セレコックス錠(セレコキシブ)の効果と特徴

アイコン 2016.12.22 セレコックス

セレコックス(一般名:セレコキシブ)は、2007年にアステラス製薬から発売された解熱鎮痛薬です。

セレコックスは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイド)の中の「コキシブ系」に含まれます。セレコックスの特徴としては、持続性に優れており、また選択的COX-2阻害薬であるため、胃腸障害などの副作用が他のNSAIDsと比較して少ないことがあげられます。

ただし注意が必要なのは、セレコックスなどの解熱・鎮痛薬は症状をあくまで一時的に抑えるお薬であり、病気自体を治す治療薬ではないので注意が必要です。

ここでは、セレコックスの効果の特徴を詳しくお伝えし、どのような疾患・症状に使われるのか、説明していきたいと思います。

 

1.セレコックスのメリット・デメリット

<メリット>

<デメリット>

セレコックスも属するNSAIDsとは、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。ステロイドは熱や痛みの原因となる炎症や免疫を抑えますが、それ以外にも様々な作用を与えてしまいます。ステロイドについて詳しく知りたい方は、「プレドニンの効果と特徴」について一読してみてください。

セレコックスは、アラキドン酸カスケードをブロックすることで炎症を抑え、その効果を発揮します。炎症が抑えられると痛みを抑えるだけではなく、熱を下げる効果も期待できます。

NSAIDSは現在、20~30種類以上発売されています。その中でセレコックスは、効果が強いという特徴があります。NSAIDsの中でも最強クラスのボルタレンより少し弱いですが、ロキソニンよりは強い解熱・鎮痛作用があるといわれています。一方で即効性がないため、突発的な痛みを抑えるには不向きなお薬です。

さらにセレコックスのもう一つの特徴としては、選択的にCOX-2を阻害することです。詳しいことは後述しますが、NSAIDsはアラキドン酸カスケードのCOXをブロックします。COXは2種類あって、

となります。多くのNSAIDsは、COX1と2両方を阻害するお薬です。そのため痛みや熱さましの効果を発揮する一方で、胃腸障害や腎機能障害を引き起こす原因となります。

セレコックスはCOX-2を選択的に阻害するNSAIDsです。ただしCOX-2だけを100%選択して阻害するわけではありません。一部はCOX-1も阻害するため、胃腸障害や腎機能障害はセレコックスでも起こり得るため注意が必要です。セレコックスの他にCOX-2 を選択して阻害するNSAIDsは、

があります。ここにセレコックスの3つが現在までに発売されていますが、最もCOX-2の選択性が高いのがセレコックスとなっています。セレコックスはCOX-2 の構造からその阻害剤を合成したため、他の二つより高い阻害率を誇っています。(ハイペンとモービックは、たまたまCOX-1よりCOX-2の方が選択性が高かったというお薬です)

セレコックスは、効果も強い上に副作用も少ない優れたNSAIDsという立ち位置です。ただし注意が必要なのは、セレコックスなどのNSAIDsは病気を治しているわけではないということです。そのため、セレコックスを飲んで痛みが落ち着いても一時的なことが多く、病気の原因を治療する必要があります。

特におなかの痛みは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍による痛みの可能性があります。この時にセレコックスを使用して痛みを抑えようとすると逆効果になるため、おなかの痛みには基本的には使用しません。セレコックスもほぼCOX-2を阻害すると言え、ほんの一部はCOX-1を阻害するのでは?と言われているため、副作用も起こりうるためです。

さらに妊娠中もお腹の赤ちゃんに影響を与えるため、禁忌となっています。セレコックスは熱や痛みを抑えるといった効果の反面、すべての人に使えるわけではないので注意が必要です。

 

2.セレコックスの適応と投与量は?

セレコックスは、鎮痛剤として多くの病気に適応があります。

セレコックスは内服薬としては、

の2種類あります。セレコックスは錠剤しか剤型がないため注意が必要です。セレコックスの適応疾患ですが、

  1. 関節リウマチの疼痛
  2. 変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群の疼痛。
  3. 手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛

となっています。添付文章では、痛み止めとしてしか記載されていません。解熱作用もありますが、添付文章では十分なデータがないため記載されていません。臨床では解熱薬としても使用することがあります。

投与量ですが、

関節リウマチのみ疼痛が強いため、200mgまで増量することが可能となっているのです。

また術後の疼痛に関しては、セレコックスを初回のみ400mg、2回目以降は1回200mgを1日2回経口します。な お、投与間隔は最低6時間以上あけることが必要になっています。 頓用の場合は、初回のみセレコックスを400mg、必要に応じて以降は200 mgを6時間以上あけて経口投与します。1日2回までが原則です。

セレコックスを内服する時は、空腹時に服用すること避けてください。セレコックスの効果には食事の影響はないとされていますが、副作用を防ぐために食後に飲むようにするとよいでしょう。頓服で飲むときでも、牛乳を飲んだりクッキーを先に食べておき、胃壁を守るようにしましょう。また、水なしで服用してはいけません。きちんと胃に落とし込むために、コップ1杯の水とともに内服するようにしてください。

セレコックスは、最高血中濃度に達するのが約2時間後です。即効性は少なくともセレコックスにはありません。NSAIDsとしては平均的な速さです。セレコックスの消失半減期は、約5~9時間になります。

 

3.セレコックスの薬価は?

セレコックスは、現時点ではジェネリック医薬品が登場していません。

次にセレコックスの薬価です。セレコックスは2007年に発売されたため、ジェネリック医薬品も発売されていません。セレコックスの薬価ですが、

 商品名 剤型 薬価 3割負担
セレコックス 100mg錠 68.5円 20.5円
セレコックス 200mg錠 105.7円 30.2円

※2016年12月16日時点での薬価です。

となっています。最もよく使われているNSAIDsのロキソニンの価格は、下記のようになっています。

商品名 剤形 薬価 3割負担
ロキソニン錠 60mg 15.9円 4.8円

※2016年12月16日時点での薬価です。

セレコックスは、1日2回100mgですと1日137円、ロキソニンは、1日3回60mgですと47.7円となります。セレコックスはCOX2を選択的に阻害するため、薬価は他のNSAIDsと比較すると高くなります。

 

4.セレコックスが向いてる人は?

<向いてる人>

NSAIDsは現在、20~30種類以上登場しています。その中でセレコックスの特徴としては、選択的COX-2阻害薬であることがあります。これを意識的に使うべきなのは、長期間NSAIDsを内服する方です。NSAIDsは胃腸障害が最もよく起きますが、1~2錠内服しただけで急に起きることは少ないです。長期間NSAIDsを内服して徐々に胃腸が荒れる場合が多いです。そのためNSAIDsを長期間内服する方は選択的にCOX-2を阻害するセレコックスが良いでしょう。

現時点では、最もCOX-2選択率が高いのがセレコックスです。そのため長期処方=セレコックスと考えている医師も多いです。一方で、

という問題があります。例えば癌による疼痛や熱に対して、セレコックスは適応が記載されていません。一方で癌の緩和学会などは、長期処方するのであればセレコックスが第一選択肢が良いと示しています。

そのため、今後セレコックスのさらなる適応拡大が望まれるところです。またセレコックスが選択されるべき病気として、アスピリン喘息があります。

アスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息の方はNSAIDsの飲み薬に限らず、貼り薬や塗り薬でも発作が起きるため禁忌になっています。アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

このアスピリン喘息は以前はカロナールなどのNSAIDsとは別のアセトアミノフェンが選択されていましたが、アセトアミノフェンでも発作が起きることが分かってきています。

アスピリン喘息はCOX-1を阻害することで起きることが知られています。そのため近年ではアセトアミノフェンよりCOX-2を選択的に阻害するセレコックスは比較的使用しやすいのでは?ということでセレコックスが選択される機会が多いです。

私が受けた呼吸器専門医試験でも、「アスピリン喘息に最も安全な薬剤は?」という問いに関して、セレコックスを選択する問題が出題されています。一方で添付文章では、アスピリン喘息の方にセレコックスは禁忌となっています。

これは、今までのNSAIDsの流れを汲み取っての記載です。また、セレコックスでもアスピリン喘息が起きる人がいるため、絶対に安全とは言えません。

ただしNSAIDsもアセトアミノフェンもだめとなると、アスピリン喘息の方は解熱・鎮痛薬自体どれも使用できなくなります。そのためアスピリン喘息の病態を見ながら、セレコックスを処方することが多いです。

このようにセレコックスは向いてる人が多い薬ですが、現時点では

など、これから課題が多いお薬ともいえます。

 

5.セレコックスの作用機序は?

セレコックスは、プロスタグランジンを産生するアラキドン酸カスケードのCOXを阻害して痛みや発熱を抑えます。

痛み、すなわち疼痛は、人それぞれです。一般的に、

  1. 侵害受容性疼痛
  2. 神経障害性疼痛
  3. 心因性疼痛

に分けられますが、人によっては混在するケースもあります。それぞれの内容ですが、

①侵害受容体性疼痛は、痛みを感じる神経が刺激しておこる痛みです。

など必ず原因があります。その原因を脳に知らせるために神経が刺激されて感じる痛みです。

②神経障害性疼痛は、神経そのものが損傷された時の痛みです。じりじりと痺れるなどの特徴的な痛みが多いです。帯状疱疹など神経がウィルスにやられる場合や、手術で神経を傷つけた時に起こります。

③心因性疼痛は、気持ちからくる疼痛です。体は問題ないのにストレスなどから痛いと感じる疼痛です。

セレコックスは主に、①の侵害受容性疼痛に使われます。

一般的にセレコックスを含むNSAIDsは鎮痛作用だけでなく、抗炎症・解熱作用を有しますが、とくにセレコックスは鎮痛作用が強いのです。その作用機序を説明します。

侵害受容性疼痛には、過剰なプロスタグランジン(以下、PG)が関係しています。セレコックスを含むNSAIDsは、PGを生産する経路であるアラキドン酸カスケードをブロックすることでその効果を発揮します。その作用点は、シクロオキシゲナーゼ(以下COX)です。

COXには、2つあることが分かっています。

この作用機序は、NSAIDsの共通の作用です。セレコックスはCOX-2を選択して阻害するNSAIDsです。ただしCOX-1も一部阻害するため胃腸障害が全く起きないわけではないので注意しましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>