抗うつ剤で痩せる3つのケース

アイコン 2015.8.12 抗うつ薬のまとめ

「抗うつ剤はやせ薬」というウワサがあります。確かに、抗うつ剤を飲み始めたら体重が落ちる方はいらっしゃいます。ですがこれはお薬の影響ではありません。他の原因で体重が減少しているにすぎません。

ここでは、抗うつ剤で痩せたように感じるのはなぜなのか、お伝えしていきたいと思います。

 

1.抗うつ剤の体重への影響

抗うつ剤は、どちらかというと太りやすくなるお薬が多いです。

抗うつ剤は、どちらかというと太る傾向にあるお薬です。抗うつ剤は、セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンといった脳内の物質を増やすことで効果がでてきます。ですが、薬は目的通りには作用してくれません。いろいろな物質に影響を与えます。これが副作用としてでてくるのです。

体重には、細かくみると4つの作用が関係しています。

①抗ヒスタミン作用による食欲増加
②抗5HT2c作用による食欲増加
③セロトニンによる代謝抑制作用
④ノルアドレナリンによる代謝亢進作用

詳しくは、
抗うつ剤は太るの?
をお読みください。

 

2.抗うつ剤で痩せるのはなぜ?

「飲み始めの下痢や嘔吐・太りやすい薬からの切り替え・症状がよくなって活動的になった」の3つが考えられます。

それでは抗うつ剤ではなぜ「痩せる」方がいらっしゃるのでしょうか?確かに抗うつ剤を服用していて体重が減少する方もいらっしゃいます。私の患者さんで振り返ってみると、3つのケースに分けられます。

①飲み始めの下痢や嘔吐
②より太りやすい薬からの切り替え
③症状がよくなって活動的になった

順番にみていきましょう。

抗うつ剤の飲み始めには、下痢や嘔吐の副作用がよくみられます。こうなると、食べ物が吸収されないですし、水分も身体からどんどん失われてしまいます。すると体重が減って痩せることもあります。ですが下痢や嘔吐は、時間がたって身体に慣れていくにつれて薄れていきます。すると、セロトニンの代謝抑制の影響が出てきて、長い目で見ると太りやすくなっていきます。

抗うつ剤に切り替えたタイミングでも痩せることがあります。抗うつ剤は種類によって太りやすさに違いがあります。三環系抗うつ剤やNaSSA(リフレックス/レメロン)などの抗うつ剤は、非常に太りやすいです。SSRIの中でもパキシルは太りやすいです。反対に、SNRIは太りにくい薬です。太りやすい薬から太りにくい抗うつ剤に切り替えた時、体重が減少することがあります。これは痩せたのではなく、元の薬の副作用がなくなっただけです。

抗うつ剤で痩せていく方の中には、病気が回復している結果であることもあります。抗うつ剤が効いてくると、いままで気力がでなくて自宅にひきこもっていたり、不安が強くて外出できなかったような方が、活動的になっていきます。身体を動かす機会が増えることで、エネルギーが消費されます。筋肉量が増えることで、代謝がよくなることがあります。この影響が、抗うつ剤がもつ代謝抑制作用を上回れば、痩せる方向にいきます。

 

抗うつ剤の副作用について詳しく知りたい方は、
抗うつ剤の副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

3.抗うつ剤で痩せた時の考え方

抗うつ剤で痩せていったときはどのように考えればよいでしょうか?先ほどの①~③の場合に分けて考えてみましょう。

 

3-1.飲み始めの下痢や嘔吐

身体に負担になるので、痩せる効果を期待してはいけません。

下痢や嘔吐によって体重が落ちている状態は、身体には大きな負担となっています。痩せるのでラッキーと思われる方もいるかもしれません。ですが、水分が失われたり、必要なミネラルのバランスが崩れてしまいます。そもそもこの副作用は、ほとんどの場合が身体に慣れてしまいます。次第に副作用としての下痢や嘔吐がみられなくなります。

中には、下剤を使ったり、自分で吐いたりすることを続けてしまう方もいます。ですが、下剤を使い続けると正常な便通が乱れて便秘の原因になってしまいます。嘔吐をしすぎると、胃から食道に逆流しやすくなってしまい、逆流性食道炎になってしまいます。下痢や嘔吐に頼ったダイエットはやめましょう。

 

3-2.太りやすい薬からの切り替え

効果がしっかりと出ているならば問題ありません。

太りやすい抗うつ剤から切り替えたことで、痩せることは好ましいことです。抗うつ剤は、副作用が全体的に少なく、抗うつ剤の中では太りにくいお薬です。ですから、薬を切り替えて痩せてきた場合、効果がしっかりと出ているならば、問題ありません。

うつや不安が強いと、食欲がなくなってしまって痩せすぎてしまうこともあります。そのような場合は、食欲が増すような抗うつ剤を意識的につかっていくこともあります。落ち着いたら食欲増加が目立ってしまうこともあります。そのような時は、抗うつ剤などの体重への影響が少ない薬に切り替えることもあります。

 

3-3.症状が改善し活動的に

元気すぎではありませんか?目がさえて眠れない、アイデアが次々浮かぶ、何でもできる気がする、などがあれば、早めに主治医に相談しましょう。

調子が悪くなっていくと痩せてしまうイメージが強いかも知れませんが、太ってしまうこともあるのです。うつや不安が強いと、意欲もなくなってしまい、活動量が落ちてしまいます。家に引きこもりがちになるので、身体を動かすことも減ってしまいます。食欲が落ちる時もあれば、反対に増える時もあります。このように、消費エネルギーが減って食欲も増えれば、当然太ってしまいますね。

抗うつ剤の効果が出てきて症状が改善してくると、少しずつ意欲が戻ってきます。活動的になってくるので、消費エネルギーも増えていきます。運動は気分のさらなる改善につながるので、ますます活動的になるという良い循環が生まれます。このようになると、抗うつ剤を使い続けて痩せていくこともあります。これは良いことなので、身体を動かすのは続けていただきたいです。

ただ、「元気すぎではないか?」というところに注意が必要です。気分の波がある方は、回復すると元気になり過ぎることがあります。「目が冴えるから寝なくていい」「アイデアが次々浮かぶ」「何でもできる気がする」なんてときは、ブレーキをかけなければいけません。心当たりがある方は、主治医に相談しましょう。エネルギーを使いすぎると、その反動が後からきてしまいます。

 

まとめ

抗うつ剤は、どちらかというと太りやすい薬が多いです。

抗うつ剤で痩せる原因は、

①飲み始めの下痢や嘔吐
②太りやすい薬からの切り替え
③症状がよくなって活動的になった

の3つが考えられます。それぞれの注意点としては以下になります。

①下痢や嘔吐は身体に負担になるので、痩せる効果を期待してはいけません。
②効果がしっかりと出ているならば問題ありません。
③活動的になることは良いことですが、元気すぎではありませんか?目がさえて眠れない、アイデアが次々浮かぶ、何でもできる気がする、などがあれば、早めに主治医に相談しましょう。

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