エリスパン錠(フルジアゼパム)の効果と副作用

アイコン 2015.9.26 その他の抗不安薬

エリスパンは、1981年に発売された長時間型ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。

エリスパンの作用は全体的に平均的で、このために目立たないお薬となってしまいました。ベンゾジアゼピン系の優等生やワルの陰で存在感がなく、処方されなくなってしまっているお薬です。

抗不安薬は安定剤とも呼ばれたりしますが、不安感や緊張感を和らげてくれるお薬です。リラックスするお薬なので、眠気やふらつきなどの副作用には注意をしなければいけません。

ここでは、エリスパン錠の効果と副作用について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にエリスパンが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.エリスパンの効果と特徴

まずは、エリスパンの特徴をまとめてみたいと思います。

エリスパンは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。

となっています。これをふまえて、エリスパンの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.エリスパンのメリット

エリスパンは血中濃度の立ち上がりが早く、即効性が期待できます。このため、不安に対して頓服として使うこともできるお薬です。それでいて作用時間は比較的長いので、飲み続けていくことで少しずつ薬が身体にたまっていきます。これによって、不安になりにくい土台ができていきます。

効果としては平均的で、ある程度の抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用が認められます。このため、緊張感が強い時や睡眠状態が不安定な時にも多少の効果が期待できます。

 

1-2.エリスパンのデメリット

エリスパンの一番のデメリットは、その特徴のなさです。そんなに弱い薬でもないんだけれども、目立って強いわけでもありません。副作用も多くも少なくもありません。非常に平均的なお薬なのです。残念ながら、平均的なお薬は忘れ去られてしまいます。その結果、ほとんど使われないお薬になっています。

エリスパンでは、副作用にも注意しなければいけません。催眠作用や筋弛緩作用があるので、日中の眠気やふらつきが認められます。とくに眠気には注意が必要です。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。

このように眠くなる方向にエリスパンは作用しますが、睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。このため、睡眠の質が落ちてしまって、熟眠感が薄れてしまうことがあります。

 

2.エリスパンの作用時間と効き方

エリスパンは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が23時間です。長時間型抗不安薬に分類されています。抗不安効果・催眠作用・筋弛緩作用はいずれも中程度です。

エリスパンの血中濃度の変化から、エリスパンの効き方をみていきましょう。

エリスパンを服用すると、およそ1時間で血中濃度がピークになります。その後23時間ほどで、血中濃度が半分になっていきます。この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

エリスパンでは、「最高血中濃度到達時間1時間・半減期23時間」といえます。

 

エリスパンは1日たっても薬が身体に残っています。その状態で次の日もお薬を服用すると、薬の効果が上乗せされていきます。このようにして毎日エリスパンを服用していると、少しずつ身体にたまっていきます。エリスパンを毎日服用したときの血中濃度の変化を考えてみましょう。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。エリスパンでは1週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

エリスパンはこのような作用時間となるので、「長時間型」に分類されます。

 

エリスパンの効果の強さとしては、

となっています。

用量は0.25~0.75mgとなっていて、最大0.75mgまで使える抗不安薬です。エリスパン錠は、0.25mg錠のみが発売されています。

 

3.エリスパンの副作用とは?

エリスパンは作用時間が長いので、眠気やふらつきに注意が必要です。依存性は普通です。

エリスパンの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

エリスパンは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が23時間の抗不安薬で、長時間型に分類されます。

エリスパンの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「中」
  • 催眠効果「中」
  • 筋弛緩効果「中」
  • 抗けいれん効果「わずか」

このような効果の特徴をふまえて、エリスパンの副作用を考えてみましょう。

まずは作用時間をみてみましょう。エリスパンは即効性が期待でき、また少しずつ身体に蓄積していくお薬です。このため副作用はすぐにでてくることもあれば、蓄積して少しずつでてくることもあります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用は普通で、作用時間はやや長いお薬です。このため、他の抗不安薬と比較しても依存性は普通といえます。

作用時間が長いので、副作用が出てしまうとなかなか抜けなくなってしまいます。筋弛緩作用によるふらつきや、催眠作用による眠気に注意が必要です。とくに眠気は多いので、事故などにつながらないように注意しましょう。

エリスパンの承認時および市販後調査では、眠気の副作用は3.4%、ふらつきの副作用は0.7%となっています。

 

4.エリスパンとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

エリスパンの作用時間は長いです。長時間型の中では、効果の弱いお薬です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。上段はよく使われる抗不安薬、下段はあまり使われない抗不安薬をまとめています。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

処方は少ないベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果や作用時間を比較して一覧にしました。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。抗不安薬には4つの作用がありますから、この作用のバランスをみて適切な強さのお薬を選んでいきます。

 

5.エリスパンが向いている人とは?

エリスパンは、作用時間の長い抗不安薬です。服薬を続けていくことで、不安になりにくい土台ができていきます。このため、不安が1日中続くような方には向いているといえます。

残念ながらエリスパンは、効果が平均的なために使われることが少ないお薬です。効果も期待できるお薬なのですが、同じ長時間型ではリボトリール/ランドセンの方が効果が強いです。副作用としても少ないわけではありません。

このような特徴がはっきりとしないお薬は、忘れ去られる運命にあります。処方が減ってしまうと、薬局でも在庫を置いておかなくなるので処方ができなくなります。ますます処方がしづらくなってしまいます。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:フルジアゼパム 商品名:エリスパン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「フルジアゼパム(fludiazepam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「エリスパン(erispan)」は、先発品の製造元である大日本住友製薬がつけた名前です。

先発品のエリスパンは、日本では1981年から発売されています。特許はとっくにきれていますが、あまり使われていないお薬なのでジェネリック医薬品は作られていません。

 

まとめ

エリスパンの作用の特徴は、

エリスパンのメリットとしては、

エリスパンのデメリットとしては、

エリスパンが向いている方は、