アナフラニールの副作用(対策と比較)

アイコン 2015.4.11 アナフラニール

アナフラニール、1973年から使われている三環系抗うつ薬です。三環系抗うつ薬はノルアドレナリンを増やす薬が多いですが、アナフラニールはセロトニンを増やす効果が強いです。

最近では、副作用の少ない新しい抗うつ薬が使われることが多いです。ですが、これらの薬で効果が不十分な時は、アナフラニールもよく使われます。

ここでは、アナフラニールの副作用を中心に、他の抗うつ薬と比較しながらわかりやすく紹介していきたいと思います。

 

1.アナフラニールの副作用の特徴

抗うつ薬の中で副作用が多く、便秘・口渇・ふらつき・体重増加・性機能障害が多いです。

アナフラニールは、いろいろな受容体に作用します。このため、効果が厚いですが、副作用も色々なものがみられます。

抗コリン作用が強く、便秘や口渇などがよく認められます。抗ヒスタミン作用も強く、体重増加が認められます。 抗α1作用も認められ、他の作用とも合わせてふらつきも強いです。新しい抗うつ薬ほどではないですが、性機能障害もよく認められています。まれではありますが、アナフラニールでは不整脈が起こることがあり、命に関わることもあるので注意が必要です。

アナフラニールは、他の三環系抗うつ薬に比べるとセロトニンを増加させる効果が大きいです。ですから、他の三環系抗うつ薬と比較すると、やや吐き気や下痢が起こりやすいです。眠気に関しては、効果がしっかりしている割には少ない印象があります。

代表的な抗うつ薬の副作用の比較を以下にまとめます。三環系の薬は副作用が多いのがわかりますね。

 

代表的な抗うつ薬について、副作用を比較して表にまとめています。

アナフラニールの効果について知りたい方は、
アナフラニール錠の効果と特徴
をお読みください。

 

2.抗うつ薬の副作用の考え方

5つの物質に分けて考えます。よくある副作用としては、便秘・口渇・ふらつき・眠気・体重増加・吐気・下痢・性機能障害・不眠がみられます。

抗うつ薬の副作用には、5つの物質を主に考えます。実際に出てきた副作用と、それぞれの薬の作用の特徴を考えて、どの物質が原因かを考えていきます。よくある副作用の症状を、5つの物質にわけてまとめます。

ノルアドレナリン・セロトニンは症状の改善を図って用いますが、脳以外にも働いて副作用となることがあります。また、抗コリン作用・抗α1作用・抗ヒスタミン作用などが副作用としてでてきます。

不眠(セロトニン5HT刺激作用作用)・吐き気(セロトニン5HT刺激作用)・性機能障害(抗α1作用・セロトニン5HTA刺激作用)などもあります。

その他に、まれではありますが命に関わるものとして不整脈があります。心臓の電気活動に影響して、1回の心臓収縮にかかる電気活動時間が延長します。これが心電図のQT時間の延長という形であらわれます。それによって致死的な不整脈が出現しやすくなるので、心電図はチェックしていく必要があります。

 

3.アナフラニールの副作用への対応方法

慣れていきますので、まずはがまんしてください。生活上での支障が大きくなるようなら対策を考えます。
①薬を減薬する②他の薬にかえる③副作用を和らげる薬を使う

抗うつ薬にはさまざまな副作用があります。多くの副作用が多少なりとも「慣れる」ことが多く、なんとかなる範囲でしたら我慢してください。生活習慣など薬を使わない対策がある場合は、積極的にためしてください。
薬の服用方法を工夫することで副作用が軽減することもあるので、主治医に相談してみましょう。

その上で、生活上での支障が大きくなるようでしたら、対策を考えていきます。

①減薬する
②他の薬にかえる
③副作用を和らげる薬を使う

の3つがあります。①~③は、効果と副作用の兼ね合いで考えていきます。効果が十分ならば①、増やしても効果の期待が少ない時は②、薬を続けるメリットがあるならば③になります。

さて、③としてよく用いるものや生活習慣を簡単にまとめたいと思います。

副作用 薬を使わない対策 副作用を和らげる薬
便秘 排便習慣・食物繊維・水分・運動習慣 センノサイド・マグミット・大黄甘草湯など
口渇 唾液腺マッサージ・口呼吸 白虎加人参湯
ふらつき 朝食をしっかり・ゆっくり立つ メトリジン・リズミックなど
眠気 睡眠をしっかり・昼寝習慣
体重増加 食事管理・運動習慣
吐き気 食事を控えめにする 胃薬・ガスモチン・ナウゼリン・プリンペランなど
下痢 セレキノン
性機能障害
不眠 睡眠に良い生活習慣・自律訓練法 鎮静系の抗うつ薬・睡眠導入剤など
不整脈

 

4.アナフラニールの副作用―症状ごとの比較

アナフラニールの副作用に関して、代表的な抗うつ薬と比較しながら、それぞれ見ていきたいと思います。
全部は大変ですので、ご自身の気になる副作用の症状をつまみ読みしてください。

 

4-1.便秘・口渇

アナフラニールは、抗コリン作用が強いのでよくみられます。

抗コリン系の副作用としては、便秘や口渇があります。抗コリン作用が働くと、一般的に消化活動が抑えられます。このため、唾液の分泌が低下し、腸の動きも悪くなります。

三環系抗うつ薬は、抗コリン作用が強いので、よくみられる副作用です。アナフラニールの抗コリン作用は、三環系抗うつ薬の中ではトリプタノールに次いで強いです。このため、抗コリン作用としての便秘や口渇がよく認められます。メリットとデメリットを見ながら慎重に使っていく必要があります。

SSRIの中では、パキシルが最も抗コリン作用が強いです。ルボックス/デプロメールでも比較的認められます。

代表的な抗うつ薬の副作用のうち、便秘・口渇を比較して表にしまとめました。

 

4-2.ふらつき

アナフラニールでは、比較的よくみられます。

抗α1作用の副作用として、立ちくらみやふらつきがよくみられます。これには血管の調整が関係しています。アドレナリンがα1受容体に作用すると、血管が収縮します。その結果として血圧を上げ、血のめぐりをよくします。抗α1作用とは、この作用をブロックしますので、結果として血圧が十分にあがらず、頭に血がまわらなくなります。このようになると、立ちくらみやふらつきとなって症状が現れてきます。

三環系の抗うつ剤ではよく起きる副作用です。アナフラニールは抗α1作用は認められますので、比較的よくみられる副作用になります。アナフラニールはトリプタノールに次いでよくみられます。

代表的な抗うつ薬の副作用のうち、ふらつきを比較して表にしまとめました。

 

4-3.眠気

アナフラニールは多少眠気が認められます。

詳しく知りたい方は、「アナフラニールの眠気と6つの対策」をお読みください。

眠気に関しては、複数の要素が関係するので複雑です。大きくは3つの働きが関係しています。抗ヒスタミン作用、抗α1作用、セロトニン5HT2受容体阻害作用です。これらのバランスで眠気が決まります。

眠気が強い効果をもつ抗うつ薬を鎮静系抗うつ薬と呼びます。NaSSAや四環系抗うつ薬、デジレルなどが分類されます。三環系抗うつ薬は、この次に位置付けられます。SSRIは三環系に比べて眠気が少ないです。SSRIの中では、パキシル・ルボックス/デプロメールがやや多い印象です。SNRIはノルアドレナリンに覚醒作用があるため、さらに眠気が少ないです。

アナフラニールは、眠気は多少認められます。三環系抗うつ薬はレム睡眠を減少させて夢を見なくする効果があります。眠気が強く強力なトリプタノールを使うことが多いですが、うまく合わなかった時には、アナフラニールも使われます。

代表的な抗うつ薬の副作用のうち、眠気を比較して表にしまとめました。

 

4-4.体重増加

アナフラニールでは、よくみられます。

詳しく知りたい方は、「アナフラニールは太るの?体重増加と5つの対策」をお読みください。

体重増加には、2つの作用が関係しています。抗ヒスタミン作用による食欲増加とセロトニンによる代謝抑制作用です。

ヒスタミンは視床下部という部分にある満腹中枢を刺激する物質です。ですから、ヒスタミンは食欲を抑える働きがあります。これをブロックする効果が強いと食欲が増加します。また、ヒスタミンがブロックされると、グレリンというホルモン増加をひきおこします。これが摂食中枢を刺激して、食欲を増進させるともいわれています。ですから、抗ヒスタミン作用は食欲増加につながります。

セロトニンは精神を安定させ、リラックス状態をつくっていきます。すると、身体のエネルギーとしては、消費が抑えられるようになります。このように、セロトニンには代謝抑制効果があります。

三環系抗うつ薬は、抗ヒスタミン作用も強く、またセロトニン作用も強いものが多いです。アナフラニールも、トリプタノールについで抗ヒスタミン作用が強く、太りやすい薬といえます。

抗うつ剤の太りやすさを比較してみました。

 

4-5.吐き気・下痢

アナフラニールでは、多少認められます。

抗うつ薬は脳内のセロトニンに作用します。抗うつ薬で吐き気がでてきしてしまうのには、このセロトニンが大きく関係しています。

セロトニンの受容体は脳には10%もありません。90%以上の大部分は胃腸に存在していて胃腸の働きの調節をしています。セロトニンが分泌されると きは、胃腸が中身を出したいときです。ですから、吐き気や下痢といった形で、中身を外に出そうとする働きをします。もう少し詳しくみてみましょう。

胃腸にはセロトニン5HT受容体が分布していて、これが刺激されると迷走神経という神経が刺激されます。この神経が脳の延髄にある嘔吐中枢を刺激してしまいます。同時に、このセロトニン5HT受容体は腸の動きを活性化する働きがあります。このため、腸の動きが活発となり下痢が生じるのです。

しかしながら、徐々に体が慣れてきますので、徐々に副作用が薄れていく方がほとんどです。このため、一時的に胃薬をもちいることでしのげることが多いです。

抗うつ薬の中では、SSRIやSNRIに多くみられます。SSRIの中では、ルボックス/デプロメールに多い印象で、その他のSSRIは同じよう な印象です。また、新しい抗うつ薬のうちリフレックス・レメロンは、ほとんど吐き気などは認められません。これはセロトニン5HT受容体をブロックする作用があるためです。三環系抗うつ薬は、比較して少ないです。アナフラニールは、三環系抗うつ薬の中ではセロトニンを増やす効果が強いです。このため、他のものと比較すると多いです。

代表的な抗うつ薬の副作用のうち、吐き気・下痢を比較して表にしまとめました。

 

4-6.性機能障害

アナフラニールでは、比較的よくみられます。

性機能障害は、抗うつ薬全般でよくみられます。性欲自体が低下する形になることが多いです。これにはセロトニンが関係しています。セロトニンは、気分を落ち着かせリラックスさせる薬になります。このため、性欲も必然的におちてしまいます。

さらに、抗α1作用は性機能にも影響があります。勃起をする時には、血液が陰茎に集中することが大事ですが、この時に、血管の調整をになうα1作用が必要になります。これがブロックされますので、勃起不全や射精障害になることがあります。

抗うつ薬としては、パキシルとジェイゾロフトが多いです。およそ70~80%の方に副作用としてあらわれるといわれていますが、恥ずかしくてなかなか表にでてこない副作用です。新しい抗うつ薬のうち、リフレックス・レメロンは、セロトニン5HT受容体をブロックする作用があるため、性機能障害が比較的少ないです。ですが、それでも20%程度で認められるといわれています。アナフラニールをはじめとした三環系抗うつ薬は、SSRIよりは性機能障害は少ないですが、比較的よくみられる副作用です。

代表的な抗うつ薬の副作用のうち、性機能障害を比較して表にしまとめました。

 

4-7.不眠

アナフラニールでは、ほとんどみられません。

不眠になる原因としては、セロトニンとノルアドレナリンが関係しています。セロトニン5HT受容体が刺激されると、深い睡眠が妨げられ、睡眠が浅くなります。また、ノルアドレナリンは交感神経に働く物質ですので、覚醒作用があります。このため、セロトニンとノルアドレナリンに働く薬は、睡眠が浅くなるという形で不眠につながります。

しかしながら、アナフラニールをはじめとした三環系抗うつ薬は、SSRIやSNRIと比べると、不眠の副作用は少ないです。これは、抗ヒスタミン作用や抗α1作用などによって眠気が強くなるためです。アナフラニールは落ち着かせる効果が強い方ですので、不眠はあまり認められません。アナフラニールやトフラニールも、眠気が強くでる傾向にありますが、まれに不眠が認められることがあります。飲み始めに多いですが、不安や焦燥感をあおってしまい不眠が強くなってしまうことがあります。

鎮静系の抗うつ薬といわれているテトラミド・リフレックス/レメロン・デジレン/レスリンでは、セロトニン5HT受容体をブロックする作用があります。このため、睡眠が深くなり不眠となることは基本的にありません。

抗うつ薬の副作用である不眠を比較しました。

まとめ

アナフラニールは、抗うつ薬の中でもっとも副作用が多く、便秘・口渇・ふらつき・体重増加・性機能障害が多いです。

アナフラニールは、いろいろな受容体に作用します。抗コリン作用が強く、便秘や口渇などがよく認められます。抗ヒスタミン作用も強く、体重増加が認められます。 抗α1作用も認め、他の作用とも合わせて、ふらつきが強いです。新しい抗うつ薬ほどではないですが、性機能障害も多く認められています。

これらの副作用が見られた場合、まずはがまんしてください。生活上での支障が大きくなるようなら対策を考えます。

①薬を減薬する②他の薬にかえる③副作用を和らげる薬を使う

から考えていきます。