人間関係のストレスを受け止めていきましょう。