エビリファイのうつ病と双極性障害への効果

アイコン 2015.12.9 エビリファイ

エビリファイは、非定型抗精神病薬に分類されています。統合失調症の治療薬として開発され、躁症状やうつ症状にも効果がみられたため、双極性障害やうつ病に適応が拡大されました。

エビリファイはどうして抗うつ効果や抗躁効果が期待できるのでしょうか?
エビリファイが使われるのはどのようなケースでしょうか?

ここでは、エビリファイのうつ病と双極性障害への効果について、詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.エビリファイはうつ病にどうして効くの?

エビリファイは、低用量でモノアミン(ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリン)を増加させるため、抗うつ効果が期待できます。

エビリファイの薬の作用としての特徴として、パーシャルアゴニスト作用というものがあります。パーシャルアゴニストとは、日本語でいうと「部分作動薬」となります。エビリファイが受容体にくっつくと、ほどほどの力で作用するのです。

このため、エビリファイが低用量であれば作用を増強する方向に働きます。高用量であれば作用をブロックする方向に働きます。うつ病では、モノアミンと呼ばれるセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンが足りなくなっていると考えられています。これらの物質を増やすためには、エビリファイは低用量である必要があります。

ただし、うつ病では最初から使うことは正式な適応とされていません。抗うつ剤を十分に使っても改善が不十分なときに、後押しとして使われます。増強療法(augmentation)という使い方で、低用量での適応が認められています。

 

それでは、エビリファイがどうしてうつ症状に効果があるのでしょうか。はっきりと分かっているわけではありませんが、大きく4つの作用が関係していると考えられています。

 

エビリファイは、ドパミン受容体パーシャルアゴニスト作用があります。このため、エビリファイ低用量ではドパミンを増加させる働きがあります。ドパミンが増えることで、興味や喜びが感じられるようになり、倦怠感の軽減が期待できます。

セロトニン1A受容体にも、エビリファイはパーシャルアゴニスト作用があります。セロトニン1A受容体は精神の安定に関係しているといわれていて、落ち込みや不安が薄れていくことが期待できます。

さらにエビリファイによってセロトニン2A受容体や2C受容体がブロックされると、大脳皮質前頭前野でのノルアドレナリンやドパミンが増加することが分かっています。意欲や興味を高めて、気分を持ち上げる効果が期待できます。

また、エビリファイはBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる物質を増加させて、神経機能を回復して保護することが分かっています。とくに記憶に関係する海馬での神経新生によって、抗うつ効果がもたらされるのではと考えられています。

 

2.エビリファイは双極性障害にどうして効くの?

気分を持ち上げる効果と抑える効果の両方が期待でき、気分の波を小さくします。

双極性障害に関しては、エビリファイは躁症状のみ適応が認められています。躁症状に対しては、しっかりとしたエビデンスがあります。ガイドラインにおいても、副作用の少なさも加味して第一選択薬のひとつとなっています。気分安定薬のデパケン(一般名:バルプロ酸)やリーマス(一般名:リチウム)と併用すると、より高い抗躁効果が報告されています。

一方で、うつ症状に関しては正式な適応が認められていません。うつ症状に対しては、しっかりとしたエビデンスがありません。抗精神病薬の中では、セロクエルが最もしっかりとしたエビデンスがあります。ですが、双極性障害のうつ症状に関しても効果は期待できるというのが、実際の臨床をしていての印象です。

 

双極性障害のうつ症状については、うつ病と同じようなメカニズムで効果が期待できると思われます。

躁症状がみられるときは、中脳辺縁系と言われる部分で過活動が起こっていると言われています。統合失調症に近しい状態といえます。ですから、エビリファイを高用量使うことによってドパミンをブロックすれば、躁症状に対して効果が期待できます。

添付文章でも、双極性障害の躁症状に対する用法としては、高用量から開始するように設定されています。

 

このように、エビリファイはうつ症状にも躁症状にも効果が期待できます。このため、気分の波を小さくさせる効果が期待できます。エビリファイは気分安定薬とも呼ばれています。エビリファイでは、双極性障害の再発予防効果も示されています。

 

エビリファイの効果について詳しく知りたい方は、
エビリファイ錠の効果と特徴
をお読みください。

 

3.エビリファイの効果時間と使い方

エビリファイは最高血中濃度到達時間が3.6時間、半減期が61時間の非定型抗精神病薬です。統合失調症では6~12mgから開始してすぐに増量することが多いです。躁状態では12mgから、うつ状態では1.5~3mgから使われます。最大30mgまで使えます。

エビリファイを服用すると、4.8時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、28.5時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

このため、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。一番服用しやすい時間帯を見つけて飲むようにしましょう。多くの場合が夕食後や就寝前になります。

エビリファイの添付文章では、統合失調症・躁症状・うつ病で用法が異なります。まとめると以下のようになります。

統合失調症では、多くの場合12mgから始めます。興奮や攻撃性が強い方では、すぐに24mgまで上げてしまいます。躁症状では、添付文章通り24mgから開始します。うつ病では、抗うつ剤で十分な効果がない時に使われます。少量で使うことで効果が増強されるので、1.5~3mgから使っていきます。

エビリファイは作用時間が長いので、効果が安定するまでには2週間ほどかかります。このため、じっくりと効果を見ていく必要があります。

エビリファイは副作用が全体的に少なく、量を増やしても大きく変わらない傾向にあります。このため、飲み始めに問題がなければ、思い切って量を増やすことが多いです。症状が落ち着いてきてから少しずつ減量していくことで、適切な量を見つけていくお薬です。

 

4.エビリファイが向いている人は?

<双極性障害>

<うつ病>

まずは、双極性障害からみていきましょう。

エビリファイは、鎮静作用が弱いお薬です。このため、躁症状がひどく、興奮や攻撃性が高い方には向いていません。躁状態の一歩手前の軽躁状態の方には使いやすいお薬です。

エビリファイを躁症状の方に使うと、過度に抑え込む感じがなくて自然に落ち着いていく印象があります。気分が落ち着いてくると、再発予防を見据えてエビリファイを長期間使っていくこともあります。そのような方には、エビリファイは全体的に副作用が少ないので使いやすいお薬です。

 

次に、うつ病の方でみていきましょう。

うつ病では妄想が認められることがあります。うつ病に多い妄想としては、貧困妄想、罪業妄想、心気妄想です。全く根拠がないのに、患者さんの中で非現実的なネガティブなことを思い込んでしまいます。このような妄想が認められるときには、エビリファイなどの抗精神病薬が効果的なことがあります。

エビリファイの原則的な使い方としては、抗うつ剤の効果が不十分な時に、その効果を増強するためにつかわれることもあります。エビリファイ自体の抗うつ効果だけでなく、相互作用により抗うつ剤の血中濃度が上昇する効果もあります。抗うつ剤としては、レクサプロやジェイゾロフトで相性が良いと感じます。パキシルは相性がよくないでしょう。パキシルはCYP2D6という肝臓の酵素を邪魔するので、エビリファイの分解を遅らせます。このため、エビリファイが高用量となってしまうのです。

症状としては、倦怠感や興味の低下が目立つ方に効果が期待できます。エビリファイの他の抗うつ効果のある薬にない特徴としては、ドパミンを増やす作用があることです。ドパミン不足による症状が目立つときは、効果が期待できます。

うつ状態の患者さんでは、その原因がハッキリとしない時があります。とくに若い患者さんでは、双極性障害が隠れていることもしばしば経験します。ときに統合失調症が原因でうつ状態になっていることもあります。双極性障害の方にいきなり抗うつ剤を使ってしまうと、躁転(躁状態になること)してしまうことがあります。このような時に、エビリファイを使っていくこともあります。

 

まとめ

エビリファイは、低用量でモノアミン(ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリン)を増加させるため、抗うつ効果が期待できます。

気分を持ち上げる効果と抑える効果の両方が期待でき、気分の波を小さくします。

エビリファイは最高血中濃度到達時間が3.6時間、半減期が61時間の非定型抗精神病薬です。うつ症状には低用量から、躁症状には高用量から使われています。

エビリファイが向いているのは、

<双極性障害>

<うつ病>