オーラップ錠(ピモジド)の効果と副作用

アイコン 2016.1.1 その他の抗精神病薬

オーラップ錠(ピモジド)は、1974年に発売された第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)です。鎮静作用が弱く、当時としては数少ない自発性を高めるお薬でした。このため統合失調症よりも、自閉症の患者さんに使われることが多いです。

現在では、改良された第二世代抗精神病薬が使われることが多くなり、オーラップ錠が使われることも少なくなってきました。

ここでは、オーラップ錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.オーラップの効果と特徴

まずは、オーラップの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

オーラップの効果の特徴は、「ドパミンにしぼって強力にブロックすること」です。

オーラップでは、「D遮断作用>>セロトニン2A遮断作用」となっています。

 

オーラップは、他の受容体にも作用します。これらは、副作用の原因となってしまいます。

これらをふまえて、オーラップの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

1-1.オーラップのメリット

オーラップの特徴は、その強力なドパミンD受容体遮断作用です。ですから、幻覚や妄想などの陽性症状に対して確実な効果が期待できます。また、衝動性や攻撃性を抑える効果も期待できます。

副作用としては、ドパミン以外の受容体にはあまり作用しないので、眠気や体重増加の副作用は少ないです。このため薬によって抑え込まれることがなく、引きこもっている自閉症の患者さんの自発性を高めることが期待できます。このようなお薬のため、賦活系とよばれています。

また、オーラップは作用時間が長いです。このため、1日1回の服用でも効果が持続します。

 

1-2.オーラップのデメリット

オーラップの特徴は、良くも悪くもドパミンD受容体遮断作用が強いことです。

このため、錐体外路症状が多くみられます。錐体外路症状とは、運動の調節をしている黒質線条体でのドパミンが足りなくなる作用で、パーキンソン病に似た症状がでてきます。具体的には、ふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、ソワソワ感(アカシジア)、眼球上転や筋肉の異常な収縮(急性ジストニア)などがあります。

また、高プロラクチン血症も認められます。本来は授乳中に上昇するホルモンのプロラクチンが上昇してしまいます。プロラクチンの分泌を抑制しているドパミンが足りなくなるために認められ、乳汁分泌や生理不順、性欲低下や性機能障害などの症状がみられます。

オーラップは、ドパミンとセロトニン以外にはほとんど作用しないお薬です。これは良い面でもあり、悪い面でもあります。眠気が少ないお薬なので、鎮静作用が弱いです。興奮が強い患者さんには向きません。

 

オーラップで最も気を付けなければいけないことは、不整脈を引き起こしやすいことです。QT延長を起こすことが多く、ほっておくと心室性不整脈(心室頻拍や心室細動)から死に至る危険性もあります。定期的に心電図をチェックしなければいけません。

それ以外にも、第二世代抗精神病薬に比べると、重篤な副作用が起こるリスクが高いです。オーラップでは悪性症候群が認められることがあります。発熱や自律神経症状とともに、筋肉が固まったり、話づらくなるといった神経症状が認められます。死に至ることもあるので、注意が必要です。

また、長くオーラップを使っていると、遅発性ジスキネジアという不随意運動(勝手に身体の一部が動いてしまうこと)が起こりやすくなってしまいます。

 

このように重篤な副作用のリスクが高いので、オーラップでは薬の相互作用にも注意しなければいけません。CYP3A4とよばれる肝臓の酵素を阻害するお薬は併用ができません。よく使う薬としては、クラリスやエリスロシンなどの抗生物質があります。

それ以外にも、パキシル、デプロメール/ルボックス、ジェイゾロフト、レクサプロといった日本で発売されている抗うつ剤のSSRIはすべて併用ができません。併用するとオーラップの血中濃度が上昇するだけでなく、これらの抗うつ剤も不整脈を起こしやすくするためです。

 

2.オーラップの作用時間と使い方

オーラップは最高血中濃度到達時間が2.1時間、半減期が22.7時間の定型抗精神病薬です。1~3mgから使われることが多いです。統合失調症では最大9mgまで、自閉症では6mgまで使うことができます。

オーラップを服用すると、2.1時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、22.7時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

このためオーラップは、1日1回の服用で効果が持続します。添付文章では、オーラップは1日1回朝の投与を基本として、必要に応じて2~3回に分割することとなっています。

1~3mgから始めることが多いです。統合失調症では最大で9mgまで、自閉症では6mgまで使うことができます。オーラップは錠剤として、1mg、3mgの2剤形発売されています。細粒も発売されています。

オーラップの力価は、セレネースの半分になります。セレネース1mg=オーラップ2mgとなります。

 

3.オーラップとその他の抗精神病薬の比較

オーラップは、シンプルにドパミンを遮断するお薬です。その他の作用は、ほとんどありません。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

この表に当てはめると、オーラップでは左から順に(++++,++,++,-,-,-)となります。これを踏まえて、代表的な抗精神病薬の作用を比較してみます。それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

まずは、第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

オーラップは、セレネースと同じタイプの定型抗精神病薬です。セレネースよりも作用時間が長く、よりドパミンに対する選択性が強いお薬です。このため、ドパミンだけに強力に作用し、副作用が軽減されています。

そうはいっても、大まかな特徴はセレネースとかわりません。幻覚や妄想の改善効果が大きいのですが、錐体外路症状や高プロラクチン血症といったドパミン関連の副作用が多くなってしまいます。

その他の作用はほとんどなく、眠気や体重増加といった副作用は全体的に少ないです。気持ちを落ち着ける鎮静作用は、あまり期待できないお薬です。

 

4.オーラップの副作用とは?

オーラップは、第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)に分類されます。第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)と比較すると、副作用は全体的に多いです。

第二世代では、ドパミン遮断作用による副作用が大きく軽減されています。具体的にいうと、

といった症状です。また、第二世代と比べると、重篤であったり難治な副作用が起こるリスクは高くなります。

このような副作用が起こるリスクが高いと言われているので、注意が必要です。オーラップは心電図のQT時間を延長させて、危険な不整脈を起こしやすくなるので注意が必要です。

 

それでは、新しい薬がすべて良いのかというと、そんなことはありません。

第一世代の定型抗精神病薬は、第二世代の非定型抗精神病薬よりも代謝への悪影響がありません。この違いはよくわかっていませんが、非定型抗精神病薬には体重増加や糖尿病、脂質異常症などがよく認められます。このため、定期的に採血をして確認していかなければいけません。

オーラップはシンプルにドパミンに作用するように作られたお薬です。このため、体重増加や便秘といった副作用は少ないです。

 

5.オーラップの適応疾患とは?

<適応>

オーラップは、かつては統合失調症治療でも使われていました。幻覚や妄想などの陽性症状を改善する効果が大きく、鎮静作用が少ないお薬でした。このため、鎮静作用のあるお薬と併用して使われていました。

現在は、陰性症状にも効果が期待でき、副作用も軽減されている第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)が使われることが多いです。オーラップは重大な副作用の多さと相互作用の複雑さがあり、統合失調症治療薬としては使われなくなってきました。

 

現在でも使われることがあるのは、自閉症の患者さんに対してです。添付文章では、以下の症状に効果が期待できるとしています。

ドパミンは衝動性や攻撃性などと関係していると考えられています。このため、強力にドパミンをブロックするオーラップによって、これらの症状を緩和できることがあります。

オーラップは鎮静作用が少ないので、日常生活への影響が少ないです。このため、引きこもっていて自分の世界で過ごしている患者さんにオーラップを使うと、感情やこだわりが和らいで自発性がでてくることがあります。

現在はこれらの目的でも、第二世代抗精神病薬が使われることが多くなってきています。

 

6.オーラップが向いている人とは?

オーラップをはじめとした第一世代抗精神病薬は、現在では特別な状況がない限り、はじめに使われることはありません。とくにオーラップは重篤な副作用の多さと相互作用の複雑さがあり、統合失調症の治療薬として使われることはめっきり減りました。

昔だったらオーラップが使われていた患者さんは、第二世代抗精神病薬のSDA(リスパダール・インヴェガ・ロナセン・ルーラン)が使われています。

 

オーラップが現在使われるのは、そのほとんどが自閉症性障害の患者さんに対してです。オーラップを使い慣れているベテランの先生は、現在でも処方されています。

また、オーラップを昔から使っている患者さんもたまにいらっしゃいます。オーラップで安定しているならば、無理に変更しないで使い続けることがあります。

 

7.一般名と商品名とは?

一般名:ピモジド 商品名:オーラップ

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「ピモジド(pimozide」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「オーラップ(orap)」は、製造元であるアステラス製薬が独自でつけた名前です。

オーラップではジェネックは発売されていません。

 

まとめ

オーラップの効果の特徴は、「ドパミンにしぼって強力にブロックすること」です。

オーラップでは、「D遮断作用>>セロトニン2A遮断作用」となっています。

オーラップのメリットとしては、

オーラップのデメリットとしては、

オーラップが向いている方は、

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