ロナセン錠(ブロナンセリン)の効果と特徴

アイコン 2015.11.3 ロナセン

ロナセン錠(一般名:ブロナンセリン)は、2008年に発売された第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)です。おもに統合失調症の治療に使われています。ロナセン錠は日本で作られたお薬で、日本以外では韓国くらいでしか使われていません。

ロナセン錠は、ドパミンとセロトニンをブロックする作用に優れているお薬で、SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)に分類されます。幻覚や妄想への効果がしっかりとしていて、体重増加など代謝への影響が軽減されています。

ここでは、ロナセン錠の効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

 

1.ロナセンの作用の仕組み(作用機序)

ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を遮断することでドパミンの働きを整えます。幻覚や妄想などの「陽性症状」と意欲減退や感情鈍麻などの「陰性症状」を両方改善していきます。

統合失調症では、脳内のドパミンに異常があることが分かっています。

ドパミンが過剰に分泌されると、陽性症状とよばれる幻覚や妄想などが起こります。脳の中でも「中脳辺縁系」と呼ばれる部分で、ドパミンが過剰になっています。

一方で「中脳皮質系」という脳の部分では、ドパミン分泌が落ちています。やる気が起こらない、集中できないなどの陰性症状は、このドパミンの減少が原因となって生じます。

 

統合失調症の目立つ症状は幻覚や妄想といった陽性症状ですから、まずはドパミンをブロックするお薬が開発されました。確かにドパミンをブロックしてしまえば陽性症状は改善が期待できますが、陰性症状には効果が期待できませんね。

そこで注目されたのが、中脳辺縁系以外でドパミンを抑制する働きをする「セロトニン」という物質です。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外のドパミンの量を増やすことができます。

ですから、ドパミンD受容体とセロトニン2A受容体を同時にブロックしてしまえば、陽性症状と陰性症状への効果を両立させることができますね。こうして作られたのがロナセンです。その作用の特徴から、セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)といわれています。ロナセンは「ドパミン遮断作用>セロトニン遮断作用」となっていて、ドパミン・セロトニン拮抗薬(DSA)と呼ばれることもあります。

 

2.ロナセンの効果と特徴

まずは、ロナセンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。

ロナセンの効果は、ドパミンとセロトニンに対する作用によってもたらされます。

ロナセンでは、「D遮断作用>セロトニン2A遮断作用」となっています。

ロナセンの特徴は、「ドパミンD受容体遮断作用のシンプルさ」です。ロナセンは他の受容体にも作用しますが、他の薬に比べると少ないのです。他の受容体への作用は副作用の原因にもなってしまいます。

これらをふまえて、ロナセンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。

 

2-1.ロナセンのメリット

ロナセンの特徴は、ドパミンD受容体遮断作用が強いことです。ドパミンD受容体遮断作用がセロトニン2A受容体遮断作用の3倍ほど強力です。このためロナセンは、ドパミン受容体に強力に結合して効果を発揮します。ですから、幻覚や妄想などの陽性症状に対してしっかりとした効果が期待できます。

ロナセンは、セロトニン2A受容体遮断作用が強いだけでなく、ドパミンD受容体遮断作用が強いという特徴があります。ドパミンD受容体遮断作用は、セロトニン2A受容体遮断作用と同じように、中脳皮質系のドパミンを増加させる作用があります。このため、陰性症状に効果が期待でき、認知機能への効果も期待できます。

8週間ロナセンを使ってみたところ、認知機能の中でも言語流暢性と遂行機能の改善が示されています。つまり、言葉がしゃべりやすくなったり、目標を立てて行動をしやすくなります。

 

ロナセンは、ドパミンとセロトニン以外にはほとんど作用しないお薬です。このため、眠気や体重増加といった副作用がとても少ないです。血糖値やコレステロールなども含めて、代謝への影響の少なさが特徴的です。

ドパミン遮断作用が強いお薬は高プロラクチン血症を起こしやすいのですが、ロナセンでは少ないです。これは、ロナセンが脂溶性が高いためです。脳は非常に重要なので、脂質でつくられている細胞膜でバリアー(血液脳関門)がされています。脂に溶けやすいほど、このバリアーを超えやすくなります。

ロナセンは少ない量でしっかり脳に作用でき、バリアーの外にある下垂体へ影響が少なくて済みます。このため、高プロラクチン血症の副作用が少ないのです。

 

2-2.ロナセンのデメリット

ロナセンの特徴は、良くも悪くもドパミンD受容体遮断作用が強いことです。

このため、錐体外路症状が多くみられます。錐体外路症状とは、運動の調節をしている黒質線条体でのドパミンが足りなくなる作用で、パーキンソン病に似た症状がでてきます。具体的には、ふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、ソワソワ感(アカシジア)、眼球上転や筋肉の異常な収縮(急性ジストニア)などがあります。その中でも、アカシジアが多いでしょう。

ロナセンは、ドパミンとセロトニン以外にはほとんど作用しないお薬です。これは良い面でもあり、悪い面でもあります。眠気が少ないお薬なので、鎮静作用が弱いです。興奮が強い患者さんには向きません。

また、ロナセンは食事による影響の大きなお薬です。食後にロナセンは服用すると、血中濃度が2.7倍になります。効果が大きく変わってくるので、食後に服用しなければいけません。

 

ロナセンの副作用について詳しく知りたい方は、
ロナセンの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

3.ロナセンの作用時間と使い方

ロナセンは最高血中濃度到達時間が1.5時間、半減期が10.7~16.2時間の非定型抗精神病薬です。食後では効果が高まり、ロナセンを繰り返し服用していると半減期は67.9時間に達します。2~8mgから使われることが多いです。最大24mgまで使えます。

ロナセンを服用すると、1.5時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、10.7~16.2時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

ロナセンの血中濃度には大きく2つの特徴があります。

ロナセンは食事の影響を大きく受けます。先ほど述べたデータは、空腹時のデータです。食後に服用すると、最高血中濃度が2.7倍となり、最高血中濃度到達時間も2.5倍の3.8時間となります。

また、ロナセンを毎日服用していると身体から抜けにくくなっていきます。半減期が67.9時間まで延びます。

 

このため、ロナセンは食後に服用します。添付文章では、ロナセンは1日2回の食後服用となっています。8mg(1回4mg)から始めることとされています。

ロナセンは毎日服用することが多いので、しばらくたつと1日1回の服用でも効果が持続するお薬です。この方が飲みやすいので、飲み忘れが減ります。このため、しばらくしたら1日1回に切り替えていくこともあります。ただ、副作用を軽減するためには、1日2回に分けて服用することが多いです。

用量としては、2~8mgから使われることが多いです。最大24mgまで使えるお薬です。

 

4.ロナセンとその他の抗精神病薬の比較

ロナセンは、シンプルにドパミンとセロトニンに作用するお薬です。余計な作用がなく、眠気や体重増加といった副作用が少ないです。

抗精神病薬の作用を比較して一覧にしました。

代表的な抗精神病薬の作用を比較して、それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。

まずは、第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。

非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。

定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。

ロナセンは、非定型抗精神病薬のSDAに分類されます。その中でもシンプルに、ドパミンとセロトニンに作用するお薬です。幻覚・妄想に対する作用が強いですが、リスパダールほどではありません。

 

5.ロナセンの適応疾患とは?

<適応>

<適応外>

ロナセンは、統合失調症ではファーストラインで使われるお薬のひとつです。特に急性期で、幻覚や妄想などの陽性症状が目立つ時に効果が期待できます。一方で、興奮が強い時には向いていません。ロナセンを使うにしても、鎮静作用のあるお薬と一緒に使う必要があります。

ロナセンは統合失調症や妄想性障害などの関連疾患に使われることがほとんどです。ときに抗うつ剤の効果増強に使われることがあります。少量追加することで、抗うつ剤の効果が増強されます。うつによって妄想的な思考が認められている時には効果が期待できます。

 

6.ロナセンが向いている人とは?

ロナセンの特徴は、「シンプルにドパミンとセロトニン遮断作用が強く、余計な作用がない」お薬でしたね。この特徴を踏まえて、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。

ロナセンはドパミンを強くブロックするので、幻覚や妄想などの陽性症状に対する効果が優れています。このため、急性期の統合失調症の患者さんにはよく効くお薬です。

ですが、鎮静作用が弱く、興奮を鎮める効果はあまりありません。このため、興奮が強くて落ち着かない方には向きません。興奮が少ない方に向くお薬といえましょう。

ロナセンの特徴は、その副作用の少なさです。ドパミンとセロトニン以外の作用は少ないため、体重増加や眠気といった副作用が少ないです。肥満傾向の方、日中の活動に影響したくない方などに向いています。

 

まとめ

ロナセンの作用の特徴は、「ドパミン遮断作用のシンプルさ」です。

ドパミンD受容体遮断作用>セロトニン2A受容体遮断作用となっています。

ロナセンのメリットとしては、

ロナセンのデメリットとしては、

ロナセンが向いている方は、