コートリル錠(ヒドロコルチゾン)の効果と特徴

アイコン 2016.9.13 コートリル(コルチゾール)
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コートリル(一般名:ヒドロコルチゾン)は、2008年にファイザー製薬会社が発売した内服薬のステロイド薬になります。

実はコートリルは、体の中で作られているホルモンです。体内ではコルチゾールと呼ばれています。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。このステロイドの効果として、

を期待して、アレルギーやリウマチなどの自己免疫疾患、さらには癌領域や感染症領域にも広く使用されているお薬です。一方でコートリルはこれらの炎症作用の他に硬質コルチコイドの作用が強いお薬です。

硬質コルチコイドは水分や塩分を体内に取り込む副作用があります。そのためコートリルが使用される場面は、硬質コルチコイドの補充が必要な場面です。主に副腎皮質のホルモンがでなくなるアジソン病が挙げられます。

コートリルは、硬質コルチコイドの作用以外にも様々な副作用があります。

ここでは、コートリル(コルチゾール)の効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.コートリルのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ステロイドは、糖質コルチコイドと硬質コルチコイドの2つの作用があるお薬です。糖質コルチコイドには、抗炎症作用や免疫抑制作用があります。ステロイドが使われるのは、こちらの効果を期待してであることが大部分です。

コートリルの主成分であるコルチゾールは、よく他のステロイドの力価の基準にされやすいお薬です。コルチゾールの糖質コルチコイドと硬質コルチコイド作用を1として、他のお薬と比較します。ちなみにステロイドでよく使われるプレドニン(プレドニゾロン)の力価は、糖質コルチコイドは4、硬質コルチコイドは0.8となっています。

細かい比較は後述しますが、コルチゾールをプレドニンと同じ量で治療しようとすると、硬質コルチコイドは3.2とプレドニンの4倍の量が投与されます。

この硬質コルチコイドが過剰に投与されてしまうことが、多くの場合にデメリットになります。具体的に硬質コルチコイドは、水分や塩分を体内にため込む作用があります。これによって高血圧や心不全が引き起こされるため、硬質コルチコイドの作用は副作用となってしまうことが多いです。

さらにコートリルは、短期作用型のステロイド薬です。個人差がありますが、一般的に8~12時間で効果が半減してしまうと言われています。副作用も多く、効果も短いため、コートリルは少し使いにくいお薬になります。

コートリルが使われるのは、硬質コルチコイドを補充する必要があるときです。硬質コルチコイドを補充するには、プレドニンよりも有効なのです。具体的に硬質コルチコイドが必要になる病気としては、アジソン病という内分泌疾患(ホルモンの分泌不全)があります。こちらについても後述していきます。

 

2.コートリルの適応疾患は?

コートリルは、ステロイドの内服薬として非常に多岐にわたる疾患に対して適応があります。しかし現在は主に副腎不全であるアジソン病に対して使われることがほとんどです。

この2つの作用によって、ステロイドが効力を示す病態は無数にあります。様々な研究でステロイドの効果が認められたという報告から、現在も適応疾患が増えているお薬です。

ステロイド剤にも様々な種類があります。その中で、あえてコートリルを選ぶことは少なくなってきました。というのは、コートリルの硬質コルチコイド作用が副作用として邪魔になってしまうためです。

そのためコートリルを投与する時は、硬質コルチコイドの補充が必要になる時です。コートリルが必要になる病気とはアジソン病です。

アジソン病は、副腎皮質が何らかの原因でステロイドホルモンが作られなくなる病気です。原因としては、

といった感染や、

など特殊な病気と合併する場合があります。ただし原因が不明な場合も多いです。このアジソン病の症状としては、

などが挙げられます。ただし特徴的な症状が少なく、診断が遅れる場合も多い非常に難しい病気です。

アジソン病の治療にコートリルを用いる際は、10mg~30mgの内服とするのが一般的です。しかしアジソン病は非常に難しい病気のため、内分泌内科など専門家がいる病院でしっかりと管理されることがほとんどです。

 

3.コートリルの剤形・薬価は?

コートリルは錠剤のみあります。新しいお薬でジェネリック医薬品はありません。

コートリルは、

の剤形のみ先発品として発売されています。

  剤形 薬価 3割薬価
コートリル錠 10mg 7.3円 2.2円

※2016年9 月17日の薬価です。

またコートリルは比較的新しいお薬のため、後発品(ジェネリック医薬品)は登場しておりません。コートリル自体、アジソン病という珍しい病気で使用されるため、投与機会も少ないです。

さらに先発品であるコートリルが安いことから、今後も後発品が登場する可能性は少ないかと思います。

 

4.コートリルと他のステロイドの比較は?

コートリルは、短期作用型のお薬です。硬質コルチコイドの作用が強いのが特徴的です

ステロイド内服薬は多くのお薬が登場しています。それらのお薬の中でコートリルはどういった位置のお薬になるか見てみましょう。

ステロイドの内用薬の比較について

まずステロイドは、

の3種類に分けられます。生物学的半減期の期間が、お薬の効き目が無くなってくる時間だと思ってください。時間に幅があるのは、

などによって非常に個人差が大きいお薬だからです。

この中でコートリルは、短期作用型のお薬になります。つまり長くても半日程度しか効果がありません。一方でステロイド自体が早朝から朝に作られて、夜は分泌量が減っていきます。

そのためステロイドホルモンが足りなくなるアジソン病に使用する際などはあえて朝しか投与しないことも多いです。

次にステロイド自体の強さですが、ステロイドはさらに2種類のホルモンに分けられます。

ステロイドの治療を期待するのは、大部分が糖質コルチコイドの抗炎症、免疫抑制作用です。一方の硬質コルチコイドは、水・電解質代謝作用によってNa(塩分)が体内貯留する作用を引き起こします。Naが体内に貯留することで、高血圧やむくみなどの副作用を起こします。

つまり抗炎症・免疫抑制作用を期待してステロイドを投与する場合は糖質コルチコイドの力が強くて、硬質コルチコイドの力が弱い方が良いことになります。

このステロイドの強さを表すのに、力価という言葉を使用します。一般的にはコートリル(ヒドロコルチゾン)の糖質コルチコイド、硬質コルチコイドの力価を1として基準とすることが多いです。

一方で基準となるコートリルですが硬質コルチコイドの力価は最も強いです。そのため他のステロイドの硬質コルチコイドの力価は大体1未満になります。

このためコートリルは、硬質コルチコイドの作用であるむくみや高血圧の副作用が非常に多くなります。そのため糖質コルチコイドの効果を求めれば求めるほど、硬質コルチコイドの副作用が強くなるため、

の効果を期待する大部分の疾患でコートリルは使用しない場合がほとんどです。

 

5.コートリルが向いてる人は?

<向いてる人>

ここまで記載したように、コートリルは硬質コルチコイドの力価が最も高いステロイドになります。そのため硬質コルチコイドの補充が必要になるアジソン病などの病気以外は、ほとんど使用する機会はありません。

アジソン病は、様々なホルモン検査や負荷試験をしないと診断できない病気です。さらに日本国内のアジソン病発症者は、年間で660人ほどと非常に稀な疾患です。そのため専門の総合病院で治療することがほとんどです。

逆にコートリルがクリニックなどで処方された場合は、かなり特殊な事情があると思います。もしよく処方されているプレドニンではなくコートリルが処方された場合は、医師に理由を確認してみると良いかもしれません。

一方でアジソン病でコートリルが処方された人は、長期間に渡って内服する必要があります。アジソン病は自分自身でステロイドが作られなくなる病気です。ステロイドは副作用が多いということで怖いことも記載されていますが、体に必要なホルモンなので補充する必要があります。

アジソン病の人が急にコートリルを中止すると、重篤な症状が出現します。具体的には、

など症状が一気に出てきます。どれも重篤な症状ですが、特徴的な症状はありません。また、診断をするのも非常に難しく、コートリルを自己中断したという患者さんからの一言がないと診断が遅れることも多いです。ですがステロイドが足りないでこのような状態が続くと、生命を維持するのも難しくなってしまいます。

そのためコートリルが処方されている方は必ず内服を続けるようにしましょう。

 

6.ステロイドとはどんな物質で、どのような作用があるか?

ステロイドは、体の副腎皮質ホルモンとして作られている物質です。

ステロイドホルモンは、実は体の中で作られているホルモンです。副腎でヒドロコルチゾン(コルチゾール)に換算して、1日当たり5~30mgのステロイドが分泌されています。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。

ステロイドホルモンは一言でいうと「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と命令するホルモンです。ですから抗ストレスホルモンともいわれます。そのため一部の臓器に作用せず様々な臓器に作用します。

どのように元気にするかというと、攻撃のスイッチを入れる代わりに防御のスイッチを切る作用のあるホルモンなのです。朝にステロイドホルモン量が多いのは、活動性が上がるために攻撃のスイッチを入れる必要があるからです。つまりステロイドは良い面ばかりではなく悪い面もたくさんあります。

ステロイドは副腎から作られたホルモンの総称です。実はステロイドは、

など実に多彩なホルモンが含まれています。ステロイド薬は、糖質コルチコイドと硬質コルチコイドの2種類の作用が主に含まれています。

糖質コルチコイド(コルチゾール・コルチゾン)の作用としては、

  作用機序 副作用
抗炎症
作用
炎症性の物質抑制(サイトカイン抑制)
炎症の経路抑制(アラキドン酸カスケード抑制)
 
免疫抑制作用 好中球、マクロファージなど体を守る免疫細胞の抑制
抗体産生の抑制(免疫反応の抑制)
感染しやすくなる
骨代謝
作用
腸管のカルシウム吸収抑制骨の細胞の分化抑制、破壊促進 骨粗しょう症
タンパク質異化作用 筋肉のたんぱく質を分解 筋力低下
糖代謝
作用
血糖値を上げる 糖尿病
脂肪代謝作用 体脂肪増加
コレステロール上昇
脂質異常症
満月様顔貌

など多岐にわたります。この中で、抗炎症作用・免疫抑制作用が主にステロイドに期待される作用です。

一方でもう一つの硬質コルチコイド(アルドステロン・デオキシコルチコステロン)は、

  作用機序 副作用
水・電解質
作用
Na(塩分)の再吸収、貯留水の再吸収、貯留 高血圧
むくみ

硬質コルチコイド自体が少なくなる病気(アジソン病など)以外は、ほとんどこの硬質コルチコイドの作用を期待して投与させることはありません。水や塩分が足りない病態ならば、基本的には点滴などで直接補ってしまいます。

むしろアンジオテンシン阻害薬などの高血圧の治療薬は、この硬質コルチコイドの作用が働かないようにすることで降圧作用をもたらします。

このようにステロイドは、抗炎症作用・免疫抑制作用以外にも様々な作用があるお薬です。

 

まとめ