グラマリールの副作用(対策と比較)

アイコン 2015.11.17 グラマリール

グラマリールは、1987年に発売された第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)です。統合失調症には使われず、せん妄や認知症で不穏な患者さんに使われるお薬です。

グラマリールには穏やかな鎮静作用があり、また薬が身体にたまりにくいために高齢者に優しいお薬です。統合失調症よりも少ない用量で使われるので、副作用も全体的に少ないです。

そうはいってもグラマリールで副作用がまったくないわけではありません。ここでは、グラマリールの副作用について詳しくお伝えしていきます。

 

1.グラマリールの副作用とは?

グラマリールは、第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)になります。ドパミンをピンポイントでブロックするという特徴があります。

グラマリールは抗精神病薬に分類されていますが、あくまで症状にあわせて使っていくお薬です。統合失調症の治療薬ほどに薬の量は必要ありません。このためグラマリールは、用量が低めに設定されています。一般的に副作用は、薬の量が多くなるほど副作用は多くなります。ですからグラマリールでは、副作用は全体的に少ないのです。

グラマリールで比較的認められる副作用は、ドパミン不足による副作用です。錐体外路症状(ソワソワやふるえ)や高プロラクチン血症(生理不順や性機能障害)といった、ドパミンが不足による副作用がごくまれに認められます。

ドパミン以外の受容体には作用しにくいので、眠気やふらつきといった副作用は少ないです。このため、転倒して骨折してしまうことのリスクがそこまで高まりません。

グラマリールは作用時間が短く、また肝臓の影響を受けにくいお薬です。このため、身体にお薬がたまりにくいといえます。副作用が認められたとしても、時間がたつと薬が身体から抜けていきます。

 

グラマリールの効果について詳しく知りたい方は、
グラマリール錠の効果と特徴
をお読みください。

 

2.グラマリールの副作用

グラマリールで起こりうる具体的な副作用についてみていきましょう。グラマリールではいずれの副作用も少ないですが、可能性がないわけではありません。

 

2-1.錐体外路症状

グラマリールでは錐体外路症状は少ないですが、グラマリールの中では多いです。

抗精神病薬はドパミンの働きをブロックするお薬ですが、必要な部分でもドパミンをブロックしてしまうと副作用になります。

その症状のひとつが錐体外路症状です。脳の黒質線条体という部分では、身体の運動の細かな調節を勝手にしてくれています。黒質でドパミンが作られて線条体に伝えられています。お薬がこのドパミンの働きを邪魔してしまうと、運動の調節が上手くいかなくなってしまいます。この症状のことを錐体外路症状(EPS)といいます。

パーキンソン病という病気をご存知でしょうか?この病気は、黒質の神経細胞が変性してしまってドパミンが作れなくなってしまう病気です。ちょうどパーキンソン病に似た症状が出現します。その他にもいろいろな運動系の症状が認められることがあります。

 

他の抗精神病薬と比較すると錐体外路症状は少ないですが、グラマリールの副作用の中では多い方です。

グラマリールによる錐体外路症状への対策は2つあります。

  1. グラマリールの減量
  2. 他の薬への変更

まずは、グラマリールの減量を考えます。量が少なくなれば症状も軽減するので、薬の効果をみながら減量していきます。

グラマリールで錐体外路症状が認められた場合は、無理に副作用止めを使うことはありません。他の新しい抗精神病薬を少量使っていきます。セロクエルやルーラン、リスパダールやジプレキサなどが使われます。症状によっては、抗精神病薬以外のお薬に変更できることもあります。

 

2-2.高プロラクチン血症

グラマリールでは、高プロラクチン血症は少ないです。

グラマリールが下垂体に作用してドパミンを遮断してしまうと、プロラクチンというホルモンを増やしてしまいます。プロラクチンは本来、子供が産まれてから授乳中の女性に分泌されるホルモンです。ですから、乳汁の分泌を促す作用があります。また、子育てをしている時には次の出産をする余裕もないですから、排卵を抑制して妊娠しないようにする作用もあります。

このため高プロラクチン血症になってしまうと、

などの副作用がみられます。女性だけでなく、男性でも症状がみられます。

などの副作用がみられます。それ以外にも、骨粗鬆症や乳がんなどへのリスクも報告されているので注意が必要です。

このような症状がみられたときは、正確に診断するためにプロラクチン濃度を測る血液検査をします。プロラクチン濃度の理想は15以下といわれていますが、30を超えたら高プロラクチン血症と診断します。

 

グラマリールでは、高プロラクチン血症は少ないです。高齢者に使われることが多いので、そこまで問題にならないこともあります。グラマリールによって高プロラクチン血症の症状がみられたら、薬を中止して他のお薬にしていきます。

 

2-3.便秘・口渇(抗コリン作用)

グラマリールでは、ほとんど認められません。

抗精神病薬はアセチルコリンの働きをブロックしてしまうことがあります。アセチルコリンは副交感神経を刺激する作用があります。このため抗コリン作用とは、「リラックできない時はどういう身体の状態か?」をイメージすると理解しやすいです。

リラックしている時に食べ物の消化はすすみます。このため、唾液が分泌され、胃腸は動き、尿や便は排泄されやすくなります。抗コリン作用によってこれらの活動が抑えられると、口がかわいたり、便秘になったり、尿が出にくくなります。

 

グラマリールでは抗コリン作用はわずかなため、副作用としてはほとんど認められません。

グラマリールによる便秘や口渇への対策としては、3つあります。

  1. グラマリールの減量
  2. 生活習慣の改善
  3. 下剤や漢方などの追加

まずはできる限り、グラマリールを減薬していきます。それでも改善しない場合は、お薬以外で改善できることは試してみます。下剤や漢方薬などを追加していくこともあります。

詳しくは、「抗コリン作用とは?」をお読みください。

 

2-4.ふらつき

グラマリールでは、ふらつきは少ないです。

ふらつきは、いろいろな作用が重なって認められる副作用です。眠気が強かったらフラフラしますよね?抗ヒスタミン作用が強いお薬では眠気が強く認められます。また、アドレナリンα1受容体は血管の調整を行っています。抗α1作用によって脳に血液が上手くいかなければ、クラクラしてしまいます。

グラマリールでは抗ヒスタミン作用や抗α1作用は弱いです。このため、めまいやふらつき(起立性低血圧)が認められることも少ないです。

グラマリールによるふらつきの対策としては、3つあります。

  1. グラマリールの減量
  2. 生活習慣の改善
  3. 他の薬への変更

まずはできる限り、グラマリールを減量していきます。また、生活習慣でできることは改善していきます。

これでも日常生活に支障がある場合は、他のお薬に変更します。

 

2-5.眠気

グラマリールでは、眠気は少ないです。

眠気は、抗ヒスタミン作用の影響が大きいです。抗ヒスタミン作用成分は、花粉症のお薬や風邪薬にも含まれています。これらの薬を飲んで眠くなる経験をされたことはありませんか?

ヒスタミンは覚醒状態に大切な脳内物質なので、これがブロックされると眠気が出てきてしまいます。他にも、セロトニン2受容体遮断作用やアドレナリンα1受容体遮断作用も眠気につながります。

グラマリールは、いずれの作用も弱いです。このため、眠気も少ないです。

グラマリールによる眠気の対策としては、大きく分けると4つあります。

  1. 睡眠環境や習慣を見直す
  2. グラマリールの減量
  3. グラマリールの飲み方を工夫する
  4. 他の薬に変更

まずはグラマリールをできる限り減量します。また、睡眠環境や習慣に関して、改善できることは見直していきます。詳しくは、「不眠を解消する9つの方法」「アルコール・タバコ・コーヒーと睡眠の関係」をお読みください。

効果を見ながら、就寝前や夕食後などにお薬を服用するなど、飲み方を工夫していくとうまくいくこともあります。他のお薬に変更も検討します。

 

2-6.体重増加

グラマリールでは、体重増加は少ないです。

抗精神病薬では、ヒスタミン1受容体遮断作用やセロトニン2C受容体遮断作用によって食欲が増加します。食べてしまった分だけ太るのかというと、それだけではないのです。何らかの代謝への悪影響があることが分かっていて、実際に食べている以上に体重が増加してしまいます。糖尿病や脂質異常症などのリスクも、明らかに上昇します。

グラマリールはいずれの作用も少なく、代謝への悪影響も大きくありません。このため、体重増加は少ないお薬です。

グラマリールによる体重増加の対策としては、4つあります。

  1. 体重測定・食事管理
  2. 運動
  3. グラマリールの減量
  4. 他の薬に変更

まずは食生活を整えましょう。カロリーを意識しながら食事をとるようにして、3食をバランスよくとることが必要です。そして、定期的に体重を測るようにしましょう。ちゃんと自分の体重を管理する習慣をつけましょう。また、運動習慣をつくりましょう。消費カロリーが増えれば体重が減少しますし、運動自体が精神的によい効果をもたらします。

体重増加傾向が改善できない場合は、グラマリールの減量を検討します。効果をみながら、できる限り減量していきます。それでも変わらないならば、他のお薬に変更します。

 

まとめ