ソランタールの副作用と安全性

アイコン 2016.10.30 ソランタール
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ソランタール(一般名:チアラミド塩酸塩)は、解熱鎮痛剤として多くの人に使用されています。

NSAIDsと呼ばれる同じタイプの解熱鎮痛剤の中でも、ソランタールは効果が弱いお薬になります。効果が弱い分、副作用もマイルドになります。そのため通常NSAIDsは,妊娠後期の方には禁忌ですが,ソランタールは禁忌とはなっていません。

ただしマイルドだからといって、ソランタールを乱発して良いわけではありません。ソランタールなどのNSAIDsは、副作用として胃腸障害が問題になります。

ここでは、ソランタールにどのような副作用があり、どのような方が使えないのかお伝えしていきます。

 

1.ソランタールの副作用の特徴

ソランタールの副作用として気を付けるべきものとして、胃腸障害と腎障害があります。

ソランタールの添付文章では、69,408例中2,280例(3.28%)に副作用が認められました。その大部分は、

の消化器系の副作用と報告されています。これは、ソランタールがアラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。

ソランタールは痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護するCOX-1も阻害してしまうため、胃があれてしまうのです。このことが結果として、腹痛や嘔気につながります。この副作用はソランタールに特徴的というよりは、ソランタール含めてNSAIDsに特徴的な副作用です。

また、ソランタールは他にも腎臓を悪化する可能性があります。副作用の対策について詳しく知りたい方は、「ロキソニンの副作用と安全性」を一読してみてください。

 

2.ソランタールが使用できない疾患は?

ソランタールは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。アスピリン喘息の方は場合によっては使用できます。

ソランタールの添付文章では禁忌の方は、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  6. アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]

となっています。この中で注意が必要なのは、

の2つです。

②~④は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。そのためこれらの②~④でソランタールの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。

そのため患者さんにとって気を付けるとするならば、消化性潰瘍とアスピリン喘息の2つになります。

ソランタールは副作用で説明したように、痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護する物質も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。ここで大切なことは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と知らずにソランタールを連用してしまうことです。

ソランタール=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもソランタールを飲んでしまう人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にソランタールを飲んだせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にソランタールを安易に飲まないようにしましょう。

またアスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。添付文章では、アスピリン喘息の人にソランタールは使用しないように記載されています。

アスピリン喘息は1990年代はよくわからない喘息であったため、NSAIDsは全て禁忌になっています。しかし現在では病態もだいぶ解明が進んでいて、ソランタールなどの塩基性消炎薬は、喘息のガイドラインでも使用可能に含まれています。ただしソランタールが絶対に安全なわけではありません。

重症不安定の症例でソランタールを使用した場合、アスピリン喘息で悪化した例も言われています。そのため、ソランタールを使用した後発作が出現した場合は、必ず医師にその旨を伝えましょう。

 

3.ソランタールで注意するべき疾患は?

消化管潰瘍が過去にあった人は、やはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることがある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. けいれん発作が既往にある患者[けいれんを起こすことがある]
  6. 過敏症の既往歴のある患者
  7. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]

上記であげた疾患のうち、血液・肝臓・腎臓は重篤ではなくとも悪化することがあるため、注意が必要となっています。しかし、これらの疾患はソランタールの副作用でも悪くなるし、風邪などの病気でも悪くなることは多々あります。

また、一度でもソランタールで腎臓や肝臓などが悪化したことがあれば、その旨を医師に伝えることが重要になるので覚えておきましょう。

ここでも最も問題になるのは、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人です。医師の中でも、過去に胃潰瘍が十二指腸があったというだけで禁忌の扱いにして、ソランタールを処方しない方もいます。特にソランタールは、先に記載したように副作用が強いお薬です。そのため、リスクがある人にあえて投与する必要はないかもしれません。

もし痛みが強くてソランタールが内服できるか知りたい方は、一度胃カメラで精査することをお勧めします。また安定していたとしても、ムコスタなどの胃薬と一緒に飲むことで胃の粘膜を守ることが必要です。

アスピリン喘息だけでなく、ソランタールによって気管支喘息も起こりやすくなると記載されています。ただし喘息に関してはソランタールの副作用というよりも、病気によるストレスで喘息発作を起こすことのほうが多いです。

 

4.ソランタールと併用してはいけないものはないの?

ソランタールは胃腸を悪くするお薬です。胃を荒らす可能性があるアルコールと一緒に内服するのは、勧められません。

ソランタールの添付文章では、特に併用してはいけない薬はありません。また併用に注意が必要であると記載されているお薬もありません。ソラナックスはマイルドな効果なお薬のため他のNSAIDsのように、併用注意のお薬がないのです。

ただし添付文章に併用注意が何も書いてないからといって、アルコールと一緒に飲むなんてことはしてはいけません。ソランタール含めてNSAIDsは、胃腸障害が最も多い副作用のお薬です。

ソランタールと一緒にアルコールを摂取することで、胃腸を荒らす可能性があります。

特にソランタールを内服するということは、体にどこか異常があるということです。そしてソランタールはその異常を治すお薬ではなく、痛みや熱を感じなくしづらくするお薬です。

そのため、「頭が痛いけど飲み会だからソランタールを飲んで頑張ろう」などと無理をしてしまうと、かなり負担がかかることになります。

どんな病気も、基本は安静にして休むことが一番になります。ソランタールを飲むくらい体調が悪いのであれば、アルコール自体なるべく避けるようにしましょう。

 

5.ソランタールは、高齢者・小児・妊婦には使用できるの?

ソランタールは他のNSAIDsに比較して安全性が高いです。高齢者、小児、妊婦の方に向いてるNSAIDsです。

まずご高齢の方ですが、ソランタールは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

となっています。上記の方にソランタールは併用注意と書かれていますが、ご高齢の方の中には、これらのどこかしら悪い方も大勢います。一方でソランタールは、NSAIDsの中でも安全性が高い薬です。他のNSAIDsでは、上記の臓器の他に心臓が悪い人も注意が必要と書かれていますが、ソランタールは心臓は除外されています。これは、ソランタールの安全性が高いためでしょう。

ほぼ全てのNSAIDsの添付文章で、高齢者には慎重投与となっています。NSAIDsの中だけで考えると、ソランタールはむしろ高齢者向きといえるでしょう。また、ソランタールは安全性が高い薬のため、小児に対しても適応があります。

さらに特筆すべきは、妊婦の方です。通常妊婦の方は、NSAIDsはかなり注意が必要です。ソランタールはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。

お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。

つまり、心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。NSAIDsはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、ほぼ全てのNSAIDsが妊娠後期は禁忌とされています。

しかしソランタールは安全性が高いため、この動脈管閉塞のリスクがほとんどありません。そのためソランタールの添付文章でも

妊婦又は妊娠している可能性のあ る婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

と記載されています。解熱薬や鎮痛薬で妊婦の方に使用できるお薬は非常に少ないです。一般的にはカロナールが処方されることが多いですが、ソランタールとカロナールの安全性はほぼ同じと考えている施設も多いです。

カロナールが効かない人はソランタールを考慮して良いと思います。しかし、ソランタールは妊婦に関して完全に安全性が確立されたわけではありません。妊娠中の安全性を示すオーストリア基準では、Cのカテゴリーになっています。

Cの定義は、「催奇形性はないが、薬の効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすまたは、その疑いのある薬」になります。ソランタールは効果が弱いとは言え、NSAIDsです。理論上NSAIDsは、先ほどの動脈管閉塞のリスクがあります。

そのため症状が軽度であれば、あえてソランタールを積極的に飲む理由はありません。少なくともソランタールを積極的に内服して、病気が早く治るわけではないです。

 

まとめ