ベノジールカプセルの効果と強さ

アイコン 2015.8.26 その他の睡眠薬

ベノジールは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。1975年に発売された長時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。残念ながら、2014年8月をもって発売中止となってしまいました。共和薬品から発売されているダルメートと同じ成分ですので、現在はこちらを使います。

ベノジールは半減期が非常に長い睡眠薬ですが、実際の作用時間はそこまで長くありません。睡眠効果は3~4時間ほどで、その後は抗不安効果が中心となって寝付きやすい土台を作ってくれます。中途覚醒や早朝覚醒への効果が期待できます。

ここでは、ベノジールの効果の特徴について、詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.ベノジールの作用する仕組み(作用機序)

GABAの働きを強めて、脳の活動を抑えます。

現在よく使われている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の2種類です。ベノジールは前者のベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。実はこの両者は同じ仕組みで睡眠効果をもたらします。

どちらもベンゾジアゼピン受容体に作用して、GABAの働きを強めて脳の活動を抑えることで効果を発揮します。「GABAってなんか聞いたことあるぞ?」って方もいらっしゃるかもしれません。リラックスする物質として、GABA入りのチョコレートなどが流行っていましたね。GABAは脳の中での情報の受け渡しに関係していて、神経伝達物質とよばれます。リラックスすると言われている通り、脳の神経細胞の活動を抑える作用があります。

ベノジールがベンゾジアゼピン受容体にくっつくと、GABAがGABA受容体にくっつきやすくなります。GABAが脳内で作用すると、脳の活動が抑えられて睡眠につながっていくのです。

 

詳しく知りたい方は、
ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?効果・副作用・比較
をお読みください。

 

2.ベノジールの効果と特徴

まずはベノジールの特徴を、メリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

2-1.ベノジールのメリット

ベノジールは、非常にゆっくりと身体から抜けていく睡眠薬です。薬を服用してていくうちに少しずつ蓄積されて、寝付きやすい土台を作っていくような睡眠薬です。ですから、中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。

ベノジールは、体内に入るとすぐに分解されていきます。分解してできる物質は、抗不安薬のメイラックスと類似の成分です。このため、ベノジールには抗不安作用が期待できます。ベノジールは、「3~4時間の睡眠薬+長時間の抗不安薬」ともいえるでしょう。

作用時間が長い睡眠薬ですので、健忘の副作用や依存性が低いです。

 

2-2.ベノジールのデメリット

ベノジールは長時間の睡眠薬ですので、薬が身体に蓄積されていくことで効果が発揮されます。薬が作用しすぎてしまうと、眠気が日中にも持ち越してしまいます。効果が不十分となってしまうと、早朝覚醒などが改善できなくなります。少しずつ調整しながら、ベノジールの適切な量を見つけていかなければいけません。

ベノジールは、カプセルしか発売されていませんでした。カプセルですから半分に割ることもできませんので、細かな調整ができないというデメリットがあります。ですがベノジールはダルメートと違って、15mgだけでなく10mgも発売されていました。このため、10mg→20mg→30mgという用量調整ができました。

 

3.ベノジールの作用時間と強さ

ベノジールは半減期が23.6(5.9)時間の長時間型睡眠薬です。効果の強さは「普通」の睡眠薬で、中途覚醒や早朝覚醒を中心に効果のある睡眠薬です。

ベノジールは体内ですぐに分解されてしまう睡眠薬です。分解されると、抗不安薬のメイラックスに似た物質(デスアルキルフルラゼパム)になります。この物質はすぐには身体から抜けていきません。睡眠効果のあるベノジールと、抗不安効果のあるデスアルキルフルラゼパムの血中濃度変化を見ていきましょう。

ベノジールは、血中濃度がピークに達するまでには1時間ほどかかります。どんどんと代謝されていき、5.9時間で半分の量まで減少します。

デスアルキルフルラゼパムは、血中濃度がピークに達するまでには4.5時間ほどかかります。そこから非常にゆっくりと身体から抜けていき、23.6時間で半分の量まで減少します。

 

この2つの効果が合わさっているので、ベノジールは「3~4時間の睡眠薬+長時間の抗不安薬」と考えたら分かりやすいでしょう。抗不安効果のある物質が少しずつ身体に蓄積していって、寝付きやすい土台をつくっていくような睡眠薬です。このため、効果が安定するまでには1週間ほどかかります。

ベノジールは全体としてみれば作用時間が長いので、「長時間型」に分類されます。

睡眠薬のタイプ(作用時間)と特徴をまとめました。

睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」。睡眠障害のタイプに合わせて、睡眠薬の作用時間を変えていく必要があります。ベノジールは寝付きやすい土台ができてくるような睡眠薬ですので、中途覚醒や早朝覚醒が目立つ方に有効でしょう。

 

ベノジールの効果は「普通」の睡眠薬です。まずは10mg~15mgで始めることが多いです。効果が安定してくるまでには1~2週間かかります。焦らずに効果を見ながら、増減させていきます。効果が不十分でしたら30mgまで使うことができます。

 

4.ベノジールと他剤での作用時間の比較

半減期をもとに、睡眠薬の作用時間を予想することができます。ベノジールは少しずつ薬が身体にたまっていく、作用時間が長い睡眠薬です。

代表的ンな睡眠薬の作用時間(半減期)を比較しました。

睡眠薬の作用時間の違いを比較してみましょう。

薬の効果を見る時は、最高血中濃度到達時間(ピーク時間)と半減期をみていきます。

最高血中濃度到達時間が短いほど、効きが早いということですね。ほとんどの睡眠薬が1~3時間になっているかと思います。中間型や長時間作用型ではさらに長いものがありますね。これらのお薬では即効性はあまり期待できません。

半減期をみると作用時間が予想できます。超短時間型や短時間型では、即効性を期待して使われます。入眠障害だけで困っているならば超短時間型、中途覚醒で困っているならば短時間型がよいでしょう。

中間型や長時間型は、身体に薬が少しずつたまっていくことで寝付きやすい土台を作るようなお薬です。中間型は4~5日かけて、長時間型は1週間以上かけて効果が安定します。中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。

 

ベノジールは長時間型に分類されていますので、中途覚醒や早朝覚醒が目立つときに有効です。

 

5.ベノジールが向いている人とは?

ベノジールは作用時間が長く、寝付きやすい土台をつくってくれるような睡眠薬です。効果の即効性には乏しいですが、薬が身体に蓄積するにつれて全体的に睡眠効果が出てきます。中途覚醒や早朝覚醒に対する効果が期待できます。入眠障害が目立つ方では、ベノジールよりも半減期が短い睡眠薬がよいかと思います。超短時間型のアモバン・ルネスタ、短時間型のレンドルミン・エバミール/ロラメット・リスミーなどから始めた方がよいでしょう。

また、日中に不安が強い方にもよいかと思います。ベノジールは代謝されて、抗不安薬メイラックスの類似成分になります。ですから、日中には抗不安作用が期待できるのです。不眠だけでなく日中の不安が強い方では、ベノジールが向いているかと思います。

 

まとめ

ベノジールは、GABAの働きを強めて脳の活動を抑えます。

ベノジールのメリットとしては、

ベノジールのデメリットとしては、

ベノジールが向いている方は、