ノリトレン錠(ノリトリプチリン)の効果と特徴

アイコン 2016.11.27 ノリトレン

ノリトレン錠(一般名:ノリトリプチリン塩酸塩)は販売開始1971年と、非常に長い実績のある抗うつ薬です。三環系抗うつ薬に分類されています。

すべての抗うつ剤の中で効果が最も強いトリプタノールを改良する形で、ノリトレンは開発されました。トリプタノールに比べると副作用が少ないですが、効果もマイルドになっています。

最近では、さらに副作用の少ないSSRI・SNRI・NaSSAといった新しい抗うつ剤がメインに使われるようになっています。ですが三環系抗うつ薬は、副作用が多いですが効果も期待できるお薬です。新しい抗うつ剤と比較すると、ハイリスク・ハイリターンといえます。

このため、うまく使うと非常に有用ですので、現在でもよく用いられています。ノリトレンは、三環系抗うつ薬の中では効果も副作用もマイルドなお薬になります。

ここでは、ノリトレン錠の効果を中心に、詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.ノリトレンのメリットとデメリット

はじめに、ノリトレンの特徴を簡単に紹介したいと思います。

  <メリット>

  <デメリット>

三環系抗うつ薬は、ハイリスク・ハイリターンな薬です。その中でノリトレンは、トリプタノールが改良されたお薬です。これにより副作用が軽減されましたが、かわりに効果も弱まっています。ですからノリトレンは、マイルドな三環系抗うつ薬といえます。

ノリトレンはセロトニンとノルアドレナリンの両方を増やしますが、ノルアドレナリンを優位に増やします。このため、セロトニンが増えることでの抗うつ効果だけでなく、ノルアドレナリンが増えることでの意欲改善に効果が期待できます。

また、ノルアドレナリンには鎮痛効果がありますので、慢性疼痛に使われることもあります。ノリトレンは古くからある薬なので、薬の価格が安くなっているのもメリットです。

一方で、効果としては三環系抗うつ薬としてはマイルドです。とはいえ、新しい抗うつ剤と比較してしまうと、どうしても副作用が目立ってしまいます。

 

2.ノリトレンの作用機序(作用の仕組み)

ノリトレンは、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで効果を発揮します。

不安や落ち込みといった症状には「セロトニン」が関係しているといわれていて、意欲や気力は「ノルアドレナリン」、興味や楽しみは「ドパミン」が関係しているといわれています。

ノリトレンは、脳内のセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質の増加することで抗うつ効果がもたらされるといわれています。セロトニンとノルアドレナリンは神経と神経の間の橋渡しを行う神経伝達物質です。

分泌された神経伝達物質は、役割を果たすと回収されます。これを再取り込みと呼びます。ノリトレンは、この再取り込みを阻害することによって、セロトニンやノルアドレナリンの量を増やします。これによって、これらの物質の受け皿である受容体の刺激を増加させます。

ノリトレンは、古くからある三環系抗うつ薬に分類されます。三環系抗うつ薬は、セロトニンやノルアドレナリンを中心に作用するお薬になります。ですが新しい抗うつ薬に比べると、これらの物質以外にも作用してしまうため、副作用が多くなってしまいます。

日本で発売されている三環系抗うつ薬は、現時点で5種類あります。

になります。続けてノリトレンの効果について、特徴を詳しく見ていきたいと思います。

 

3.ノリトレンの効果の特徴

ノルアドレナリンを優位に増加させるマイルドな三環系抗うつ薬です。

ノリトレンは、特にノルアドレナリン再取り込み阻害作用が強く、ノルアドレナリンを優位に増加させます。セロトニンが増加することによる抗うつ効果はもちろんあります。それよりも、ノルアドレナリンを増加させることによって、気分を意欲的にする効果が強いです。

また、ノルアドレナリンが増えると、身体の痛みが感じにくくなります。これは集中しているときに痛みを感じにくいことをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。

ノリトレンは、トリプタノールが体内で代謝されてできる有効成分をとりだしたもの(活性代謝産物)です。その結果として、抗コリン作用をはじめとした副作用がトリプタノールよりも軽減されています。しかしながらその分、効果の厚みも失われています。このため、マイルドな三環系抗うつ薬といえます。

 

4.ノリトレンの効果の強さ

三環系の中ではマイルドですが、新しい抗うつ薬とは同じくらいの強さはあります。

代表的な抗うつ剤の作用を表にまとめてみます。

代表的な抗うつ剤について、作用を比較してまとめました。

それぞれの受容体に対する薬の作用の強さ(Ki値)をもとに、ざっくりと5段階にして整理しました。

ここでご注意いただきたいのは、副作用が必ずしも悪いとは限らない点です。例えば、眠気の副作用も不眠の方にはプラスになります。ですから、効果は一概にこの図通りにはいきません。

見ていただくと、三環系抗うつ薬はいろいろな受容体に働くことがわかると思います。このことは、副作用が多いことにつながりますが、効果が厚くでてくることにもなるのです。このため、数字以上に効果が出てきます。

ノリトレンは、他の三環系抗うつ薬に比べると副作用がおさえられています。その分、効果もマイルドになっています。ですが効果の厚さも加味すると、新しい抗うつ剤と同等くらいの強さはあります。

 

5.ノリトレンの効き方

内服はじめて少しずつ効果がでてきます。血中濃度は4.8時間でピークとなり、20~30時間で半減します。このため、1日1~2回で服用することが多いです。

抗うつ剤は、不安や不眠に関しては、効果がすぐに表れることもあります。しかし一般的に抗うつ剤は、飲み初めてから少しずつ効果が出てきます。

薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。およそ服用を始めて4~5日ぐらいで薬の体内での濃度が安定します。この状態のことを定常状態といいます。

実際の効果がでてくるのには、もう少し時間がかかることが多く、さらに1週間ほどしてからようやく効果がみられることが多いです。ですから、効果は飲みはじめて2~4日ほどかかることになります。また、薬が身体から抜けていくのにも4~5日かかることにもなります。

 

ノリトレンを服用すると4.8時間ほどで血中濃度が最高値になります。そこから徐々に血中濃度が低下していき、20~30時間後には血中濃度が半減します。このため、1回薬を服用すると約1日は効果が持続すると考えられます。したがって、副作用に関しても同じぐらい続く可能性があります。

血中濃度は回数を分けることで安定します。このため、1日1回でも問題ありませんが複数回内服することが多いです。ですから、1~2回服用することになります。薬の説明書(添付文書)では、1日1~数回投与となっています。

 

6.ノリトレンの副作用

他の三環系抗うつ薬よりは少ないですが、便秘・口渇・体重増加・性機能障害が比較的多いです。

ノリトレンは、他の三環系抗うつ薬と比較すると抗コリン作用が少ないです。このため軽減はされていますが、便秘や口渇が比較的多く認められます。また、ヒスタミン作用が強く体重増加も認められます。性機能障害は、新しい抗うつ薬ほどではないですが、多く認められています。

代表的な抗うつ薬の副作用を以下にまとめます。

代表的な抗うつ薬について、副作用を比較して表にまとめています。

ノリトレンの副作用について知りたい方は、
ノリトレンの副作用(対策と比較)
をお読み下さい。

 

7.ノリトレンが向いている人は?

ノリトレンはどのような人に向いているでしょうか?ノリトレンの適応をふまえて、実際にどのような方に向いている抗うつ剤なのか、みていきましょう。

 

7-1.ノリトレンの適応とは?

<適応>

<適応外>

ノリトレンは、おもにうつ病やうつ状態に使われるお薬です。昔からある三環系抗うつ薬の中では副作用が少なく、かつてはよく使われていたお薬でした。

現在はSSRIやSNRI、NaSSAなどの新しい抗うつ剤の効果が不十分な時に使われることが多いです。これらの新しい抗うつ剤に追加することもあれば、ノリトレンだけで使っていくこともあります。

それ以外には、適応外として慢性疼痛に使われることがあります。ノリトレンには鎮痛効果が多少あるので、慢性的な痛みを和らげるために使われます。

 

7-2.ノリトレンが向いている人とは?

ノリトレンはうつ状態にも用いられますが、副作用が大きいため一番はじめに使われることは少ないです。まずは副作用の少ない、SSRI・SNRI・NaSSAといった新しい抗うつ薬が使われることがほとんどです。それでも効果が乏しい場合、より効果のある三環系抗うつ薬が使われます。

ですから、新しい抗うつ剤で効果が不十分であった場合、「副作用は仕方ないからもう少し効果のあるものを試したい」という人に、ノリトレンは向いているといえます。その中でも、意欲低下が目立つ場合に効果が期待できます。三環系抗うつ薬の中ではノリトレンの副作用は少ないので、比較すると女性向きともいえます。

また、三環系の薬剤ではトリプタノールが最も鎮痛効果が強く、その次に鎮痛効果が強いのがトフラニールやノリトレンです。このため、痛みの治療に使われることもあります。ノリトレンはトリプタノールの活性代謝産物ですので、トリプタノールで効果はあったけれども、副作用が強く出てしまった人には向いています。

 

まとめ

ノリトレンは、三環系抗うつ薬に分類されていて、セロトニン・ノルアドレナリンといった伝達物質の再取り込みをブロックすることで、これらの量を増やす薬です。

効果としては、ノルアドレナリンを高める効果が強く、意欲低下などに有効です。鎮痛作用もあり、慢性疼痛などに用いられることもあります。

新しいタイプの抗うつ剤であるSSRIに比べると、ハイリスク・ハイリターンな薬になります。副作用も多いですが、効果も大きいです。ただ、他の三環系抗うつ薬と比較すると、効果・副作用ともにマイルドな印象です。

効果が出てくるのは、内服はじめて少しずつになります。血中濃度は4.8時間でピークとなり、20~30時間で半減します。このため、1日1~2回で服用することが多いです。

副作用としては、他の三環系抗うつ薬よりは少ないですが、便秘・口渇・体重増加・性機能障害が比較的多いです。

この薬は、新しい抗うつ剤では効かずに意欲低下が目立つ人、慢性疼痛があって他の薬で副作用が強く出た人に向いています。

販売者名 大日本住友製薬株式会社
分類 三環系抗うつ薬
剤形 錠剤(10mg・25mg)
薬価 錠剤(5.6円・11.4円)
ジェネリック なし
成分(一般名) ノルトリプチリン
半減期 26.7±8.5時間 (三環系の中では半減期が長い)
用法 1日1~3回 最大150mgまで