レダコート錠(トリアムシノロン)の効果と副作用

アイコン 2016.9.18 その他のステロイド内服薬
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レダコート(一般名:トリアムシノロン)は、1958年にアルフレッサ ファーマ製薬会社が発売した内服薬のステロイド薬になります。

実はステロイドは、体の中で作られているホルモンです。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。このステロイドの効果として、

を期待して、アレルギーやリウマチなどの自己免疫疾患、さらには癌領域や感染症領域にも広く使用されているお薬です。特にレダコートは、硬質コルチコイドの作用が弱いという特徴があります。

硬質コルチコイドは、水分や塩分を体内に取り込む副作用があります。これらの副作用が少ないため浮腫や高血圧の作用が少ないという特徴があります。さらにレダコートは、食欲増進作用が弱いという特徴があります。

ここでは、レダコート(トリアムシノロン)の効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.レダコートのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

レダコートなどのステロイドは、

を中心に、アレルギー疾患や炎症性疾患、自己免疫疾患など多くの疾患に使用されています。一方でステロイドはこの二つの作用だけでなく、様々な作用があるお薬です。そのため効果も強いですが副作用も多く、レダコートでも副作用に注意が必要です。

なお、抗炎症作用と免疫抑制作用は、ステロイドの糖質コルチコイドの作用です。一方でステロイドは、糖質コルチコイドの他に硬質コルチコイドの作用があります。

硬質コルチコイドは、水分や塩分を体内にため込む作用があります。これによって高血圧や心不全が引き起こされるため、硬質コルチコイドの作用は副作用となってしまうことが多いです。

レダコートは、硬質コルチコイドの作用が弱いお薬とされています。最もよく使用されるステロイド薬のプレドニンと比較してみましょう。

プレドニンは糖質コルチコイドの力価が4、硬質コルチコイドが0.6とされています。一方のレダコートは、糖質コルチコイドの力価が5、硬質コルチコイドが0となっています。このように、レダコートは硬質コルチコイドの作用が少なく済むため、高血圧や心不全の方に使いやすいお薬と考えられています。

さらにレダコートは、中期作用型のステロイド薬です。生物学的半減期が12~36時間といわれています。大体半日程度で効果が無くなってくるというイメージです。そのためレダコートの投与量が多い場合は、1日2回に分けてみたりと小回りが利きます。

またレダコートは、ステロイドに多い食欲増進の作用が少ないという特徴があります。食欲増進を期待してステロイドを処方する場合もありますが、大部分は食欲増進は糖尿病や高血圧を増悪する一因となります。

特に糖尿病の人は食事制限しなければいけないため、食欲が増進されると困る方はレダコートはお勧めです。

 

2.レダコートの適応疾患は?

レダコートは、ステロイドの内服薬として非常に多岐にわたる疾患に対して適応があります。

この2つの作用によって、ステロイドが効力を示す病態は無数にあります。様々な研究でステロイドの効果が認められたという報告から、現在も適応疾患が増えているお薬です。

現在も適応疾患がどんどん増えています。大まかにあげると、

  1. 内分泌疾患:慢性副腎皮質機能不全・甲状腺疾患など
  2. リウマチ疾患(膠原病疾患):関節リウマチ・エリテマトーデス(SLE)・多発性筋炎(皮膚筋炎)・強皮症など
  3. 川崎病
  4. 腎疾患:ネフローゼ及びネフローゼ症候群
  5. 心疾患:うっ血性心不全
  6. アレルギー性疾患:気管支喘息・化学物質によるアレルギー・中毒(薬疹・中毒疹を含む)
  7. 感染症:抗菌薬と併用
  8. 血液疾患:溶血性貧血・白血病・再生不良性貧血,
  9. 消化器疾患:限局性腸炎・潰瘍性大腸炎・劇症肝炎、
  10. 癌疾患:全身状態の改善
  11. 肺疾患:サルコイドーシス・間質性肺炎
  12. 神経疾患:脳脊髄炎・末梢神経炎・筋強直症・重症筋無力症・多発性硬化症
  13. 整形外科疾患:強直性脊椎炎
  14. 産婦人科疾患:卵管整形術後の癒着防止
  15. 皮膚科疾患:軟膏が効かない重症皮疹
  16. 眼科疾患:点眼が不適当又は不十分な場合・眼の炎症疾患
  17. 耳鼻咽喉科疾患:中耳炎・メニエル病・アレルギー性鼻炎・喉頭炎・喉頭浮腫

これはよく使用される疾患を抜粋したものです。ここに記載されていない疾患でも、レダコートは投与されます。レダコートはこのように、非常に多くの疾患で使われるお薬です。

 

3.レダコートの剤形・薬価は?

レダコートは錠剤のみあります。ジェネリック医薬品はありません。

レダコートは、

の剤形のみ先発品として発売されています。

  剤形 薬価 3割薬価
レダコート錠 4mg 24.5円 7.4円

※2016年9月17日の薬価です。

レダコート錠は非常に古いお薬ですが、ジェネリック医薬品がありません。レダコートは非常に古いお薬であるため、後発品自体が出てきた時には処方数が減少しており、他の会社が開発に乗り出さなかった経緯があるためです。

 

4.レダコートと他のステロイドの比較は?

レダコートは、中期作用型のお薬です。硬質コルチコイドの作用がないのが特徴的です

ステロイド内服薬は多くのお薬が発売されています。それらのお薬の中で、レダコートはどういった位置のお薬になるか見てみましょう。

ステロイドの内用薬の比較について

まずステロイドは、

の3種類に分けられます。生物学的半減期の期間が、お薬の効き目が無くなってくる時間だと思ってください。時間に幅があるのは、

などによって非常に個人差が大きいお薬だからです。

この中でレダコートは、中期作用型のお薬になります。つまり半日から1日程度効果が持続するお薬になります。そのため一般的には、レダコートの内服は少量だと1日1回、大量に投与する場合は2回に分けることが多いです。

次にステロイド自体の強さですが、ステロイドはさらに2種類のホルモンに分けられます。

ステロイドの治療を期待するのは、大部分が糖質コルチコイドの抗炎症と免疫抑制作用です。一方の硬質コルチコイドは、水・電解質代謝作用によってNa(塩分)が体内貯留する作用を引き起こします。Naが体内に貯留することで、高血圧やむくみなどの副作用を起こします。

つまり抗炎症・免疫抑制作用を期待してステロイドを投与する場合は、糖質コルチコイドの力が強くて硬質コルチコイドの力が弱い方が良いことになります。

このステロイドの強さを表すのに、力価という言葉を使用します。一般的には、ヒドロコルチゾンの糖質コルチコイド・硬質コルチコイドの力価を1として基準とすることが多いです。

この場合、トリアムシノロンの糖質コルチコイドの力価は5、硬質コルチコイドの力価は0となります。

力価で計算して投与量を調整するため、この力価の大きさで病気に効きやすさが変わるわけではありません。力価が強いということは、少量でガツンと効くという意味です。

この硬質コルチコイドの作用が、上述したようにプレドニンより少ないのがレダコートの特徴です。

このようにレダコートは他のステロイドと比較すると非常に使いやすいお薬となています。

 

5.レダコートの副作用の特徴

レダコートの投与量及び投与期間によって、出現する副作用および頻度が大幅に変わります。

レダコートの添付文章では、詳細な副作用の試験は実地されていないとされています。そのためレダコートを内服したらどのくらいの副作用がどの程度起きるか正確なデータがないのが実情です。そもそもレダコートの、

で全く副作用の出現頻度が違います。さらにいえば、

によっても副作用は大幅に変わります。そのためどの副作用がどれくらい起きるかは、個々人によって大きく異なります。代表的な副作用としては、以下のようなものがあげられます。

  1. 満月様顔貌・肥満(ステロイドによる脂肪細胞の増殖および水分を体内に取り込む作用で起きます。)
  2. 細菌やカビなどの感染症に弱くなる(免疫を抑えるため防御が下がります。普段なら感染しないような特殊な菌にも感染しやすくなります。)
  3. 糖尿病(ステロイドが筋肉や脂肪を燃やし血糖値を上昇させます。)
  4. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(ステロイドが胃腸に働くことでストレスがかかります)
  5. 高血圧・浮腫(ステロイドで血管が収縮します。さらに水分やNaを貯留するため血管内の水分が増えます。)
  6. 肝機能障害(ステロイドが肝臓を通して炎症を抑えるため負担がかかります)
  7. 緑内障・白内障(ステロイドで眼圧が上がったり、目のレンズが濁ったります)
  8. 精神障害(ステロイドでイライラしたり眠れなくなります)
  9. 骨粗鬆症(ステロイドは骨にも作用し、骨密度が低下します)
  10. 筋力低下(ステロイドによる筋肉を分解する作用で筋力が低下します)
  11. 月経異常(ステロイドホルモンは性ホルモンと似ている部分があるため、生理不順が起きます)
  12. ニキビ・皮下出血(皮膚の代謝異常でおきます。ステロイドで皮膚や筋力が衰え出血しているように見えます)

この中でレダコートの特徴として、水・電解質作用を引き起こす硬質コルチコイドの力価がステロイドの内服薬の中で最も高いことが挙げられます。

硬質コルチコイドの作用で、

このような副作用が考えられますが、レダコートでは短期作用型のステロイドやプレドニンよりも起きづらくなっています。ただし上の表では硬質コルチコイドが0と記載していますが、実際副作用は起こり得るので注意しましょう。

それぞれの副作用の対策はプレドニンと同じため、「プレドニンの副作用と対処法は?」を一読してみてください。

 

6.レダコートの安全性について

レダコートを使用するにあたり気を付けるべき点は多いですが、生ワクチンなどは打たないように記載されているので気を付けましょう。

レダコートの原則禁忌ですが、

  1. 感染症・全身の真菌症の患者[免疫が抑制されるため]
  2. 結核性疾患の患者[免疫が抑制されるため]
  3. 消化性潰瘍の患者[胃潰瘍が悪化するため]
  4. 精神病の患者[中枢神経に作用して精神症状が悪化するリスクがあるため]
  5. 単純疱疹性角膜炎の患者[免疫が抑制されるため]
  6. 白内障や緑内障の患者[水晶体線維や眼圧に影響するため]
  7. 高血圧症の患者[電解質代謝作用により、 高血圧症が悪化するため]
  8. 電解質異常のある患者[電解質代謝作用により、 電解質異常が悪化するため]
  9. 血栓症の患者[血液凝固促進作用により、血栓症が悪化するため]
  10. 直近に手術を行った患者[創傷治癒が障害されることがあるため]
  11. 急性心筋梗塞を起こした患者[心破裂を起こしたという報告があるため]

これら11項目が示されています。ただし「原則」禁忌と、原則の二文字が記載されています。これは、上記の疾患の患者さんには投与しないことを原則としますが、特に必要とする場合には慎重に投与するということです。

レダコートなどのステロイドは、必要とする場合にのみ投与するお薬です。多少の副作用があっても、「背に腹は代えられない」状態で使われるのです。

その他、禁忌までは行かなくても気を付けた方が良いとされている疾患は、

  1. 糖尿病の患者(血糖値が上昇するリスクがある)
  2. 骨粗鬆症の患者(骨がもろくなる可能性がある)
  3. 腎不全の患者(腎機能を悪化させる可能性がある)
  4. 肝硬変・脂肪肝の患者(脂質代謝に働き、肝機能が悪くなる)
  5. 脂肪塞栓症の患者(脂質代謝に関与し、塞栓がさらにできる可能性がある)
  6. 重症筋無力症の患者(初期に症状が一時的に悪化することがある)
  7. 甲状腺機能低下の患者(甲状腺機能が悪化することがある)

の7項目が挙げられます。これらは原則禁忌同様にレダコートを使用する際には注意する必要があります。

次に内服中のお薬で気を付けた方が良いのは、添付文章では以下のものが記載されています。

  1. フェノバルビタール・フェニトイン・リファンピシン(レダコート自体の作用が弱まります)
  2. アスピリン・アスピリンダイアルミネート・サザピリン(サリチル酸中毒を引き起こす可能性があります)
  3. ワルファリンカリウム(抗凝固作用を弱めます。)
  4. 経口糖尿病薬、インスリン製剤(経口糖尿病用剤、インスリンの効果を減弱させます。)
  5. 利尿剤(低カリウム血症を引き起こします)
  6. シクロスポリン(ステロイドの大量投与により、シクロスポリンの血中濃度が上昇します。
  7. エリスロマイシン(レダコートの効果が増強します。)
  8. エストロゲン(経口避妊薬を含む)(レダコートの作用が増強します。)
  9. パンクロニウム臭化物・ベクロニウム臭化物(筋弛緩作用が減弱又は増強します。)
  10. ジゴキシン(ジゴキシン中毒が起こります)
  11. ソマトロピン(ソマトロピンの効果が抑制されます。)

以上のお薬をよく使う場合は、レダコートの効果が増強・減弱するため、それを予測して投与量を調整します。また電解質異常や血糖上昇などの副作用が出現するため、結果としてお薬の効果を弱めたり、他の薬の副作用と合わさって効果が大きくなったりします。

そのため上記の内服を他の医療機関で処方されている方はコートリルを内服している旨を必ず伝えるようにしましょう。

 

7.レダコートが向いてる人は?

<向いてる人>

ここまで記載したように、レダコートは最もよく使用されているプレドニンよりも硬質コルチコイドの力価が少ないため、浮腫や高血圧などの副作用が少ないと考えられています。ではなぜプレドニンの方がレダコートより多く使用されているのでしょうか?

それはプレドニンの方が、他の大勢の医師が使用しているからです。医師からすると、プレドニン20mg使用していると言われると何となくイメージが沸きます。一方でレダコート20mg使用していると言われても、多くの医師は処方頻度が少ないことから頭の中で力価を計算し直す必要があります。

そもそも内服する場合のステロイドの量は少ないため、硬質コルチコイドが問題になるような量を投与することはほとんどありません。そのため、プレドニンでも問題にならずに大部分は処方されています。

もし硬質コルチコイドが問題になるとすると、

この3つの疾患は、硬質コルチコイドで容易に悪化するため注意が必要です。そのため、レダコートを考慮することもあります。

ただしプレドニンと直接比較して、レダコートが高血圧や心不全の方に良かったというデータはありません。あくまでも理論上の話です。そのため、プレドニンを高血圧の方に出したから駄目だといってるわけではないので安心してください。

またレダコート以外にも硬質コルチコイドの作用が少ないお薬は、メドロール・リンデロン・デカドロンなどがあります。しかし食欲増進の作用が少ないのはレダコートのみです。

食欲増進を期待してステロイドを処方することもありますが、大部分は副作用となりやすいです。もともとステロイドは血糖値を上げやすいお薬です。そのため食事制限は必須になりやすいのですが、一方でステロイドの食欲増進が多くの患者さんを苦しめることが多いです。

特に糖尿病などの病気の方は、元々食べるのが好きな人が多いかと思います。食べるのを我慢しているのに空腹になりやすいステロイドの副作用は、人によってはステロイドの治療をやめてしまう原因になるかもしれません。

そのため他のステロイドで食事量が増えてしまって悩んでる人はレダコートに一度変更してみると良いかもしれません。

 

8.ステロイドとはどんな物質で、どのような作用があるか?

ステロイドは、体の副腎皮質ホルモンとして作られている物質です。

ステロイドホルモンは、実は体の中で作られているホルモンです。副腎でコルチゾール(ヒドロトリアムシノロン)に換算して、1日当たり5~30mgのステロイドが分泌されています。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。

ステロイドホルモンは一言でいうと「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と命令するホルモンです。ですから抗ストレスホルモンともいわれます。そのため一部の臓器に作用せず様々な臓器に作用します。

どのように元気にするかというと、攻撃のスイッチを入れる代わりに防御のスイッチを切る作用のあるホルモンなのです。朝にステロイドホルモン量が多いのは、活動性が上がるために攻撃のスイッチを入れる必要があるからです。つまりステロイドは良い面ばかりではなく悪い面もたくさんあります。

ステロイドは副腎から作られたホルモンの総称です。実はステロイドは、

など実に多彩なホルモンが含まれています。ステロイド薬は、糖質コルチコイドと硬質コルチコイドの2種類の作用が主に含まれています。

糖質コルチコイドの作用としては、

  作用機序 副作用
抗炎症
作用
炎症性の物質抑制(サイトカイン抑制)
炎症の経路抑制(アラキドン酸カスケード抑制)
 
免疫抑制作用 好中球、マクロファージなど体を守る免疫細胞の抑制
抗体産生の抑制(免疫反応の抑制)
感染しやすくなる
骨代謝
作用
腸管のカルシウム吸収抑制骨の細胞の分化抑制、破壊促進 骨粗しょう症
タンパク質異化作用 筋肉のたんぱく質を分解 筋力低下
糖代謝
作用
血糖値を上げる 糖尿病
脂肪代謝作用 体脂肪増加
コレステロール上昇
脂質異常症
満月様顔貌

など多岐にわたります。この中で、抗炎症作用・免疫抑制作用が主にステロイドに期待される作用です。

一方でもう一つの硬質コルチコイド(アルドステロン・デオキシコルチコステロン)は、

  作用機序 副作用
水・電解質
作用
Na(塩分)の再吸収、貯留水の再吸収、貯留 高血圧
むくみ

硬質コルチコイド自体が少なくなる病気(アジソン病など)以外は、ほとんどこの硬質コルチコイドの作用を期待して投与させることはありません。水や塩分が足りない病態ならば、基本的には点滴などで直接補ってしまいます。

むしろアンジオテンシン阻害薬などの高血圧の治療薬は、この硬質コルチコイドの作用が働かないようにすることで降圧作用をもたらします。

このようにステロイドは、抗炎症作用・免疫抑制作用以外にも様々な作用があるお薬です。

 

まとめ