セレコックスは絶対に安全なお薬ではない!セレコックスが良い場合、悪い場合とは?

アイコン 2016.12.23 セレコックス

セレコックスは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS:エヌセイド)に含まれます。選択的にCOX-2を阻害するため、現時点では最も安全なお薬とされています。

しかし安全といわれているのは、胃腸障害や腎機能障害が少ないからです。その点以外は、他のNSAIDs同様セレコックスも使ってはいけない疾患も多くありますし、妊婦に使用すると赤ちゃんに影響が出ることがあることがあるため、時期によっては使用できません。

ここでは、セレコックスの安全性について詳しく見ていきたいと思います。セレコックスはどのような人に使えないのでしょうか?

 

1.セレコックスが使用できない疾患は?

セレコックスは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。また、心臓の手術をした人にもお勧めできません。一方でアスピリン喘息の方は、NSAIDsの中では比較的安全なため悩ましいところです。

セレコックスの添付文章では、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者・アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]
  7. 冠動脈バイパス再建術の周術期患者[外国において、心筋梗塞及び脳卒中の発現が増加するとの報告がある。]
  8. 妊娠末期の婦人

となっています。この中で注意が必要なのは、

の3つです。

②~⑤は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。そのためこれらの②~⑤でセレコックスの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。

そのため患者さんにとって気を付けるとするならば、消化性潰瘍とアスピリン喘息、冠動脈バイパス再建術後の③つになります。

それぞれの注意点について説明します。まず消化性潰瘍が起こる理由ですが、セレコックスがアラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。

セレコックスは、COX-2を選択的に阻害し、COX-1をほとんど阻害しないとされています。そのため、

などの人は、むしろ積極的にセレコックスが選択されます。しかし大切なことは、セレコックスは絶対的に胃腸障害を起こさないわけではありません。実際に添付文章でも、胃十二指腸潰瘍が増悪する恐れがあると記載されています。

そのため、セレコックス=胃腸障害が起こらないと安心しないようにしましょう。むしろ、セレコックス=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもセレコックスを飲んでしまう人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にセレコックスを飲んだせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にセレコックスを安易に飲まないようにしましょう。

 

アスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

このアスピリン喘息は以前はカロナールなどのNSAIDsとは別のアセトアミノフェンが選択されていましたが、アセトアミノフェンでも発作が起きることが分かってきています。

アスピリン喘息はCOX-1を阻害することで起きることが知られています。そのため近年ではアセトアミノフェンよりCOX-2を選択的に阻害するセレコックスは比較的使用しやすいのでは?ということでセレコックスが選択される機会が多いです。

私が受けた呼吸器専門医試験でも、「アスピリン喘息に最も安全な薬剤は?」という問いに関して、セレコックスを選択する問題が出題されています。一方で添付文章では、アスピリン喘息の方にセレコックスは禁忌となっています。

これは、今までのNSAIDsの流れを汲み取っての記載です。またセレコックスでもアスピリン喘息が起きる人がいるため、絶対に安全とは言えません。

ただしNSAIDsもアセトアミノフェンもだめとなると、アスピリン喘息の方は解熱・鎮痛薬自体どれも使用できなくなります。そのためアスピリン喘息の病態を見ながら、セレコックスを処方することが多いです。今後セレコックスの添付文章で、アスピリン喘息が禁忌から慎重投与になることが望まれています。

 

セレコックスが他のNSAIDsと違う点として、添付文章では警告として、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが記載されています。なぜこのような警告文が記載されているかというと、同じ選択的COX-2阻害薬であるロフェコキシブが脳梗塞や心筋梗塞の頻度が高かったためです。

実際の比較試験でもロフェコキシブを投与していない群と比較すると、投与した群では心筋梗塞・脳梗塞の発生頻度が4倍に増えたとなっています。

これを受けて、ロフェコキシブは2004年に世界中で製造が中止しています。日本では治験止まりで、市場に登場していません。ただしロフェコシシブがなぜ血管系イベントが増えたか明らかになっていません。

国としては、同じCOX-2阻害薬であるセレコックスを日本で発売させてから心筋梗塞や脳梗塞になった方が大勢いると困るため、この一文を記載して発売させるようにアステラス製薬に通達しました。

正直に申し上げて、セレコックスがロフェコキシブと同様に心臓血管イベントが多いということは示されていません。しかし、「黒とも言えないが、絶対に白とも言えない灰色の状態」と言い換えることができます。少なくとも他のNSAIDsではバイパス術後禁忌にはなってないことから、あえて心臓手術後にセレコックスを選択する必要は少ないと思います。

 

2.セレコックスで注意するべき疾患は?

心臓手術されてなくても心臓の病気がある人は注意しましょう。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることが ある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌ クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある]
  6. 心血管系疾患又はその既往歴のある患者[心臓の病気が再発する恐れがある]
  7. 過敏症の既往歴のある患者
  8. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]

上記であげた疾患のうち、血液・肝臓・腎臓・心臓は重篤ではなくとも悪化することがあるため、注意が必要となっています。しかし、これらの疾患はセレコックスの副作用でも悪くなるし、風邪などの病気でも悪くなることは多々あります。

また、一度でもセレコックスで腎臓や肝臓や心臓などが悪化したことがあれば、その旨を医師に伝えることが重要になるので覚えておきましょう。特に心臓に関しては、かなり注意が必要です。

先ほど説明したように、違うCOX-2選択阻害薬で心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がったためです。もし心臓の病気が過去にあった、今も心不全などで通院していてセレコックスが心配な人は、一度医師に相談してみましょう。

また、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人は、潰瘍のリスクが少ないNSAIDsが積極的に選択されます。

しかしながら過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があった人は、再発もしやすいです。セレコックスを内服する前から、もしかしたら胃潰瘍や十二指腸潰瘍が併発しているかもしれません。

もし胃潰瘍や十二指腸潰瘍が心配な人は、一度胃カメラで精査することをお勧めします。また安定していたとしても、ムコスタなどの胃薬と一緒に飲むことで胃の粘膜を守ることが必要です。

 

3.セレコックスと併用してはいけない薬はないの?

セレコックスは併用してはいけないお薬はありませんが、併用するのに注意が必要なお薬もあります。

セレコックスの添付文章では、併用してはいけないお薬は記載されていません。ただし、併用するのに注意が必要なお薬はあります。

  1. ワルファリン(抗凝血作用を増強するおそれがあるため)
  2. パロキセチン(セレコックスの血中濃度が低下するため)
  3. デキストロメトルフ ァン(デキストロメトルフ ァンの血中濃度が上昇するため)
  4. アスピリン(一緒に内服すると消化管潰瘍が多くなるため)
  5. 炭酸リチウム(リチウムの濃度が上昇しやすくなるため)
  6. チアジド系利尿薬 (利尿・降圧作用を減弱するため)
  7. 降圧薬(降圧作用が減弱するため)
  8. フルコナゾール(セレコックスの血中濃度が上昇するため)
  9. アルミニウム製剤 、マグネシウム製剤 (セレコックスの血中濃度が低下するため)

となっています。他のNSAIDsと同様に併用してはいけないお薬もあれば、セレコックス特有の併用してはお薬もあります。そのため他のNSAIDsで大丈夫だったからと油断せず、処方する医師に他の内服薬を飲んでる人はみせるようにしましょう。

 

4.セレコックスとアルコールは一緒に摂取して良いの?

セレコックスは胃腸を悪くするお薬です。胃を荒らす可能性があるアルコールと一緒に内服するのは、勧められません。

セレコックスは胃腸障害が心配なため処方されることが多いお薬です。ただしセレコックスとも言えどもわずかながら胃腸障害出現するリスクがあります。

そのため、セレコックスを空腹に飲むことは勧められていません。一方で食事の時に、お酒を飲みながらセレコックスを飲んでも良いかという質問をよく受けます。

しかしこれはお勧めできません。お酒自体が胃を荒らす原因になります。胃腸障害が心配でセレコックスを処方してもらっていても、胃を荒らすアルコールを飲んだら胃腸を荒らすリスクがあります。

またセレコックスを内服するということは、体にどこか異常があるということです。そしてセレコックスはその異常を治すお薬ではなく、痛みや熱を感じなくしづらくするお薬です。

そのため、「頭が痛いけど飲み会だからセレコックスを飲んで頑張ろう」などと無理をしてしまうと、かなり負担がかかることになります。

一方でセレコックスを内服している人はリウマチや腰痛など長期間に渡り内服している人も多いです。一生セレコックスを内服中アルコールを飲んではいけないとなると、人によってはかなりつらいかもしれません。

もしセレコックス内服中もアルコールを飲酒したい方は医師に相談してみましょう。病状を踏まえてアルコールを飲んでよいか指示があると思います。

 

5.セレコックスは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?

セレコックスは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。また、15歳以下の小児には適応がありません。妊娠末期の妊婦の方も使用できないので、注意が必要です。

まずご高齢の方ですがセレコックスは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

などが悪い人などは、慎重投与となっています。ただし高齢者の場合は、体力に限らず臓器の機能も徐々に低下していることが多いため、知らないうちにこれらの病気が隠れていることがあります。

また小児に関してはセレコックスは、安全性が確立されていないため処方されません。大人と同じ症状であっても、お子様には別のNSAIDsが処方されます。

妊婦の方は、セレコックスはかなり注意が必要です。セレコックスはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。

お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。

つまり心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。セレコックスはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、絶対にセレコックスを飲まないでください。

セレコックスは安全な薬と安易に読んで、内服してしまう妊婦の方もいますが、セレコックスが安全といわれているのは胃腸障害に関与するCOX-1があまり選択されないからです。全てが安全なわけではないので注意しましょう。

ただし添付文章には、産後にお母さんがセレコックスを飲んだ際は、授乳は避けるようにと書かれています。赤ちゃんにセレコックスの成分が移行するからです。しかしこれも医師の考え方によってまちまちで、一定の見解は得られていません。

もしセレコックスが心配な人は、カロナールなどNSAIDs以外の痛み止めを処方してもらうと良いかもしれません。

 

まとめ