クリノリルの副作用と安全性について

アイコン 2016.11.10 クリノリル
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クリノリル(一般名:スリンダク)は、解熱鎮痛剤として主に腎機能障害の人に使用されています。クリノリルはプロドラッグとして薬がすぐに作用せずに、体内で代謝されて有効物質に変換されるため副作用が出づらくなってます。

特にクリノリルは、腎臓で排泄される時には元のスリンダクに戻ることで、腎臓にダメージを与えづらい構造になっています。しかしクリノリルは安全性が高いですが、絶対に安全なお薬ではありません。

元々NSAIDs自体が、胃腸障害や腎機能障害が出現しやすいお薬です。さらにクリノリルは、妊娠後期の方には使用できないなどの制限もあります。

クリノリルを正しく使用するために、ここではクリノリルにどのような副作用があり、どのような方が使えないのかみていきましょう。

 

1.クリノリルの副作用の特徴

クリノリルの副作用として気を付けるべきものとして、胃腸障害と腎障害があります。

クリノリルの添付文章では、総症例14,563例中,副作用が報告されたのは497例(3.41%) でした。主な副作用症状としては、

となっています。一番多いのは、消化器症状などの胃腸障害です。これは、クリノリルがアラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。

クリノリルは痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護する物質も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。このことが、結果として腹痛や嘔気につながります。この副作用はクリノリルに特徴的というよりは、クリノリル含めてNSAIDsに特徴的な副作用です。

クリノリルはプロドラッグとしてこの胃腸障害が他と比べると少ないと考えられています。内服直後から効果を発揮すると胃や腸に直接作用してしまいますが、クリノリルの主成分であるスリンダクは効果を発揮しません。体内に吸収されて、スルフィド体に変化してから効果を発揮します。このように体内に吸収されてから効果を発揮するお薬をプロドラッグといいます。

また、NSAIDsは主に腎臓で排泄されるため腎臓を傷めてしまうことがあります。クリノリルはこの点も改善があるお薬です。スルフィド体として有効物質として痛みや解熱作用を発揮した後、排泄前にスリンダクに戻る特徴があります。

スルフィド体は今までのNSAIDsと同じように腎臓を傷めつけますが、スリンダクは腎臓を傷つけづらい物質となります。そのため腎機能障害の方にクリノリルは使用しやすいお薬となっています。

ただし、100%スルフィド体がスリンダクに変換するわけではありません。一部は直接腎臓に排泄されることから腎機能障害が起こるリスクはやはりあります。添付文章でも頻度不明と記載されながらも、急性腎不全は記載されています。

腎臓は、おしっこを作って体の毒物を排泄する重要な臓器です。腎臓が痛んでしまうとおしっこが上手く排泄されなくなり、体に毒が蓄積されます。

水分が体に蓄積することで、むくみが出現します。さらに血管内に水分がパンパンになると、心不全にもつながるため非常に危険です。

胃腸障害も腎障害もクリノリルを1錠内服していきなり出現するというよりは、漫然と飲み続けてしまうと徐々に起こる副作用です。

特に腎機能障害があってクリノリルを内服し続ける方は、

などを気を付けるようにしましょう。特に尿が出ないのを放っておくと、尿毒症といって全身に毒物が回って非常に危険な状態です。

 

2.クリノリルが使用できない疾患は?

クリノリルは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。また、アスピリン喘息の方は使用できません。

クリノリルの添付文章では、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 重篤な高血圧症のある患者[血圧を更に上昇させるおそれがある。]
  7. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  8. アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]
  9. 妊娠後期の婦人

となっています。この中で注意が必要なのは、

の3つです。

②~⑥は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。そのためこれらの②~⑥でクリノリルの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。

ただし腎臓機能障害で使用するのがクリノリルになります。このクリノリルが使用できるかどうかは、完全に医師の裁量です。上記のように腎機能障害に使用しやすいとありますが、どのくらいの腎機能障害があればクリノリルをどの程度使って良いか、そもそも使用してはいけないのかなどは記載されていません。

そのため医師側が大丈夫と判断してクリノリルを使用しても、腎機能障害が進行することは多々あります。「医者が出しているからクリノリルを飲んでていても大丈夫」ではなく、「クリノリルを飲んでいると腎機能障害が起こることがある」と常に意識して内服しましょう。

またクリノリルは副作用で説明したように、痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護する物質も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。ここで大切なことは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と知らずにクリノリルを連用してしまうことです。

クリノリル=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもクリノリルを飲んでしまう人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にクリノリルを飲んだせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にクリノリルを安易に飲まないようにしましょう。

またアスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

アスピリン喘息の人にクリノリルを使用し続けると重篤な喘息発作が出現するため、必ず避ける必要があります。

 

3.クリノリルで注意するべき疾患は?

消化管潰瘍が過去にあった人は、やはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることが ある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌ クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 過敏症の既往歴のある患者
  7. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]
  8. 潰瘍性大腸炎の患者[病態を悪化させることがある。]
  9. クローン病の患者[病態を悪化させることがある。]
  10. SLE(全身性エリテマトーデスの患者[病態を悪化させることがある。]
  11.  MCTD(混合性結合組織病)の患者[無菌性髄膜炎等の 副作用があらわれやすい。 ]

上記であげた疾患のうち、血液・肝臓・腎臓・心臓は重篤ではなくとも悪化することがあるため、注意が必要となっています。

また、一度でもクリノリルで腎臓や肝臓などが悪化したことがあれば、その旨を医師に伝えることが重要になるので覚えておきましょう。特に腎機能障害は何度も記載するように非常に重要な問題です。

腎臓は一度でも悪くなりすぎると、もとに戻らないことが多いです。最終的に尿が出なくなれば、一生透析で過ごすことになります。

他の問題点としては、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人です。医師の中でも、過去に胃潰瘍が十二指腸があったというだけで禁忌の扱いにして、クリノリルを処方しない方もいます。

しかしながら胃潰瘍の状態が安定していれば、慎重に投与することができるお薬です。もし胃潰瘍や十二指腸潰瘍が今の状態でクリノリルが内服できるか知りたい方は、一度胃カメラで精査することをお勧めします。また安定していたとしても、ムコスタなどの胃薬と一緒に飲むことで胃の粘膜を守ることが必要です。

アスピリン喘息だけでなく、クリノリルによって気管支喘息も起こりやすくなると記載されています。クリノリルの副作用というよりも、病気によるストレスで喘息発作を起こすことのほうが多いです。

 

4.クリノリルと併用してはいけない薬はないの?

クリノリルは、併用するのに注意が必要なお薬もあります。特にニューキノロン系は注意が必要です。

クリノリルの添付文章では、いっしょに併用した。ただし他にも併用するのに注意が必要なお薬はあります。

  1. ワルファリン(抗凝血作用を増強するおそれがあるため)
  2. チアジド系利尿薬 (利尿・降圧作用を減弱するため)
  3. 降圧薬(降圧作用が減弱するため)
  4. メトトレキサート(メトトレキサートの 血中濃度が上昇し, その副作用を増強するため)
  5. アスピリン(消化器系の副作用の 発現率が上昇するため)
  6. シクロスポリン(シクロスポリンによ る腎毒性が増強され ることがあるため)

の⑥つが挙げられています。もしこれらのお薬を使用して気になる人は、一度医師に相談してみましょう。ただしこれらのお薬は、他のNSAIDsでもほぼ慎重投与になるため注意が必要です。

 

5.クリノリルとアルコールは一緒に摂取して良いの?

クリノリルは胃腸を悪くするお薬です。胃を荒らす可能性があるアルコールと一緒に内服するのは、勧められません。

クリノリル含めてNSAIDsは、胃腸障害が最も多い副作用のお薬です。そのため、空腹に飲むことは勧められていません。一方で食事の時に、お酒を飲みながらクリノリルを飲んでも良いかという質問をよく受けます。

結論としてはアルコールで一緒にクリノリルを内服しない方が安全です。クリノリルと一緒にアルコールを摂取することで、胃腸を荒らす可能性があるからです。

そもそもクリノリルを内服している人の多くは腎機能障害がある方だと思います。アルコール自体が腎機能を悪くすることもあります。

もし本当はアルコールのせいで腎機能が悪くなったのに、クリノリルを内服していて悪くなったと医師側が判断すると、今後クリノリル含めて解熱・鎮痛薬が使いづらくなります。

そうすると痛みや発熱は基本的に我慢するようにという指示に変わりかねません。クリノリルを内服する際はお酒は絶対に避けるようにしましょう。

 

6.クリノリルは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?

クリノリルは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。小児はが推奨されていません。妊娠末期の妊婦の方も使用できないので、注意が必要です。

まずご高齢の方ですが、クリノリルは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては、副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

に問題がある人は慎重投与になっています。ご高齢の方はだいたいこれらのどこか今まで指摘を受けてなくても異常があることが多いため注意が必要になります。

特にクリノリルは、熱を出してる原因を治療するものではありません。どうしても若年者よりも免疫機能も落ちているため、クリノリルで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。

また小児に関しては、クリノリルは安全性が確立されていません。クリノリル自体が腎機能障害がある方に処方されているためそもそも小児に処方使用することは少ないと思います。

NSAIDsの中でも、ポンタールソランタールは小児用の量も記載されており使いやすいので、そちらを使用した方が良いでしょう。

妊婦の方は、クリノリルはかなり注意が必要です。クリノリルはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。

お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。

つまり心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。クリノリルはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、絶対にクリノリルを飲まないでください。

また添付文章には、産後にお母さんがクリノリルを飲んだ際は、授乳は避けるようにと書かれています。赤ちゃんにクリノリルの成分が移行するからです。しかしこれも医師の考え方によってまちまちで、一定の見解は得られていません。

もしクリノリルが心配な人は、カロナールなどNSAIDs以外の痛み止めを処方してもらうと良いかもしれません。

 

まとめ