「アメル」「サワイ」「トーワ」ってなに?

アイコン 2016.3.4 薬の基礎知識

「どんなお薬を飲まれていますか?」

と患者さんに質問すると、「アメル」「サワイ」「トーワ」といった答えが返ってくることが時々あります。実はこれは、ジェネリック医薬品を作っている会社の略称になるのですが、お薬の名前と勘違いしてしまっている患者さんがけっこういるのです。

病院でお薬をもらうと、○○○錠「サワイ」とか△△△錠「アメル」とか□□□錠「トーワ」などと書いてあることがあります。どうしても「 」のついている部分が印象に残ってしまいます。

ここでは、アメルやサワイ、トーワといったことがどんなことを意味しているのか、詳しくみていきたいと思います。

 

1.「アメル」「サワイ」「トーワ」の意味とは?

「アメル」「サワイ」「トーワ」はそれぞれ、共和薬品・沢井製薬・東和薬品の作っているジェネリックということを意味します。「」の中は、製造メーカーごとの略称です。

お薬を病院でもらってくると、〇〇錠「□□」といったお薬を処方されることがあるかと思います。これは、ジェネリック医薬品であることを意味しています。

この〇〇錠というのが、薬の成分名(一般名)になります。ですから、お薬の名前をお聞きしたときにはこちらを伝えてほしいのです。

一方で、「□□」の部分は、ジェネリック医薬品を作っている会社の略称になります。さまざまなお薬を作っているので、□□だけを伝えられても、どのお薬なのかは残念ながら特定できません。

「アメル」「サワイ」「トーワ」はそれぞれ、共和薬品・沢井製薬・東和薬品になります。それ以外にも、さまざまな会社がジェネリック医薬品を製造しているので、会社の数だけ名称があります。

 

2.先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)

後発医薬品(ジェネリック)は、先発品から10年ほどして発売になるのが一般的です。

毎年、さまざまな分野で「新薬」が開発されて発売されます。多くの製薬会社がしのぎを削ってお薬を開発し、それによって治療の幅が広がっていきます。

新薬を開発するには、莫大な費用がかかります。効果が期待できそうな成分をみつけ、動物実験でうまくいけば臨床試験にすすみ、それで太鼓判が押されれば製品として認可されます。この過程では、思いもよらない副作用が出現してしまったり、不十分な効果しか残せないこともあります。

このようにして多くの失敗の中でお薬を開発していくので、新薬が発売されたときには相応の成果をうけとる権利が生じます。それが医薬品の特許(成分特許)です。一定期間、独占的に薬を販売する権利が与えられるのです。

 

こうして作られていくのが、先発医薬品と呼ばれるお薬です。先発医薬品の特許が切れる頃になると、多くの後発医薬品メーカ―がそれぞれの技術でお薬をつくります。これが世の中でジェネリックと呼ばれているお薬です。

ジェネリックの開発には、先発品と成分は同じです。開発の失敗も少ないですし、先発品と効き方が同じことを証明できれば認可されます。このため開発費が抑えられるので、価格が先発品の5~6割ほどからの発売となるのです。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

3.一般名処方とジェネリック医薬品

病院で一般名で処方すると、薬局に置いてあるジェネリックが処方されます。別の薬局でお薬をもらうと、異なる会社のジェネリックが処方されることになります。

最近では、医療費抑制の国の方針もあって、ジェネリック医薬品を積極的に使っていくようにすすめられています。そのひとつの方法が、一般名処方です。

薬には、一般名と商品名があります。一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。新薬が販売されるときには、先発品メーカーが商品名をつけます。特許がきれてジェネリック医薬品が作れるようになると、後発品メーカーも独自の商品名をつけて販売していました。

しかしながらこれでは、様々な種類の商品名であふれてしまって、とても紛らわしくなります。医者もそれぞれの商品名を覚えていられないので、先発品をそのまま処方することが多かったのです。

これをうけて、一般名処方という方法が推奨されるようになりました。一般名処方とは、薬の成分である一般名で処方することで、薬局で用意できるジェネリック医薬品に自由に変更できるという方法です。

 

これをうけて、ジェネリック医薬品の名称も一般名に統一する流れとなりました。これをうけて、例えば先発品であるマイスリー錠の場合、一般名のゾルピデム錠「アメル」・ゾルピデム錠「サワイ」・ゾルピデム錠「トーワ」といった形で販売されるようになりました。

すでに販売されているジェネリック医薬品も、多くが一般名に変更になっています。

現在では、病院で一般名で処方箋を発行すると、薬局側でおいてあるジェネリックをお渡しします。ですが、A薬局では「アメル」を置いているけれども、B薬局では「サワイ」を置いているということもあります。異なる薬局で受け取ると、別の会社が作っているジェネリックが処方される可能性があるのです。

 

4.ジェネリック医薬品の製薬会社による違い

ほとんど同等であることが統計学的に証明されていますが、多少の製薬会社による違いはあります。できるだけ同じ薬局でお薬を受け取るようにしましょう。

ジェネリック医薬品は、薬によっては数十社が製造することがあります。製薬会社によって、どのような違いがあるのでしょうか?

それぞれの製薬会社には、独自の新しい製造方法に対する「製法特許」や、薬の製剤工夫に対する「製剤特許」などがあります。それぞれの製薬会社が、自分たちの技術を用いてジェネリック医薬品を作っています。

ジェネリック医薬薬として認められるには、「先発医薬品と生物学的同等性を示すこと」が必要です。どうやって示すのかといいますと、健康な成人が先発品と後発品を、期間をずらして 服用します。その時の血中濃度の変化が類似していることを示せばよいのです。その誤差は80~125%の間とされています。

ジェネリック医薬品はこのように作られているのです。これだけみると、最大で45%もの誤差があるのかと感じてしまうかもしれません。この差はそういう意味ではなく、薬の吸収や代謝には個人差があるので、この範囲に収まっていれば統計的に同じと考えてもよいということなのです。

実際に930のジェネリックと先発品を比較してみると、最大血中濃度では4.61%の差しかなかったと報告されています。

そうはいっても多少の違いは認められます。そこまで過敏になる必要はないのですが、万全を期すならば同じジェネリックをもらうために、同じ薬局でお薬をもらうようにしましょう。

 

5.ジェネリック医薬品の会社ごとの名称一覧

 

製薬会社 「略称」 製薬会社 「略称」
共和薬品工業 アメル サンド サンド
沢井製薬 サワイ マイラン製薬 マイラン
東和薬品 トーワ エルメッドエーザイ EMEC
日医工 日医工 日本ジェネリック JG
三和化学工業 三和 長生堂製薬 CH
ニプロ・ニプロファーマ NP 第一三共エスファ DSEP
日本ケミファ ケミファ キョーリンリメディオ 杏林
鶴原製薬 ツルハラ 大原薬品工業 オーハラ
デパ製薬 デパ・タイヨー 陽進堂 YD
田辺製薬 タナベ 辰巳化学 TCK
東亜薬品 TOA 大興製薬 DK
Meiji Seikaファルマ 明治 日新製薬 日新
シオノケミカル SN・シオノ 健栄製薬 ケンエー
あすか製薬 あすか・AA 藤永製薬 フジナガ
持田製薬 モチダ 富士フィルム FFP
ファイザー ファイザー 小林化工 KN
高田製薬 タカタ 全星 ZE

※この他にも多くの製薬会社があります。

 

まとめ

「アメル」「サワイ」「トーワ」はそれぞれ、共和薬品・沢井製薬・東和薬品の作っているジェネリックということを意味します。「」の中は、製造メーカーごとの略称です。

後発医薬品(ジェネリック)は、先発品から10年ほどして発売になるのが一般的です。

病院で一般名で処方すると、薬局に置いてあるジェネリックが処方されます。別の薬局でお薬をもらうと、異なる会社のジェネリックが処方されることになります。

ジェネリックはほとんど同等であることが統計学的に証明されていますが、多少の製薬会社による違いはあります。できるだけ同じ薬局でお薬を受け取るようにしましょう。