メドロール錠(メチルプレドニゾロン)の効果と副作用

アイコン 2016.9.17 メドロール
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メドロール錠(一般名:メチルプレドニゾロン)は、ファイザー製薬会社が発売した内服薬のステロイド薬になります。

実はステロイドは、体の中で作られているホルモンです。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。このステロイドの効果として、

を期待して、アレルギーやリウマチなどの自己免疫疾患、さらには癌領域や感染症領域にも広く使用されているお薬です。特にメドロールは、硬質コルチコイドの作用が弱いという特徴があります。

硬質コルチコイドは、水分や塩分を体内に取り込む副作用があります。これらの副作用が少ないため浮腫や高血圧の作用が少ないという特徴があります。この特徴を利用してステロイドパルスといってステロイドを大量投与する場合は、硬質コルチコイドの作用が少ないメチルプレドニゾロンを選択することが多いです。

ここでは、メドロール(メチルプレドニゾロン)の効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.メドロールのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

メドロールなどのステロイドは、

を中心に、アレルギー疾患や炎症性疾患、自己免疫疾患など多くの疾患に使用されています。一方でステロイドはこの二つの作用だけでなく、様々な作用があるお薬です。そのため効果も強いですが副作用も多く、メドロールでも副作用に注意が必要です。

なお、抗炎症作用と免疫抑制作用は、ステロイドの糖質コルチコイドの作用です。一方でステロイドは、糖質コルチコイドの他に硬質コルチコイドの作用があります。

硬質コルチコイドは、水分や塩分を体内にため込む作用があります。これによって高血圧や心不全が引き起こされるため、硬質コルチコイドの作用は副作用となってしまうことが多いです。

メドロールは、硬質コルチコイドの作用が弱いお薬とされています。最もよく使用されるステロイド薬のプレドニンと比較してみましょう。

プレドニンは糖質コルチコイドの力価が4、硬質コルチコイドが0.6とされています。一方のメドロールは、糖質コルチコイドの力価が5、硬質コルチコイドが0.5となっています。

つまり抗炎症作用である糖質コルチコイドの力価20出そうとすると、プレドニンは硬質コルチコイドが3になるのに対して、メドロールは硬質コルチコイドが2と少ない量になります。

このように、メドロールは硬質コルチコイドの作用が少なく済むため、高血圧や心不全の方に使いやすいお薬と考えられています。

さらにメドロールは、中期作用型のステロイド薬です。生物学的半減期が12~36時間といわれています。大体半日程度で効果が無くなってくるというイメージです。そのためメドロールの投与量が多い場合は、1日2回に分けてみたりと小回りが利きます。

 

2.メドロールの適応疾患は?

メドロールは、ステロイドの内服薬として非常に多岐にわたる疾患に対して適応があります。

この2つの作用によって、ステロイドが効力を示す病態は無数にあります。様々な研究でステロイドの効果が認められたという報告から、現在も適応疾患が増えているお薬です。

現在も適応疾患がどんどん増えています。大まかにあげると、

  1. 内分泌疾患:慢性副腎皮質機能不全・甲状腺疾患など
  2. リウマチ疾患(膠原病疾患):関節リウマチ・エリテマトーデス(SLE)・多発性筋炎(皮膚筋炎)・強皮症など
  3. 川崎病
  4. 腎疾患:ネフローゼ及びネフローゼ症候群
  5. 心疾患:うっ血性心不全
  6. アレルギー性疾患:気管支喘息・化学物質によるアレルギー・中毒(薬疹・中毒疹を含む)
  7. 感染症:抗菌薬と併用
  8. 血液疾患:溶血性貧血・白血病・再生不良性貧血,
  9. 消化器疾患:限局性腸炎・潰瘍性大腸炎・劇症肝炎、
  10. 癌疾患:全身状態の改善
  11. 肺疾患:サルコイドーシス・間質性肺炎
  12. 神経疾患:脳脊髄炎・末梢神経炎・筋強直症・重症筋無力症・多発性硬化症
  13. 整形外科疾患:強直性脊椎炎
  14. 産婦人科疾患:卵管整形術後の癒着防止
  15. 皮膚科疾患:軟膏が効かない重症皮疹
  16. 眼科疾患:点眼が不適当又は不十分な場合・眼の炎症疾患
  17. 耳鼻咽喉科疾患:中耳炎・メニエル病・アレルギー性鼻炎・喉頭炎・喉頭浮腫

これはよく使用される疾患を抜粋したものです。ここに記載されていない疾患でも、メドロールは投与されます。メドロールはこのように、非常に多くの疾患で使われるお薬です。

 

3.メドロールの剤形・薬価は?

メドロールは錠剤のみあります。ジェネリック医薬品はありません。

メドロールは、

の剤形のみ先発品として発売されています。

  剤形 薬価 3割薬価
メドロール錠 2mg 9.4円 2.8円
メドロール錠 4mg 17.8円 5.3円

※2016年9 月17日の薬価です。

メドロール錠は非常に古いお薬ですが、ジェネリック医薬品がありません。一方でメドロールの主成分であるメチルプレドニゾロンの注射薬は、後発品も多く発売されています。

投与量が多くなればなるほど、前述した硬質コルチコイドの作用が強くなるリスクが高くなります。そのため大量投与する注射薬では、第一選択肢はメチルプレドニゾロンになります。

使用頻度が多いことから、注射薬はジェネリック医薬品(ソルメルコートなど)が数多く発売されています。

 

4.メドロールと他のステロイドの比較は?

メドロールは、中期作用型のお薬です。硬質コルチコイドの作用が弱いのが特徴的です

ステロイド内服薬は多くのお薬が登場しています。それらのお薬の中でメドロールはどういった位置のお薬になるか見てみましょう。

ステロイドの内用薬の比較について

まずステロイドは、

の3種類に分けられます。生物学的半減期の期間が、お薬の効き目が無くなってくる時間だと思ってください。時間に幅があるのは、

などによって非常に個人差が大きいお薬だからです。

この中でメドロールは、中期作用型のお薬になります。つまり半日から1日程度効果が持続するお薬になります。そのため一般的には、メドロールの内服は少量だと1日1回、大量に投与する場合は2回に分けることが多いです。

次にステロイド自体の強さですが、ステロイドはさらに2種類のホルモンに分けられます。

ステロイドの治療を期待するのは、大部分が糖質コルチコイドの抗炎症、免疫抑制作用です。一方の硬質コルチコイドは、水・電解質代謝作用によってNa(塩分)が体内貯留する作用を引き起こします。Naが体内に貯留することで、高血圧やむくみなどの副作用を起こします。

つまり抗炎症・免疫抑制作用を期待してステロイドを投与する場合は糖質コルチコイドの力が強くて、硬質コルチコイドの力が弱い方が良いことになります。

このステロイドの強さを表すのに、力価という言葉を使用します。一般的にはヒドロコルチゾンの糖質コルチコイド、硬質コルチコイドの力価を1として基準とすることが多いです。

この場合、メチルプレドニゾロンの糖質コルチコイドの力価は5、硬質コルチコイドの力価は0.5となります。(一部のデータでは硬質コルチコイドが0と記載しているところもあります。)

力価で計算して投与量を調整するため、この力価の大きさで病気に効きやすさが変わるわけではありません。力価が強いということは、少量でガツンと効くという意味です。

この硬質コルチコイドの作用が、上述したようにプレドニンより少ないのがメドロールの特徴です。

このようにメドロールは他のステロイドと比較すると非常に使いやすいお薬となています。

 

5.メドロールの副作用の特徴

メドロールの投与量及び投与期間によって、出現する副作用および頻度が大幅に変わります。

メドロールの添付文章では、詳細な副作用の試験は実地されていないとされています。そのためメドロールを内服したらどのくらいの副作用がどの程度起きるか正確なデータがないのが実情です。そもそもメドロールの、

で全く副作用の出現頻度が違います。さらにいえば、

によっても副作用は大幅に変わります。そのためどの副作用がどれくらい起きるかは、個々人によって大きく異なります。代表的な副作用としては、以下のようなものがあげられます。

  1. 満月様顔貌・肥満(ステロイドによる脂肪細胞の増殖および水分を体内に取り込む作用で起きます。)
  2. 細菌やカビなどの感染症に弱くなる(免疫を抑えるため防御が下がります。普段なら感染しないような特殊な菌にも感染しやすくなります。)
  3. 糖尿病(ステロイドが筋肉や脂肪を燃やし血糖値を上昇させます。)
  4. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(ステロイドが胃腸に働くことでストレスがかかります)
  5. 高血圧・浮腫(ステロイドで血管が収縮します。さらに水分やNaを貯留するため血管内の水分が増えます。)
  6. 肝機能障害(ステロイドが肝臓を通して炎症を抑えるため負担がかかります)
  7. 緑内障・白内障(ステロイドで眼圧が上がったり、目のレンズが濁ったります)
  8. 精神障害(ステロイドでイライラしたり眠れなくなります)
  9. 骨粗鬆症(ステロイドは骨にも作用し、骨密度が低下します)
  10. 筋力低下(ステロイドによる筋肉を分解する作用で筋力が低下します)
  11. 月経異常(ステロイドホルモンは性ホルモンと似ている部分があるため、生理不順が起きます)
  12. ニキビ・皮下出血(皮膚の代謝異常でおきます。ステロイドで皮膚や筋力が衰え出血しているように見えます)

この中でメドロールの特徴として、水・電解質作用を引き起こす硬質コルチコイドの力価がステロイドの内服薬の中で最も高いことが挙げられます。

硬質コルチコイドの作用で、

このような副作用が考えられますが、メドロールでは短期作用型のステロイドやプレドニンよりも起きづらくなっています。

多くの疾患に使用される抗炎症作用や免疫抑制作用は、糖質コルチコイドによってもたらせられます。そのため硬質コルチコイドは副作用をもたらす作用のため、敬遠されやすくなっています。

それぞれの副作用の対策はプレドニンと同じため、「プレドニンの副作用と対処法は?」を一読してみてください。

 

6.メドロールの安全性について

メドロールを使用するにあたり気を付けるべき点は多いですが、生ワクチンなどは打たないように記載されているので気を付けましょう。

メドロールの原則禁忌ですが、

  1. 感染症・全身の真菌症の患者[免疫が抑制されるため]
  2. 結核性疾患の患者[免疫が抑制されるため]
  3. 消化性潰瘍の患者[胃潰瘍が悪化するため]
  4. 精神病の患者[中枢神経に作用して精神症状が悪化するリスクがあるため]
  5. 単純疱疹性角膜炎の患者[免疫が抑制されるため]
  6. 白内障や緑内障の患者[水晶体線維や眼圧に影響するため]
  7. 高血圧症の患者[電解質代謝作用により、 高血圧症が悪化するため]
  8. 電解質異常のある患者[電解質代謝作用により、 電解質異常が悪化するため]
  9. 血栓症の患者[血液凝固促進作用により、血栓症が悪化するため]
  10. 直近に手術を行った患者[創傷治癒が障害されることがあるため]
  11. 急性心筋梗塞を起こした患者[心破裂を起こしたという報告があるため]

これら11項目が示されています。ただし「原則」禁忌と、原則の二文字が記載されています。これは、上記の疾患の患者さんには投与しないことを原則としますが、特に必要とする場合には慎重に投与するということです。

メドロールなどのステロイドは、必要とする場合にのみ投与するお薬です。多少の副作用があっても、「背に腹は代えられない」状態で使われるのです。

その他、禁忌までは行かなくても気を付けた方が良いとされている疾患は、

  1. 糖尿病の患者(血糖値が上昇するリスクがある)
  2. 骨粗鬆症の患者(骨がもろくなる可能性がある)
  3. 腎不全の患者(腎機能を悪化させる可能性がある)
  4. 肝機能低下・脂肪肝の患者(脂質代謝に働き、肝機能が悪くなる)
  5. 脂肪塞栓症の患者(脂質代謝に関与し、塞栓がさらにできる可能性がある)
  6. 重症筋無力症の患者(初期に症状が一時的に悪化することがある)
  7. 甲状腺機能低下の患者(甲状腺機能が悪化することがある)
  8. 潰瘍性大腸炎(切迫穿孔、膿瘍がある場合)の患者[炎症反応を抑制するので、これらの疑いがある場合、その徴候を隠蔽するおそれがある]

の8項目が挙げられます。特に⑧の潰瘍性大腸炎はメドロールの添付文章のみ記載されていますが、他のステロイドでも起きえます。そのため、特別メドロールだから潰瘍性大腸炎に気を付けなければいけないというわけではないです。

次に薬で気を付けた方が良いのは、添付文章では以下のものが禁忌と記載されています。

これはステロイドが免疫作用が働くため、弱毒化した生きたワクチンだと、弱っていたとしても病気にかかる可能性があると書かれているのです。ただしこれは、かなり大量のメドロールが投与されていた場合です。

少量のメドロールを投与したからといって、ワクチン接種で病気になる可能性は極めて低いです。

なおワクチンというとインフルエンザワクチンが一番に頭に浮かぶかもしれませんが、インフルエンザワクチンはそもそも不活化ワクチンといって、インフルエンザの一部のタンパク質を体に覚えさせるものです。そのためどんなにメドロールを沢山投与しても、インフルエンザにかかることはありません。

ただしメドロールが大量に投与されると、そもそも免疫が抑制されてしまい、インフルエンザワクチンを打っても予防にならないと言われています。

メドロール自体での研究結果は分かりませんが、ステロイド薬でよく使われるプレドニンでは、20mg以上使用しているとインフルエンザの予防効果が少ないのでは?といわれています。

プレドニン20mgの力価は、メドロールで換算すると16mg以上です。そのためメドロール16mg以上内服している方は、インフルエンザワクチンの効果が弱まる可能性があります。

一方でメドロールを内服していた場合は、免疫が抑えられているためにインフルエンザに感染しやすくなってしまいます。そのためメドロールを内服中の方は、医師にインフルエンザワクチンを打って良いか相談しましょう。

他にも、メドロールの効果が増強・減弱するお薬は数多くあります。そのため他の医療機関で色々なお薬を処方されている方は、メドロールを内服している旨を必ず伝えるようにしましょう。

 

7.メドロールが向いてる人は?

<向いてる人>

ここまで記載したように、メドロールは最もよく使用されているプレドニンよりも硬質コルチコイドの力価が少ないため、浮腫や高血圧などの副作用が少ないと考えられています。ではなぜプレドニンの方がメドロールより多く使用されているのでしょうか?

それはプレドニンの方が、他の大勢の医師が使用しているからです。医師からすると、プレドニン20mg使用していると言われると何となくイメージが沸きます。一方でメドロール20mg使用していると言われても、多くの医師は処方頻度が少ないことから頭の中で力価を計算し直す必要があります。

そもそも内服する場合のステロイドの量は少ないため、硬質コルチコイドが問題になるような量を投与することはほとんどありません。そのため、プレドニンでも問題にならずに大部分は処方されています。

もし硬質コルチコイドが問題になるとすると、

この3つの疾患は、硬質コルチコイドで容易に悪化するため注意が必要です。そのため、メドロールを考慮することもあります。

また、肺や腎臓の疾患でステロイドを使用する時に、メドロールを考慮する医師もいます。硬質コルチコイドが作用すると、血管内に負荷がかかります。それは結果として、肺や腎臓に負荷をかけることになります。そのため一部の呼吸器内科や腎臓内科の医師では、メドロールを愛用している方もいます。

ただしプレドニンと直接比較して、メドロールが高血圧や心不全の方に良かったというデータはありません。あくまでも理論上の話です。そのため、プレドニンを高血圧の方に出したから駄目だといってるわけではないので安心してください。

 

8.ステロイドとはどんな物質で、どのような作用があるか?

ステロイドは、体の副腎皮質ホルモンとして作られている物質です。

ステロイドホルモンは、実は体の中で作られているホルモンです。副腎でコルチゾール(ヒドロメチルプレドニゾロン)に換算して、1日当たり5~30mgのステロイドが分泌されています。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。

ステロイドホルモンは一言でいうと「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と命令するホルモンです。ですから抗ストレスホルモンともいわれます。そのため一部の臓器に作用せず様々な臓器に作用します。

どのように元気にするかというと、攻撃のスイッチを入れる代わりに防御のスイッチを切る作用のあるホルモンなのです。朝にステロイドホルモン量が多いのは、活動性が上がるために攻撃のスイッチを入れる必要があるからです。つまりステロイドは良い面ばかりではなく悪い面もたくさんあります。

ステロイドは副腎から作られたホルモンの総称です。実はステロイドは、

など実に多彩なホルモンが含まれています。ステロイド薬は、糖質コルチコイドと硬質コルチコイドの2種類の作用が主に含まれています。

糖質コルチコイドの作用としては、

  作用機序 副作用
抗炎症
作用
炎症性の物質抑制(サイトカイン抑制)
炎症の経路抑制(アラキドン酸カスケード抑制)
 
免疫抑制作用 好中球、マクロファージなど体を守る免疫細胞の抑制
抗体産生の抑制(免疫反応の抑制)
感染しやすくなる
骨代謝
作用
腸管のカルシウム吸収抑制骨の細胞の分化抑制、破壊促進 骨粗しょう症
タンパク質異化作用 筋肉のたんぱく質を分解 筋力低下
糖代謝
作用
血糖値を上げる 糖尿病
脂肪代謝作用 体脂肪増加
コレステロール上昇
脂質異常症
満月様顔貌

など多岐にわたります。この中で、抗炎症作用・免疫抑制作用が主にステロイドに期待される作用です。

一方でもう一つの硬質コルチコイド(アルドステロン・デオキシコルチコステロン)は、

  作用機序 副作用
水・電解質
作用
Na(塩分)の再吸収、貯留水の再吸収、貯留 高血圧
むくみ

硬質コルチコイド自体が少なくなる病気(アジソン病など)以外は、ほとんどこの硬質コルチコイドの作用を期待して投与させることはありません。水や塩分が足りない病態ならば、基本的には点滴などで直接補ってしまいます。

むしろアンジオテンシン阻害薬などの高血圧の治療薬は、この硬質コルチコイドの作用が働かないようにすることで降圧作用をもたらします。

このようにステロイドは、抗炎症作用・免疫抑制作用以外にも様々な作用があるお薬です。

 

まとめ