アミトリプチリン錠の効果と副作用

アイコン 2015.4.20 トリプタノール

アミトリプチリンとは、トリプタノールという三環系抗うつ薬と同じです。

トリプタノールには、アミトリプチリン錠・ノーマルン錠・ラントロン錠などいろいろなジェネリックが発売されています。現在はアミトリプチリン錠に統一されつつあります。

アミトリプチリンは販売開始1961年と、非常に長い実績のある抗うつ薬です。三環系抗うつ薬に分類されています。この中でも古くから使われていて、第一世代と呼ばれたりもします。

最近では、さらに副作用の少ないSSRI・SNRI・NaSSAといった新しい抗うつ薬が、まず使われるようになっています。ですが、三環系抗うつ薬は副作用が多いですが効果も大きいです。その中でもアミトリプチリンは、最強といっても過言ではありません。

ここでは、アミトリプチリンの効果を中心に、わかりやすく紹介していきたいと思います。

 

1.アミトリプチリンとは?

はじめに、アミトリプチリンの特徴を簡単に紹介したいと思います。

  <メリット>

  <デメリット>

三環系抗うつ薬は、ハイリスク・ハイリターンな薬です。その中でもアミトリプチリンは、最もその特徴が表れている薬です。効果は最強といっても過言ではありませんが、副作用も強くでてきます。体内で代謝されてノリトリプチンという成分にかわります。この成分だけ取り出したものが、ノリトレンとして薬になっています。

効果としては、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増やします。このため、抗うつ効果と意欲改善効果を期待できます。また、気持ちを落ち着ける作用が強く、不安や不眠、焦りなどの改善も期待できます。夢を減らす効果もあるので、悪夢がある時にも使われることがあります。

アミトリプチリンの大きなメリットとしては、鎮痛効果が期待できることです。三環系抗うつ薬の中では鎮痛効果がもっとも強く、慢性疼痛などにも使われています。また、古くからある薬なので、薬の価格が安くなっているのもメリットです。新しい抗うつ薬では、5~10倍ほどの価格になります。

しっかりとした効果が期待できる反面、デメリットが色々と出てきてしまいます。副作用はすべての抗うつ薬の中で、もっとも強くでてきます。

 

2.アミトリプチリンの効果と抗うつ剤での比較

それでは、最強の抗うつ薬といっても過言ではないアミトリプチリンの効果について、詳しく見ていきましょう。

 

2-1.アミトリプチリンの作用機序

セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで効果を発揮します。

脳内のセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質の増加することで、抗うつ効果がもたらされるといわれています。

セロトニンとノルアドレナリンは神経と神経の間の橋渡しを行う神経伝達物質です。分泌された神経伝達物質は、役割を果たすと回収されます。これを再取り込みと呼びます。

抗うつ薬は、この再取り込みを阻害することによって、セロトニンやノルアドレナリンの量を増やします。これによって、これらの物質の受け皿である受容体の刺激を増加させて作用します。

 

2-2.アミトリプチリンの特徴

セロトニン・ノルアドレナリンを強力に増加させる三環系抗うつ薬です。

アミトリプチリン自体はセロトニンを優位に増やします。ですが、代謝産物であるノリトレンはノルアドレナリンを優位に増やすので、結果としてはセロトニンとノルアドレナリンのどちらにも強力に作用して増加させます。このため、セロトニンが増えることによる抗うつ効果と、ノルアドレナリンが増えることによる意欲改善効果が期待できます。

また、ノルアドレナリンが増えると、身体の痛みが感じにくくなります。何かに集中していると痛みを感じにくいことを経験したことはありませんか?ノルアドレナリンは交感神経系に働く物質ですので、痛みの刺激を抑えるように働きます。このため、鎮痛効果が期待できます。

気持ちを落ちつける鎮静作用も強いです。このため、不安や不眠、焦りなどの改善も期待できます。睡眠に対しては、レム睡眠を減少させる効果があります。このため、悪夢がある時などにも使われます。

アミトリプチリンは、いろいろな受容体に作用して効果がしっかりとでてきます。一方で、副作用も強く出てきてしまいます。すべての抗うつ薬の中でも、最もハイリスク・ハイリターンといえます。

 

2-3.アミトリプチリンの強さ

三環系の中でも強力で、最強の抗うつ薬といっても過言ではありません。

代表的な抗うつ薬の作用を表にまとめてみます。

代表的な抗うつ剤について、作用を比較してまとめました。

それぞれの受容体に対する薬の作用の強さ(Ki値)をもとに、ざっくりと5段階にして整理しました。

見ていただくと、三環系抗うつ薬はいろいろな受容体に働くことがわかると思います。このことは、副作用が多いことにつながりますが、効果が厚くでることにもなるのです。このため、数字以上に効果が出てきます。

アミトリプチリンは、他の三環系抗うつ薬の中でもいろいろな作用を持っています。その分、効果が厚くでてくるので、最強の抗うつ薬といっても過言ではありません。抗うつ薬の中では、切り札として使われています。

 

2-4.アミトリプチリンの効き方

血中濃度は4.4時間でピークとなり、31時間で半減します。このため、1日1~3回で服用することが多いです。

抗うつ薬は、不安や不眠に関しては、効果がすぐに表れることもありますが、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。

抗うつ薬が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。およそ服用を始めて4~5日ぐらいで薬の体内での濃度が安定します。この状態のことを定常状態といいます。

アミトリプチリンを服用すると4.4時間ほどで血中濃度が最高値になります。そこから徐々に血中濃度が低下していき、31時間前後で血中濃度が半減します。

抗うつ薬の中でも薬が身体から抜けるのが遅い薬です。このため、1日1回の服用でも効果は十分発揮します。ですが、アミトリプチリンは副作用の大きな薬です。血中濃度が高くなると副作用がでやすくなるので、複数回に分けて服用することが多いです。

1日1回からはじめて大きな副作用がないかを確認して、問題なければ服薬回数を増やしていきます。1日に2~3回服用することが多いです。

 

3.アミトリプチリンの副作用と抗うつ剤での比較

抗うつ薬の中でもっとも多く、便秘・口渇・ふらつき・眠気・体重増加・性機能障害が多いです。

アミトリプチリンは、いろいろな受容体に作用します。抗コリン作用も強く、便秘や口渇などが認められます。抗ヒスタミン作用も強く、体重増加が認められます。抗α1作用も比較的強いので、他の作用とも合わせてふらつきや眠気も強いです。性機能障害は、新しい抗うつ薬ほどではないですが、多く認められています。

代表的な抗うつ薬の副作用の比較を以下にまとめます。副作用の多い三環系の中でも、副作用が多いことがわかりますね。

代表的な抗うつ薬について、副作用を比較して表にまとめています。

4.アミトリプチリンが向いている人は?

<適応>

<適応外>

うつ状態にも用いられますが、副作用が大きいため、一番はじめに使われることは少ないです。まずは副作用の少ない、SSRI・SNRI・NaSSAといった新しい抗うつ薬が使われることがほとんどです。それでも効果が乏しい場合、より効果のある三環系抗うつ薬が使われます。

ですから、新しい抗うつ薬で効果が不十分であった場合、「副作用は仕方ないからもう少し効果のあるものを試したい」という人に向いているといえます。三環系抗うつ薬の中でも、効果が強いかわりに副作用も強いので、男性向けかと思います。他の三環系抗うつ薬で効果が不十分だった時に使うこともあります。

副作用の抗コリン作用を利用して、遺尿症=「おねしょ」にも使われます。抗コリン作用はおしっこを出にくくします。また、アミトリプチリンは睡眠を深くするので、合わせて効果を発揮します。

また、三環系の薬剤ではアミトリプチリンが最も鎮痛効果が強く、その次に鎮痛効果が強いのがトフラニールやノリトレンです。ですから、さまざまな痛みを軽減させるために使われます。まずは副作用の少ないSNRIのサインバルタを使います。それでも効果が不十分な時は、アミトリプチリンも使っていきます。

アミトリプチリンは悪夢を軽減させる効果もあります。レム睡眠を減少させる効果があるので、夢が減っていきます。うつ病やうつ状態の患者さんは悪夢で苦しんでいる方も多いです。朝のはじまりが悪夢からですと気持ちも腫れていきません。このような時は、睡眠薬の代わりとして使われることもあります。

 

5.一般名と商品名とは?

一般名:アミトリプチリン 商品名:トリプタノール

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「アミトリプチリン(amitriptyline)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「トリプタノール(tryptanol)」は日医工株式会社が独自でつけた名前です。よりこの薬が広まるように、製薬会社が考えた名前になります。

トリプタノールは歴史が長い薬なので、その特許はきれています。このため他の製薬会社も薬を製造することができて、アミトリプチリン・ノーマルンやラントロンという商品名のジェネリックも発売されています。

最近のジェネリックは、紛らわしさをなくすため、一般名+会社名をつけることが多くなりました。例えば、「アミトリプチリン塩酸塩錠「○○社」」といった形です。

このように商品によって薬の名前は違いますが、基本的に有効成分は同じになります。ですから、効果や副作用の方向性は同じです。ですが、まったく同じかというとそのようなことはありません。ジェネリック医薬品と先発医薬品では、効果や副作用の出方が変わってくる方がいらっしゃいます。

詳しく知りたい方は、
ジェネリック医薬品の問題点
トリプタノールとアミトリプチリン・ノーマルンの違いとは?
をお読みください

アミトリプチリンの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
トリプタノールの効果と特徴
トリプタノールの副作用
をお読みください。

 

まとめ

アミトリプチリンは、三環系抗うつ薬に分類されていて、セロトニン・ノルアドレナリンといった伝達物質の再取り込みをブロックすることで、これらの量を増やす薬です。

効果としては、セロトニン・ノルアドレナリンのどちらも強力に増加させます。

他の抗うつ薬と比べて、効果は最強といっても過言ではありませんが、副作用も最も強いです。ハイリスク・ハイリターンな薬になります。

血中濃度は4.4時間でピークとなり、31時間で半減します。副作用を軽減するために服用を分けることが多く、1日1~3回で服用することが多いです。

副作用としては、抗うつ薬の中で最も多く、便秘・口渇・ふらつき・眠気・体重増加・性機能障害などがみられます。

この薬は、他の抗うつ薬で効果が十分でない人、慢性疼痛がある人、悪夢がある人に有効です。

 

販売者名 日医工業株式会社
分類 三環系抗うつ薬
剤形 錠剤(10mg・25mg)
薬価 錠剤(9.6円・9.6円)
ジェネリック アミトリプチリン・ノーマルン・ラントロン
成分(一般名) アミトリプチリン
半減期 31±13時間 (三環系の中では半減期が最も長い)
用法 1日1~4回 最大300mgまで