レボメプロマジン錠の効果と副作用

アイコン 2016.8.6 ヒルナミン・レボトミン

レボメプロマジン錠は、1959年に発売された第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)のジェネリック医薬品になります。先発品としては、レボトミン・ヒルナミンとして発売されています。

統合失調症の治療薬として長らく使われてきましたが、いろいろな受容体に作用してしまうので副作用が多いのが難点でした。新しい第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)が発売されると、主剤としてつかわれることはめっきり減ってしまいました。

その一方でレボメプロマジンは、興奮を抑える鎮静作用が強いです。このため現在では、統合失調症に限らずいろいろな病気で補助薬として使われています。

ここでは、レボメプロマジン錠の効果と副作用を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.レボメプロマジンの効果と特徴

まずは、レボメプロマジンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

レボメプロマジンの陽性症状や陰性症状に関係する効果は、ドパミンD2遮断作用とセロトニン2A遮断作用によるものです。

レボメプロマジンでは、「D2遮断作用>セロトニン2A遮断作用」となっており、ドパミン遮断作用はそこまで強くありません。

レボメプロマジンの効果の特徴は、「いろいろな受容体に作用する」です。このため副作用の多さに繋がりますが、興奮を抑える鎮静作用にもなります。

これらをふまえて、レボメプロマジンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

1-1.レボメプロマジンのメリット

レボメプロマジンの特徴は、「いろいろな受容体に作用すること」です。このため、興奮を落ち着ける鎮静作用が強いです。統合失調症の患者さんに限らず、興奮・易怒性・焦り・衝動性が高まっている時に落ち着けてくれます。

レボメプロマジンは鎮静作用が強いので、眠気も強いです。一般的な睡眠薬でも不眠がうまく改善できない時は、作用機序の違うレボメプロマジンが効果的なことがあります。統合失調症の方の不眠の場合は、一般的な睡眠薬よりもレボメプロマジンなどの抗精神病薬が効果的なことも多いです。レボメプロマジンでは眠りが深くなるので、熟眠感も得られることが多いです。

また、ドパミンをブロックすると嘔吐中枢が抑制されることがわかっています。このため、レボメプロマジンにも制吐作用が認められます。特に、不安などによる精神的な要因が大きいときには効果が期待できます。

 

副作用は全体的に多くなってしまいますが、ドパミン遮断作用による副作用はそこまで認められません。錐体外路症状(ソワソワ・筋肉のこわばり・ふるえ)や高プロラクチン血症(乳汁分泌・生理不順・性欲低下・性機能障害)は比較的少ないです。

また、レボメプロマジンには筋肉注射ができるというメリットがあります。患者さんがお薬を飲めずに興奮している時には、レボメプロマジンを筋注することで落ち着かせることができます。このように筋注ができる鎮静作用のあるお薬は少ないので、とても重宝します。

 

1-2.レボメプロマジンのデメリット

統合失調症の治療では、ドパミンをしっかりとブロックする必要があります。レボメプロマジンではいろいろな受容体に作用するので、幻覚や妄想を改善できる量まで使うと副作用が強くなってしまいます。このため、レボメプロマジンでは抗幻覚・妄想作用が弱いです。

現在では、レボメプロマジンを陽性症状をとるために主剤で使われることはありません。他の抗精神病薬と併用しながら、鎮静作用を期待して補助的に使われています。

ドパミン遮断作用が優位なので、中脳皮質でもドパミンが抑制されてしまって陰性症状の改善は期待できません。鎮静作用によって眠気も強く、認知機能もやや悪化させてしまいます。

 

いろいろな受容体に作用するため、副作用が全体的に多いです。眠気やふらつき、体重増加、便秘といった副作用が非常に多く認められます。

さらに、第二世代抗精神病薬に比べると、重篤な副作用が起こるリスクが高いです。もっとも注意しなければいけない副作用は、悪性症候群です。発熱や自律神経症状とともに、筋肉が固まったり、話づらくなるといった神経症状が認められます。死に至ることもあるので、注意が必要です。

その他にも、危険な不整脈が起こりやすいです。レボメプロマジンの量が多くなってくると、心電図に異常が認められやすいです。時に心室性の不整脈がつながることがあり、死に至る可能性もあります。また、長くレボメプロマジンを使っていると、遅発性ジスキネジアという不随意運動(勝手に身体の一部が動いてしまうこと)が起こりやすくなってしまいます。

レボメプロマジンの副作用について詳しく知りたい方は、「レボメプロマジンの副作用(対策と比較)」をお読みください。

 

2.レボメプロマジンの作用時間と使い方

レボメプロマジンは最高血中濃度到達時間が1~4時間、半減期が15~30時間の定型抗精神病薬です。頓服としては5mgから、常用薬としては25~75mgから使われることが多いです。最大量は200mgとなっています。

レボメプロマジンを服用すると、1~4時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、15~30時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

添付文章では、25~200mgの範囲で適宜増減することとなっています。

レボメプロマジンは頓服として使われることも、常用されることもあります。頓服としては、5mgから使われることが多く、効果の実感をみながら調整していきます。常用するときは、1日2~3回で使われることが多いです。用量としては、25~75mgから使われることが多いです。

レボメプロマジンでは注射剤があります。1アンプル25mgを筋注することで、興奮を鎮めることができます。

 

3.レボメプロマジンとその他の抗精神病薬の比較

レボメプロマジンは、いろいろな受容体に作用するお薬です。他の抗精神病薬と比較しても、副作用が全体的に多いです。

レボメプロマジンの作用は、コントミンに似ています。代表的な抗精神病薬の作用を比較して、それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

まずは第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

レボメプロマジンは、コントミン系の定型抗精神病薬です。いろいろな受容体に作用があります。このため鎮静作用が強く、眠気やふらつきが認められやすいです。体重増加や便秘なども多いです。

このように副作用が目立ってしまうので、十分に薬を増やせないことも多く、幻覚や妄想の改善効果が乏しいです。

 

4.レボメプロマジンの副作用とは?

レボメプロマジンは、第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)に分類されます。第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)と比較すると、副作用は全体的に多いです。

第二世代では、ドパミン遮断作用による副作用が大きく軽減されています。具体的にいうと、

といった症状です。

また、第一世代では、重篤であったり難治な副作用が起こるリスクは高くなります。

このような副作用が起こるリスクが高いと言われているので、注意が必要です。

 

それでは、新しい薬がすべて良いのかというと、そんなことはありません。

第一世代の定型抗精神病薬は、第二世代の非定型抗精神病薬よりも代謝への悪影響がありません。この違いはよくわかっていませんが、非定型抗精神病薬には体重増加や糖尿病、脂質異常症などがよく認められます。このため、定期的に採血をして確認していかなければいけません。

レボメプロマジンは、いろいろな受容体に作用するお薬です。このため、第一世代の中でも副作用が全体的に多いお薬です。眠気やふらつき、体重増加や便秘といった副作用が目立ちます。その一方で、ドパミン不足による副作用は少ないです。このため、錐体外路症状や高プロラクチン血症はそこまで多くはありません。

 

5.レボメプロマジンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

まずは、正式に添付文章に「適応」となっている病気についてみていきましょう。

レボメプロマジンは、かつては統合失調症治療の中心的なお薬でした。鎮静作用が強く、興奮が強い時にはよく使われていました。幻覚・妄想を抑える効果は弱く、現在は他の抗精神病薬の補助として鎮静目的に使われることが中心です。

躁状態の患者さんにも使われることがあります。躁状態にはドパミン過剰が関係しているといわれていて、活動的になってしまいます。かつてはレボメプロマジンが使われていましたが、第二世代抗精神病を使うことが多くなっています。

うつ病の中には、不安や焦燥感が非常に強いことがあります。気持ちは焦っても身体がついてこない状況の時には、レボメプロマジンなどの鎮静作用のある薬をまず使います。

 

レボメプロマジンはこれ以外にも、適応外としていろいろな病気で使われています。多くの病気で興奮・易怒性・焦り・衝動性などが認められることがあります。これらを落ち着けるために、レボメプロマジンが効果的です。

また、催眠効果も強いので、睡眠薬としても使われます。一般的な睡眠薬の効果が不十分な時は、他のタイプのお薬にした方が合理的です。このような時にレボメプロマジンが使われることがあります。深い睡眠が増えるため、熟眠感も得られます。

さらに、制吐剤として使われることがあります。ドパミンがブロックされると、嘔吐中枢が抑制されます。レボメプロマジンの効果が期待できるのは、とくに不安などの精神状態が大きく関係している悪心・嘔吐の時です。制吐剤としては、同じタイプのコントミンでは適応が正式に通っているので、こちらが使われることが多いです。

 

6.レボメプロマジンが向いている人とは?

レボメプロマジンをはじめとした第一世代抗精神病薬は、現在は主剤として初めから使われることはありません。まず第二世代抗精神病薬が使われて、レボメプロマジンはそのサポートとして補助的につかわれることがほとんどです。

 

それでは、レボメプロマジンが補助的に使われる状況とはどのようなものでしょうか?

レボメプロマジンは鎮静作用が強いため、興奮が強い患者さんに使われることがあります。頓服として使われることもあれば、常用薬として使われることもあります。いま使っている抗精神病薬では鎮静が弱い方には、レボメプロマジンを併用することがあります。

また、レボメプロマジンは筋注ができるので、興奮が強くてお薬が飲めない方にも使うことができます。幻覚や妄想に左右されてしまうと、自分の病状が正しくわからずに興奮してお薬を飲めないことがあります。このような時に、半強制的に注射をすることもあります。気持ちが鎮まることで、少しずつ治療に取り組めるようになっていきます。

統合失調症に限らず、レボメプロマジンは広く使われています。どのような病気でも、興奮・易怒性・焦り・衝動性などが認められることがあります。このような時に、レボメプロマジンが使われることがあります。

躁病やうつ病などでも使われることがあります。レボメプロマジンを使うと大人しくなるのですが子供っぽくなる傾向があります。自己管理能力が減ってしまうので、躁病にはあまり適さない印象があります。焦りが強いうつ病の方には、はじめにレボメプロマジンを使うことで、落ち着いて休養ができるようになります。

また、催眠作用と制吐作用があるので、睡眠薬や制吐剤としても使われることがあります。

 

7.一般名と商品名とは?

一般名:レボメプロマジン 商品名:レボメプロマジン・レボトミン・ヒルナミン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「レボメプロマジン(levomepromazine」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「レボトミン(levotomin」「ヒルナミン(hirnamin)」は、それぞれの製造元である田辺三菱製薬、塩野義製薬が独自でつけた名前です。

 

このお薬は発売されてかなりの年月がたつので、ジェネリックも発売されています。ただ、コントミン自体の薬価が安くなっており、ジェネリックと値段がかわりません。

最近のジェネリックは、紛らわしさをなくすため、「一般名+会社名」とすることが多くなりました。コントミン錠も、クロルプロマジン錠として発売されています。

ジェネリックによる効果の違いについて詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

まとめ

レボメプロマジンの効果の特徴は、「いろいろな受容体に作用すること」です。

レボメプロマジンでは、「D2遮断作用>セロトニン2A遮断作用」となっていますが、ドパミン遮断作用はそこまで強くありません。

レボメプロマジンのメリットとしては、

レボメプロマジンのデメリットとしては、

レボメプロマジンが向いている方は、