市販薬のロキソニンSは安易に使ってはいけない!ロキソニンSの効果と問題点

アイコン 2016.10.11 ロキソニン
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ロキソニンは、痛み止め、熱冷ましとして多くの人が使用されています。日本で知らない人の方が少ないかもしれません。

先日、海外の方が「I would like some strong painkiller」と来院されました。(鎮痛薬は英語で、painkillers)その外国の方は、「打撲した肩がひどく痛む」ということだったのでロキソニンをおすすめしたところ、「I know Loxonin」と言われました。このように今や世界的にも有名なロキソニンです。

ロキソニンは、ロキソニンSとして市販薬も発売されています。ただしロキソニンSは、安全だから市販薬になっているわけではありません。またロキソニンSは症状となる病気を治す治療ではなく、表現はよくありませんが誤魔化すためのお薬です。ですからロキソニンSを飲み続けて様子を見てたら、状態が悪化してしまったということは多々あります。

ここでは、ロキソニンSとうまく付き合うためにも特徴についてよく知っておきましょう。

 

1.ロキソニンSの特徴は?

ロキソニンSは、市販薬としてロキソニンと同じ主成分であるロキソプロフェンが60mg含まれています。ただし使用には、十分に注意する必要があります。

ロキソニンSは、ロキソプロフェンNaの成分が60mg含まれている市販薬です。これは医療機関から処方されるロキソニンと、全く同じ成分が同じ量含まれています。

しかしロキソニン自体、決して安全なお薬ではありません。むしろロキソニンは使ってはいけない疾患も多くありますし、妊婦に使用すると赤ちゃんに影響が出ることがあることがあるため、時期によっては使用できません。

ロキソニンが身近にあるのは安全な薬だからではなく、多くの病気に対して効果があるからです。市販薬であるロキソニンSでも、添付文章をみると細かく注意が記載されています。

ロキソニン自体の副作用および安全性について知りたい人は、「ロキソニンの副作用と安全性について」「ロキソニンの安全性は大丈夫?ロキソニンの飲み合わせと妊娠への影響」を一読してみてください。

そのためロキソニンSは第一類医薬品に分類されていて、薬剤師との対面販売が必須となります。必要事項に関するインタビューを受け、薬剤師が大丈夫と判断した場合のみ購入できますので注意してください。

ロキソニンSの包装個数も少なく12錠、約4日分のみです。つまりそれでも症状が改善しない場合は、病院での診察を受けるのが安全ということに他なりません

この点をよく理解したうえで、どういった時にロキソニンSを使用するべきか考えていきましょう。ちなみにロキソニンSは、

の3種類があります。しかし主成分であるロキソプロフェンナトリウムの量は変わりません。ロキソニンSプラスでプラスされているのはマグネシウムで、これにより胃腸障害をマイルドにする効果があります。

ロキソニンSプレミアムはロキソプロフェンナトリウム水和物に、アリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインが加わってます。アリルイソプロピルアセチル尿素は眠くなるお薬で、解熱作用がありますが非常にマイルドです。カフェインは覚醒作用や鎮痛作用があります。

医師からみると、この3つにそこまで効果の違いはないように感じます。ロキソニンSのどれを使うかよりも、ロキソニンSをどの疾患に対して使用するかの方がはるかに大切です。

また2016年8月末には、これまで発売されていた内服に加えて、ロキソニンテープやパップ、ゲルも新発売されました。

ロキソニンテープは、病院で処方されるのと同じ2サイズです。すぐに病院に行けなくても、これまでロキソニンで効果のあった方は市販薬を活用してください。外用剤であるこれらのお薬は第一類ではなく、要指示医薬品になるので薬剤師が常駐していない薬局でも購入可能です。

それではロキソニンSはどういった時に使用すればよいか、続けてお伝えしていきたいと思います。

 

2.ロキソニンSの適応疾患について

主に生理痛と頭痛に対して適応があります。

医師が状況を判断して処方するロキソニンは、様々な疾患に対して使用できます。しかし市販で買うロキソニンSは医師の診断がないまま使用するため、非常にリスクもあります。ロキソニン自体、痛みや疼痛をとる魔法のお薬ではなく、痛みの原因となる物質を一時的に阻害して誤魔化すお薬だからです。

そのためロキソニンSの適応疾患は、

に限られています。この中で最もよく使用されるのが、

の2つです。これら2つは、多くの人が痛みに困っています。そのため、これらの人が医療機関に受診しなくてはロキソニンが手に入らないとなると、医療機関がパンクしてしまいます。

こうした事情から、ロキソニンSが市販薬として発売されています。実際にロキソニンSのホームページも、頭痛・生理痛を中心に宣伝しています。

その他の疾患も、

など、原因がある程度推定できるものに限られています。正直医師からすると、

などは原因が分からず、痛み止めを使用するのはかなり抵抗があります。原因によっては、かなり重篤な疾患が隠れている可能性があるからです。

一方で風邪での発熱に対しても適応があります。しかし風邪に関しても、慎重になる必要があります。これらの病気に関しては、別項目で詳しくみていきましょう。

 

3.ロキソニンSを頭痛に対して使用する場合は?

いつもと違った症状があれば、脳出血(くも膜下出血)などが疑われます。その場合はすぐに病院を受診しましょう。

ロキソニンSで使用して良い頭痛は慢性頭痛といって、いつも頭が痛くなる人です。慢性頭痛=片頭痛と考えている人は多いかと思います。しかし実は慢性頭痛は、主に3つの疾患が考えられます。

  1. 片頭痛…ズキン、ズキンと拍動性に痛む
  2. 緊張性頭痛…ぎゅーっと全体が締め付けられる
  3. 群発性頭痛…目の奥に強烈な痛みが決まった時間帯にある

このような慢性頭痛に対して、ロキソニンSは非常に適応があります。片頭痛が最も有名かもしれませんが、実は緊張性頭痛が最も多いです。そのため、まずは内科で必ず診断を受けてからが大切になります。

何となく慢性的に続く頭痛にも、このように3つの病気があるのです。なぜ3つの病気に分けられているのかというと、治療方針や重篤になった時の症状に違いがあるためです。そのため頭痛で使用する場合は、自分がどの頭痛か診断を受けてから使用すべきでしょう。

また頭痛に使うときは、慢性的に使わないようにすることが大切です。ロキソニンなどの痛み止めを毎週連用していると、薬剤乱用性頭痛の原因になってしまうこともあります。痛みが繰り返す場合は、医療機関でしっかりと治療を受けてください。

さらに気を付けることは、頭痛は重篤な疾患も数多くあります。

  1. 脳出血
  2. 髄膜炎(脳炎)
  3. 脳腫瘍(癌)

など、どれも命に直結する疾患です。この中で気を付けて欲しいのが脳出血です。脳出血で一番多いのがクモ膜下出血です。特徴としては、

  1. 突然の頭痛
  2. 今まで感じたことないの強い痛み

が特徴です。もともと片頭痛などお持ちの方も、これらの症状の場合は急いで病院受診するようにしてください。脳出血は時間単位で治療を争う病気です。

1~2時間遅れただけで命に関わり、場合によっては植物人間になってしまう恐ろしい病気です。また痛みの性状以外にも

などの付随症状が出た場合も、すぐに病院を受診するようにしましょう。

 

4.ロキソニンSを風邪(熱)に対して使用する場合は?

ロキソニンSは風邪を治す薬ではなく、症状をとる治療です。そのためロキソニンSを飲むくらい症状が辛いのであれば、必ず休むようにしましょう。

風邪をひくと、「発熱が出ると辛い!だから下げたい!!」そう思う人が大半だと思います。そもそもどうして風邪にかかると発熱するのかということから説明していきます。まずは大まかな流れを理解してみましょう。

  1. ばい菌が侵入すると、白血球やマクロファージなどの細胞でばい菌などの異物を食べるように取り込みます。
  2. この際に取り囲んだ細胞が、サイトカインという発熱を促す物質を出します。
  3. サイトカインが脳に行くことで、体内にばい菌が侵入したことを知らせます。
  4. 脳の視床下部の体温調節中枢が、体内の温度を上昇させます。

この順序で熱は上がります。ばい菌が体内に侵入した事がきっかけですが、私たちの身体が必要だから熱を上げているのです。ではなぜ、熱を上げるのでしょうか?以下の3つが挙げられます。

熱が出るときには、関節や筋肉痛、気持ち悪い、寒気などの症状が認められますが、この症状もサイトカインの働きです。これらの症状は辛いですが、そのために無理ができずに身体を休めることができます。「熱が高くなっているのは、ばい菌を頑張って体が退治している」ことに他なりません。

つまり熱は、我々自身の体がばい菌と戦うために自ら発しているのです。ロキソニンSは、この熱の原因となるばい菌をやっつけて熱を下げるのではなくて、熱や痛みの物質を一時的に阻害して解熱させる治療薬です。

つまりロキソニンSを飲んだからといって、早く風邪が治るわけではありません。むしろあなた自身とばい菌の戦いに、水を差すとも考えられます。このことを理解してロキソニンSを飲むようにしてください。

ですから、ロキソニンSを飲んだら必ず安静加療を心がけましょう。

などを無理して行うために、ロキソニンSを飲むことは絶対にやめましょう。また風邪は簡単そうに見えますが、実は医者でも診断を確定するのは非常に難しいです。熱が出て風邪だと思ってロキソニンSで様子を見ていたら、

などで重篤な状態で運ばれてきた患者さんを、私たちは多く経験しています。ロキソニンSの市販薬が12錠4日しかないのは、ロキソニンSで様子をみていたけど良くならなければすぐに病院を受診すべきからです。

またインフルエンザの発熱は、ロキソニンなどを使用するとインフルエンザ脳症のリスクがあるため勧められていません。詳しく知りたい方は、「インフルエンザと風邪の違いと注意すべき合併症」を一読してみてください。

理解していて欲しいのは、熱が出たら全て風邪というわけではありません。そしてばい菌による感染でも重篤なものもありますし、インフルエンザでは逆にロキソニンSは使用してはいけない状態です。また、癌や膠原病など特殊な病気でも熱が出ます。

そのため熱でロキソニンSを使用する場合は、

の2つを念頭に使用しましょう。

 

5.ロキソニンSが向いてる人は?

<向いてる人>

ロキソニンSのCMでも、「生理痛・頭痛」を中心に売り出しています。適応として他の疾患も書かれていますが、やはりこの2つの疾患が中心だと思います。

ただし頭痛は、一度内科に診断してもらってからの方が良いでしょう。頭痛の中には怖い疾患が多くあります。痛み止めで長年過ごしていたら、重症疾患が隠れていたことはよくあることです。

また、急に頭が痛くなった場合は、痛み止めで様子を見ることは非常に危険です。

打撲や捻挫など原因が分かってる痛みに対しては、ロキソニンSは非常に効果的です。ただし腰痛など、長期間ロキソニンSを内服しなければいけないような場合は、一度整形外科で診断を受けた方が良いです。

解熱薬として使用するお勧めは、若年者です。基本的に若年者では体力・免疫力が十分にあるので、病気が重症化しても余力があります。ただしそんな若年者でも、ロキソニンSを内服するくらい症状が悪いのであれば、必ず安静加療を心がけてください。そして症状が強い場合は、ロキソニンSを内服する前に病院を受診してください。

など怖い病気の可能性があります。一方で高齢者でロキソニンSを使用する場合は、かなり慎重になる必要があります。個人的には高齢者は、市販薬で様子を見るのは禁忌に等しいと思っています。

高齢者では体力・免疫力が低下傾向であり、放置していくとすぐに命に関わることが多いです。実際に私も、多くの高齢者の肺炎による入院治療していますが、残念ながら治療が間に合わなかった人も多いです。そういった方の多くは、ロキソニンSなどの痛み止めで様子をみていてたら急激に悪化して、慌てて病院に駆け込んだケースです。

残念ながら、現在の医療でも限界があります。かなり重篤化してから病院に来ても、助からない病気も多いです。こういったことがないように、ご高齢の方はロキソニンSは基本的に使用しないようにしましょう。

このようにロキソニンSは市販薬として気軽に買える反面、病気を診断せずに曖昧にしてしまう怖さもあります。

そのため医師から言えることは、ロキソニンSは病気を治す薬ではなく病気を誤魔化す薬であるということをよく自覚して、病院受診の代わりにはならないことを肝に銘じて使用して欲しいということです。

 

まとめ