ボルタレンサポの副作用と安全性

アイコン 2017.1.2 ボルタレン

ボルタレンサポ(一般名:ジクロフェナク)は、坐薬の解熱鎮痛剤として多くの人に使用されています。

ボルタレンサポは即効性があり、効果も強いお薬です。NSAIDsと呼ばれる同じタイプの解熱鎮痛剤の中でも、ボルタレンサポは効果が強いお薬になります。

しかし効果が強い分、副作用も強いため注意が必要です。特にボルタレンサポなどのNSAIDsは副作用として、胃腸障害が問題になります。ボルタレンサポも坐薬で胃腸は通過しないとはいえ胃腸障害が出現するため気を付ける必要があります。

さらにボルタレンサポは効果が強く出すぎて低体温や血圧低下によるショックがあるため気を付ける必要があります。また妊娠後期の方含めて、使用することができない人もいます。

ここでは、ボルタレンサポにどのような副作用があり、どのような方が使えないのかお伝えしていきます。

 

1.ボルタレンサポの副作用の特徴

ボルタレンサポの副作用として気を付けるべきものとして、胃腸障害があります。さらに状態が悪い人は急激に効果が出ることでショック状態になることがあります。

ボルタレンサポの添付文章では、1,420例中106例(7.46%)に130件の副作用が認められました。主な副作用としては、

と報告されています。一番多いのは、消化器症状などの胃腸障害です。これはボルタレンサポが、アラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。

ボルタレンサポは痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護するCOX-1も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。このことが結果として、腹痛や嘔気につながります。この副作用はボルタレンサポに特徴的というよりは、ボルタレンサポ含めてNSAIDsに特徴的な副作用です。

ボルタレンサポは内服と違い、お尻の穴に入れることで直腸から血管に薬が移行するため、胃腸を通過しない分胃腸障害は少ないと考えている人もいます。しかし実際は効果も強いお薬ですし、全身を回ることで胃腸にも影響を与えるため注意が必要です。

またボルタレンサポは効果が非常に強い薬です。効果が強い分解熱作用が強く働き、低体温になる人もいます。特に熱冷ましとして使用する場合は注意が必要です。熱を下げるためにボルタレンサポは発汗作用があります。急激に大量の汗をかくことで熱を下げようとするのですが、同時に一気に体内の水分が体外に出ます。

その影響で血圧が急激に下がることがあります。血圧が急激に下がると、軽度だとめまいで済みますが、重度だと意識が無くなったりします。

そのため

などにボルタレンサポを使用する場合は注意が必要です。

 

2.ボルタレンサポが使用できない疾患は?

ボルタレンサポは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。また、アスピリン喘息の方は使用できません。

ボルタレンサポの添付文章では禁忌の方は、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 重篤な高血圧症のある患者[血圧を更に上昇させるおそれがある。]
  7. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  8. アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]
  9. 妊娠後期の婦人
  10. 直腸炎、直腸出血又は痔疾のある患者〔粘膜刺激作用 によりこれらの症状が悪化することがある。〕
  11. インフルエンザの臨床経過中の脳炎・脳症の患者(脳炎が悪化することがある)

となっています。この中で注意が必要なのは、

の2つです。

②~⑥は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。またインフルエンザ脳炎が疑われている場合も多くの場合は入院です。

そのためこれらの疾患でボルタレンサポの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。

患者さんにとって気を付けるとするならば、消化性潰瘍とアスピリン喘息の2つになります。

ボルタレンサポは副作用で説明したように、痛みの原因となるCOX-2を抑えると同時に、胃の粘膜を保護する物質も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。ここで大切なことは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と知らずにボルタレンサポを連用してしまうことです。

ボルタレンサポ=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもボルタレンサポを使用する人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にボルタレンサポを使用したせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にボルタレンサポを安易に飲まないようにしましょう。

またアスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

アスピリン喘息の人にボルタレンサポを使用し続けると重篤な喘息発作が出現するため、必ず避ける必要があります。

 

3.ボルタレンサポで注意するべき疾患は?

消化管潰瘍が過去にあった人は、やはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることがある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 高血圧症のある患者[血圧をさらに上昇させるおそれがある。]
  7. 過敏症の既往歴のある患者
  8. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]
  9. 潰瘍性大腸炎の患者[病態を悪化させることがある。]
  10. クローン病の患者[病態を悪化させることがある。]
  11.  SLE(全身性エリテマトーデス)の患者〔SLE症状(腎障害等)を悪化させるおそれがある。〕

上記であげた疾患のうち、血液・肝臓・腎臓・心臓は重篤ではなくとも悪化することがあるため、注意が必要となっています。しかし、これらの疾患はボルタレンサポの副作用でも悪くなるし、風邪などの病気でも悪くなることは多々あります。

また、一度でもボルタレンサポで腎臓や肝臓などが悪化したことがあれば、その旨を医師に伝えることが重要になるので覚えておきましょう。

ここでも最も問題になるのは、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人です。医師の中でも、過去に胃潰瘍が十二指腸があったというだけで禁忌の扱いにして、ボルタレンサポを処方しない方もいます。特にボルタレンサポは、先に記載したように副作用が強いお薬です。そのため、リスクがある人にあえて投与する必要はないかもしれません。

一方でボルタレンサポは最強の解熱鎮痛薬のうちの一つです。胃潰瘍が過去にあるから尿管結石などの痛みが出ても、弱い鎮痛効果のお薬で様子をみましょうは酷な話かもしれません。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある方は、定期的に胃カメラで精査することをお勧めします。特に、一度でも尿管結石になった方は強くお勧めします。尿管結石の方は再発を繰り返しやすいです。そのため、ボルタレンサポを使用し続けられるか、確認しておきましょう。

アスピリン喘息だけでなく、ボルタレンサポによって気管支喘息も起こりやすくなると記載されています。ただし喘息に関してはボルタレンサポの副作用というよりも、病気によるストレスで喘息発作を起こすことのほうが多いです。

 

4.ボルタレンサポと併用してはいけない薬はないの?

ボルタレンサポは、トリアムテレンとの併用は禁忌です。

ボルタレンサポの添付文章では、トリアムテレンとの併用は腎機能障害を急激に悪化するリスクがあるため、禁忌となっています。

トリアムテレンは、カリウム保持製剤の利尿剤です。低カリウム血症があり、かつ心不全などで尿を沢山出したい方に使用されます。よく使用されるラシックスやダイアートなどのループス利尿薬は、カリウムも尿と一緒に出してしまいます。

一方でトリアムテレンは、カリウムを排出せずに尿だけ出せるお薬です。そのため、

などの病名をいわれた方は、トリアムテレンを内服している可能性があるため注意が必要です。またボルタレンサポは、その他併用注意するお薬がたくさんあります。

ボルタレンサポを使用する時は、尿管結石などの激痛の時です。痛みが激しい時に何を内服しているか伝えるのは難しいかもしれません。そのため病院に行くときは必ずお薬手帳も持参しましょう。お薬手帳を見れば、何を内服しているか分かるからです。

 

5.ボルタレンサポは、高齢者・小児・妊婦には使用できるの?

ボルタレンサポは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。ボルタレンサポは小児は使用できません。妊娠後期の妊婦の方は使用できないので、注意が必要です。

まずご高齢の方ですが、ボルタレンサポは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

と記載されています。高齢者の方は今まで指摘されてなくても上記のどこかしら悪いことが多いです。またボルタレンサポは、熱を出してる原因を治療するものではありません。どうしても若年者よりも免疫機能も落ちているため、ボルタレンサポで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。

また小児に関しては、安全性が確立されていないため推奨されていません。ボルタレンサポは効果が強い分副作用も強い薬です。そのため基本的には使用しない方が良いと思います。小児にNSAIDsを希望される方は、ポンタールなど小児に適応があるお薬を選択しましょう。

妊婦の方は、ボルタレンサポはかなり注意が必要です。ボルタレンサポはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。

お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。

つまり心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。ボルタレンサポはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、絶対にボルタレンサポを飲まないでください。

また添付文章には、産後にお母さんがボルタレンサポを飲んだ際は、授乳は避けるようにと書かれています。赤ちゃんにボルタレンサポの成分が移行するからです。しかしこれも医師の考え方によってまちまちで、一定の見解は得られていません。

もしボルタレンサポが心配な人は、カロナールなどNSAIDs以外の痛み止めを処方してもらうと良いかもしれません。

 

まとめ