非定型抗精神病薬の作用機序と種類

アイコン 2015.3.28 抗精神病薬のまとめ

ドパミンを抑える薬が統合失調症に効果がありましたが、次第に陰性症状への効果は乏しいことがわかってきました。また、ガッツリドパミンを抑えてしまうので、副作用も強くみられました。これらを受けて改良されたのが非定型抗精神病薬です。

ここでは、非定型抗精神病薬について考えていきたいと思います。

 

1.定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の違い

陰性症状にも効果があり、錐体外路症状や高プロラクチン血症の副作用も軽減されます。

ドパミン受容体のみを強力にブロックする定型抗精神病薬は、統合失調症の陽性症状には効果があります。ですが中脳皮質系のドパミンを増加させることができないので、陰性症状には効果が乏しいです。また効果が強い裏返しとして、副作用が強いです。錐体外路症状や高プロラクチン血症などが多く認められます。

これに対して、ほとんどの非定型抗精神病薬にはセロトニン2受容体を阻害する作用が備わっています。この作用により、2つのメリットがあります。

1つ目は、セロトニンはドパミンの分泌を抑制していますので、この働きを邪魔することでドパミンが分泌されるようになります。中脳皮質系においてドパミンが増加して、陰性症状への効果が期待できるのです。

2つ目は、ドパミンの遮断作用が緩やかになります。黒質線条体経路のドパミン量も増えるので、錐体外路症状も起こりにくくなります。このため、治療域となる薬の幅が広がります。

抗精神病薬の適切な投与量はどの程度でしょうか?グラフにして考えてみましょう。

 

2.セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)

非定型抗精神病薬の代表的なもので、ドパミンだけでなくセロトニンも遮断します。

非定型抗精神病薬としてはじめて開発されたのが、セロトニン・ドパミン拮抗薬です。この名称どおりドパミンを遮断する作用だけでなく、セロトニン2A受容体の遮断作用を併せ持っています。セロトニン神経はドパミン神経を抑制する働きをもっています。ですから、セロトニン2A受容体をブロックすることで抑制が解除され、間接的にドパミンを増やします。

このため、中脳辺縁系のドパミンを抑えることで陽性症状を改善していきます。さらに中脳皮質系のドパミンが増加して、統合失調症の陰性症状まで改善させることができます。また、黒質線条体経路のドパミンを増やすので、錐体外路症状や高プロラクチン血症が和らぎます。

このような薬を、セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)と呼びます。ほとんどの非定型抗精神病薬は、ドパミンよりもセロトニンに対してしっかりと結合して効果が発揮されるようにできています。ロナセンでは、ドパミンにしっかりと結合するように作られていて、ドパミン・セロトニン拮抗薬(DSA)と呼ばれたりします。

 

<セロトニン・ドパミン拮抗薬SDA>

 

3.多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)

いろいろな受容体に作用することで、幅広い効果があります。

多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)とは、ドパミン受容体やセロトニン受容体に加えて、その他多くの脳内受容体の働きをブロックする薬物です。作用する受容体には、D2受容体や5-HT2A受容体に加えて、アドレナリンα1受容体、ヒスタミン1受容体、アセチルコリン受容体などがあります。

このように多くの受容体に作用するため、効果に幅があります。気分安定化作用が認められるので、双極性障害(躁うつ病)の治療薬として用いられることもあります。抑うつ、不安、衝動的な行動を抑える効果があるので、さまざまな病気で使われています。

 

<多元受容体標的化抗精神病薬MARTA>

 

4.ドパミン受容体部分作動薬(DSS)

脳内のドパミンの量が多くても少なくても、ドパミンが適切に働くように意識された薬です。

エビリファイはどのように作用するのでしょうあ?図でみてみましょう。

統合失調症の症状は、脳内のドパミン量の過剰が問題になる陽性症状と、ドパミンの不足が問題になる陰性症状が混在しています。そこで開発されたのが、部分作動薬といってドパミンをほどほどにブロックする薬です。この薬がドパミン受容体にくっつくと、本来よりも少ない力で作用するようにできています。

統合失調症の陽性症状が表れる急性期ではドパミンが過剰になっています。このため薬が受容体にくっつくことで、過剰のドパミンが働かないようにします。しかし急性期が過ぎた後に目立つ陰性症状では、中脳皮質系でドパミン量が減少していきます。すると、この薬はある程度の作用はするので、多少なりともドパミンを増加させるように働きます。

このように、症状の経過によってドパミンが適切に働くので、ドパミンシステムスタビライザー(DSS)という、カッコいい名称がつけられています。ドパミン関連の副作用も軽減されます。

 

<ドパミン受容体部分作動薬DSS>

 

まとめ

非定型抗精神病薬は、陰性症状にも効果があり、錐体外路症状や高プロラクチン血症の副作用も軽減されます。

セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)は、非定型抗精神病薬の代表的なもので、ドパミンだけでなくセロトニンも遮断します。

多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)は、いろいろな受容体に作用することで、幅広い効果があります。

ドパミン受容体部分作動薬(DSS)は、脳内のドパミンの量が多くても少なくても、ドパミンが適切に働くように意識された薬です。

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