ナイキサン錠(ナプロキセン)の効果と特徴

アイコン 2016.10.13 ナイキサン
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ナイキサン(一般名:ナプロキセン)は、1978年に田辺三菱製薬で発売された解熱鎮痛薬です。

ナイキサンは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS:エヌセイド)の中の「フェニルプロピオン酸系」に含まれます。この「フェニルプロピオン酸系」と同じ種類のお薬としては、ロキソニンなどが挙げられます。

ナイキサンは解熱鎮痛剤として広く使われているお薬です。特にナイキサンは、腫瘍熱に対して最も効果を発揮するお薬です。腫瘍熱とは、いわゆる癌で熱を発する場合です。

ただし注意が必要なのは、解熱・鎮痛薬は症状をあくまで一時的に抑えるお薬であり、病気自体を治す治療薬ではないので注意が必要です。

ここでは、ナイキサンの効果の特徴を詳しくお伝えし、どのような疾患・症状に使われるのか、説明していきたいと思います。

 

1.ナイキサンのメリット・デメリット

<メリット>

<デメリット>

ナイキサンも属するNSAIDsとは、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。ステロイドは熱や痛みの原因となる炎症や免疫を抑えますが、それ以外にも様々な作用を与えてしまいます。ステロイドについて詳しく知りたい方は、「プレドニンの効果と特徴」について一読してみてください。

ナイキサンは、アラキドン酸カスケードをブロックすることで炎症を抑え、その効果を発揮します。炎症が抑えられると痛みを抑えるだけではなく、熱を下げる効果も期待できます。

NSAIDSは現在、20~30種類以上発売されています。その中でもナイキサンの特徴としては、腫瘍熱に最も対して効果があるということです。腫瘍熱とは、いわゆる癌で熱が出てくる状態です。癌自体をすぐに治すことは難しいため、腫瘍熱をコントロールするのは非常に難しいことです。

ナイキサンは、こうした癌の発熱に対して最もよく効くといわれるお薬です。ばい菌による熱か癌による熱か鑑別するために、ナイキサンテストという試験があるくらいです。そのため、癌で発熱した方の多くに処方されています。

ただしナイキサンなどのNSAIDsは、病気を治しているわけではないということを念頭においてください。そのためナイキサンを飲んで熱が下がっても一時的なことが多く、ナイキサンを腫瘍熱に対して処方する場合は長期に及ぶことが多いです。

またナイキサンは、2歳以上の小児に対して適応があります。NSAIDsの中には小児には処方できないお薬もあるし、子供の年齢によっても制限があることが多いです。2歳以上というのは、NSAIDsの中でもかなり小さなお子さんにまで使えるお薬になります。ただし錠剤しかないため、飲ませにくいのが難点でしょうか。

ナイキサンを処方する注意点として、胃の粘膜を荒らす特徴があります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお腹が痛い人にナイキサンを処方すると、むしろ逆効果になるため注意が必要です。その他、

はナイキサンは禁忌となって使えません。さらに妊娠中もナイキサンはお腹の赤ちゃんに影響を与えるため、禁忌となっています。ナイキサンは熱や痛みを抑えるといった効果の反面、すべての人に使えるわけではないので注意が必要です。

 

2.ナイキサンの適応と投与量は?

ナイキサンは、鎮痛剤や解熱剤として多くの病気に適応があります。また小児に対しても適応があります。

ナイキサンは内服薬としては、

の1種類のみ処方されています。適応ですが、

  1. 関節リウマチ、変形性関節症、痛風発作、強直性脊椎炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、月経困難症、帯状疱疹
  2. 外傷後並びに手術後の消炎、鎮痛
  3. 歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の消炎、鎮痛

に対して適応があります。基本的に痛い時、熱がある時に適応があると考えて良いと思います。しかし実際に一番ナイキサンが使用されるのは、上記した腫瘍熱に対してです。これに対しては後述したいと思います。

投与量ですが、成人にはナイキサンとして1日量300~600mg(3~6錠)を2~3回に分けて経口投与します。つまり症状によってナイキサン1回1錠~2錠を、1日2~3回内服します。

痛い時などに頓用する場合は、一般的にナイキサン300mg(3錠)を経口投与します。

特にナイキサンは、空腹時に内服すること避けてください。

ナイキサンの効果は食事の影響はないとされていますが、副作用を防ぐため、食後に飲むようにするとよいでしょう。頓服で飲むときでも、牛乳を飲んだりクッキーを先に食べておき、胃壁を守るようにしましょう。また、水なしで服用してはいけません。きちんと胃に落とし込むために、コップ1杯の水とともに内服するようにしてください。

ナイキサンは、最高血中濃度に達するのが2~4時間後です。そのため、ナイキサンを飲んでからすぐ効果を発現するわけではありません。ナイキサンのは半減期は約14時間(8~16時間)になります。このためNSAIDsの中でも、ナイキサンは効果が持続しやすいお薬といえます。

ただし、人によって効果の持続時間はかなり差があります。特にナイキサンが使用される腫瘍熱は、熱が出てから下げるのではなく常に下げるように使用します。そのため腫瘍熱自体認めないように、投与量は人によってかなり変わっていきます。

 

3.ナイキサンの薬価は?

ナイキサンは古いお薬ですが、ジェネリック医薬品はありません。

次にナイキサンの薬価です。ナイキサンは古いお薬ですが、腫瘍熱など使用される機会が限られることが多いためジェネリック医薬品は発売されていません。そのためナイキサンを使用する場合は、先発品のナイキサン100mgのみになります。

ナイキサンの薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
ナイキサン 100mg錠 7.4円 2.2円

※2016年10月6日時点での薬価です。

となっています。非常に先発品自体が安いことも、ジェネリック医薬品がない理由の一つとなっています。

 

4.ナイキサンを使用する腫瘍熱とは?

癌により発生する発熱を腫瘍熱とよびます。メカニズムも詳しく分かっておらず、診断することは非常に難しいです。この腫瘍熱にナイキサンは最も効果があります。

癌による腫瘍熱ですが、発生するメカニズムは実はよくわかっていません。ただ癌自体から産生されるサイトカインと呼ばれる炎症物質により、プロスタグランジン(PG)を誘導して発熱するといわれています。このPGを阻害するのが、ナイキサンなどのNSAIDsです。

特にナイキサンは、NSAIDsの中で最も腫瘍熱によく効くといわれています。ただし腫瘍熱と診断するのは非常に難しいです。癌がある人で熱が続けば、すべて腫瘍熱というわけではありません。腫瘍熱の他にも、

など色々なことを考えなければなりません。特にばい菌などの感染を除外することが必要になります。しかし、ばい菌によるものでは絶対にないと判断するのが非常に難しいです。

腫瘍熱は、高熱が出るのにだるさ等の症状があまりでないのが特徴ですが、それだけで確定はできないです。そのため腫瘍熱かどうかの鑑別に、ナイキサンテストという試験があります。

1984年、医師であるChangらは、腫瘍熱が強く疑われる患者でナイキサン投与による解熱効果を検証しました。結果として腫瘍熱の患者では15人中14人がナイキサンに反応し12時間以内に解熱したのに比べ、感染症の患者5例はいずれも反応はなく、膠原病の患者2例は一定の効果しかないという結果でした。

その後もChangらは研究を続け、50例の腫瘍熱のうち46例が完全解熱し、ナイキサンは腫瘍熱に対して効果があることを示しています。

ただし癌自体は治るわけではないため、ナイキサンを中止すると7~8割の患者さんで腫瘍熱が再発したことが示されています。そのため腫瘍熱と診断された方は、ナイキサンと長い付き合いになることが多いです。

しかしNSAIDsの中で、メカニズム的になぜナイキサンが最も良いかということは示されていません。そのため、他の薬との比較も十分なデータがないのが現状です。カロナール(アセトアミノフェン)やアスピリンよりは、ナイキサンは腫瘍熱に対して効果があることが示されています。

その他のNSAIDsと比較しても、ナイキサンの方が熱が下がるのが早かったというデータも出ています。

 

5.ナイキサンが向いてる人は?

<向いてる人>

NSAIDsは現在20~30種類以上登場しています。ほとんど登場しないNSAIDsも多い中、ナイキサンは腫瘍熱に対して第一選択肢として使用されています。

癌は非常に治りづらい病気で、熱が出てきただけで癌の進行を実感してしてまい、患者さんにも非常に体も心も負担をかける状態です。こういった腫瘍熱を緩和するために、ナイキサンは数多く処方されています。

ただしナイキサンは、痛みや熱の原因までは解決してくれない薬です。痛みや熱を一時的に和らげるに過ぎないお薬です。そのため、腫瘍熱でナイキサンを処方された方は、長期間内服する必要があります。

熱がないからといって、ナイキサンを自己中断しないように注意しましょう。

さらにナイキサンは、小児にも適応があるお薬です。子供には適応がないNSAIDsもあるため、非常にナイキサンは使い勝手が良いと言えます。ただしナイキサンは錠剤しかないため注意が必要です。

 

6.ナイキサンの作用機序は?

ナイキサンは、プロスタグランジンを産生するアラキドン酸カスケードのCOXを阻害して痛みや発熱を抑えます。

痛み、すなわち疼痛は、人それぞれです。一般的に、

  1. 侵害受容性疼痛
  2. 神経障害性疼痛
  3. 心因性疼痛

に分けられますが、人によっては混在するケースもあります。それぞれの内容ですが、

①侵害受容体性疼痛は、痛みを感じる神経が刺激しておこる痛みです。

など必ず原因があります。その原因を脳に知らせるために神経が刺激されて感じる痛みです。

②神経障害性疼痛は、神経そのものが損傷された時の痛みです。じりじりと痺れるなどの特徴的な痛みが多いです。帯状疱疹など神経がウィルスにやられる場合や、手術で神経を傷つけた時に起こります。

③心因性疼痛は、気持ちからくる疼痛です。体は問題ないのにストレスなどから痛いと感じる疼痛です。

ナイキサンは主に、①の侵害受容性疼痛に使われます。

一般的にナイキサンを含むNSAIDsは鎮痛作用だけでなく、抗炎症・解熱作用を有しますが、とくにナイキサンは鎮痛作用が強いのです。その作用機序を説明します。

侵害受容性疼痛には、過剰なプロスタグランジン(以下、PG)が関係しています。ナイキサンを含むNSAIDsは、PGを生産する経路であるアラキドン酸カスケードをブロックすることでその効果を発揮します。その作用点は、シクロオキシゲナーゼ(以下COX)です。

COXには、2つあることが分かっています。

この作用機序は、NSAIDsの共通の作用です。ただし中には、COX-2のみ選択して阻害するNSAIDsもあります。ナイキサンはCOX-1も一緒に阻害してしまうため、胃腸障害が出現します。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>