ラミクタールの薬疹(特徴と3つの対策)

アイコン 2016.1.9 ラミクタール

ラミクタールは2008年に発売された、新しい気分安定薬・抗てんかん薬です。副作用や妊娠への影響が少なく、安全性は比較的高いと考えられています。

ですが、ラミクタールでは薬疹の副作用には注意をしなければいけません。ラミクタールの薬疹はときに重症化し、命に関わるような重症薬疹に発展することがあります。

2015年2月4日、ラミクタールの発売からしばらくたってはいますが、ブルーレターと呼ばれる安全性速報によって注意喚起されました。

ここでは、ラミクタールの薬疹の副作用について詳しくお伝えし、どのようなことに気を付ければよいのかお伝えしていきます。

 

1.ラミクタールの薬疹にブルーレターが出された経緯とは?

用量・用法が守られておらず、薬疹が出た時に適切な対処がとれずに重症化して亡くなったケースが立て続けに認められたためです。

抗てんかん薬では薬疹の副作用が多く、特に芳香族アミン系の抗てんかん薬であるテグレトールやアレビアチンなどでは薬疹に注意が必要です。ラミクタールも同じ芳香族アミン系であり、薬疹の副作用が多いお薬です。

海外では1990年から発売されていたので、薬疹の副作用の怖さはわかっていました。日本でラミクタールが発売されたのは2008年ですが、ラミクタールでは薬疹に十分注意をするようにいわれていました。添付文章をみても、「重要な基本的注意」「重大な副作用」という形で注意喚起がされていて、薬の相互作用も意識しながら少量から使っていくように明記されていました。

しかしながら、ラミクタールの用法を守っていると時間がかかりすぎてしまいます。ラミクタールは副作用が比較的少なく安全性の高い薬なので、用量・用法を守らずに使われることもありました。さらには皮疹がでてきても対処をせずに、重症化してしまっていたケースもありました。

 

2008年から2014年までの6年間で、推定37万6000人の患者さんに使われる中で、重症薬疹によって亡くなった方が16人いらっしゃいました。直近の4か月で4人が亡くなり、いずれも適切な用量・用法が守られていなかったため、2015年2月4日に厚労省からブルーレターと呼ばれる安全性速報が出されたのです。

このため怖いイメージがついてしまっていますが、用法さえきっちりと守っていれば安全性の高いお薬です。過度に心配しないで大丈夫ですし、薬疹さえ問題なければ身体に優しいお薬になります。

 

2.ラミクタールの薬疹の特徴とは?

ラミクタール投与から8週間以内に認められ、急激な血中濃度の上昇や子供、他剤での薬疹の既往がリスクファクターです。

薬疹はどのような薬でも認められることがあります。ラミクタールの薬疹では、どのような患者さんで薬疹が起こりやすく、重症化しやすいのかが知られています。

海外のデータではありますが、ラミクタールの薬疹は投与初期(8週間以内)に認められることが多いと報告されています。遅延型のⅣ型アレルギーが原因と考えられているので、服用直後というよりは3~4日してから認められることが多いです。

ですから、ラミクタールを使い始めて最初の頃は、できものができていないか注意してください。いきなり全身に出ることは少なく、赤く斑状になったところにポチっとした丘疹が認められることが多く、斑状丘疹状の発疹です。

 

また、ラミクタールの急激な血中濃度の上昇はリスクと考えられています。用法・用量を守って、少しずつ増量していく必要があります。とくに注意が必要なのがデパケンと併用する場合です。デパケンと併用すると、ラミクタールの分解が遅れて血中濃度がおよそ2倍になります。このため、通常よりも少量から開始していきます。ラミクタールの用法に関しては、「ラミクタール錠の効果と特徴」をお読みください。

 

その他のリスクファクターとしては、13歳以下の子供であることと、その他の抗てんかん薬での薬疹の既往があることも挙げられています。

子供では、発疹を伴うウイルス性感染症がたくさんあります。ラミクタールの薬疹を、これらの感染と誤解してしまうのです。ですから、ラミクタールを開始して8週間以内で薬疹が認められた場合は疑う必要があります。

抗てんかん薬では、アレルギーの関係性が高いと考えられています。通常の薬疹の出現率は、他剤での既往がある方では3倍になるという報告が海外であります。

 

3.ラミクタールの薬疹が重症化すると・・・

SJS・TEN・DIHSなどに注意が必要です。

ラミクタールで生じる重症薬疹としては、以下の3つがあります。

皮膚粘膜眼症候群(SJS)は、眼、口、陰部などの皮膚だけでなく粘膜がやられる薬疹です。発熱が認められて、表皮がはがれて水疱ができます。表皮全体の10%以下のときにSJSといいます。

中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、SJSがさらに重症化したものです。まるでヤケドのように表皮がずるむけてしまいます。表皮全体の10%以上のときにTENと診断され、死亡率は20~30%にも及びます。

薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、発疹とともに全身に赤い皮疹や紅斑が認められます。それと同時に全身のリンパ節腫脹や肝臓などの臓器障害、血液検査の異常が認められます。

 

4.ラミクタールの薬疹が重症化しないための対策

それでは、ラミクタールの薬疹が重症化しないためにはどのようなことに気を付ければよいでしょうか?

 

4-1.はじめの8週間はどんな薬疹にも気をつける

ラミクタールの薬疹が認められやすい飲み始めの8週間は慎重に観察しましょう。

ラミクタールの発疹は、飲み始めの8週間で認められることがほとんどです。ですから、この期間はどのような発疹があってもラミクタールの薬疹を疑う必要があります。

皮膚にできものができたら、必ず主治医に相談するようにしてください。とくに、子供や他剤で薬疹が出たことがある方は注意しましょう。

 

4-2.用法・用量をきっちり守る

デパケンと併用するときは、通常の半分の量で使っていきます。用法に従って増量していきましょう。

ラミクタールの薬疹は、急激な血中濃度の増加が大きなリスクとなります。ですから、少しずつ増量していく必要があります。

ラミクタールを気分安定薬として使っている患者さんは、うつ状態の方が多いと思います。うつ状態を早く抜け出したいあまりに、増量のペースを焦ってしまってはいけません。特にデパケンを併用している時は注意が必要です。

デパケンを併用している患者さんで、用量を守った方と高用量にした方の皮膚障害(重症軽症にかかわらず)の頻度を比較した報告があります。これによると、規定用量では3例/102例(2.9%)に対して、高用量では18例/173例(10.4%)となっています。

 

4-3.重症化の兆候を見つけたらすぐに皮膚科へ

ラミクタールを中止して、すぐに皮膚科で専門的な治療を受けましょう。

明らかに他の原因である場合を除けば、ラミクタールで薬疹が認められたらどのような皮疹でも原則的に中止とすることが多いです。

とくに重症化の兆候としては、以下のような症状があります。

これらの症状が認められた場合は、ラミクタールは直ちに中止して皮膚科専門医に受診してください。症状の程度に応じて治療をしていきます。ラミクタールは作用時間が長いので、発疹が消えるまでに1週間以上かかります。

 

まとめ

ラミクタールでブルーレターが出たのは、用量・用法が守られておらず、薬疹が出た時に適切な対処がとれずに重症化して亡くなったケースが立て続けに認められたためです。

ラミクタール投与から8週間以内に認められ、急激な血中濃度の上昇や子供、他剤での薬疹の既往がリスクファクターです。

SJS・TEN・DIHSなどに注意が必要です。

重症化させない注意点としては以下の3点があります。

ラミクタールの副作用の全体について知りたい方は、「ラミクタールの副作用(対策と比較)」をお読みください。