セディール錠の効果と強さ

アイコン 2016.12.5 セディール

セディールは、1996年に発売されたアザピロン系抗不安薬です。

セディールは、セロトニンに作用することで効果を発揮します。セロトニン1A受容体部分作動薬というお薬です。現在使われている抗不安薬は、セディール以外はベンゾジアゼピン系になります。ベンゾジアゼピン系は即効性があるので効果の実感も得やすいのですが、副作用や依存性も避けられません。

セディールは、ベンゾジアゼピン系と比べると効果としては物足りなさを感じてしまうことも多いお薬ですが、副作用や依存の心配がほとんどありません。

ここでは、セディールの効果について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にセディールが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.セディールの作用の仕組み(作用機序)

セロトニン1A受容体部分作動薬で、セロトニン受容体のバランスを整えて抗不安効果と抗うつ効果を発揮します。

セディールは、セロトニンを整えることで不安を抑える効果が出てきます。まずは、セロトニンに関してみていきましょう。

セロトニンは、神経と神経の橋渡しを行う神経伝達物質と呼ばれています。セロトニンは精神安定作用があるとして知られていますが、それ以外にも様々な働きがあります。この働きの違いは、セロトニンの受け皿であるセロトニン受容体によってもたらされます。

詳しくは、「セロトニン受容体と作用の違いとは?」をお読みください。ここでは、セディールが関係するセロトニン1受容体と2受容体にしぼってお伝えしていきます。

 

セロトニンがセロトニン2受容体に作用すると、不安が引き起こされます。これに対してセロトニン1受容体は、セロトニンの放出を抑える方向に働きます。セロトニン1受容体がセロトニン2受容体のブレーキをかけることで、過剰な不安を抑えてくれます。

不安障害の患者さんやうつ病の患者さんでは、このバランスが崩れてしまいます。

不安障害の患者さんでは、セロトニンが過剰となってしまっています。セロトニンの働きを抑えようとセロトニン1受容体が頑張っていましたが、とても追いつかなくなっている状態です。セロトニンがたくさんあるので、受け皿の受容体の数も変化して減少している状態になっています。

うつ病の患者さんでは、セロトニンが欠乏しています。セロトニンが足りなくなって、受け皿のセロトニン1受容体の数が多くなっている状態です。ちょっとのセロトニンに敏感になり、過剰にセロトニン放出にブレーキをかけてしまうという悪循環となっています。

 

さて、このような状態にセディールが効果を発揮します。セディールは、セロトニン1A受容体部分作動薬です。セロトニン1A受容体にくっついて、適度に作用するお薬です。ですから、セロトニンが多い状況では抑えるように、少ない状況では増やすように働きます。

不安障害の患者さんでは、セディールがセロトニンの過剰な状態を抑えます。減少していたセロトニン受容体が少しずつ増加していくことで、正常なバランスに戻っていきます。

うつ病の患者さんでは、セディールがセロトニンを適度に作用させます。増加していたセロトニン受容体が少しずつ減少していくことで、正常なバランスに戻っていきます。

このようにしてセディールは、抗不安効果と抗うつ効果が期待できます。

 

2.セディールの効果と特徴

セディールは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは全く異なる作用機序のお薬です。このため、効果と副作用の特徴は大きく異なります。セディールの特徴を簡潔にいうならば、「効果は物足りないけど、安全性が非常に高いお薬」となります。

まずはセディールの特徴を、メリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

2-1.セディールのメリット

セディールの最大のメリットは、その安全性の高さでしょう。現在よく使われているベンゾジアゼピン系の抗不安薬とは違って、脳の活動を強制的にブレーキをかけるようなお薬ではありません。このため、これらの抗不安薬に多かった眠気・ふらつきといった副作用はとても少ないです。

また、ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、依存性の高さが問題となりました。セディールは作用機序が全く異なるため、依存性は認められていません。

セディールは、セロトニンに作用するお薬です。このため抗うつ効果が期待できます。とはいっても、セディールはあくまで抗不安薬に分類されるお薬です。抗うつ効果は優しいものになります。セディールの抗うつ作用は、現在よく使われているSSRIなどの抗うつ剤とも異なります。セディールと抗うつ剤を併用することで、相乗効果が期待できるともいわれています。

 

2-2.セディールのデメリット

セディールのデメリットは、効果の実感のなさにあります。セディールは受容体の数を整えることで効果が発揮されていくので、効果がでてくるまでには2~4週間の時間がかかります。このため即効性に乏しく、「セディールが効いた」という実感が得られにくいお薬です。また、その作用も穏やかなので、効果を感じられない方も多いお薬です。

とはいえ、セディールが発売されるにあたっては、抗不安薬のジアゼパム(セルシン/ホリゾン)との比較して遜色ない効果があったというデータが得られてはいます。臨床的な実感としては、そこまでの効果は感じないというのが正直なところです。

薬価が高いのも難点です。薬価改定をうけてかなり安くはなりましたが、それでも薬価は比較的高いです。セディールは効果が穏やかなので、最高用量の60mgまで使うことが多いです。この量まで使うと、自己負担3割の方でも1か月1455円ほどになります。抗うつ剤との併用の有効性も報告されていますが、お薬代がかさんでしまうのであまり行えないのが実情です。

セディールの副作用について詳しく知りたい方は、「セディールの副作用(対策と比較)」をお読みください。

 

3.セディールの作用時間と効き目

セディールは最高血中濃度到達時間が1.4時間、半減期が1.4時間です。効果は2~4週間ほどして少しずつ出てきます。抗不安作用は弱いです。

セディールを服用すると、およそ1.4時間で血中濃度がピークになります。セディールはすぐに血中濃度が減っていきます。1.4時間ほどで血中濃度が半分になり、そこからはゆっくりと減っていき10時間もすると身体からほとんど抜けてしまいます。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

セディールでは、「最高血中濃度到達時間時間1.4時間・半減期1.4時間」となっています。

 

服用してから1.4時間で効果のピークがくるので、即効性が期待できそうなものです。ですがセディールは、服用を続けていくことでセロトニン受容体のバランスを整えていくことで効果が出てきます。2~4週間ほどしてから、少しずつ効果が出てくるお薬です。

半減期は1.4時間と、作用時間は非常に短いです。このため、1日3回に分けて服用しなければ効果が持続しません。セディールの効果は飲み続けて発揮されるので、3回きっちりと服用しなければいけません。

 

用量は30~60mgとなっていて、最大60mgまで使える抗不安薬です。セディールを使う時は、1回10~20mgを1日3回に分けて服用します。

 

4.セディールと他剤との比較(効果と副作用)

セディールの抗不安効果は弱いです。ベンゾジアゼピン系でいうと、リーゼと同等かそれ以下といった印象です。

現在よく使われている抗不安薬は、即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬です。作用機序が全く異なるので一概には比較できませんが、抗不安薬を比較してみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

ベンゾジアゼピン系は、脳の活動を抑えることで効果を発揮します。このため、4つの作用があります。また、お薬によって作用時間が異なりますので、患者さんの状態にあわせて使い分けていく必要があります。

まずは代表的なベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

無理やりかもしれませんが、セディールをこの表に当てはめてみましょう。

効果としては、リーゼと同じくらいか、それ以下でしょう。グランダキシンよりは効果があると感じています。催眠作用や筋弛緩作用は非常に少ないですが、まったくないわけではありません。

 

その他の抗不安薬に関しても、その特徴について以下の表にまとめました。服用されている方は、参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

 

5.セディールが向いている人とは?

セディールの特徴を一言でいうならば、「効果は物足りないけれども、安全性が非常に高い安定剤」です。効果も穏やかですが、そのぶん副作用が優しく、依存性も報告されていません。ですから、副作用や依存などを心配されている方には良いかと思います。

悪く言えば効果が弱いので、症状が重たい方には向いていません。あくまで軽症の方に使うべきお薬です。即効性もないので、じっくりと治療が出来る方に向いています。漠然と不安が続くような軽度の全般性不安障害の方などには良いお薬かと思います。また、1日3回の服用が必要なので、きっちりと3回服用できる方でないと向きません。

セディールの添付文章には、重要な基本的注意というところに以下の方には効果が乏しいと記載されています。

軽症の方で、なおかつお薬を始めて使うような方に向いているお薬といえるでしょう。

 

セディールは、抗不安薬としての効果ではない部分に期待して使うことがあります。

セディールには軽度の抗うつ効果が認められます。しかもSSRIなどの抗うつ剤とは作用機序が異なるので、併用することで相乗効果が期待できます。薬価が高くなってしまうのがネックですが、抗うつ剤があともう一歩・・・という時には、ひとつの選択肢となります。

また、私はよく「プラセボ効果」を期待してセディールを使うことがあります。睡眠薬や抗不安薬を減量していくに当たって、最後のちょっとがやめられないということがあります。その原因は、離脱症状というよりは心の問題であることが多いです。いままで頼っていたお薬を止められなくなってしまうのです。

セディールは、お薬の説明書に「抗不安薬」とバッチリ書いてあります。いったんセディール1錠に置き換えて自信をつけてからお薬を止めていくと、スムーズにいくことがあります。

 

まとめ

セディールはセロトニン1A受容体部分作動薬で、セロトニン受容体のバランスを整えて抗不安効果と抗うつ効果を発揮します。

効果は物足りないけれども、安全性が非常に高い安定剤といえます。

セディールのメリットとしては、

セディールのデメリットとしては、

セディールが向いている方は、