コントール錠(クロルジアゼポキシド)の効果と副作用

アイコン 2015.9.26 その他の抗不安薬

コントールは、1961年に発売されたベンゾジアゼピン系抗不安薬です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬の原点ともいえるお薬で、このお薬の発見を機に、さまざまな抗不安薬が発展していきました。

コントールのより薬効を強めた成分が1964年にセルシン/ホリゾンとして発売され、すぐに忘れ去られてしまったお薬です。作用時間の長いお薬としては、セルシン/ホリゾンやメイラックスが使われることが多くなっています。

抗不安薬は安定剤とも呼ばれたりしますが、不安感や緊張感を和らげてくれるお薬です。リラックスするお薬なので、眠気やふらつきなどの副作用には注意をしなければいけません。

ここでは、コントール錠の効果と副作用について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にコントールが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.コントールの効果と特徴

まずは、コントールの特徴をまとめてみたいと思います。

コントールは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。

となっています。これをふまえて、コントールの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.コントールのメリット

コントールは、薬を服用するとすぐに効果が期待できます。抗不安作用もしっかりとしているので、即効性が期待できます。不安に対してはSSRIなどの抗うつ剤も効果がありますが、効果が出てくるのが遅いので時間がかかってしまいます。

コントールの作用時間はとても長いです。コントールは身体で代謝(分解)されていく過程で様々な物質に変化します。これらの物質も効果をもっているので、作用時間が長くなるのです。薬の飲み始めに効果が集中するので即効性が感じられるのですが、活性代謝産物が身体にたまっていくので、不安になりにくい土台ができていきます。

抗不安薬にはいずれも依存性があります。コントールは、作用時間の長いので依存性が低いお薬です。他の抗不安薬で依存になってしまった方は、コントールに置き換えてやめていくこともあります。

 

1-2.コントールのデメリット

コントールは古いお薬ですので洗練されておらず、いろいろな作用があるお薬です。これが余計な作用となってしまい、副作用となってしまいます。コントールは作用時間が長く薬の効果が残りやすいので、注意が必要です。

コントールでは筋弛緩作用はそこまで強くありません。しかしながら作用時間が長く、薬が身体にたまりやすいので、ふらつきの副作用に注意が必要です。また、催眠作用が強いです。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。

コントールでは眠くなる方向に作用しますが、睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。このため、睡眠の質が落ちてしまって熟眠感が薄れてしまうことがあります。

 

2.コントールの作用時間と効き方

コントールは最高血中濃度到達時間が3時間、半減期が10時間です。活性代謝産物が長く残って作用するので、長時間型抗不安薬に分類されています。抗不安効果は中程度で、催眠作用が強く、筋弛緩作用は弱いです。

コントールは、体内で分解される過程で作られる代謝産物の影響が大きいお薬です。コントール自体の血中濃度の変化だけでは、作用時間や効き方を説明できません。

まずはコントールの血中濃度の変化をみてみましょう。

コントールを服用すると、およそ3時間で血中濃度がピークになります。その後10時間ほどで、血中濃度が半分になっていきます。この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

コントールでは、「最高血中濃度到達時間3時間・半減期10時間」となっています。

 

コントールが体内で代謝されると、デスクロルジアゼポキシドやデモキセパムなどの活性代謝産物が作られます。これらが身体から抜けていくには長い時間がかかります。このため作用時間が非常に長いのです。

毎日コントールを服用していると身体にたまっていきます。コントールを毎日服用したときの血中濃度の変化を考えてみましょう。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。コントールでは2週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

コントールはこのような作用時間となるので、「長時間型」に分類されます。

 

実際の効果としては、服用して15分~30分くらいで出てきます。効果のピークは3時間くらいしてやってきて、効果はしばらく続きます。

効果の持続時間は個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。コントールの効果の持続時間は、およそ6~12時間といったところになります。

 

コントールの効果の強さとしては、

となっています。

用量は20~60mgとなっていて、最大60mgまで使える抗不安薬です。コントール錠は、5mgと10mgが発売されています。1日2~4回に分けて服用していきます。

 

3.コントールの副作用とは?

コントールは作用時間が長いので、眠気やふらつきに注意が必要です。依存性は、他の抗不安薬より少ないです。

コントールの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

コントールは最高血中濃度到達時間が3時間、半減期が10時間の抗不安薬で、長時間型に分類されます。

コントールの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「中」
  • 催眠効果「強」
  • 筋弛緩効果「やや弱い」
  • 抗けいれん効果「わずか」

このような効果の特徴をふまえて、コントールの副作用を考えてみましょう。

 

まずは作用時間をみてみましょう。コントールは代謝産物の影響の大きなお薬です。コントールの代謝産物の半減期は非常に長いです。このため副作用は、すぐにでてくることもあれば、蓄積して少しずつでてくることもあります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用は中程度で、作用時間が長いお薬です。このため、他の抗不安薬よりも効き方が穏やかで、依存性が低いお薬です。

作用時間が長いので、副作用が出てしまうとなかなか抜けなくなってしまいます。筋弛緩作用によるふらつきや、催眠作用による眠気に注意が必要です。とくに眠気は強いので、事故などにつながらないように注意しましょう。

コントールの市販後調査では、眠気の副作用は5.76%、ふらつきの副作用は2.98%となっています。

 

4.コントールとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

コントールの作用時間は長いです。他の抗不安薬と比較すると、抗不安効果のわりに催眠作用の強いお薬です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。上段はよく使われる抗不安薬、下段はあまり使われない抗不安薬をまとめています。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

処方は少ないベンゾジアゼピン系抗不安薬の効果や作用時間を比較して一覧にしました。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。抗不安薬には4つの作用がありますから、この作用のバランスをみて適切な強さのお薬を選んでいきます。

 

5.コントールが向いている人とは?

コントールは、作用時間の長い抗不安薬です。服薬を続けていくことで、不安になりにくい土台ができていきます。このため、不安が1日中続くような方には向いているといえます。また、コントールは催眠作用が強いです。睡眠状態が不安定になっている方には、効果が期待できます。

コントールは依存性が低いお薬です。作用時間が長く、抗不安作用がそこまで強くないためです。このため、他の抗不安薬で離脱症状が出てしまってなかなか減薬できない時に、コントールに置き換えていくこともあります。コントールに置き換えた後に少しずつ減量していくと、スムーズにやめられることが多いです。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:クロルジアゼポキシド 商品名:コントール

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「バランス(balance)」は、先発品の製造元である山之内製薬がつけた名前です。「コントール(contol)」は、同じく先発品の製造元である武田薬品がつけた名前です。

先発品のバランス/コントールは、日本では1961年から発売されています。特許はとっくにきれていますので、ジェネリック医薬品も作られています。古いお薬なので十分に安くなっていて、先発品もジェネリックも変わらない薬価となっています。

 

まとめ

コントールの作用の特徴は、

コントールのメリットとしては、

コントールのデメリットとしては、

コントールが向いている方は、