セレナール錠(オキサゾラム)の効果と副作用

アイコン 2015.9.26 その他の抗不安薬

セレナールは、1970年に発売されたベンゾジアゼピン系抗不安薬です。クロルジアゼポキシドやジアゼパムなどがすでに発売されていましたが、これらの副作用をより軽減できないかという試みの中で開発されました。

副作用は軽減されましたが、残念ながら効果も弱くなってしまいました。長時間作用型のお薬としては中途半端となってしまい、ほとんど使われることのないお薬です。

抗不安薬は安定剤とも呼ばれたりしますが、不安感や緊張感を和らげてくれるお薬です。リラックスするお薬なので、眠気やふらつきなどの副作用には注意をしなければいけません。

ここでは、セレナール錠の効果と副作用について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にセレナールが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.セレナールの効果と特徴

まずは、セレナールの特徴をまとめてみたいと思います。

セレナールは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。

となっています。これをふまえて、セレナールの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.セレナールのメリット

セレナールの作用時間はとても長いです。セレナールは、身体で代謝(分解)されていく過程で様々な物質に変化します。これらの物質も効果をもっているので、作用時間が長くなるのです。少しずつ活性代謝産物が身体にたまっていくので、不安になりにくい土台ができていきます。

抗不安薬にはいずれも依存性があります。セレナールは作用時間が長く、作用も穏やかなので依存性が低いお薬です。

 

1-2.セレナールのデメリット

セレナールの一番のデメリットは、その効果の弱さにあります。セレナールの作用は穏やかで、抗不安作用がやや弱いお薬です。セレナールは効果の実感が少なく、飲み続けても効果がしっかりとでてきません。このため、中途半端なお薬となってしまうことが多いです。

セレナールでは催眠作用があります。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。

このように眠くなる方向にセレナールは作用しますが、睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。このため、睡眠の質が落ちてしまって、熟眠感が薄れてしまうことがあります。

 

2.セレナールの作用時間と効き方

セレナールは最高血中濃度到達時間が8時間、半減期が56時間です。活性代謝産物が長く残って作用するので、長時間型抗不安薬に分類されています。抗不安効果はやや弱く、催眠作用が中程度あります。

セレナールは、体内で分解される過程で作られる代謝産物の影響が大きいお薬です。セレナールが体内で代謝されると、デスメチルジアゼパムをはじめとした活性代謝産物が作られます。これらが身体から抜けていくには長い時間がかかります。このため作用時間が非常に長いのです。

このため、デスメチルジアゼパムの血中濃度の変化をみてみましょう。

セレナールを服用すると、およそ8時間でデスメチルジアゼパムの血中濃度がピークになります。その後56時間ほどで、血中濃度が半分になっていきます。この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

セレナールでは、「最高血中濃度到達時間8時間・半減期56時間」と考えると、効き方を理解しやすいと思います。

 

毎日セレナールを服用していると、デスメチルジアゼパムが身体にたまっていきます。セレナールを毎日服用したときの血中濃度の変化を考えてみましょう。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。セレナールでは2週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

セレナールはこのような作用時間となるので、「長時間型」に分類されます。

 

セレナールの効果の強さとしては、

となっています。

用量は20~60mgとなっていて、最大60mgまで使える抗不安薬です。セレナール錠は、5mgと10mgが発売されています。1日3回に分けて服用していくことが多いです。

 

3.セレナールの副作用とは?

セレナールは作用時間が長いので、眠気やふらつきに注意が必要です。依存性は、他の抗不安薬より少ないです。

セレナールの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

セレナールは最高血中濃度到達時間が8時間、半減期が56時間の抗不安薬で、長時間型に分類されます。

セレナールの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「やや弱い」
  • 催眠効果「中」
  • 筋弛緩効果「弱」
  • 抗けいれん効果「弱」

このような効果の特徴をふまえて、セレナールの副作用を考えてみましょう。

 

まずは作用時間をみてみましょう。セレナールは代謝産物の影響の大きなお薬です。セレナールの代謝産物の半減期は非常に長いです。このため副作用は、すぐにでてくることもあれば、蓄積して少しずつでてくることもあります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用はやや弱く、作用時間が長いお薬です。このため、他の抗不安薬よりも効き方が穏やかで、依存性が低いお薬です。

作用時間が長いので、副作用が出てしまうとなかなか抜けなくなってしまいます。筋弛緩作用によるふらつきや、催眠作用による眠気に注意が必要です。とくに眠気は多いので、事故などにつながらないように注意しましょう。

セレナールの市販後調査では、眠気の副作用は2.88%、ふらつきの副作用は0.77%となっています。

 

4.セレナールとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

セレナールの作用時間は長いです。長時間型の中では、効果の弱いお薬です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。上段はよく使われる抗不安薬、下段はあまり使われない抗不安薬をまとめています。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

処方は少ないベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果や作用時間を比較して一覧にしました。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。抗不安薬には4つの作用がありますから、この作用のバランスをみて適切な強さのお薬を選んでいきます。長時間型の中では、セレナールはレスミットと並んで効果が優しいお薬となります。

 

5.セレナールが向いている人とは?

セレナールは、作用時間の長い抗不安薬です。服薬を続けていくことで、不安になりにくい土台ができていきます。効果が優しいため、軽度の不安が1日中続くような方には向いているといえます。

残念ながらセレナールは、その作用の穏やかさから使われることは少ないです。長時間作用型のお薬は即効性が期待できないので、しっかりとした薬効がないと効果の実感が得られません。それでいて副作用はある程度少ないお薬でないといけません。セレナールは副作用は軽減できていますが、効果が不十分となってしまいます。中途半端となってしまって、使われることが少ないお薬というのが実情です。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:オキサゾラム 商品名:セレナール

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「オキサゾラム(oxazolam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「セレナール(serenal)」は、先発品の製造元である第一三共がつけた名前です。serene(穏やかな・平和な)という言葉からつけられました。

先発品のセレナールは、日本では1970年から発売されています。特許はとっくにきれていますので、ジェネリック医薬品も作られています。あまり処方されていないお薬なので、散剤のみが発売されています。錠剤のジェネリックはありません。

 

まとめ

セレナールの作用の特徴は、

セレナールのメリットとしては、

セレナールのデメリットとしては、

セレナールが向いている方は、