ロキソニンの安全性は大丈夫?ロキソニンの飲み合わせと妊娠への影響

アイコン 2016.10.7 ロキソニン
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ロキソニンは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS:エヌセイド)に含まれます。解熱鎮痛剤として広く使われているお薬で、町の薬局でも処方箋なしにロキソニンSとして購入することもできる非常に身近なお薬です。

ただし身近にあるからといって、安全なお薬というわけではありません。むしろロキソニンは使ってはいけない疾患も多くありますし、妊婦に使用すると赤ちゃんに影響が出ることがあることがあるため、時期によっては使用できません。

ロキソニンが身近にあるのは、安全な薬だからではなく多くの病気に対して効果があるからです。市販薬であるロキソニンSでも、添付文章をみると細かく注意が記載されています。しかし症状が辛くて市販薬を買う時に、添付文章を細かくチェックする人は少ないのではないでしょうか?

ここでは、ロキソニンの安全性について詳しく見ていきたいと思います。ロキソニンはどのような人に使えないのでしょうか?皆さんもなじみのあるお薬だと思いますので、ぜひ理解しておいてください。

 

1.ロキソニンが使用できない疾患は?

ロキソニンは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。また、アスピリン喘息の方は使用できません。

ロキソニンの添付文章では、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者・アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]
  7. 妊娠末期の婦人

となっています。この中で注意が必要なのは、

の2つです。

②~⑤は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。そのためこれらの②~⑤でロキソニンの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。

そのため患者さんにとって気を付けるとするならば、消化性潰瘍とアスピリン喘息の2つになります。

それぞれの注意点について説明します。まず消化性潰瘍が起こる理由ですが、ロキソニンがアラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。

ロキソニンは、痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護する物質も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。ここで大切なことは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と知らずにロキソニンを連発してしまうことです。

ロキソニン=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもロキソニンを飲んでしまう人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にロキソニンを飲んだせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にロキソニンを安易に飲まないようにしましょう。

 

またアスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息の方はロキソニンの飲み薬に限らず、貼り薬や塗り薬でも発作が起きるため禁忌になっています。アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

 

2.ロキソニンで注意するべき疾患は?

消化管潰瘍が過去にあった人は、やはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることが ある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌ クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者(心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある)
  6. 過敏症の既往歴のある患者
  7. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]
  8. 潰瘍性大腸炎の患者[病態を悪化させることがある。]
  9. クローン病の患者[病態を悪化させることがある。]

上記であげた疾患のうち、血液・肝臓・腎臓・心臓は重篤ではなくとも悪化することがあるため、注意が必要となっています。しかし、これらの疾患はロキソニンの副作用でも悪くなるし、風邪などの病気でも悪くなることは多々あります。

また、一度でもロキソニンで腎臓や肝臓などが悪化したことがあれば、その旨を医師に伝えることが重要になるので覚えておきましょう。

ここでも最も問題になるのは、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人です。医師の中でも、過去に胃潰瘍が十二指腸があったというだけで禁忌の扱いにしてロキソニンを処方しない先生もいます。

しかしながら胃潰瘍の状態が安定していれば、慎重に投与することができるお薬です。もし胃潰瘍や十二指腸潰瘍が今の状態でロキソニンが内服できるか知りたい方は、一度胃カメラで精査することをお勧めします。また安定していたとしても、ムコスタなどの胃薬と一緒に飲むことで胃の粘膜を守ることが必要です。

気管支喘息でも、発作を起こす可能性があると書かれています。アスピリン喘息は確かにロキソニンで生じます。それでなければ、ロキソニンの副作用よりも病気によるストレスで発作を起こすことのほうが多いです。

 

3.ロキソニンと併用してはいけない薬はないの?

ロキソニンは併用してはいけないお薬はありませんが、併用するのに注意が必要なお薬もあります。特にニューキノロン系は注意が必要です。

ロキソニンの添付文章では併用してはいけないお薬は記載されていません。ただし、併用するのに注意が必要なお薬はあります。

  1. ワルファリン(抗凝血作用を増強するおそれがあるため)
  2. スルホニル尿素系血糖降下剤 (トルブタミド)(血糖が下がりやすくなるため)
  3. ニューキノロン系抗菌剤(痙攣を誘発するおそれがあるため)
  4. メトトレキサート(メトトレキサート血中濃度を上げやすいため)
  5. 炭酸リチウム(リチウムの濃度が上昇しやすくなるため)
  6. チアジド系利尿薬 (利尿・降圧作用を減弱するため)
  7. 降圧薬(降圧作用が減弱するため)

の7つが挙げられています。この中で注意するべきお薬が、③のニューキノロンのお薬です。他のお薬は効果が強くなったり、弱くなったりしますが、誤差範囲のことがほとんどです。またロキソニンを使用するくらい体が弱っている時は、ロキソニンを使用しなくてもワルファリンやメトトレキサートは血中濃度が変動しやすくなります。

それに対してニューキノロン系とロキソニンなどのNSAIDsを組み合わせると、痙攣が出現することがあります。この2つを使用することで、中枢神経におけるGABA受容体が阻害されることによって痙攣が誘発されると考えられています。

特にニューキノロンは、ばい菌をやっつけるお薬です。ばい菌に感染して熱が出た時に、ついついニューキノロンとロキソニンを一緒に出したくなる場合が多々あります。処方されて心配になった人もいるかもしれません。

しかしこの二つの組み合わせが禁忌になっていないのは、実際にロキソニンとニューキノロンを組み合わせで痙攣が増えたという報告がないからです。ニューキノロン側の添付文章では、

となっており、ニューキノロン単独でも痙攣が起きるため過度な心配は必要ないと思います。そのため、過去にてんかんや痙攣などが起きたことがない人は、そこまで過度に心配する必要はないとも考えられています。ただここに関しては、医師によって考え方にかなり違いがあるところですので主治医に確認してください。

 

4.ロキソニンとアルコールは一緒に摂取して良いの?

ロキソニンは胃腸を悪くするお薬です。胃を荒らす可能性があるアルコールと一緒に内服するのは、勧められません。

ロキソニン含めてNSAIDsは、胃腸障害が最も多い副作用のお薬です。そのため、空腹に飲むことは勧められていません。一方で食事の時に、お酒を飲みながらロキソニンを飲んでも良いかという質問をよく受けます。ロキソニン内服前後はアルコールを摂取しないように、市販薬のロキソニンSの添付文章では記載されています。

ロキソニンは、いわゆるプロドラッグといわれる剤形設計されています。プロドラッグとは、身体に吸収されるまでは効き目がないですが、腸で吸収されてから肝などで活性型に代謝され、効果を発揮する薬物のことです。

ロキソニンは、吸収前は胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管で吸収されますが、その後速やかに炎症抑制作用の強い活性代謝物に変換され、作用を発揮するのです。よってロキソニンは、NSAIDsの副作用である胃腸障害を減少することができます。

つまりロキソニンは飲んでからすぐに効きだすわけではなく、飲んで体の中で分解されてから効果を発揮するお薬です。そのためアルコールで一緒にロキソニンを内服してはいけないだけではなく、胃腸を荒らす可能性のあるアルコールは避けた方が安全です。

特にロキソニンを内服するということは、体にどこか異常があるということです。そしてロキソニンはその異常を治すお薬ではなく、痛みや熱を感じなくしづらくするお薬です。

そのため、「頭が痛いけど飲み会だからロキソニンを飲んで頑張ろう」などと無理をしてしまうと、かなり負担がかかることになります。

どんな病気も、基本は安静にして休むことが一番になります。ロキソニンを飲むくらい体調が悪いのであれば、アルコール自体なるべく避けるようにしましょう。

 

5.ロキソニンは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?

ロキソニンは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。また、15歳以下の小児には適応がありません。妊娠末期の妊婦の方も使用できないので、注意が必要です。

まずご高齢の方ですがロキソニンは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

などが悪い人などは慎重投与となっています。ただし高齢者の場合は、体力に限らず臓器の機能も徐々に低下していることが多いため、知らないうちにこれらの病気が隠れていることがあります。さらに熱が出たときにロキソニンを使用することは、かなりご高齢の方は慎重になった方が良いと思います。

ロキソニンは、熱を出してる原因を治療するものではありません。どうしても若年者よりも免疫機能も落ちているため、ロキソニンで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。

そのためご高齢者の場合は市販薬のロキソニンSではなく、まず医療機関を受診してからロキソニンを飲むようにした方が安全でしょう。

また小児に関してはロキソニンは、15歳未満のお子さまには安全性が確立されていないため処方されません。大人と同じ症状であっても、お子様には別の消炎鎮痛薬が処方されます。

 

妊婦の方は、ロキソニンはかなり注意が必要です。ロキソニンはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。

お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。

つまり心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。ロキソニンはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、絶対にロキソニンを飲まないでください。

また、腰痛に悩むことが多い方にも、ロキソニンの内服・パップ剤が処方されることはないでしょう。動脈管は、赤ちゃんが生まれて自分で息をし始めると、徐々に普通は閉じていきます。そのため、産後の疼痛でロキソニンを処方する病院も多いです。

ただし添付文章には、産後にお母さんがロキソニンを飲んだ際は、授乳は避けるようにと書かれています。赤ちゃんにロキソニンの成分が移行するからです。しかしこれも医師の考え方によってまちまちで、一定の見解は得られていません。

もしロキソニンが心配な人は、カロナールなどNSAIDs以外の痛み止めを処方してもらうと良いかもしれません。

 

まとめ