職場でできる4つのスメハラ対策

アイコン 2015.5.21 安全衛生委員会

最近では、「匂い」に対する職場での問題が注目されています。匂いの嫌がらせを意味するスメルハラスメントという言葉も生まれました。匂いの問題はとてもデリケートですから、取扱いが非常に難しいです。

個人レベルで会社レベルで、どのような「スメハラ」対策をとっていけるのでしょうか?ここでは、職場の匂いの問題について考えていきたいと思います。

 

1.「匂い」問題が難しい理由

本能や感情に訴えるので、理性では解決しにくいです。また、慣れや好みなどで、自分の匂いに気づけなくなってしまいます。

匂いがどのようにして感じられるかご存知でしょうか?このメカニズムを知ると、匂い問題が難しい理由がお分かりいただけると思います。

匂いは鼻から感じるものですが、実は「匂い物質」によるものです。鼻の上部には嗅上皮という匂いを感知する部分があります。そこには約400種類の嗅覚受容体という匂いセンサーがあります。この匂いセンサーは、匂い物質に対していろいろな組み合わせ方で反応します。その組み合わせは無数にあって、人間は数十万の匂いを識別できるといわれています。その匂いが嗅神経から脳まで情報が運ばれて、「匂い」として感じられます。情報が伝えられるのは、脳の中でも本能や感情と関係が深いといわれている大脳辺縁系です。ですから、匂いに対しては、「生理的に無理」という方も多いのです。理性では解決できない問題になることが多いのです。

また、匂いには慣れがあります。みなさんも、最初は「あれ?」って思ったけれど、時間がたつと匂いを感じなくなる経験はありませんか?ずっと同じところにいると、匂いに段々慣れていってしまいます。あなたは自分の匂いがどのようなものかわかりますか?自分の匂いに常にさらされていると、自分自身では気づけなくなってしまうのです。

また、匂いには好き嫌いがあります。10人が10人好きな匂いというものはなかなかありません。どんなに良い香水や柔軟剤でも嫌いな人もいます。良い匂いという思い込みが、匂いの迷惑を気づけなくしてしまいます。

このような「匂い」の特徴が、問題を深くします。本人がなかなか気づけないので知らせることもできず、かといって直接言うことはできません。ですが、本能に訴えかけるのでガマンもなかなかできません。

 

2.職場でよく問題になる匂い

生理的な匂い、習慣によるもの、知識不足によるものの3つに分けられます。

人が不快になる匂いには共通点があります。それは菌の繁殖が原因であることです。菌によって作られる匂い物質が不快な匂いをひきおこします。職場ではどのような匂いが問題になるでしょうか?大きくわけて3つあります。それぞれみていきましょう。

①生理的なもの:腋臭(ワキガ)・加齢臭(体臭)
②習慣によるもの:口臭・タバコ・香水や柔軟剤
③知識不足によるもの:室内干しの匂い・足の匂い

私が産業医として活動している中で、良く問題となるものを挙げてみました。

生理的なものとしては、ワキガや加齢臭などがよくあります。これらに関しては、本人の体質という部分もあるので、なかなか注意がしづらいですね。個人で伝えるのは困難に思います。職場からアプローチするしかありません。

習慣によるものに関しては、本人の心がけ次第で変わることができます。この点に関しては、タバコや香水や柔軟剤に関しては、直接本人に伝えられる方もいるかと思います。立場的に言いやすい方が、本人に伝えるようにしましょう。口臭はなかなか難しいですね。こちらも職場としてのアプローチが必要になります。

知識がなくて、本人が気づいていない匂いもあります。性格として言える方もいらっしゃるかと思いますが、女性には「臭い」とは言えないものです。こちらも職場からのアプローチが必要になります。

 

3.職場での匂い対策(個人)

それでは個人としては、匂い対策としてどのようなことができるでしょうか?考えていきましょう。

 

3-1.困っていることを伝える

安全衛生に関わる方に伝えましょう。

まずは困っていることを、職場の安全衛生に携わっている方にお伝えしましょう。組織としての対応につながることがあります。

匂いの問題は、最近は会社としても大きな問題という認識にかわりつつあります。実際に人事や総務などに対する相談も増えてきています。また、組織で働いた経験がある方の多くは、匂いに関する困った経験の一つや二つ持っています。ですから、仕事に影響がでるレベルでしたら気兼ねなく伝えてください。

 

3-2.消臭剤をこっそりおく

無臭で目立たないものを選びましょう。

こっそり消臭剤などを自分のデスクに起きましょう。その際は香料のない無臭のものを選びましょう。いい香りが他の人にとっては不快になってしまうこともあります。デスクの隅にこっそりとおけば、一見わからないものも発売されています。ぜひ探してみてください。

気になる方は、カバンの中などに忍ばせて、机の端に置くのも手です。空気口が上にあるタイプのものを選んでおけば、カバンを立て掛けておけば、効果があります。

 

3-3.扇風機をおく

扇風機は夏場には違和感がないです。

空気の流れを変えれば、匂い物質は風下へ流れていきます。一番匂いがきつくなる夏場では、扇風機は置きやすいですね。「私、暑がりなんです」といって小型の扇風機をおいてしまいましょう。空気の流れを作ってあげると、匂いはかなり軽減されます。

 

3-4.活性炭入りマスクをつける

マスクが苦手でなければ、よい方法です。

苦手でない方はマスクをしてしまうのも方法です。花粉症ですと春~夏前までしか通用しないことが多いです。ですが、ハウスダストアレルギーといえば、季節を問わずに使えます。マスクをつけることに抵抗がない方にはおすすめです。さらには、マスクをつけることで保湿効果があるので、風邪にも引きにくくなります。

その際は、活性炭入りのマスクを選びましょう、活性炭がニオイ物質を吸着してくれるので、匂いが軽減されます。

 

4.職場での匂い対策(会社)

それでは会社としては、匂い対策としてどのようなことができるでしょうか?考えていきましょう。

 

4-1.従業員全体に気づきを促す

狙いどころを定めて社内報をうちましょう。エチケット講座などを活用するのも方法です。

一般的によく行う対策としては、全体に伝えることで本人の気づきを促していくやり方です。時間はかかりますが、繰り返すことで少しずつ効果がでてきます。直接本人に伝えにくい場合は、匂いのエチケットとして全体に周知させていきましょう。

昔はタバコも当たりまえに街中で吸っていたかと思います。社会全体として、長年にわたって注意喚起をしてきた結果、周囲に気を配りながら喫煙することが当たり前の意識に変わってきています。匂いに対しても同じように、社内文化としてエチケットの意識を作っていきましょう。

ワキガや加齢臭、室内干しや足の匂い、口臭など、直接本人には言えないに対しては、このような外堀を埋めるような作戦で行きましょう。時間をかけて本丸を落としましょう。

全体への注意喚起の仕方としては、衛生委員会や人事などから社内報をうつことが多いです。狙いどころを定めて、問題の本人に届けるつもりで社内報を作ってみてください。よろしかったら、「自分の匂いをチェック!スメハラとは?」をご活用ください。エチケット講座のようなものも開催されていますので、問題が深刻ですと利用してみるのも手かもしれません。

 

4-2.就労規約や服装規定にもりこむ

就業規則の服務規律に匂い対策を盛り込むことも方法です。

個人には注意しにくい匂いに関して、全社員が守らなければいけない規則に落とし込んでしまうのも一つの方法です。そうすれば、「規則でこうなっているから注意してください」というような形で、本人に指摘もしやすくなります。

しっかりとルール化するには就業規則を見直しましょう。服務規律の中の遵守事項の中で記載しておくことで、入社時の入口段階でも注意喚起することができます。そこまでではないのでしたら、社内の服装規定を具体的に作って周知させましょう。身だしなみの項目に加えて、匂いも具体的に明記しましょう。香水はダメ、昼食後の歯磨き、汗のケア、タバコのケアなどです。個人の習慣による匂いに関しては、これで注意がしやすくなります。

このようにして、匂いは個人の問題ではなく、会社全体の問題という意識をもたせていきます。

 

4-3.部署や職場で習慣をつくる

食後歯磨きの職場習慣、換気のルールを作るなどの試みは部署レベルでも可能です。

会社全体とまでいかなくとも、部署や同じフロアのレベルで全体としての習慣作りをするのもひとつの方法です。できればポジティブな理由を作りましょう。

例えば、食後の歯磨き。歯磨きをすると口がスッキリするし、目が覚めます。お昼の後は眠くなってしまうもの、それを理由にしてみんなで習慣化してしまうのも方法です。口臭問題が深刻でしたら、午後の始業の最初に時間をとってもよいかもしれません。5分で終わりますし、午後の全体的な仕事効率が上がるかと思います。

換気のルール作りなどをしてもよいかもしれません。二酸化炭素がたまってくると眠気につながります。これを理由に、定期的な換気を促してみましょう。

 

4-4.空調機器を充実させる

サーキュレーターや空気洗浄器を設置しましょう。

予算に余裕があるのでしたら、空調機器を充実させましょう。サーキュレーターを設置して、さりげなく風の向きなどを、意識的に調整するのも方法です。空気を撹拌してくれるので、二酸化炭素対策にも有効です。

空気洗浄器には脱臭機能が強いものもあります。フィルターが活性炭入りであったり、イオンに脱臭作用があったりします。冬場の加湿対策もかねて、少しずつ揃えていくのもよいかもしれません。

 

まとめ

匂いは本能や感情に訴えるので、理性では解決しにくいです。また、慣れや好みなどで、自分の匂いに気づけなくなってしまいます。

職場でよく問題になる匂いとしては、生理的な匂い、習慣によるもの、知識不足によるものの3つに分けられます。

個人でできる対策としては、

会社としてできる対策は、