アスピリン錠(アセチルサリチル酸)の効果と特徴

アイコン 2017.2.11 アスピリン/バイアスピリン

アスピリン錠(一般名:アセチルサリチル酸)は、1897年から発売されている解熱鎮痛薬です。

アスピリンは、世界初の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS:エヌセイド)として、1900年代に爆発的に売れたお薬になります。しかし2000年代ではNSAIDsは30種類以上のお薬が発売され、解熱鎮痛薬としての活躍の場は失われつつあります。

アスピリンにあって他のNSAIDsにない特徴として、血をサラサラに固まりづらくさせる抗血小板作用があります。現在はこの抗血小板作用を期待して、川崎病などを中心に処方されることが多いです。

ここでは、アスピリンの効果の特徴を詳しくお伝えし、どのような疾患・症状に使われるのか、説明していきたいと思います。

 

1.アスピリンのメリット・デメリット

<メリット>

<デメリット>

アスピリンが属するNSAIDsとは、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。ステロイドは熱や痛みの原因となる炎症や免疫を抑えますが、それ以外にも様々な作用を与えてしまいます。ステロイドについて詳しく知りたい方は、「プレドニンの効果と特徴」について一読してみてください。

アスピリンは、アラキドン酸カスケードをブロックすることで炎症を抑え、その効果を発揮します。炎症が抑えられると痛みを抑えるだけではなく、熱を下げる効果も期待できます。

NSAIDSは現在、20~30種類以上発売されています。NSAIDsの中でアスピリンは最も古い歴史のあるお薬です。発売された1897年は、明治時代から活躍しているお薬ともいえます。このアスピリンを足場に多くのNSAIDsが登場しました。登場した多くのNSAIDsはアスピリンより何等か優れている点があるから登場しています。

言い換えれば解熱鎮痛薬としては2000年代以降アスピリンが活躍する場は限られてきているともいえます。2000年代以降はアスピリンは解熱・鎮痛薬としてではなく、抗血小板作用として働くことが多いです。血小板とは、血を固まりやすくする作用がある物質です。分かりやすく言えばカサブタの元です。

この血小板の機能を抑えることで、アスピリンには血をサラサラにする作用があります。大部分の人にとっては、血を固まりづらくすると出血しやすくなるため、デメリットになります。しかし血を固まりづらくすることで治療する疾患もあります。この作用も1900年代は重宝されていましたが、2000年代はアスピリンの代わりに色々なお薬が使用されるようになりました。

そんな中、アスピリンが現在も使用されるのが小児です。2000年代では抗血小板作用があるお薬も多く登場していますが、小児に対して安全性が確認されているお薬は少ないです。一方でアスピリンは1897年から発売されているため、小児に対しての使用実績もあります。また小児の方が飲みやすい粉薬もあるため、非常に使いやすいお薬です。

アスピリンを処方する注意点として、胃の粘膜を荒らす特徴があります。そのため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお腹が痛い人にアスピリンを処方すると、むしろ逆効果になるため注意が必要です。

さらに妊娠中もアスピリンはお腹の赤ちゃんに影響を与えるため、禁忌となっています。アスピリンは、全ての人に安全に使用できる病気ではないため注意が必要です。

 

2.アスピリンの適応と投与量は?

アスピリンは、鎮痛剤や解熱剤として多くの病気に適応があります。また小児に対しても適応があります。

アスピリンは内服薬としては、

の2種類が発売されています。アスピリンの適応ですが、

  1. 関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛
  2. 急性上気道炎の解熱・鎮痛薬
  3. 川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)

に対して適応があります。①の疼痛と②の解熱に対しては、多くのNSAIDsで適応があります。一方で③の川崎病は、抗血小板作用を期待したアスピリン特有の作用になります。抗血小板作用を期待して投与する疾患には他にも多くの疾患がありますが、アスピリンは保険適応がありません。

アスピリンの抗血小板作用を期待して処方する場合は、「バイアスピリン」という抗血小板用のお薬を使用します。実のところ、アスピリンとバイアスピリンは同じ成分になります。川崎病は、小児に多い病気で粉末でないと内服できない場合が多いです。このため、粉の剤形があるアスピリンの適応が認められています。

アスピリンの面白い特徴として、投与量によって効果が違うということがあります。具体的には、

このように投与量が違うことで、別々の効果を発揮します。つまり、自分がどの病気に対してどの効果を期待して内服しているか知っておく必要があります。そのため、

1gが1000mgにあたるため、アスピリンを痛み止めとして使用する場合は500mg~1500mgです。

アスピリンは、空腹時に内服すること避けてください。アスピリンの効果には食事の影響はないとされていますが、副作用を防ぐため、食後に飲むようにするとよいでしょう。

頓服で飲むときでも、牛乳を飲んだりクッキーを先に食べておき、胃壁を守るようにしましょう。また、水なしで服用してはいけません。きちんと胃に落とし込むために、コップ1杯の水とともに内服するようにしてください。

アスピリンは、用量によって最高血中濃度と半減期が変化しやすいお薬です。アスピリンを過量投与すると、半減期が20時間以上延長することもあります。そのため医師に指定された投与量を厳守するようにしてください。

 

3.アスピリンの薬価は?

アスピリンは最も古いNSAIDsです。そのためジェネリック医薬品もありますが、アスピリン自体が安いため価格はあまり変わりません。

次にアスピリンの薬価です。アスピリンは古いお薬なのでジェネリック医薬品もありますが、アスピリン自体が安いお薬のため価格はあまりかわりません。

  剤型 薬価 3割負担
アスピリン錠 100mg 5.6円 1.7円
アスピリン 粉末 2.09円 0.6円

※2017年2月16日時点での薬価です。

となっています。なお後発品のバイアスピリン錠の薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
バイアスピリン錠 100mg 5.6円 1.7円

※2017年2月16日時点での薬価です。

です。価格は全くアスピリンとバイアスピリンで変わりません。もともとバイアスピリンは、抗血小板薬が必要な疾患に対して適応があるお薬です。そのため、安さのためにジェネリック医薬品が作られたわけではない経緯があります。

 

4.アスピリンが向いてる人は?

<向いてる人>

NSAIDsは現在、20~30種類以上登場しています。アスピリンは最も古いお薬のため、解熱鎮痛薬の効果を期待すると他のNSAIDsに劣る部分が多いです。そのため現在は解熱鎮痛薬として使用されることは非常に限定的になりました。

そのため現在は、アスピリンは抗血小板の作用を期待して処方されます。一方で抗血小板の作用を有するお薬も多く登場したため、アスピリンはその分野でも制限があります。そんな中でも今でもなお使用されている疾患が川崎病です。

川崎病は主に乳幼児を中心とした病気で、日本では年間6000人が発症します。なぜこの川崎病に他の抗血小板薬ではなくアスピリンが使用されるかというと、古くから小児に使用されているため多くの実績があるからです。

乳幼児にデータがあるお薬と言うのは、実はほとんどありません。現在のお薬は非常に厳しく、安全性を確認しないと適応が通らない経緯から、乳幼児に積極的にデータが取りづらい背景があります。

一方でアスピリンは古いお薬のため、1900年代に多くの乳幼児に使用した実績があります。さらに粉薬もあるため、アスピリン自体が子供にも投与しやすいお薬も一因として挙げられます。

川崎病は症状としては、

の6つが挙げられます。この川崎病の最も注意するべき疾患が冠動脈瘤です。冠動脈瘤は、心臓に栄養を起こる冠動脈に瘤(コブ)ができる疾患です。コブができて血管が狭くなると血の流れが悪くなります。血の流れが悪くなることで、血小板がかたまりだし血の塊(血栓)が作られます。

血栓が冠動脈に詰まると心筋梗塞につながって、最悪命に関わります。そうならないためにも、血をサラサラにしておきつまりづらくする必要があるため、川崎病にはアスピリンが使用されます。瘤の形成は川崎病が起きた直後の炎症が強い時に起きやすいですが、数年間かけて徐々に発生することもあります。

そのため川崎病は、循環器内科(心臓)が診れる病院で対応することになります。川崎病に対してアスピリンを内服するのは症状を取るためではなく、心筋梗塞にならないように予防するために内服します。川崎病の病気が落ち着いたからといって、自己中断しないように注意しましょう。

 

5.アスピリンの作用機序は?

痛みには、過剰なプロスタグランジン(以下、PG)が関係しています。アスピリンは、PGを産生するアラキドン酸カスケードのCOXを阻害して痛みや発熱を抑えます。

アスピリンを含むNSAIDsは、PGを生産する経路であるアラキドン酸カスケードをブロックすることでその効果を発揮します。その作用点は、シクロオキシゲナーゼ(以下COX)です。

COXには、2つあることが分かっています。

この作用機序は、NSAIDsの共通の作用です。アスピリンはCOX-1も一緒に阻害してしまうため、胃腸障害が出現します。また抗血小板作用はCOX-1を阻害することで、COX-1が作るトロンボキサンA2(TXA2)の産生も阻害します。

TXA2は血小板を活発にする作用があります。このTXA2を阻害すれば逆に血小板が働くなるため血がサラサラになります。一方でもう一度最初のPGに目を移してください。実は痛みの源であるPGを阻害すると逆に血を固まりやすくする作用があります。これがアスピリンの容量が適応によって違う理由です。分かりやすく書くと、

大部分のNSAIDsは解熱鎮痛薬としての作用を期待するためPGが阻害されます。そのためアスピリンのみがこのPGが阻害されない低用量が支持されているのです。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>