リスペリドン錠の効果と特徴

アイコン 2015.10.26 リスパダール

リスペリドン錠は、1996年に発売された第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)リスパダールのジェネリックです。

おもに統合失調症の治療に使われますが、興奮を落ち着かせる鎮静作用があるため、さまざまな場面で使われているお薬です。

リスペリドン錠は、古くからある定型抗精神病薬を改良してつくられたお薬です。副作用が軽減されて統合失調症の陰性症状にも効果が期待できます。効果はとても安定していて、現在もジプレキサやエビリファイと並んでよく使われている抗精神病薬です。

ここでは、リスペリドン錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.リスペリドンの作用の仕組み(作用機序)

ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を遮断することでドパミンの働きを整えます。幻覚や妄想などの「陽性症状」と意欲減退や感情鈍麻などの「陰性症状」を両方改善していきます。

統合失調症では、脳内のドパミンに異常があることが分かっています。

ドパミンが過剰に分泌されると、陽性症状とよばれる幻覚や妄想などが起こります。脳の中でも「中脳辺縁系」と呼ばれる部分で、ドパミンが過剰になっています。

一方で「中脳皮質系」という脳の部分では、ドパミン分泌が落ちています。やる気が起こらない、集中できないなどの陰性症状は、このドパミンの減少が原因となって生じます。

 

統合失調症の目立つ症状は幻覚や妄想といった陽性症状ですから、まずはドパミンをブロックするお薬が開発されました。確かにドパミンをブロックしてしまえば陽性症状は改善が期待できますが、陰性症状には効果が期待できませんね。

そこで注目されたのが、中脳辺縁系以外でドパミンを抑制する働きをする「セロトニン」という物質です。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外のドパミンの量を増やすことができます。

ですから、ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を同時にブロックしてしまえば、陽性症状と陰性症状への効果を両立させることができますね。こうして作られたのがリスペリドンです。その作用の特徴から、セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)といわれています。

 

2.リスペリドンの効果と特徴

まずは、リスペリドンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

リスペリドンの効果は、ドパミンとセロトニンに対する作用によってもたらされます。

リスペリドンでは、「D2遮断作用<セロトニン2A遮断作用」となっています。

 

リスペリドンは、他の受容体にも作用してしまいます。ほとんどが副作用となってしまいます。

これらをふまえて、リスペリドンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

2-1.リスペリドンのメリット

リスペリドンの特徴は、その強力なドパミンD受容体遮断作用です。リスペリドンはドパミン受容体に強力に結合して、その効果は持続します。このため、幻覚や妄想などの陽性症状に対して確実な効果が期待できます。

それだけでなく、気持ちの高ぶりが抑える鎮静効果がある程度期待できます。興奮や衝動性が高まっているときに使うと、落ち着かせることができます。このため、統合失調症以外にもいろいろな病気で使われています。

また、セロトニン2A受容体遮断作用があるので、陰性症状にも効果が期待できます。セロトニン2A受容体遮断作用は睡眠を深くする効果があるので、熟眠効果を期待して使われることもあります。

 

リスペリドンは古くから発売されているお薬です。非定型抗精神病薬としてはじめて発売されたお薬ですので、世界中でたくさん使われているお薬です。このため、現場のニーズにあわせて豊富な剤形が発売されています。錠剤、口腔内崩壊錠、内用液などが発売されていて、ジェネリックもすでに発売されています。

さらには、リスペリドンの有効成分だけを抽出して効果の持続時間を長くしたインヴェガというお薬も発売されています。また、1度注射をすればしばらく効果が続く、持続性注射剤も発売されています。2週間に1回のリスペリドンコンスタ、4週間に1回のゼプリオンなどが発売されています。

リスペリドンの副作用について詳しく知りたい方は、「リスペリドンの副作用(対策と比較)」をお読みください。

 

2-2.リスペリドンのデメリット

リスペリドンの特徴は、良くも悪くもドパミンD受容体遮断作用が強いことです。

このため、錐体外路症状が多くみられます。錐体外路症状とは、運動の調節をしている黒質線条体でのドパミンが足りなくなる作用で、パーキンソン病に似た症状がでてきます。具体的には、ふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、ソワソワ感(アカシジア)、眼球上転や筋肉の異常な収縮(急性ジストニア)などがあります。

また、リスペリドンには高プロラクチン血症が多くみられます。本来は授乳中に上昇するホルモンのプロラクチンが上昇してしまいます。プロラクチンの分泌を抑制しているドパミンが足りなくなるために認められ、乳汁分泌や生理不順、性欲低下や性機能障害などの症状がみられます。

陰性症状の改善効果も期待できるのですが、非定型抗精神病薬の中では効果が弱いです。ドパミン遮断作用が強すぎるので、セロトニン2A遮断作用を上回ってしまいます。

 

その他の副作用としては、抗α1作用によるものが目立ちます。抗α1作用は血管の調節に関係しているので、めまいや立ちくらみ(起立性低血圧)、射精障害などがやや多いです。

セロトニン2C受容体遮断作用やヒスタミン1受容体遮断作用は弱いものの、食欲は増加していきます。また、非定型抗精神病薬は代謝を抑制する作用がありますので、体重増加の副作用はやや多いです。

 

3.リスペリドンの作用時間と使い方

リスペリドンは最高血中濃度到達時間が1.1~3.3時間、半減期が4~21時間の非定型抗精神病薬です。外来では1~2mgから、入院では3~4mgから使われることが多いです。最大12mgまで使えます。

リスペリドンを服用すると、1.1時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、4時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

リスペリドンは体内で分解されて、パリペリドンに変化します。このパリペリドンにも効果があるので、活性代謝産物と呼ばれています。これだけを取り出したものがインヴェガというお薬となっています。パリペリドンはリスペリドンとほぼ同等の効果があり、リスペリドンの効果の中心はパリペリドンにあります。

活性代謝産物のパリペリドンは、最高血中濃度が3.3時間、半減期が21時間となっています。このため、リスペリドンでは、「最高血中濃度到達時間時間1.1~3.3・半減期4~21時間」といえます。

 

このため、1日1回の服用でも効果は期待できるお薬です。実際には副作用を避けるために、1日2~3回に分けて服用することが多いです。外来では1~2mgから、入院では3~4mgから使われることが多いです。6mgを超えてくると錐体外路症状が増えてきますので、アキネトンなどの予防薬を併用することも多いです。最大12mgまで使えるお薬です。

小児に対しては、体重によってリスペリドンの用量がわかれています。

体重15~20kgの患者さんでは、0.25mgから開始して1mgまでとなっています。体重20kg以上の患者さんでは、0.5mgから開始していきます。体重45kg未満では2.5mgまで、体重45kg以上では3mgまでとなっています。

高齢者でも薬が身体に残りやすいので、小児と同じように少量から使っていきます。

 

4.リスペリドンとその他の抗精神病薬の比較

リスペリドンは、ドパミンとセロトニン遮断作用が強く、α1遮断作用も目立ちます。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

代表的な抗精神病薬の作用を比較して、それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

まずは、第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

リスペリドンは、非定型抗精神病薬のSDAに分類されます。ドパミンとセロトニン遮断作用が強く、α1遮断作用も目立ちます。

 

5.リスペリドンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

リスペリドンは、統合失調症ではファーストラインで使われるお薬のひとつです。特に急性期で、幻覚や妄想などの陽性症状が激しい時に効果が期待できます。陽性症状に対する効果では、定型抗精神病薬のセレネースよりも高い有効性が示されています。これは、非定型抗精神病薬の中でもリスペリドンだけです。

また2016年より、自閉症性障害の易刺激性に対しても適応が認められました。すでにアメリカでは適応が認められています。リスペリドンには穏やかな鎮静作用があるので、興奮を鎮めてくれるのです。

リスペリドンはこれ以外にも、いろいろな目的で使われることがあります。

 

6.リスペリドンが向いている人とは?

リスペリドンの特徴は、良くも悪くもドパミン遮断作用が強いお薬でしたね。この特徴を踏まえて、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

リスペリドンはドパミンを強力にブロックするので、幻覚や妄想などの陽性症状に対する効果が優れています。このため、急性期の統合失調症の患者さんにはよく効くお薬です。

一方で、意欲減退や感情鈍麻などの陰性症状が中心の方では、ジプレキサ・セロクエル・エビリファイ・ルーランなどの他のお薬の方が向いています。

効果の安定感としてみると、非定型抗精神病薬の中では一番です。確実な効果を期待したい方は、リスペリドンは良いお薬と言えます。

 

リスペリドンのもう一つのメリットは、その剤形の豊富さです。古くから発売されているので、いろいろな剤形が発売されています。ジェネリック医薬品も発売されていて、薬価も抑えられています。

リスペリドンOD錠という、水なしで飲める口腔内崩壊錠も発売されています。毎日飲むお薬ですから、飲みやすさも大切です。このようなタイプのお薬は、リスペリドン・ジプレキサ・エビリファイで発売されています。

さらに特筆すべきこととしては、リスペリドンでは持続性注射剤リスペリドンコンスタが発売されています。2週間に1回の筋肉注射だけすれば、お薬の効果が持続します。飲み忘れが多い方や副作用で困っている方には、持続注射剤が向いています。まずはリスペリドンで効果を確かめてから、このような注射剤を使っていきます。

 

まとめ

リスペリドンの作用の特徴は、良くも悪くもドパミン遮断作用が強いお薬です。

ドパミンD受容体遮断作用とセロトニン2A受容体遮断作用の両方があります。

リスペリドンのメリットとしては、

リスペリドンのデメリットとしては、

リスペリドンが向いている方は、