デカドロン錠(デキサメタゾン)の効果と特徴

アイコン 2016.9.19 デカドロン
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デカドロン(一般名:デキサメタゾン)は、2008年に日医工株式会社が発売した内服薬のステロイド薬になります。デカドロンは長期作用型の高力価のステロイドのお薬です。

デカドロンは特殊な病態を除くとほとんどが、脳浸透圧亢進や抗癌剤の嘔気に対して処方されます。

デカドロンは吐き気を止めるだけでなく、食欲増進作用など体を元気にする作用も強いことから、抗癌剤にはセットで処方されることが多いです。

一方でデカドロンは、様々な副作用があります。抗癌剤を使用する際には起こり得る副作用についての説明は受けられると思いますが、制吐剤として使用するデカドロンのことまでは触れられないでしょう。

ここでは、デカドロン(デキサメタゾン)の効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.デカドロンのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ステロイドは、

を期待され多くの疾患で使用されているお薬です。しかしこれら多くの疾患は、大部分がプレドニンで日本では加療されています。プレドニンの方が効果発現時間が短い上に、力価も弱いため小回りが利きやすく、病態に合わせて量を調整しやすいからです。

一方のデカドロンは、長期作用型の高力価の内服薬になります。強い効果が長時間続くため、病態が変化しやすい状態には使用しづらいお薬です。そのためデカドロンは、わが国では主に抗癌剤による嘔気に対して使用されています。

抗癌剤による嘔気は、一度出てきてしまうとなかなかコントロールが難しい症状です。そのため、デカドロンの高力価で長時間作用する点がメリットになります。デカドロンによって症状を少しでもコントロールできるように処方されることが多いです。

デカドロンは、制吐効果以外にも食欲増進する効果が強いです。もともとステロイドは体内で作られているホルモンで、主に敵と戦う時などに元気にするために出てくるホルモンです。このため抗癌剤を投与した後、元気になったとおっしゃる患者さんも多いですが、実はこのデカドロンの効果によるものです。

特にデカドロンは、シスプラチンという抗癌剤には必須のお薬です。現在はデカドロンを点滴で投与するところも多いですが、吐き気が出てきた場合、追加で内服することも多いです。

一方でデカドロンは、副作用も多いお薬です。ただし、デカドロンを数日内服しただけで高頻度に副作用が出てくることは少ないです。また、デカドロンを外来でいきなり高用量処方することはほとんどありません。入院中でデカドロンを処方されている場合は、副作用が出現した場合も対処しやすいと思います。

 

2.デカドロンの剤形・薬価は?

デカドロンは内服薬では錠剤のみあります。ジェネリック医薬品はありません。

デカドロンは、

の錠剤が発売されています。内服薬以外では注射剤、点眼、塗り薬等があります。デカドロンは錠剤のみで、ドライシロップや粒状はありません。そのため錠剤がのめない方は、薬局などでデカドロン自体を粉砕してもらい内服することになります。

デカドロンは当初、0.5mgの剤形しかありませんでした。2014年に、4mgが発売となりました。それまではデカドロン0.5mgを8錠飲んで4mgでした。そのため高用量になればなるほど、凄い数のお薬を内服することになります。デカドロンを吐き気止めとして飲んでたはずのお薬なのに、大量のお薬を飲まされて逆に気持ち悪くなったという意見もあったほどです。

それでは薬価をみていきましょう。先発品であるデカドロンは、以下のようになります。

  剤形 薬価 3割薬価
デカドロン錠 0.5mg 5.6円 1.7円
デカドロン錠 4mg 35.8円 10.7円

※2016年9月17日の薬価です。

また、デカドロンは2008年に発売された、ステロイドの内服薬の中でも新しいお薬です。制吐剤としての処方が大部分なため、そこまで発売数も多くありません。そのためジェネリック医薬品は登場していません。

 

3.デカドロンの適応疾患は?

デカドロンは、制吐剤として使用されることが多いです。

ステロイドの以下の2つの作用を期待できるものです。

ステロイドが効力を示す病態は無数にあります。デカドロンの添付文章でも多くの病気が記載されていますが、これらはプレドニンで加療されることがほとんどです。そのため、プレドニンのページで確認してください。

適応としてもう一つ別に書かれているのが、制吐剤としての効果です。

抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)の場合:通常、成人にはデキサメタゾンとして1日4~20mgを1~2回に分割経口投与する。ただし、1日最大20mgまでとする。

このように添付文章でも記載されています。実際にがん診療ガイドラインでもデカドロンの名前は登場しています。添付文章では、抗がん剤の例としてシスプラチンがあげられています。これは高頻度に嘔気が出てくる強力なお薬ですが、ガイドラインではシスプラチンに限らずほぼ全ての抗癌剤に対してデカドロンを投与が推奨されています。

抗癌剤で最も多く出現する嘔気は、一度出現するとなかなか改善されません。そのため、嘔気がそもそも出ないように対応することが求められています。

ですから今では、ほとんどすべての抗癌剤にデカドロンは併用されています。デカドロンを抗癌剤の嘔気に対して使用する場合は、

一方で注射で抗癌剤を投与する場合は、デカドロンを注射剤で投与することが多くなりました。さらに2日目以降も、1日目以降の投与量で5日目まで投与することもあります。また、デカドロンを途中から嘔気が出現した場合に追加することもあります。

ガイドラインにある程度投与量は記載されていますが、

など様々な状態を加味して医師が調整することが多いです。またこの制吐剤の作用は、脳からくる嘔気にも有効です。特に脳転移で脳浮腫がある場合は、この脳浮腫を抗炎症作用で抑えることで嘔気を抑えることができます。

このようにデカドロンは、大部分は癌での制吐剤で使われることが多いお薬です。

 

4.デカドロンと他のステロイドの比較は?

デカドロンは、中間作用型のデカドロンです。力価もステロイド内服の中ではちょうど中間に位置します

ステロイド内服薬は多くのお薬が登場しています。それらのお薬の中でデカドロンはどういった位置のお薬になるか見てみましょう。

ステロイドの内用薬の比較について

まずステロイドは、

の3種類に分けられます。生物学的半減期の期間が、お薬の効き目が無くなってくる時間だと思ってください。時間に幅があるのは、

などによって非常に個人差が大きいお薬だからです。

この中でデカドロンは、長期作用型のお薬にあたります。つまり1日から2日程度効果が持続するお薬になります。そのため一般的には、デカドロンの内服は1日1回のことが多いです。ただし、大量に投与する場合は薬の量が増えてしまうため2回に分けることもあります。

次にステロイド自体の強さですが、ステロイドはさらに2種類のホルモンに分けられます。

ステロイドの治療を期待するのは、大部分が糖質コルチコイドの抗炎症、免疫抑制作用です。一方の硬質コルチコイドは、水・電解質代謝作用によってNa(塩分)が体内貯留する作用を引き起こします。Naが体内に貯留することで、高血圧やむくみなどの副作用を起こします。

このステロイドの強さを表すのに、力価という言葉を使用します。一般的にはヒドロコルチゾンの糖質コルチコイド、硬質コルチコイドの力価を1として基準とすることが多いです。

この場合、デカドロンの糖質コルチコイド25で硬質コルチコイド0となります。そのため強力な糖質コルチコイドの力価が得られる上に、硬質コルチコイド作用がほぼ出ない特徴があります。

ただし糖質コルチコイドが高いから優れているというわけではありません。一般的にステロイド薬は、この力価をもとに投与量を計算します。つまりプレドニンが効かないなら、プレドニン自体の量を増やすことはしますが、力価が強いデカドロンに変えようとは普通はしないので注意しましょう。

 

5.デカドロンが向いてる人は?

<向いてる人>

デカドロンは、長期作用型の高力価の作用があるステロイド内服薬です。そのため、病気の状態に対して細かく投与する場合はプレドニンを使用することがほとんどです。

抗炎症作用や免疫抑制作用を期待してデカドロンを投与する場合はかなり特殊な状況です。(プレドニンでアレルギーが出現したなど)

そのためデカドロンを投与する場合の大部分は、抗癌剤や脳転移で吐き気がある人、もしくは吐き気が起こることが予想される病気の人かと思います。

特に抗癌剤を投与する場合は、医師は抗癌剤の話に重きを置いて、制吐剤のデカドロンについてはあえて話をしないことも多いです。制吐剤まで話を広げてしまうと、ごちゃごちゃになって肝心な情報が抜けて落ちてしまう可能性があるためです。

そのため抗癌剤加療を受けている人は、知らずにデカドロンが投与されていることもあります。

 

6.ステロイドとはどんな物質で、どのような作用があるか?

ステロイドは、体の副腎皮質ホルモンとして作られている物質です。

ステロイドホルモンは、実は体の中で作られているホルモンです。副腎でコルチゾール(ヒドロコルチゾン)に換算して、1日当たり5~30mgのステロイドが分泌されています。一日の中でも分泌量は変化していて、朝に多く分泌されて夜に低下していくホルモンです。

ステロイドホルモンは一言でいうと「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と命令するホルモンです。ですから抗ストレスホルモンともいわれます。そのため一部の臓器に作用せず様々な臓器に作用します。

どのように元気にするかというと、攻撃のスイッチを入れる代わりに防御のスイッチを切る作用のあるホルモンなのです。朝にステロイドホルモン量が多いのは、活動性が上がるために攻撃のスイッチを入れる必要があるからです。つまりステロイドは良い面ばかりではなく悪い面もたくさんあります。

ステロイドは副腎から作られたホルモンの総称です。実はステロイドは、

など実に多彩なホルモンが含まれています。ステロイド薬は、糖質コルチコイドと硬質コルチコイドの2種類の作用が主に含まれています。

糖質コルチコイド(コルチゾール・コルチゾン)の作用としては、

  作用機序 副作用
抗炎症
作用
炎症性の物質抑制(サイトカイン抑制)
炎症の経路抑制(アラキドン酸カスケード抑制)
 
免疫抑制作用 好中球、マクロファージなど体を守る免疫細胞の抑制
抗体産生の抑制(免疫反応の抑制)
感染しやすくなる
骨代謝
作用
腸管のカルシウム吸収抑制骨の細胞の分化抑制、破壊促進 骨粗しょう症
タンパク質異化作用 筋肉のたんぱく質を分解 筋力低下
糖代謝
作用
血糖値を上げる 糖尿病
脂肪代謝作用 体脂肪増加
コレステロール上昇
脂質異常症
満月様顔貌

など多岐にわたります。この中で、抗炎症作用・免疫抑制作用が主にステロイドに期待される作用です。

一方でもう一つの硬質コルチコイド(アルドステロン・デオキシコルチコステロン)は、

  作用機序 副作用
水・電解質
作用
Na(塩分)の再吸収、貯留水の再吸収、貯留 高血圧
むくみ

硬質コルチコイド自体が少なくなる病気(アジソン病など)以外は、ほとんどこの硬質コルチコイドの作用を期待して投与させることはありません。水や塩分が足りない病態ならば、基本的には点滴などで直接補ってしまいます。

むしろアンジオテンシン阻害薬などの高血圧の治療薬は、この硬質コルチコイドの作用が働かないようにすることで降圧作用をもたらします。

このようにステロイドは、抗炎症作用・免疫抑制作用以外にも様々な作用があるお薬です。なおデカドロンの制吐剤の作用機序は糖代謝作用で食欲増進する影響では?と言われる医師もいますが細かいことに関しては実はよくわかってないです。

 

まとめ