ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは?効果と副作用の比較

アイコン 2015.9.9 抗不安薬のまとめ

抗不安薬は、不安感や緊張感を和らげてくれるお薬です。抗不安薬として使われているお薬は、ほとんどすべてベンゾジアゼピン系に分類されます。

ベンゾジアゼピン系は、抗不安薬としてだけでなく睡眠薬としても使われます。不安を和らげる効果が強いものは抗不安薬、催眠効果が強いものは睡眠薬として使われています。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は即効性も期待できて、しっかりと効果があるお薬です。そうはいっても、眠気やふらつきといった副作用や、耐性(薬が慣れて効かなくなること)や依存性などに注意が必要です。

ここでは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果と副作用について詳しくみていきたいと思います。また、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の中での違いを比較してみましょう。

 

1.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用機序

GABAの働きを強めて、脳の活動を抑えます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果はどのようにしてでてくるのでしょうか?このお薬の効果は、GABAが関係しています。「GABAってなんか聞いたことあるぞ?」って方もいらっしゃるかもしれません。リラックスする物質として、GABA入りのチョコレートなどが流行っていましたね。

GABAは脳の中での情報の受け渡しに関係していて、神経伝達物質とよばれます。リラックスすると言われている通り、脳の神経細胞の活動を抑える作用があります。神経伝達物質にはいろいろなものがありますが、GABAは脳内で2番目に多いです。1番目はグルタミンという興奮に関係する物質ですので、GABAは脳の活動を抑制する物質としては1番多いのです。

 

GABAがどのようにして脳の活動を抑制するのでしょうか?これにはClが関係しています。GABA受容体はClの通り道(イオンチャネル)にくっついています。GABAがGABA受容体にくっつくと、Clチャネルが開いて神経細胞の中にClが入っていきます。マイナスのイオンが入ってきますので、細胞の中が電気的にマイナスになります。神経細胞の興奮は、細胞の中が電気的にプラスになることで起こります。このため、Clが入ってくると興奮しにくくなるのです。

それでは、ベンゾジアゼピンはこのGABAやClチャネルとどのような関係があるのでしょうか?図をみてみましょう。

ベンゾジアゼピン系の作用機序についてまとめました。

 

GABA受容体が結合するClチャネルの別のところに、ベンゾジアゼピン受容体が存在します。ここにベンゾジアゼピン系抗不安薬がくっつくと、GABAがGABA受容体にくっつきやすくなります。つまり、ベンゾジアゼピン受容体が活性化することによってGABA受容体の作用が強まります。これによりClイオンの流入を促進させることで、脳の活動を抑えることができるのです。その結果として、不安感や緊張感が落ち着くのです。

もう少し詳しくみると、ベンゾジアゼピン受容体にはω1とω2の2種類があります。レキソタンがω1受容体に作用すると、催眠作用や抗けいれん作用が認められます。ω2受容体に作用すると、抗不安作用と筋弛緩作用が認められます。

このためベンゾジアゼピン系の薬では、脳の活動を抑えることで4つの作用があります。

抗不安作用が強いものは抗不安薬、催眠作用が強いものは睡眠薬として分類されています。

 

2.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果と特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。このお薬の特徴を、メリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

2-1.ベンゾジアゼピン系抗不安薬のメリット

不安感や緊張が強いと、失敗が増えてしまうことが多いです。そうすると苦手意識ができてしまって、ますます不安が強くなるという悪循環が続いてしまいます。

この悪循環をとめるのに、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は確実な効果が期待できます。即効性があるので、薬を飲んだ直後から効果が期待できます。不安に対してはSSRIなどの抗うつ剤も効果がありますが、効果が出てくるのが遅いので時間がかかってしまいます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には、抗不安作用だけでなく、催眠作用や筋弛緩作用、抗てんかん作用が期待できます。

不安が強くて眠れない方には、抗不安薬の方が睡眠薬よりも効果があることがあります。また、筋弛緩作用があるので、肩こりなどの筋肉の緊張がある時には有効です。さらに脳の興奮を抑える作用があるので、脳の異常な興奮であるてんかんを抑える効果が期待できます。

 

2-2.ベンゾジアゼピン系抗不安薬のデメリット

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には筋弛緩作用があります。筋弛緩作用が強く働きすぎてしまうと、身体に力がうまく入らなくなってふらついてしまいます。

また、催眠作用もあります。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。薬の効果自体は暫く残ることも多いので、注意してください。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬では依存性も考慮する必要があります。最初はしっかりと効いてくれるのですが、だんだんと薬が身体に慣れてしまいます。徐々に同じ量では効果が出なくなってしまい、薬がドンドンと増えてしまうこともあります。また、もう大丈夫だろうと薬を減らしていく時に、身体がビックリしてしまって離脱症状がでてくることがあります。漫然と使うことは避けましょう。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。このため、睡眠の質が落ちてしまって熟眠感が薄れてしまうことがあります。

 

3.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用

注意するべき副作用について、症状ごとにみていきましょう。

 

3-1.眠気

様子を見ても改善しないようならば、抗不安薬の減量か、眠気の少ない薬に変更します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は抗不安効果が強いお薬ですが、催眠作用が少なからず認められます。お薬が効きすぎてしまったら、眠気も強く出てきてしまいます。

抗不安薬は、日中の不安感や緊張感を和らげるために使っていきます。夜に眠気が出てくる分にはよいのですが、日中ですと注意が必要です。不安感や緊張感が強い時は、交感神経が活発になっているので眠気どころではありません。ですがお薬を飲んで落ち着くと、もとの自律神経のバランスに戻っていきます。その中で少しずつ眠気の副作用が目立ってくることがあります。お薬の強さの感覚がわかってくるまでは、服用後は眠くなっても大丈夫なようにしましょう。

 

ベンゾジアゼピン系抗不安薬で眠気が認められたときは、どうすればよいでしょうか?

まだ服用して間もないときは、できるならば様子をみてください。薬が身体に慣れてきて眠気が薄まってちょうど効果だけを実感できるようになるかもしれません。

それでも眠気が続く場合、2つの方法があります。

薬の量を減らせば、当然効果は減ってしまいます。ですが、副作用である眠気も和らいでいきます。効果との兼ね合いではありますが、大丈夫そうでしたら少しずつ減薬をしてみましょう。

それでも眠気が残るようでしたら、催眠作用の弱い薬に変えていきます。どの薬が催眠作用が少ないかは、後述させていただきます。

 

3-2.ふらつき

様子を見ても改善しないようならば、抗不安薬の減量か、眠気の少ない薬に変更します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、筋弛緩作用も働いてしまいます。緊張が強くて肩がこってしまったり、身体に緊張やこわばりがある時はむしろ大歓迎の作用になります。ですが、高齢で足腰が弱っている方に筋弛緩作用が強く出てしまうと、ふらついてしまって危ないです。眠気も相まって、転倒して骨折してしまうようなこともあります。

 

ベンゾジアゼピン系抗不安薬でふらつきが認められた場合、どうすればよいでしょうか?眠気と対策は同じになります。

まだ服用して間もないときは、様子を見ていくことでなれていくことがあります。それでも改善がない場合、減量するか、筋弛緩作用の弱い薬に変更するかのどちらかになります。

 

3-3.依存と離脱症状

できるだけ依存の少ない抗不安薬から使っていきます。長期にわたる時はSSRIなどの抗うつ剤へと切り替え、漫然と使わないようにしましょう。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、依存してしまって止められなくなってしまうことがあります。ですから、ちゃんと出口を見据えて薬を使っていくことが大切です。

依存には大きく3つのポイントがあります。身体依存と精神依存と耐性の3つです。

身体依存とは、薬が身体からなくなっていくと離脱症状が起こることです。身体が薬のある状態に慣れてしまうことで、急になくなるとバランスが崩れてしまいます。身体が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬を急にやめてしまうと、離脱症状が生じるようになってしまいます。

精神依存とは、精神的に頼ってしまうということですが、これは効果の実感の強さが重要です。効果が早く実感され、効果がきれる実感が大きいものほど精神的に頼ってしまいます。心が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は効果がしっかりとしていて即効性もあるので、どうしても頼ってしまいます。

耐性とは、薬が体に慣れてしまい効果が薄れていくことです。はじめは1錠で効いていたのに少しずつ効かなくなってしまう時は、耐性が形成されています。

 

依存しやすい薬としては、

このような特徴があげられます。ですから対策としては、

があげられます。

 

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の依存を心配される方は多いですが、アルコールに比べたらはるかにマシです。お酒を飲んでいる方はいっぱいいますが、アル中になる方はごくわずかですよね?ですから、過度に心配することはありません。医師の指示通りの量を守って服用すれば問題ありません。

そうはいってもベンゾジアゼピン系抗不安薬は、漫然と使うべきお薬ではありません。あくまで一時的に不安を落ち着けるために使うお薬です。不安の根が深い方は、SSRIなどの抗うつ剤を併用していきます。抗うつ剤は効果がゆっくりと出てくるので、効果が感じられたらベンゾジアゼピン系抗不安薬を減らしていきます。

 

4.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の種類

 

5.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の比較(効果と副作用)

それぞれの抗不安薬の特徴によって使い分けていきます。4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)、作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)に違いがあります。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

まずは、よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬からみてみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えて、その後に作用の強さを比較して選んでいきます。

短時間型では、デパス>>リーゼ>グランダキシンです。デパスは催眠作用が強く、睡眠薬にも分類されることがあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。

中間型では、レキソタン>ワイパックス≧ソラナックス/コンスタンです。いずれも抗不安効果が強く、不安の発作にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用が強いです。

長時間型では、リボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。セパゾンは筋弛緩作用や催眠作用が弱いので不安が強い高齢者に使いやすいです。リボトリール/ランドセンとセルシン/ホリゾンは抗けいれん作用も期待できます。てんかんでも使われることがあります。また、セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬もできないほどの時は、筋肉注射が効果的です。

超長時間型では、レスタス>メイラックスです。このタイプは非常に作用時間が長いです。このため、副作用が一度出てしまうと抜けるのに時間がかかってしまいます。このため、効果の穏やかなメイラックスの方がよく使われています。

 

この他にも、ベンゾジアゼピン系抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

まとめ

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAの働きを強めて、脳の活動を抑えます。

メリットとしては、

デメリットとしては、

それぞれの抗不安薬の特徴によって使い分けていきます。4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)、作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)に違いがあります。