ロシゾピロン錠の効果と副作用

アイコン 2015.12.9 その他の抗精神病薬

ロシゾピロン錠は、1982年に発売された第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)ロドピン錠のジェネリックです。10年ほどたった1995年に発売となりました。おもに統合失調症の治療に使われますが、興奮を落ち着かせる鎮静作用が強いため、双極性障害の躁症状にも使われています。

ロシゾピロン錠は古くからあるお薬ですが、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に近い特徴があります。従来のお薬に比べて、ドパミンを過剰にブロックしすぎたことによる副作用が軽減されています。

ここでは、ロシゾピロン錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.ロシゾピロンの作用の仕組み(作用機序)

ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を遮断することで、ドパミンの働きを整えます。

統合失調症では、脳内のドパミンに異常があることが分かっています。

ドパミンが過剰に分泌されると、陽性症状とよばれる幻覚や妄想などが起こります。脳の中でも「中脳辺縁系」と呼ばれる部分で、ドパミンが過剰になっています。

一方で「中脳皮質系」という脳の部分では、ドパミン分泌が落ちています。やる気が起こらない、集中できないなどの陰性症状は、このドパミンの減少が原因となって生じます。

 

統合失調症の目立つ症状は幻覚や妄想といった陽性症状ですから、まずはドパミンをブロックするお薬が開発されました。確かにドパミンをブロックしてしまえば陽性症状は改善が期待できますが、陰性症状には効果が期待できませんね。

そこで注目されたのが、中脳辺縁系以外でドパミンを抑制する働きをする「セロトニン」という物質です。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外のドパミンの量を増やすことができます。

ですから、ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を同時にブロックしてしまえば、陽性症状と陰性症状への効果を両立させることができますね。このような特徴をもつ抗精神病薬を、セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)といいます。

ロシゾピロンでは、ドパミンだけでなくセロトニン遮断作用も強いです。このためアメリカでは、SDAに分類されています。

 

2.ロシゾピロンの効果と特徴

まずは、ロシゾピロンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

ロシゾピロンの効果は、ドパミンとセロトニンに対する作用によってもたらされます。

ロシゾピロンでは、「D2遮断作用≒セロトニン2A遮断作用」となっています。

 

抗精神病薬は、他の受容体にも作用してしまいます。ほとんどが副作用となってしまいます。

これらをふまえて、ロシゾピロンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

2-1.ロシゾピロンのメリット

ロシゾピロンはドパミン受容体に強力に遮断します。このため幻覚や妄想などの陽性症状に対して、しっかりとした効果が期待できます。

それだけでなく、ロシゾピロンは気持ちの高ぶりが抑える鎮静効果が強いです。興奮や衝動性が高まっているときに使うと、落ち着かせることができます。このため、双極性障害での躁症状などに使われることが多いです。

また、セロトニン2A受容体遮断作用があるので、陰性症状や認知機能障害にも多少の効果が期待できます。セロトニン2A受容体遮断作用は睡眠を深くする効果があるので、熟眠効果も期待できます。

ロシゾピロンは、D受容体遮断作用だけでなくセロトニン2A受容体遮断作用が強いお薬です。このため、定型抗精神病薬にしては、ドパミン不足による副作用が少ないです。具体的には、錐体外路症状と高プロラクチン血症が認められます。

錐体外路症状とは、運動の調節をしている黒質線条体でのドパミンが足りなくなる作用で、パーキンソン病に似た症状 がでてきます。具体的には、ふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、ソワソワ感(アカシジア)、眼球上転や筋肉の異常な収縮(急性ジストニア)などがあ ります。

高プロラクチン血症とは、本来は授乳中に上昇するホルモンのプロラクチンが上昇してしまうことです。プロラクチンの分泌を抑制しているドパミンが足りなくなるために認められ、乳汁分泌や生理不順、性欲低下や性機能障害などの症状がみられます。

ロシゾピロンでは、錐体外路症状は軽減したとはいえ認められますが、高プロラクチン血症は少ないです。

 

2-2.ロシゾピロンのデメリット

ロシゾピロンの特徴は、その鎮静作用の強さです。抗α1作用が強く、その他の受容体の効果もあわさって、気持ちを鎮める効果が強いです。

このことは、副作用として眠気やふらつきが多いことに繋がってしまいます。また、抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用により食欲は増加し、体重増加が多いお薬となっています。

このように鎮静作用が強いと、認知機能が低下してしまったり、日常生活に影響が出てしまいます。このため、統合失調症の陰性症状や認知機能改善効果が弱いです。

 

3.ロシゾピロンの作用時間と使い方

ロシゾピロンは最高血中濃度到達時間が2.0時間、半減期が13.0時間の定型抗精神病薬です。外来では12.5~25mgから、入院では50~75mgから使われることが多いです。最大450mgまで使えます。

ロシゾピロンを服用すると、2.0時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、13.0時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

このため1日効果を持続させるには、1日2回以上の服用が必要になるお薬です。効果はすぐに出てくるので、即効性が期待できます。

鎮静作用が強いお薬なので、外来では12.5~25mgから使うことが多いです。入院では75~150mgから使われることが多いです。最大450mgまで使えるお薬です。

 

4.ロシゾピロンとその他の抗精神病薬の比較

ロシゾピロンは、ドパミンとセロトニン遮断作用が強いです。α1遮断作用も目立ちます。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

この表に当てはめると、ロシゾピロンでは左から順に(++++,++++,++,+++,+,+)となります。これを踏まえて、代表的な抗精神病薬の作用を比較してみます。それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

まずは、第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

ロシゾピロンは、定型抗精神病薬に分類されます。定型抗精神病薬の中では非定型抗精神病薬に近いお薬で、ドパミンだけでなくセロトニン遮断作用が強いです。また、α1遮断作用も目立ちます。

 

5.ロシゾピロンの副作用とは?

第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)は、第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)と比較すると、副作用は全体的に軽減されています。

といった副作用は大きく軽減されています。ロシゾピロンは第二世代に近い作用をするので、これらの副作用は第一世代の中では軽減されています。

しかしながら定型抗精神病薬よりも、代謝への悪影響が多くなってしまいました。この原因はよくわかっていませんが、体重増加や糖尿病、脂質異常症などがよく認められます。このため、定期的に採血をして確認していかなければいけません。ロシゾピロンも代謝抑制作用が強いです。

 

その他の受容体としては、抗α1作用が強いです。抗α1作用は血管の調節に関係しているので、めまいや立ちくらみ(起立性低血圧)、射精障害などがやや多いです。また、様々な作用があわさって、眠気が強いお薬です。

 

5.ロシゾピロンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

ロシゾピロンは、統合失調症治療薬として適応が認められています。ロシゾピロンの特徴は、強い鎮静作用にあります。このため、幻覚や妄想などの陽性症状が強く、興奮が強い時に効果が期待できます。

 

適応外にはなりますが、双極性障害の躁症状にもよく使われています。躁症状には、大きく2つの作用が関係していると考えられています。

躁症状がみられるときは、中脳辺縁系という部分でドパミンの過活動が起こっていると言われています。統合失調症に近しい状態とも考えられます。ですから、ロシゾピロンによってドパミンをブロックすることで効果が期待できます。

また、ロシゾピロンは抗α1作用が強く、抗ヒスタミン作用や抗コリン作用も認めます。このため、鎮静作用が強いお薬です。躁症状はエネルギーが病的に高まっている状態ですので、ロシゾピロンで気分の高ぶりを鎮めることができます。時に気分を抑え込みすぎてしまってうつ状態になってしまうことがあります。

 

6.ロシゾピロンが向いている人とは?

ロシゾピロンの特徴は、鎮静作用の強いお薬でした。このため、ロシゾピロンが使われるのは興奮が強い方に対してです。

これは、統合失調症でも双極性障害でも共通しています。統合失調症では、幻覚や妄想に左右されて興奮が強くなることがあります。双極性障害でも、躁症状は気分が病的に高まっています。このような時には、ロシゾピロンが向いています。

他の抗精神病薬で効果が不十分で、もう少し気分を落ち着けた方がよい時に使われることもあります。

 

7.一般名と商品名とは?

一般名:ゾテピン 商品名:ロシゾピロン・ロドピン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「ゾテピン(zotepine」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「ロドピン(lodpin)」は、製造元であるアステラス製薬が独自でつけた名前です。「ロシゾピロン(losizopilon)」は、田辺三菱製薬によって名付けられました。

ロシゾピロン錠は、ロドピン錠のジェネリックとして発売されました。これにより薬価は、3割近くまで落ちました。ロシゾピロン錠以外にも、セトウス錠やメジャピン錠などが発売されていました。

最近では、いろいろな名前のジェネリックがあると紛らわしいので、「一般名+会社名」と名称変更されつつあります。平成26年12月、メジャピン錠はゾテピン錠「アメル」に名称変更されました。

 

まとめ

ロシゾピロンの作用の特徴は、鎮静作用の強い抗精神病薬です。

ドパミンD受容体遮断作用とセロトニン2A受容体遮断作用の両方があります。

ロシゾピロンのメリットとしては、

ロシゾピロンのデメリットとしては、

ロシゾピロンが向いている方は、

興奮が強い方

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