イソミタール錠(アモバルビタール)の効果と副作用

アイコン 2015.9.2 その他の睡眠薬

イソミタールは、バルビツール系睡眠薬に分類されます。1920年代ころに開発された薬で、日本では1950年から発売となりました。

イソミタールの催眠効果は非常に強力で、何をしても改善しないような不眠の方に使われることがあります。ですが、漫然と服用しているとすぐに効かなくなり、依存性の高い睡眠薬です。過量服薬すると致死的になることもあるので、私は絶対に処方しないようにしている睡眠薬です。

ここでは、イソミタールを使っている方のために、効果や副作用についてお伝えしたいと思います。

 

1.イソミタールの作用する仕組み(作用機序)

GABAの働きを強めたり、直接Clチャネルを開くことで、脳の活動を抑えます。

イソミタールは、バルビツール酸系睡眠薬に分類されています。

イソミタールはバルビツール受容体に作用して、GABAに働きを強めます。「GABAってなんか聞いたことあるぞ?」って方もいらっしゃるかもしれません。リラックスする物質として、GABA入りのチョコレートなどが流行っていましたね。GABAは脳の中での情報の受け渡しに関係していて、神経伝達物質とよばれます。リラックスすると言われている通り、脳の神経細胞の活動を抑える作用があります。

イソミタールがバルビツール酸受容体にくっつくと、GABAの作用が大幅に増強されます。イソミタールが高用量になると、GABAとは関係なしに効果が発揮されます。このようにして、イソミタールは脳の活動を強力に抑えることができるのです。

 

現在主流のベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬でも、同じGABA受容体に作用します。ですが、イソミタールのような直接的な作用はなく、GABA受容体にGABAをくっつきやすくするだけです。このため、GABAがなくなれば効果が消失します。

 

詳しく知りたい方は、
バルビツール酸系睡眠薬とは?効果と副作用
をお読みください。

 

2.イソミタールの効果と特徴

イソミタールでは、脳の活動を強力に抑えることで睡眠をもたらします。効果は非常に強いですが依存性が高く、安全性が低い睡眠薬です。メリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

2-1.イソミタールのメリット

睡眠薬の中でジワジワと効いてくる薬もありますが、イソミタールには即効性があります。ですから、服用するとすぐに効果が期待できます。

イソミタールのメリットは、なんといっても効果の強さです。Clチャネルをガッツリと開くので、脳の興奮が強く抑えられます。ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じGABAが関係しますが、効果はより強力です。

また、イソミタールではレム睡眠を大幅に抑制する作用があります。レム睡眠は夢をみている睡眠ですから、薬を飲んだら夢をみずに朝を迎えることができます。悪夢で悩まされている方にはメリットといえるでしょう。

 

2-2.イソミタールのデメリット

イソミタールは効果が強いため、副作用も強くなります。睡眠作用が眠っている間だけに働いてくれればいいのですが、日中に残ってしまうと眠気やだるさにつながります。また、筋弛緩作用が強いのでふらつきも強いです。

さらに依存性が非常に高い睡眠薬です。飲み始めは強力に効く睡眠薬です。ですが、使い続けているとすぐに身体に慣れてしまって効かなくなってしまいます。効果の実感も強い薬なので、「もっと増やしたい」という気持ちがまさってしまって、どんどんと量が増えて依存してしまいます。

このように量が増えていってしまう危険性に加えて、イソミタールは安全性も低いです。薬を使いすぎてしまうと呼吸抑制がかかってしまい、死に至ることもある睡眠薬なのです。ですから私は、イソミタールは絶対に使わないようにしています。

このような薬ですので、第2種向精神薬という指定をうけています。処方数の制限がされていて、14日以上の処方ができません。

 

3.イソミタールの作用時間と強さ

イソミタールは半減期が20時間ほどです。効果の強さは「強い」です。

イソミタールを服用すると、およそ2~4時間で血中濃度がピークになります。イソミタールは、そこから2段階で血中濃度が低下します。まずは急激に血中濃度が下がり、半減期は0.8時間ほどです。血中濃度の半分くらいまで低下するとペースが急にゆるやかになり、半減期は21時間ほどとなっています。

服用してから30分ほどで効果がでてききて、即効性が期待できます。また、少しずつ身体に薬がたまっていきます。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

薬を飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。イソミタールでは1週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。このため、イソミタールは寝付きやすい土台をつくる睡眠薬です。

 

睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」。睡眠障害のタイプに合わせて、睡眠薬の作用時間を考えていく必要があります。イソミタールは作用時間としては、中間型睡眠薬といえます。

イソミタールは、即効性があるので入眠障害に効果が期待できます。寝付きやすい土台をつくるため、中途覚醒や早朝覚醒にも効果が期待できるのです。イソミタールは効果が「強い」睡眠薬です。0.1~0.3gの用量で使います。

今のようにいろいろな睡眠薬がなかった時代は、イソミタールとブロバリンを組み合わせて処方されることも多かったです。イソブロと呼ばれたりしていましたが、どちらも安全性が低いので今ではこのような使い方はしません。

 

4.イソミタールの副作用

イソミタールで注意するべき副作用について、みていきましょう。

 

4-1.眠気

眠気は多いですが、慣れていくことも多いです。できれば他の睡眠薬に変更しましょう。

睡眠薬は夜だけに効いてくれれば理想ですね。ですが睡眠薬が効きすぎてしまうと、翌朝まで眠気が続いてしまうことがあります。これを「持ち越し効果(hung over)」といったりします。眠気だけでなく、だるさや集中力の低下、ふらつきなどがみられます。

「眠気が強くて朝起きれない」
「午前中がぼーっとしてしまう」
となってしまうと生活に支障がきてしまいますね。事故などにつながることもあるので注意が必要です。

 

イソミタールは、睡眠効果がとても強いです。薬が身体から抜けにくいので、身体に少しずつたまっていきます。ですから眠気の副作用は多いです。

眠気の副作用は飲み始めにみられることが多いですが、使い続けていくと慣れていくことも多いです。というのも、イソミタールが身体にすぐに慣れてしまって、効かなくなるからです。これは決していいことではありません。「寝れるようになった」と安心していても、次第にまた不眠に逆戻りしてしまいます。

 

イソミタールを使って眠気が出てきている方は、減量していくか他の睡眠薬への切り替えを検討していきます。

減量すると作用時間も短くなり、効果もマイルドになります。他の睡眠薬への切り替えは、イソミタールを使わざるを得ない状況まで追い込まれているということなので、困難なことが多いです。できるならば、他に効果が期待できるものがないか再検討しましょう。異なる作用機序の睡眠薬を組み合わせれば、うまくいくこともあります。

 

4-2.ふらつき

ふらつきは多いです。

イソミタールは睡眠作用だけでなく、筋弛緩作用も働いてしまいます。緊張が強くて肩がこってしまったり、身体に緊張やこわばりがある時はむしろプラスの作用になります。ですが、高齢で足腰が弱っている方に筋弛緩作用が強く出てしまうと、ふらついてしまって危ないです。トイレで夜中に目が覚めた時に、眠気も相まって転倒して骨折してしまうようなこともあります。

イソミタールは、身体に薬がたまっていきます。このため、ふらつきの副作用が日中に持続してしまうこともあります。眠気と同様に慣れていくことも多いですが、これは決していいことではありません。

で他に効果が期待できる睡眠薬がないか、再検討した方がよいです。それが難しければ、減量しましょう。

 

5.イソミタールの依存性

非常に依存しやすい睡眠薬です。依存には細心の注意が必要です。

イソミタールは、とても依存しやすい睡眠薬です。やめようと思っても止められなくなってしまったり、快感が出てきて乱用につながることがあります。ですから、極力使わないようにしなければいけません。少なくとも、ちゃんと出口を見据えて薬を使っていくことが求められます。

 

依存には大きく3つのポイントがあります。身体依存と精神依存と耐性の3つです。

身体依存とは、薬が身体からなくなっていくと離脱症状が起こることです。身体が薬のある状態に慣れてしまうことで、急になくなるとバランスが崩れてしまいます。身体の依存です。睡眠薬を急にやめてしまうと、むしろひどい不眠(反跳性不眠)におそわれることがあります。

精神依存とは、精神的に頼ってしまうということですが、これは効果の実感の強さが重要です。効果が早く実感され、効果がきれる実感が大きいものほど精神的に頼ってしまいます。心の依存です。不眠は非常につらいですから、睡眠薬には頼ってしまうようになります。

耐性とは、薬が体に慣れてしまい効果が薄れていくことです。はじめは1錠で効いていたのに少しずつ眠れなくなってしまう時は、耐性が形成されています。

 

イソミタールは、身体依存や耐性が形成されやすい睡眠薬です。さらに効果の実感も強いので、精神依存も強いです。この3つが悪循環となって、どんどんと量が増えていってしまうのです。

また、「薬を飲むと気が大きくなる」「うきうきする」などといった快感がでてくることがあります。このために乱用されることもあります。ここまでになると脳の機能にも影響が出てきて、知能も低下してしまいます。現実を正しく判断することができなくなり、乱用に拍車をかけてしまいます。

 

イソミタールは非常に依存性の高い、リスクのある睡眠薬なのです。できるだけ使わない意識が必要です。特に衝動的になりやすいなどの依存になりやすい傾向のある方には絶対につかうべきではありません。

 

6.イソミタールと致死量

イソミタールは呼吸抑制により致死的になる睡眠薬で、安全性が低いです。

イソミタールは、依存性が高く、乱用されるリスクも高い睡眠薬であることをお伝えしました。さらに怖いことに、この薬は致死量が近く、安全性の低い睡眠薬なのです。

イソミタールの効果は強力です。このため大量に服薬すると、脳の機能を一気に落としてしまいます。中脳が抑制されると意識消失します。さらに脳幹の延髄が抑制されると、命に関わることになります。延髄には呼吸中枢や血管運動中枢があります。これらが抑制されるので、呼吸が止まってしまい、血圧が一気に下がってしまいます。亡くなってしまうケースでは、呼吸抑制が原因のことが多いです。

 

このような中毒症状は、用量の5~10倍でみられます。

マウスを使った実験では、半数が死んでしまうイソミタールの量(半数致死量)は1kgあたり250mgと報告されています。 これを体重50kgあたりの女性に当てはめてみると、イソミタール12500mg(12.5g)となります。

もちろん動物と人では致死量も違いますが、イソミタールの用量は0.1~0.3gですので、0.3g使っている方では42日分で致死的になる可能性があります。実際の致死量はもっと少ないことも考えられますから、絶対に過量服薬してはいけません。

このため、第2種向精神薬に指定されていて、処方は14日までとされています。

 

まとめ

GABAの働きを強めたり、直接Clチャネルを開くことで、脳の活動を抑えます。

メリットとしては、

デメリットとしては、

イソミタールは呼吸抑制により致死的になる睡眠薬で、安全性が低いです。

スポンサーリンク

スポンサーリンク