フルメジン糖衣錠(フルフェナジン)の効果と副作用

アイコン 2015.12.30 その他の抗精神病薬

フルメジン糖衣錠(フルフェナジン)は、1960年に発売された古くからある第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)です。同じ抗精神病薬のコントミンを改良し、抗幻覚・妄想作用が強くなっています。「フェノチアジン系(コントミン系)のハロペリドール(セレネース)」ともいわれています。

現在では第二世代抗精神病薬が使われることが多くなり、フルメジン糖衣錠が使われることも少なくなってきました。ですが、持続性注射剤も発売されており、現在でも使っている方もいます。

ここでは、フルメジン糖衣錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.フルメジンの効果と特徴

まずは、フルメジンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

フルメジンの効果の特徴は、「ドパミンを強力にブロックすること」です。

フルメジンでは、「D遮断作用>>セロトニン2A遮断作用」となっています。

 

フルメジンは、他の受容体にも作用します。これらは、副作用の原因となってしまいます。

これらをふまえて、フルメジンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

1-1.フルメジンのメリット

フルメジンの特徴は、その強力なドパミンD受容体遮断作用です。ですから幻覚や妄想などの陽性症状に対して、しっかりとした効果が期待できます。第二世代抗精神病薬でも陽性症状がコントロールできない時に、使われることがあります。

副作用としては、ドパミン以外の受容体にはあまり作用しないので、眠気や体重増加の副作用は少ないです。α1受容体遮断作用が中程度認められるので、ふらつきや多少の眠気は認められます。

フルメジンは神経症にも、かつては適応が認められていました。いろいろなことに敏感になってしまって、妄想的な心配から不安や焦りがある時に使われていました。

フルメジンでは、フルデカシンという持続性注射剤が発売されています。1か月に1回の注射で効果が持続します。

 

1-2.フルメジンのデメリット

フルメジンの特徴は、良くも悪くもドパミンD受容体遮断作用が強いことです。

このため、錐体外路症状が多くみられます。錐体外路症状とは、運動の調節をしている黒質線条体でのドパミンが足りなくなる作用で、パーキンソン病に似た症状がでてきます。具体的には、ふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、ソワソワ感(アカシジア)、眼球上転や筋肉の異常な収縮(急性ジストニア)などがあります。

また、高プロラクチン血症も認められます。本来は授乳中に上昇するホルモンのプロラクチンが上昇してしまいます。プロラクチンの分泌を抑制しているドパミンが足りなくなるために認められ、乳汁分泌や生理不順、性欲低下や性機能障害などの症状がみられます。

 

フルメジンは、ドパミンとセロトニン以外への作用は少ないお薬です。これは良い面でもあり、悪い面でもあります。眠気が少ないお薬なので、鎮静作用が弱いです。興奮が強い患者さんには向きません。

また、必要なドパミンも強く抑え込まれてしまうため、統合失調症の陰性症状や認知機能障害に対する効果は乏しいです。あまりに強く効きすぎると、悪化することも多いです。

さらに、第二世代抗精神病薬に比べると、重篤な副作用が起こるリスクが高いです。もっとも注意しなければいけないものが、悪性症候群です。発熱や自律神経症状とともに、筋肉が固まったり、話づらくなるといった神経症状が認められます。死に至ることもあるので、注意が必要です。

その他にも、危険な不整脈が起こりやすいといわれていますが、これは第二世代抗精神病薬でも同程度のリスクがあるともいわれています。また、長くフルメジンを使っていると、遅発性ジスキネジアという不随意運動(勝手に身体の一部が動いてしまうこと)が起こりやすくなってしまいます。

 

2.フルメジンの作用時間と使い方

フルメジンは最高血中濃度到達時間が0.5時間、半減期が14.7時間の定型抗精神病薬です。統合失調症では1~₂mgから使われることが多いです。最大10mgまで使うことができます。

フルメジンを服用すると、0.5時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、14.7時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

このためフルメジンを1日中効果を持続させるためには、1日2回以上の服用が必要になります。添付文章では、フルメジンは1~10mgで使うこととされています。統合失調症の治療で使う時は、1~2mgから開始することが多いです。

現在はフルメジンから開始して治療していくことは少なく、第二世代抗精神病薬の効果が不十分なときに使われることが多いです。このため、少量ずつ追加していくことが多いです。

 

かつては、フルメジンは神経症にも保険適応が通っていました。この時は、0.25~₂mgの範囲で使われていました。このためフルメジンでは、小さな剤形が発売されています。フルメジンの錠剤としては、0.25mg、0.5mg、1mgの3剤形発売されています。0.2%散剤も発売されています。

フルメジンは、ちょうどセレネースと同じくらいの力価になります。つまり、セレネース1mg=フルメジン1mgとなります。

 

3.フルメジンとその他の抗精神病薬の比較

フルメジンは、ドパミンを遮断する作用が強いお薬です。抗ヒスタミン作用と抗α1作用が多少認められます。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

この表に当てはめると、フルメジンでは左から順に(++++,++,++,++,++,-)となります。これを踏まえて、代表的な抗精神病薬の作用を比較してみます。それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

まずは、第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

フルメジンは、コントミンと同じタイプの定型抗精神病薬です。コントミンのように色々な受容体に作用するのですが、ドパミン受容体にだけ強力に作用します。このため、「フェノチアジン系のセレネース」とよばれています。

 

4.フルメジンの副作用とは?

フルメジンは、第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)に分類されます。第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)と比較すると、副作用は全体的に多いです。

第二世代では、ドパミン遮断作用による副作用が大きく軽減されています。具体的にいうと、

といった症状です。また、第二世代と比べると、重篤であったり難治な副作用が起こるリスクは高くなります。

このような副作用が起こるリスクが高いと言われているので、注意が必要です。

 

それでは、新しい薬がすべて良いのかというと、そんなことはありません。

第一世代の定型抗精神病薬は、第二世代の非定型抗精神病薬よりも代謝への悪影響がありません。この違いはよくわかっていませんが、非定型抗精神病薬には体重増加や糖尿病、脂質異常症などがよく認められます。このため、定期的に採血をして確認していかなければいけません。

また、フルメジンはドパミンにだけ強力に作用するように作られたお薬です。このため、体重増加や便秘といった副作用は少ないです。

 

5.フルメジンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

まずは、正式に添付文章に「適応」となっている病気についてみていきましょう。

フルメジンは、かつては統合失調症治療でよく使われていました。幻覚や妄想などの陽性症状を改善する効果が大きく、鎮静作用が少ないお薬でした。

現在は、陰性症状にも効果が期待でき、副作用も軽減されている第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に主役の座を譲っています。これらのお薬でも効果が不十分な時に、使われることがあります。

 

フルメジンは、かつては神経症に適応がみとめられていました。年月がたつにつれて神経症では使われなくなってきたので、見直しが行われて適応からはずれました。

神経症としては、いろいろなことに敏感になってしまって、妄想的な心配から不安や焦りがある時に使われていました。

 

6.フルメジンが向いている人とは?

フルメジンをはじめとした第一世代抗精神病薬は、はじめに使われることは稀です。まずは第二世代抗精神病薬が使われて、昔だったらフルメジンが使われていた患者さんはSDA(リスパダール・インヴェガ・ロナセン・ルーラン)が使われています。

 

フルメジンはドパミンを強力にブロックするので、幻覚や妄想などの陽性症状に対する効果が優れています。その効果は、第二世代抗精神病薬よりも強力なことが多いです。第二世代抗精神病薬を使っていても効果が不十分な時は、併用されることがあります。

フルメジンは持続性注射剤が発売されていることもあり、昔からフルメジンを使い続けている方もいます。それで安定しているならば、無理に新しい薬に変更しないことも多いです。

 

7.一般名と商品名とは?

一般名:フルフェナジン 商品名:フルメジン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「フルフェナジン(fluphenazine」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「フルメジン(flumezin)」は、製造元である田辺三菱がつけた名前です。

フルメジンにはジェネリックは発売されていません。古い薬なので、十分に薬価は安くなっています。

 

まとめ

フルメジンの効果の特徴は、「とくにドパミンを強力にブロックすること」です。

フルメジンでは、「D遮断作用>>セロトニン2A遮断作用」となっています。

フルメジンのメリットとしては、

フルメジンのデメリットとしては、

フルメジンが向いている方は、