アナフラニール点滴の効果

アイコン 2015.4.11 アナフラニール

アナフラニールには他の抗うつ剤にはない、「点滴することができる」という大きなメリットがあります。

点滴のできる抗うつ剤は他にはなく、薬を飲めない時などに重宝します。また、錠剤では効果がなかった方が改善することもあり、難治性うつ病のひとつの手段となっています。

ここでは、アナフラニールの点滴について、見ていきたいと思います。

 

1.アナフラニールの点滴の効果

効果が早くて実感が出やすいですが、効果が持続しない傾向があります。

アナフラニールの点滴は、錠剤よりも早くしっかりとした効果が出てきます。点滴を続けていると、1週間以内に効果が出てくることも多いです。重度のうつ病の方も、続けて点滴をすることで改善をみせることがあります。

アナフラニールの点滴は、2時間あまりで血中濃度がピークに達します。錠剤は4~5時間程度かかりますので、薬が一気に脳に届くので実感が出やすいのかもしれません。点滴を行った日から、少し良くなった実感を持たれる方もいらっしゃいます。点滴の効果は、錠剤にはないものがありますが、難点は効果の持続が短い傾向にあることです。点滴して一度よくなっても、すぐに悪化することがあります。よくなってからも飲み薬を使って、うまく維持していくことが必要になります。

 

アナフラニールの効果の特徴について知りたい方は、
アナフラニール錠の効果と特徴
をお読みください。

 

2.アナフラニール点滴が効く理由

肝臓で代謝をうけずに、アナフラニールが直接脳に届くためと考えられます。

抗うつ剤は、時間をかけて少しずつ効果が出てきます。ですから即効性を期待する薬ではありません。このため、吸収の早い点滴や注射はあまり意味がないと思われていました。ですがアナフラニールだけは、点滴による治療が有効だと経験的にわかっています。

なぜアナフラニールが効果を発揮するかというと、正直なところはっきりとわかっていません。私としては、アナフラニールの成分が、直接脳に届くことが大きいのだと考えています。錠剤と点滴の薬の効き方の違いから考えていきましょう。

錠剤の飲み薬では、口から入って胃を過ぎて、腸に運ばれます。そして腸管から血中に取り込まれていきます。血中に入ったお薬は、門脈という血管をとおって肝臓に運ばれます。肝臓で代謝されて、50%がデスメチルクロミプラミンという成分に変わってしまいます。結果として、アナフラニール50%+デスメチルクロミプラミン50%が、脳に届いて効果を発揮します。

点滴の場合は、直接静脈からお薬が入っていきます。このため、肝臓を通らずに直接脳にアナフラニールが届きます。100%のアナフラニールが脳に届いて効果を発揮するのです。

デスメチルクロミプラミンは効果がないわけではありません。この成分は、ノルアドレナリンを増やす効果があります。一方で、アナフラニールはセロトニンを優位に増やす薬です。このため経口と点滴では、有効成分の割合が変わるので、その効果の出方も変わってくるでしょう。

「点滴をして静脈から薬を使う方が有効成分をロスしない」という考えをするならば、飲み薬の量を増やせばよいだけですので説明がつきません。成分の違いが効果の違いをもたらしているのだと思われます。

 

3.どのような時に使えるの?

薬を飲めない場合や、飲み薬で効果がない重症のうつ病の場合に有用です。

点滴の治療はどこでもやっているわけではありません。多くのクリニックでは行っていないので、外来で点滴治療をうけられるのは、ごく限られた医療機関でしかありません。ですから、もし点滴治療を行うならば、入院となることが多いかと思います。

このため、まずは飲み薬で治療をすすめていくことが現実的です。点滴で治療をする必要がある時は、多くは入院して治療することになります。

それでは、アナフラニールの点滴をするのはどのような時でしょうか?大きくは2つのケースがあります。

  1. 薬を飲めない理由がある
  2. 飲み薬で改善しない重症のうつ病

 

薬を飲めない理由というのは、うつ状態がひどくて混迷状態(意志がまったくなくなってしまって、口もあけられない)になっている時です。飲み薬が使えないとなると、抗うつ剤ではアナフラニールの点滴しかありません。

重症のうつ病の方で、飲み薬でも改善が乏しいときに使われることもあります。アナフラニールの点滴は、飲み薬よりも気分が持ち上がっていくことがあります。ただ、効果の持続も短いことが多いので、あくまで点滴は一時的です。いったんよくなったら、効果のある抗うつ剤をみつけて、続けていくことが必要です。毎日点滴・・・というわけにもいかないですからね。アナフラニールの点滴でも効果が出てこないうつ病の方は、電気けいれん療法(ECT)も考えていきます。

 

4.実際の使い方

心電図をチェックし、0.5Aから副作用をみながら使っていきます。

まずは、心電図をしっかりとチェックします。三環系抗うつ薬は心臓への影響が大きく、不整脈をもっていないかは確認することが必要です。

アナフラニールの点滴は、まずは0.5アンプル(12.5mg)からはじめることが多いです。これをブドウ糖か生理食塩水で混ぜて、静脈点滴によって2~3時間かけて入れていきます。

アナフラニールの点滴は、ほとんど入院で行うことが多いです。毎日点滴を続けて行っていくことで、一週間のうちに効果がみられることも多いです。吐き気などの副作用が多く、副作用と効果のバランスをみながら、効果が不十分でしたら1アンプルに増やしていきます。

症状の改善がみられた後は、徐々に飲み薬に切りかえていきます。

 

まとめ

アナフラニールの点滴は、効果が早くて実感も出やすいですが、効果が持続しない傾向があります。

アナフラニール点滴が効く理由としては、肝臓で代謝をうけずに、アナフラニールが直接脳に届くためと考えられます。

薬を飲めない場合や、飲み薬で効果がない重症のうつ病の場合に有用です。

心電図をチェックし、0.5Aから副作用をみながら使っていきます。