レボトミン錠の効果と特徴

アイコン 2015.11.23 ヒルナミン・レボトミン

レボトミン錠は、1959年に発売された第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)です。ヒルナミン錠とは同一成分で、どちらも先発品になります。

統合失調症の治療薬として長らく使われてきましたが、いろいろな受容体に作用してしまうので副作用が多いのが難点でした。新しい第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)が発売されると、主剤としてつかわれることはめっきり減ってしまいました。

レボトミンは興奮を抑える鎮静作用が強いです。このため現在では、統合失調症に限らずいろいろな病気で補助薬として使われています。

ここでは、レボトミン錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.レボトミンの作用機序(作用の仕組み)

ドパミンD受容体以外にもさまざまな受容体に作用するので、レボトミンには鎮静作用があります。幻覚や妄想などの「陽性症状」を改善していく効果というよりは、興奮や衝動性を抑える効果が期待できます。

統合失調症では、脳内のドパミンに異常があることが分かっています。

ドパミンが過剰に分泌されると、陽性症状とよばれる幻覚や妄想などが起こります。脳の中でも「中脳辺縁系」と呼ばれる部分で、ドパミンが過剰になっています。

一方で「中脳皮質系」という脳の部分では、ドパミン分泌が落ちています。やる気が起こらない、集中できないなどの陰性症状は、このドパミンの減少が原因となって生じます。

 

幻覚や妄想といった陽性症状は目立つ症状ですから、まずはこれを改善するべくドパミンをブロックするお薬が開発されました。こうして作られたのが、第一世代抗精神病薬(定型抗精神病薬)のフェノチアジン系です。レボトミンは、フェノチアジン系の代表的なお薬です。

ドパミンをブロックするので陽性症状には効果が期待できますが、残念ながら陰性症状には効果が期待できません。さらにレボトミンは、古いお薬なのでいろいろな受容体に作用してしまいます。ムスカリン受容体・ヒスタミン受容体・アドレナリン受容体などをブロックしてしまいます。このため、眠気やふらつきなどを認め、鎮静作用が強いお薬です。

 

2.レボトミンの効果と特徴

まずは、レボトミンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

レボトミンの陽性症状や陰性症状に関係する効果は、ドパミンD遮断作用とセロトニン2A遮断作用によるものです。

レボトミンでは、「D遮断作用>セロトニン2A遮断作用」となっており、ドパミン遮断作用はそこまで強くありません。

レボトミンの効果の特徴は、「いろいろな受容体に作用する」です。このため副作用の多さに繋がりますが、興奮を抑える鎮静作用にもなります。

これらをふまえて、レボトミンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

2-1.レボトミンのメリット

レボトミンの特徴は、「いろいろな受容体に作用すること」です。このため、興奮を落ち着ける鎮静作用が強いです。統合失調症の患者さんに限らず、興奮・易怒性・焦り・衝動性が高まっている時に落ち着けてくれます。

レボトミンは鎮静作用が強いので、眠気も強いです。一般的な睡眠薬でも不眠がうまく改善できない時は、作用機序の違うレボトミンが効果的なことがあります。統合失調症の方の不眠の場合は、一般的な睡眠薬よりもレボトミンなどの抗精神病薬が効果的なことも多いです。レボトミンでは眠りが深くなるので、熟眠感も得られることが多いです。

また、ドパミンをブロックすると嘔吐中枢が抑制されることがわかっています。このため、レボトミンにも制吐作用が認められます。特に、不安などによる精神的な要因が大きいときには効果が期待できます。

 

副作用は全体的に多くなってしまいますが、ドパミン遮断作用による副作用はそこまで認められません。錐体外路症状(ソワソワ・筋肉のこわばり・ふるえ)や高プロラクチン血症(乳汁分泌・生理不順・性欲低下・性機能障害)は比較的少ないです。

また、レボトミンには筋肉注射ができるというメリットがあります。患者さんがお薬を飲めずに興奮している時には、レボトミンを筋注することで落ち着かせることができます。このように筋注ができる鎮静作用のあるお薬は少ないので、とても重宝します。

 

2-2.レボトミンのデメリット

統合失調症の治療では、ドパミンをしっかりとブロックする必要があります。レボトミンではいろいろな受容体に作用するので、幻覚や妄想を改善できる量まで使うと副作用が強くなってしまいます。このため、レボトミンでは抗幻覚・妄想作用が弱いです。

現在では、レボトミンを陽性症状をとるために主剤で使われることはありません。他の抗精神病薬と併用しながら、鎮静作用を期待して補助的に使われています。

ドパミン遮断作用が優位なので、中脳皮質でもドパミンが抑制されてしまって陰性症状の改善は期待できません。鎮静作用によって眠気も強く、認知機能もやや悪化させてしまいます。

 

いろいろな受容体に作用するため、副作用が全体的に多いです。眠気やふらつき、体重増加、便秘といった副作用が非常に多く認められます。

さらに、第二世代抗精神病薬に比べると、重篤な副作用が起こるリスクが高いです。もっとも注意しなければいけない副作用は、悪性症候群です。発熱や自律神経症状とともに、筋肉が固まったり、話づらくなるといった神経症状が認められます。死に至ることもあるので、注意が必要です。

その他にも、危険な不整脈が起こりやすいです。レボトミンの量が多くなってくると、心電図に異常が認められやすいです。時に心室性の不整脈がつながることがあり、死に至る可能性もあります。また、長くレボトミンを使っていると、遅発性ジスキネジアという不随意運動(勝手に身体の一部が動いてしまうこと)が起こりやすくなってしまいます。

レボトミンの副作用について詳しく知りたい方は、「レボトミンの副作用(対策と比較)」をお読みください。

 

3.レボトミンの作用時間と使い方

レボトミンは最高血中濃度到達時間が1~4時間、半減期が15~30時間の定型抗精神病薬です。頓服としては5mgから、常用薬としては25~75mgから使われることが多いです。最大量は200mgとなっています。

レボトミンを服用すると、1~4時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、15~30時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

添付文章では、25~200mgの範囲で適宜増減することとなっています。

レボトミンは頓服として使われることも、常用されることもあります。頓服としては、5mgから使われることが多く、効果の実感をみながら調整していきます。常用するときは、1日2~3回で使われることが多いです。用量としては、25~75mgから使われることが多いです。

レボトミンでは注射剤があります。1アンプル25mgを筋注することで、興奮を鎮めることができます。

 

4.レボトミンとその他の抗精神病薬の比較

レボトミンは、いろいろな受容体に作用するお薬です。他の抗精神病薬と比較しても、副作用が全体的に多いです。

レボトミンの作用は、コントミンに似ています。代表的な抗精神病薬の作用を比較して、それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

まずは第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

レボトミンは、コントミン系の定型抗精神病薬です。いろいろな受容体に作用があります。このため鎮静作用が強く、眠気やふらつきが認められやすいです。体重増加や便秘なども多いです。

このように副作用が目立ってしまうので、十分に薬を増やせないことも多く、幻覚や妄想の改善効果が乏しいです。

 

5.レボトミンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

まずは、正式に添付文章に「適応」となっている病気についてみていきましょう。

レボトミンは、かつては統合失調症治療の中心的なお薬でした。鎮静作用が強く、興奮が強い時にはよく使われていました。幻覚・妄想を抑える効果は弱く、現在は他の抗精神病薬の補助として鎮静目的に使われることが中心です。

躁状態の患者さんにも使われることがあります。躁状態にはドパミン過剰が関係しているといわれていて、活動的になってしまいます。かつてはレボトミンが使われていましたが、第二世代抗精神病を使うことが多くなっています。

うつ病の中には、不安や焦燥感が非常に強いことがあります。気持ちは焦っても身体がついてこない状況の時には、レボトミンなどの鎮静作用のある薬をまず使います。

 

レボトミンはこれ以外にも、適応外としていろいろな病気で使われています。多くの病気で興奮・易怒性・焦り・衝動性などが認められることがあります。これらを落ち着けるために、レボトミンが効果的です。

また、催眠効果も強いので、睡眠薬としても使われます。一般的な睡眠薬の効果が不十分な時は、他のタイプのお薬にした方が合理的です。このような時にレボトミンが使われることがあります。深い睡眠が増えるため、熟眠感も得られます。

さらに、制吐剤として使われることがあります。ドパミンがブロックされると、嘔吐中枢が抑制されます。レボトミンの効果が期待できるのは、とくに不安などの精神状態が大きく関係している悪心・嘔吐の時です。制吐剤としては、同じタイプのコントミンでは適応が正式に通っているので、こちらが使われることが多いです。

 

6.レボトミンが向いている人とは?

レボトミンをはじめとした第一世代抗精神病薬は、現在は主剤として初めから使われることはありません。まず第二世代抗精神病薬が使われて、レボトミンはそのサポートとして補助的につかわれることがほとんどです。

 

それでは、レボトミンが補助的に使われる状況とはどのようなものでしょうか?

レボトミンは鎮静作用が強いため、興奮が強い患者さんに使われることがあります。頓服として使われることもあれば、常用薬として使われることもあります。いま使っている抗精神病薬では鎮静が弱い方には、レボトミンを併用することがあります。

また、レボトミンは筋注ができるので、興奮が強くてお薬が飲めない方にも使うことができます。幻覚や妄想に左右されてしまうと、自分の病状が正しくわからずに興奮してお薬を飲めないことがあります。このような時に、半強制的に注射をすることもあります。気持ちが鎮まることで、少しずつ治療に取り組めるようになっていきます。

統合失調症に限らず、レボトミンは広く使われています。どのような病気でも、興奮・易怒性・焦り・衝動性などが認められることがあります。このような時に、レボトミンが使われることがあります。

躁病やうつ病などでも使われることがあります。レボトミンを使うと大人しくなるのですが子供っぽくなる傾向があります。自己管理能力が減ってしまうので、躁病にはあまり適さない印象があります。焦りが強いうつ病の方には、はじめにレボトミンを使うことで、落ち着いて休養ができるようになります。

また、催眠作用と制吐作用があるので、睡眠薬や制吐剤としても使われることがあります。

 

まとめ

レボトミンの効果の特徴は、「いろいろな受容体に作用すること」です。

レボトミンでは、「D遮断作用>セロトニン2A遮断作用」となっていますが、ドパミン遮断作用はそこまで強くありません。

レボトミンのメリットとしては、

レボトミンのデメリットとしては、

レボトミンが向いている方は、